2024年7月24日
ID定例ゼミ
ID定例ゼミ
日時:2024年7月24日(水)13:00-13:40
会場:オンライン(Zoom)
参加者数:7名
発表者:杉浦真由美
テーマ:MOOCのインストラクショナルデザインにおける人間の創造性とAIベースのツールの組み合わせ:利点と限界
紹介した論文:Amado-Salvatierra, H. R., Chan, M. M., & Hernandez-Rizzardini, R. (2023) Combining Human Creativity and AI-Based Tools in the Instructional Design of MOOCs: Benefits and Limitations
https://doi.org/10.1109/LWMOOCS58322.2023.10306023
近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、あらゆる領域の教育に利用されるようになりました。そこで、インストラクショナルデザインの視点からAIの可能性や課題について検討したく、実際に生成AIを用いて制作した教材を紹介しながら議論を展開しました。
題材とした文献では、インストラクショナルデザイナーの視点から、オンラインコースの設計におけるAIを基盤としたツールの利用について議論されていました。
AIツールを用いることは、テキスト、画像、ビデオを生成するのみならず、学生に対してフィードバックなどの学習支援ができるという点で、インストラクショナルデザイナーにとって有用な場合もあります。たとえば、MOOC(大規模オンラインコース)の教授設計にAIを用いることは、コース設計やマルチメディアの要素を生成できるという点で効率的であり、受講者のニーズに応じた教材を生成して提供できるという点ではエンゲージメントを高める効果が期待できます。一方、特定のタスクの自動化により人間味が失われるリスクがあること、プライバシーや著作権など倫理的配慮の側面で懸念があることが言及されていました。
インストラクショナルデザイナーは、AIなど新しいツールの開発に関して、常に知識を更新し続ける必要があるとともに、MOOCにおけるインストラクショナルデザインの発展のためにも、さらなる研究の必要性が示されていました。
AIを基盤としたツールは、インストラクショナルデザインの領域にとどまらず、教育の未来を変える可能性を秘めています。人ならではの「よさ」とAIの利便性とのバランスを保ちながら、より効果・効率・魅力を高めた教育について追求していきたいと思いました。
文責:第23回担当 杉浦真由美
詳細は勉強会のレジュメをご参照ください。