2020年10月15日

第11回 ID勉強会

(自主ゼミ)

日時:2020年10月15日(木)13:00-13:40

会場:[オンライン]Zoom

参加者数:計8名

第11回の題材は「4C/IDモデル」でした。

van Merrienboer, J. J. G. and Kirschner, P. A. (2018) 4C/ID in the Context of Instructional Design and the Learning Sciences. In Fischer, F., Hmelo-Silver, C. E., Goldman, S. R. and Reimann, P. (Eds.) International Handbook of the Learning Sciencs, Routledge, New York, pp.169-179

https://977fbd54-1d92-4dee-ac75-9198e0b783c2.usrfiles.com/ugd/977fbd_896ef3a5aaea41098f7f12f3adee860d.pdf#page=19

4C/ID(four component Instructional Design)モデルは、1980年代にオランダで開発されたモデルで、学習の原動力として意味のある全体的な学習タスクを使用することを強調している点がポイントです。

具体的には、(1)学習タスク、(2)支援的情報、(3)手続き的な情報、(4)部分練習、の4要素を組み合わせて授業や研修を設計することが提案されています。

(1)は、実生活のタスクに基づく全体的なタスクを用意します。最初は単純な(でも全体を体験できる)タスクを用意し、足場かけも高めに設定します。そして徐々に複雑なレベルのタスクに取り組んでもらい、足場も外していきます。

さらに、学習者が(1)に取り組む際に手助けするものとして、(2)の支援的情報と、(3)手続き的情報を用意しておきます。(2)はルーティン化できないような情報(たとえば問題解決や推論、意思決定に関わる情報)で、(3)は逆にルーティン化できるルールや手順、前提知識といった情報です。

そして、重要なルールや手続きを習得するために、(1)とは別に(4)の部分練習を用意しておきます。

議論の中では、「4C/IDモデルで子どもにお買い物の仕方を教える」例を使って、4C/IDモデルの理解を深めました。「お金の種類を覚える」とか「合計金額通りに硬貨を組み合わせる」などの、下位要素の練習を徹底的にしてからお買い物のタスクに向かうのではなくて、最初から「お買い物」の一連の過程を体験させるタスク(たとえば親のお買い物についていく、お買い物ごっこをするといったタスク)を用意するのが、4C/IDモデルのポイントだろうという話になりました。

また、4C/IDモデルを設計する際に使うプロセスモデルとして、10ステップモデルの紹介もありました。参加者からは「IDと言えば学習目標を最初に設定するのに10ステップモデルには学習目標の設定が含まれていないのか?」という質問が出て、「学習タスク」そのものが学習目標に相当すると考えるのが妥当、という結論に至りました。

4C/IDモデルは一見すると複雑なモデルですが、メリルのID第一原理をより詳細化したモデルと言えそうなので、ぜひ使っていきたいと思いました。

(文責:高橋暁子)

詳細は勉強会のレジメをご参照ください。

石川奈保子_20201015_SIG-ID自主ゼミ_スライド資料_4CID_v2.pdf

【お知らせ】

第12回 ID勉強会(自主ゼミ)は,2020年12月に開催する予定です。日程が決まり次第,お知らせいたします。


次回からでも参加できます。ご希望の方は,以下のサイトからお申し込みください。

ID勉強会メンバー募集


※Webページの「活動報告」にて,過去の資料もご覧いただけます。

日本教育工学会 SIG07 インストラクショナルデザイン