2022年32

ID定例ゼミ

日時:2022年32日(水)13:00-14:00
会場:オンライン(Zoom)
参加人数:
10

第2回の題材は「キャリア自律とID」でした。


(1)堀内泰利,岡田昌毅(2016)キャリア自律を促進する要因の実証的研究,産業・組織心理学研究,29(2),73-86
(2)高島健太郎,西垣朋哉,渡邉汐音,竹下智之(2021)若手従業員の「本業外のキャリア開発活動」への意欲と組織コミットメントの関係に関する分析,日本経営工学会論文誌,72(1),12-23

担当者が、過去に研究職・技術職のキャリア支援を行った経験をふまえ、特定の職種・業種に限らず、すべての働く人々にキャリア自律の考え方が必要な時代になっているという問題意識から、この題材を選択しました。ゼミでは、時間の関係上、(1)の文献を中心に、適宜(2)の文献にも触れながら、担当者が作成した資料(レジメ)を画面で共有しながら進められました。

キャリア自律とは?
「キャリア自律」の定義はさまざまあります。ここでは代表的な定義の一つである「めまぐるしく変化する環境の中で、自らのキャリア構築と継続的学習に積極的に取り組む、生涯にわたるコミットメント(花田・宮地,2003)」を紹介しました。これまでは、企業主導による従業員の人材育成・キャリア形成が中心でしたが、近年、働く個人が自らのキャリアを自律的に考え,自発的に行動し、それらを企業がサポートするという考え方が広がりを見せており、国の施策でもこれらを後押しする動きも出てきています。
参考:花田光世,宮地夕紀子(2003)キャリア自律を考える:日本におけるキャリア自律の展開,CRL REPORT,3:1-14

(1)の文献では、「垂直的交換関係(上司との人間関係)」、「水平的交換関係(職場の同僚や周囲との人間関係)」、および「転機経験」が、「仕事経験からの学び」を介してキャリア自律を促進するだろうという仮説について、約600名の会社員へのアンケート結果をもとに実証・検討が行われていました。

担当者による発表に続き、質疑応答を行いました。参加者からは「すべての人がキャリア自律を意識したり、志向しているわけではない。まずは選択肢を見せることから始めてはどうか。」「ライフステージの変化も意識した選択肢の提示も必要だと思う。」「自ら積極的に学んでもそれを活かせる部署へ必ずしも異動できるわけではないので、人事制度の見直しも必要。」「足場かけや自己調整に関する理論は、キャリア自律支援には有効ではないか。」などの意見が聞かれました。参加者のこれまでの経験も交えた活発な議論が行われ、予定時間を過ぎたあとも、しばらく議論が続きました。
(第2回担当:石田百合子)

詳細は勉強会のレジメをご参照ください。

20220302_レジュメ(石田百合子).pdf