2022年1月19日

ID定例ゼミ

日時:2022年1月19日(水)13:00-13:50
会場:オンライン(Zoom)
参加人数:7名


紹介した書籍:
So, You Want to Do Heutagogy: Principles and Practice (Chapter 2)
Hase, S. & Blaschke, L. M. (2021) S. Hase & L. M. Blaschke (Eds.), Unleashing the Power of Learner Agency. EdTech Books.

発表担当者はいわゆる自己主導型学習、すなわち学習者が自身の必要性や興味に従って学習のゴール、計画、評価方法を決めていくような学習形態を大学の授業内で導入しており、学習者ごとに異なる多様な学習の道筋をICTの力を借りながら支援するための教育システム開発研究を実践しています。以前、本ゼミでは『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』(通称ID4)の輪読合宿を行いましたが、その中の第14章「モバイル学習のためのデザイン上の考慮事項」に登場した「heutagogy」という語が気になり、テーマとして選びました。

ID4の日本語訳では「自己調整学習」となっているのですが、似た概念には自己調整学習(self-regulated learning)、自己主導型学習(self-directed learning)、自己決定型学習(self-determined learning)、自律学習(autonomous learning)など様々あります。「heutagogy」とこれらの類似概念との関連性を探るため、この語の定義やルーツを確認しました。

筆者らは学習者中⼼の学習を通じて学習者の主体性を高めるフレームワークを提唱しており、学習についての考え方を革新するため「heutagogy」という語を用いているようです。本書ではヒュータゴジックな学びの原則やプロセス、指導者の条件などについて述べられており、ヒュータゴジックな学習体験として、学習者が伝統的ペダゴジーの状態からアンドラゴジー的アプローチ(⾃⼰主導型学習、self-directed learning)を経て、最終的にヒュータゴジー(⾃⼰決定型学習者 、self-determined learners)になるように責任を持たせていくというデザインが提案されています。

議論では翻訳本を読む際には原著で使われている語にも注意を払うと、その背景や文脈、抱えている事情などのより深い理解につながることを確認しました。また、指導者に求められる条件の高さに注目が集まり、このようなスキルをどう身につけるかや心構えについて活発な議論が行われました。
(第1回担当:甲斐晶子)

詳細は勉強会のレジメをご参照ください。

20220116_レジュメ(甲斐晶子).pdf