2020年6月11日
第9回 ID勉強会
(自主ゼミ)
日時:2020年6月11日(木)13:00-13:40
会場:[オンライン]Zoom
参加者数:計8名
第9回の題材は「ラーニング・プログレッションズ」でした。
大島純・千代西尾祐司(著)(2019)学習科学ガイドブック 北大路書房 p94-97
昨年度の後半から,インストラクショナルデザイン×学習科学をテーマとして、,自主ゼミを行なっています。教育のワールドクラス(2019)(アンドレアス・シュライヒャー著)p.94に「ラーニングプログレッション(LP)」という用語があったこともあり,今回は上記の書籍を題材としました。
勉強会は,担当者が作成した資料(レジメ)を画面で共有しながら進められました。
ラーニング・プログレッションズとは?
・適切な教育の下で概念やスキルがどのように発達しうるかについての,学術研究のエビデンスに基づいて構築された仮説的なモデル
・個々の学習テーマについての比較的長期にわたる概念変化や思考発達をモデル化したもの
・「自発的概念変化」に関する認知発達研究と「教授にもとづく概念変化」に関する教育研究の両方の知見を結びつけるもの
カリキュラム構成原理としての特徴として,カリキュラムは領域で固有(発達の領域固有性を強調)であり,発達段階が単線型ではなく複線型,発達段階が教育と不可分であることが示されていました。
文献とともに,ラーニング・プログレションズの関連論文も紹介されました。
山口悦司,出口明子( 2011)ラーニング・プログレッションズ:―理科教育における新しい概念変化研究―, 心理学評論54(3), 358-371, 心理学評論刊行会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/54/3/54_358/_pdf/-char/ja
担当者による発表に続き,ブレイクアウトセッションを行いました。参加者からは,「これまでラーニング・プログレッションズに類似した実践はされているものの,ラーニング・プログレッションズとして定義されていなかったのではないか」「低学年であれば発達段階に応じた検討ができるが,高等教育での応用は難しいのでは」「低学年においても,経験によって発達段階は異なるのでは」「なぜ実践されている科目は理科に特化しているのか」などの疑問があげられました。また「学年横断型の授業で活用できそう」「統計学やデータリテラシーなど,高等教育の共通科目でラーニング・プログレッションズの知見がパッケージ化されていることによって,効率化が期待できそう」など,発展的な意見も聞かれました。
(文責:杉浦真由美)
詳細は勉強会のレジメをご参照ください。
【お知らせ】
第10回 ID勉強会(自主ゼミ)は,2020年8月に開催する予定です。日程が決まり次第,お知らせいたします。
次回からでも参加できます。ご希望の方は,以下のサイトからお申し込みください。
※Webページの「活動報告」にて,過去の資料もご覧いただけます。