2024年5月20

ID定例ゼミ

日時:20245月20日(月)10:30-11:30
会場:オンライン(Zoom)
参加者数:7名
発表者:阿部真由美

テーマ:ブレンド型授業―対面をどこまでオンラインに置き換えるか

紹介した論文:Müller, C. & Mildenberger, T. (2021). Facilitating flexible learning by replacing classroom time with an online learning environment: A systematic review of blended learning in higher education. Educational Research Review 34, 1-16.

https://doi.org/10.1016/j.edurev.2021.100394


ポストコロナの大学ではブレンド型授業(以下、BL)の拡大が予測されていたものの、実際にはほぼ全面的に対面授業に戻ったケースが多いように見受けられます。そこで、対面授業の一部をオンラインに置き換える(あるいは対面授業の一部にオンラインを残す)意義について改めて考えてみたく、本テーマを取り上げました。


題材とした文献は、2021年に出版されたレビュー論文です。従来型の授業とBLの効果を比較した先行研究のうち、対面授業時間を削減してオンラインの割合を30~79%とした大学の授業に焦点を当て、21の論文をメタ分析しています。結果としては、対面授業時間を削減したBLでも従来の授業と同等の学習効果が期待できるということでした。ただし、先行研究によってBLの効果はさまざまであり、授業の文脈や指導方法等の具体的な要因を検討する必要があること、また、BLは多様化する学生に柔軟な学習環境を提供することが可能であるが、そのコスト効率のエビデンスは不十分であること等が指摘されていました。


参加者同士のディスカッションでは、まずBLの「コスト」について、学生・教員・大学の視点から意見が飛び交いました。また、BLの効果は、対面とオンラインの割合だけでなく、授業の目的や設計の仕方によるという点は皆が一致した見解でした。今後、大学の授業においてBLが有望な授業形態として広がるのか否か、BLの効果や効率の観点から注視していきたいと思います。


文責:第21回担当 阿部真由美


詳細は勉強会のレジュメをご参照ください。

20240520_レジュメ(阿部真由美).pdf