読書は時空を越えることができます。
合ったことがない歴史上の人物と出合い,見たことがない未来や宇宙,深海を見ることができます。
また,体験したことがない冒険や恋愛も経験できるのです。
1冊の本との出合いが人生を変えることもあります。人生観を広げ,深めることができます。
そんな本との出合いのきっかけをつくるために,このページ「こんな本と出合ってきた」をつくりました。
この中の1冊が,あなたにとって素晴らしい出合いになることを願っています。
遠田さんの作品は,ほとんど読みました。特に「オブリヴィオン」で一気に引き込まれました。
その遠田さんの作品では悲しすぎる過去を背負った人々を描かれています。
とても共感できないような境遇の主人公。
読んでいる途中,心がズンと重くなっていきます。
しかし,ラストで光が射します。
まさに心の救済。
その展開に魅了されて読み続けているのです。
(2020年1月)
授業中,教師の発問に対して答えと大きくズレた発言をする生徒がいます。
しかし,この生徒はふざけている訳ではないのです。これに対してどんな対応をしますか?
厳しい対応をすれば,授業中の発言をしなくなる可能性があります。
また授業の空気が悪くなることもあります。
そんな時私は,正しいツッコミをしています。
ユーモアを交えた切り返しをすることでうまくいくことが多いです。
別の言い方をすれば,ストレートに切り返すのではなく,笑いを取り入れた変化球で返すということです。
参考にしているのが,ダウンタウンの松っちゃんのツッコミです。
(例)
背の高い芸能人に対するツッコミ
「でかっ!業務用冷蔵庫と同じ大きさしてる!」
ボケがスベリまくる芸人に対するツッコミ
「ひどいな。おまえ,しゃぶしゃぶで言うたらアクやで!」
話術の腕を上げるために,漫才や落語やバラエティを良くよくみます。
たとえ方や間の取り方などを学んでいます。
そんなことを学べる本を読みました。
「最強のコミュニケーション ツッコミ術」(村瀬健 祥伝社新書)です。
10のツッコミの型がとても参考になりました。
また,「ツッコミ脳」になるためには,
①見て(感知)②観て(精査)③診る(判断)が大切であると書かれています。
この3つは,日頃から生徒を見るうえでも大切な観点だと思いました。
書名は,お笑いタレント系の内容かなと思えますが,実は教師に必要な話術の指南書でもあるのです。
(2020年1月)
休みの最終日。
午前中は学年通心作成。
昼は妻とイタリアンレストランでランチを食す。
午後は読書。久々に堅い教育書「教育改革のやめ方」(広田照幸 岩波書店)を読破しました。
初めはなかなか進みませんでしたが,途中から加速度が上がり2時間程度で読破しました。
これがとても面白く,読破後ノートにポイントをかき出していきました。
気に入ったポイントをいくつか紹介します。
①危なっかしい改革を無造作にやりすぎている
②教員自身が「深い学び」を経験する機会を継続的に用意すること。
常に刺激的な学習体験をしている人が生徒にもそれを教えられる。
③従来型の授業を進行させつつ,その中に今までにはない学習体験を混ぜ合わせる授業を行う。
④子供たちに「自主的に勉強してね」と言いながら教員自身が与えられたもの以上の学びをしない。
⑤校長の役目
・教員の多忙化の改善
・外からの風圧に対して教員を守る
・教員同士の学びあいの土壌をつくる
・これまでにない概念や理念について深く学んで理解する
現場のことをしっかりと考えた論ですから,共感する部分が多かったです。
若手教師にも是非読んでほしい1冊です。
この本のおかげで,一気に脳が学校モードに切り替わりました。
明日から出勤します。
(2020年1月)
大学1年生の頃に友人から紹介された「哀愁の町に霧が降るのだ」がすこぶる面白く,そこからずっとシーナファンです。
おそらくほとんどの作品は読んだと思います。
当時は,「昭和軽薄体」とか「おもしろかなしずむ」とか言われていましたが,私が好きだったのは,世界の辺境の旅行記や私小説です。
今回は,旅を中心に書かれたエッセイです。
特に,若き頃の旅を振り返る「マゼラン海峡航海記」が面白かったです。
一般的なガイドブックや旅行記には絶対に書いていないその国の実情が面白く社会科の授業で使えるネタがたくさんあります。
特に世界のトイレ事情などが使えます。
私も歳をとりましたがシーナも75歳です。
ちょっぴり哀しくなります。
(2020年1月)
新井さんは,読解力をより正確に把握するためにRST(リーディングスキルテスト)という独自のテストを開発して実施しました。
その結果を元にして,書かれているの説得力があります。
そして,読解力を高めるための授業の実際が紹介されていてわかりやすかったです。
また,現在の学校教育にも疑問を投げかけています。
例えば,アクティブラーニングです。
「準備が不十分だったり,教員の背景知識が不十分で生徒の学ぶ意欲に負けてしまったりすると,アクティブラーニングはすぐに破綻します。
みんなで作業をして,なんとなく話あったけど,何が結論だったのかわからないーそんな授業に陥ります。
他の生徒の意見に迎合していれば授業をやり過ごせると覚える生徒も出てきます。」と書かれています。
例えば,電子黒板とワークシートです。
「一人も置き去りにしないために,書く速度が遅い生徒に合わせたプリントやワークシート類,情報化を推進するための電子黒板が,ノートをとれないまま卒業する小学生を大量に生んでいたのです。文章として読まなくても,キーワード検索でプリントを埋められてしまいます。そして,そのキーワード部分を覚えれば,テストでそれなりの点をとれてしまうではありませんか。」
最後には,「意味がわかって読める」子供を育てるために,何をどうすればいいか,幼児期から小学校高学年まで詳しく紹介されていて,これも参考になりました。
(2020年2月)
まずは,美しい写真に感動しました。アイスランドは氷と火山の島国ですが,幸福度ランキング9位ぐらいだそうです。この本の最後にシーナさんが,幸福についてこんなことを書いていました。
「ぼくはこんなふうに,世界のいろんな土地で書き切れないくらいの様々な風景を見てきた。そうして,いつの旅でもやがて日本に帰ってくる。そのとき必ずいつも形容の難しい「違和感」におそわれる。しかもそれは外国に行くたびに増しているのを感じる。」
この違和感とは,こんなものです。
①同じ格好としぐさでスマホと対峙する人々
②大きな音の宣伝音楽
③町に立ち並ぶ自動販売機
④子供が夜遅くまで塾に行っている
⑤大量の人々がどの国よりも1.5倍速で動き回っている
最後にこんな文で終わっています。
「我々の国に住んでいる人々は,おそらくいまの自分が幸せなのか不幸せのか本気で考えていないような気がする。考える尺度がわからないからだろう」
「幸福について考える尺度」
いい言葉です。
最近,幸福について考えることがあり,学年通信にも書きましたので,シーナさんのこの文に心が留まりました。
(2020年2月)
最近,海洋に関することに興味をもっていて,新聞記事や雑誌などを読んでいます。
例えば,「海底ケーブル」です。
例えば,北極圏の氷が溶けだしていて,北極圏を船で通過できるようになっているそうです。
となれば,ロシアの動きも気になるところです。
そんな流れで,この本を読みました。
大きく分けて,4つのことが書かれています。
①イギリスの海洋覇権の歴史
②アメリカの海洋覇権の歴史
③中国の動き
④日本はどうすればいいのか
領海12カイリや接続水域,EEZ(排他的経済水域)などがどうやって決まったのかがよくわかりました。
また,中国の海をめぐる挑発的な動きに対して,日本は早急な対応が求められています。
見えない国境を巡って私たちが知らないところで,海上保安庁と海上自衛隊が日夜活動して国民の安全を守っていることを忘れてはいけないのです。
(2020年2月)
臨時休校になり,部活動がない日を全国の中学校教師はどうすごしているんでしょうか。
時間的に余裕ができましたが,学校の勤務時間には読書はできません。
ということで,ネットで3冊ほど購入しその1冊をコーヒーを飲みながら読みました。
読みながら何度も涙でそうになるのを我慢しました。(居間で妻が家事をしているので)おそらく,一人で読んでいたら,泣いてしまっていたかもしれません。
「魂でもいいから,そばにいて」(奥野修司 新潮文庫)
東日本大震災では,1万8000人以上の死者や行方不明者が出ました。
その被災地で不思議な体験が数多く語られているそうです。
震災で亡くなった人との再会と言える不思議な出来事です。
霊となって再会した母,亡くなった夫から届いたメール,亡くなった幼い息子が遊んでいたおもちゃが突然動き出すなどです。
これを心霊現象や超常現象という興味本位の言葉でくくりたくありません。
亡くなった人が,今を生きている人を支えるという,科学を超えた「思い」や「愛」を描いたノンフィクションだと思います。
こんな文章が出てきます。
〈引用始まり〉
「亡くなった二人はときには姿を見せ,ときには語りかけ,ときには励ましてくれる。
たとえ,つかの間の触れ合いであっても,先に逝った者が,この世に生き遺った生者に生きる力を与えてくれるなら,こんな邂逅があってもいいだろう。」
〈引用終わり〉
地名が多く出てきますので,その思いを少しでも感じ取りたいと考え,グーグルマップやグーグルアースで確認しながら読み進めました。
本の中の言葉と復興途中の画像が心を大きく揺さぶりました。
もうすぐ3.11が来ます。その日の前にどうしても読んでおきたいと思った1冊です。
(2020年2月)
50代の男女の切なすぎる恋愛物語です。
読後,涙が出ました。年齢が近いせいで感情移入しすぎたのかもしれません。
物語のうまさに心がのせられたのかもしれません。
何よりも,見えない人の微妙な「心」を分かりやすい言葉で表現してあったからです。
例えば,こんな表現です。
「気の沈みが油のように泡立ったのだった。」
「黒々と剛毛が生えた本心である。」
「年甲斐もない,恨み言めいたそんな思いがはっきりしない雲みたいに横に長くかかった。」
「もっとも柔らかな一点めがけて手を伸ばし,ぎゅっと掴んで放さない,」
最後まで読んだ後で,再び最初の部分を読みなおしました。
「ちょうどよくしあわせなんだ」
「夢みたいなことをね。ちょっと」
そして,また涙が出ました。
加齢のせいで涙腺が緩んでいるせいかもしれません。
(2020年2月)
長期休業中は,時間があるので学校にいる時に,ほとんどの仕事ができます。
ですから,持ちかえりの仕事が少ない状況です。
そんなことで,読書をする時間が増えました。
ネットで購入すると財布の中身が心配になってきますので,この本は図書室で借りて読みました。
運は,「いい」,「悪い」ではなく,「使う」「ためる」で表現するもの。
運をためればそれだけ使えるということです。
何となく,私が学年で取り組んでいる「幸動貯金」と同じような感じがします。
他人の運を良い方向に転ずることができる「運転者」です。
なるほど。
(2020年3月)
以前,辻中さんの「魔法の日めくりカレンダー」を読んでとてもいい言葉との出会いがたくさんありましたので,この本を買ってみました。
この本にも,生徒や保護者に伝えたい言葉がありましたので,少しだけ紹介します。
〈引用はじまり〉
・「言葉を発する前に,少しだけ先のことを考えて」
・「1ミリだけ進むバタフライ・エフェクト」
・「四季を通して,気持ちの切りかえをできるようにしよう」
・「条件付きの愛情」
・「無条件の愛情」
〈引用終わり〉
折に触れて,生徒に伝えていこうと思います。
(2020年3月)
臨時休業中は,基本的に午前中は学校で仕事をしています。今年度の反省や次年度の提案文書などを作成しています。
仕事が一段落すると休みをとり帰宅します。
学校で読書をしたり道徳授業づくりをするのは学校業務ではないと考えているからです。
別に読書ぐらい,いいという考えもあるかもしれません。
しかし,学級担任が通知表や指導要録作成でがんばっている中で,自分だけ悠長に読書はしたくありません。
また,隙間の時間があればついついおしゃべりをしてしまいますので,他の教員に迷惑がかかる前に休みをとるのです。
ということで,今日は図書室で借りたこの本を自宅で読破しました。
久々の東野作品です。
加賀恭一郎が登場しますが,今回はわき役です。
感動させたいという構成はうまいのですが,動機が今一つ納得できませんでした。
おそらく,映画化されるでしょうね。
(2020年3月)
臨時休校で部活動もないため,土日にじっくりと本を読もうと思い,図書室から借りた1冊です。
久々のミステリーです。
タイトルはおどろおどろしいですが,内容は正統派ミステリーでした。
何度も「あれっ」「どんな関係だったっけ」など思考がいったりきたりしました。
私の読みが浅いのかもしれません。
しかし,ラストの解決部分では,なるほどとなります。
好みのミステリーではありませんでしたから,感動とまではいきませんでした。
(2020年4月)
野口先生の本は,たくさん読んできましたが,この本は未読でした。
ネットで見つけて,「名人への道 社会科教師」(有田和正 日本書籍)と2冊購入しました。
野口先生の本音が書かれているので,爽快になり読後は元気になります。
読みながらマーカーを引いていきましたが,最終的にはほとんどのページにもマーカーが引いていました。これをノートに書きだしていきます。
この本を書かれたのは野口先生が53歳の時です。現在の私よりも5歳若い時です。
これが一番驚いたことです。
あとがきで,こんなことを書かれていました。
〈引用始まり〉
「過去は過ぎ去ってとりかえす術がありません。未来はまだ来ていません。ただ現在のみが私にとっての現実であり,真実です。その現在をどう生きるか,それだけが私の課題であり,それはまた,どなたにとっても同様のことでありましょう。」
〈引用終わり〉
このような危機的な状況だからこそ,この言葉が心に響きました。
蛇足ですが,有田先生の本はすでに購入し読んだ本でした。同じ本を2冊購入してしまいました。歳のせいですかね。
(2020年5月)
中山さんの本は初めて読みました。
面白いです。
死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が殺される事件が起きます。
殺害現場には,「ネメシス」というメッセージが残されていました。
「ネメシス」とはギリシャ神話に登場する「義憤」の女神のことです。
日本の司法に関する問題を描いています。
加害者の人権と被害者の人権は,本当に同じにすべきなのでしょうか。
極悪非道な加害者にも,人間としての「人権」を平等に与えていいのでしょうか。
「義憤」を感じます。
最後のどんでん返しに驚きました。
先ほど,中山さんの本を3冊注文しました。楽しみです。
(2020年5月)
読売新聞に掲載されていた建築家の隈研吾さんの話に興味を持ち,この本を読んでみました。
1964年と2020年の東京五輪をベースにして彼の人生を書いているのですが,同時に建築に対する哲学の変遷も書かれています。
新国立競技場を見たときに,単純に「和風」を感じましたが,実はそうではない深い考えがあったことに驚きました。
建造物には建築家の哲学が反映されているのです。
例えば,文明論であり環境論であり国家論であり歴史論であり科学論でありもあるのです。
それらが集約され表現したものが新国立競技場なのです。
〈引用始まり〉
徹底して細い木を使うことにこだわった。(中略)庶民的な材木を使うことが,21世紀の国立と呼ばれる競技場には,最もふさわしいと感じられた。特別な材料を使った,特別な形態の建築が,国の象徴となる時代ではない。庶民的な材料,見慣れた,安い材料を使ったものこそが,「国立」に名にふさわしく,少子高齢化の地味で渋い日本にはふさわしいと,考えたのである。
〈引用終わり〉
まt,デザイン界には「縄文」対「弥生」という議論があったことも知り,うなってしまいました。
建築には興味があまりありませんでしたが,隈研吾さんを知ってから,少しずつ調べている最中です。なかなかおもしそうです。
予算オーバーでボツになった宇宙船のような競技場にならなくて本当によかったと思いました。
是非,新国立競技場に行き,「風の大庇(おおひさし)」と「空の杜(そらのもり)」を体感したいと思います。
来年,この競技場で世界のアスリートたちが何を感じ,どんなコメントをするか楽しみです。
最近の読んだ本で一番興奮を感じた1冊でした。
(2020年5月)
様々なデータを引用して教師が直面している5つのクライシスが紹介されていました。
①教師が足りない
②教育の質が危ない
③失われる先生の命
④学びを放棄する教師
⑤信頼されない教師
この5つのクライシスが絡みあって,悲劇的な現状になっているのです。この中に藤原和博さんの言葉が引用されていましたが,こんなことをすべてこなす教師は,もはや人ではないでしょう。
〈引用始まり〉
一人の教員が 教科を上手に教え 生活指導とすべての 児童 生徒 に 関わる 事務 手続き を し、 防犯 や 防災 に 気 を つけ ながら、 一人一人 の アレルギー を チェック し、 AED( 心肺 蘇生 用 の 医療 機器) を 使える よう に し、 環境 教育 や 情報 教育 に 慣れ、 福祉 ボランティア 教育 と 国際 理解 教育 を 教え、さらに 食育 にも 消費者 教育 にも 気 を 配り、 尖閣諸島 や 北方領土 への 意識 を 盛り たて て 日本人 として 誇り を 持た せ、 おまけ に スポーツ 指導 や 部活 を 担当 し ながら、 要望 が 強く なり がち な 保護者 の 声 に 応える…… なんて、 一人 の 人間 の やる こと として明らか に 無理 が あり ます。
〈引用終わり〉
読後,教師の未来には光が見えてきませんでした。教師を目指す若者はいなくなることでしょう。日本という国が大きな危機に直面しているということです。
(2020年6月)
無知を承知で書きますが,建築家とは哲学者だと思いました。
歴史,文明,環境,自然災害などについて深く思考し,その根本を見つめるのです。
一番関心したのは,隈氏がフランクフルト工業美術館の庭に茶室をつくってほしいと依頼された話です。しかも,その内容が「自然素材を使わない茶室」だったのです。
土,木,紙を使用して初めて茶室ができあがるのですから,この依頼は無茶すぎるのです。しかし,隈氏は,断ることなく引き受けるのです。
隈氏は,そもそも「茶室とは何か」「自然素材とは何か」「やわらかさとは何か」と深く考えるのです。そして,千利休の茶室である「待庵(たいあん)」を徹底的に研究します。隈氏は,茶室について,以下のような思考を巡らします。
〈引用始まり〉
「西欧では世界そのものに階層をつけ,「大きな空間」と「小さな空間」とに,ヒエラルキーをつけた。世界とは序列であり,大小であった。ところが,その序列がない。客の空間とサービスする空間は,主従,大小関係にはない。そこにヒエラルキーはない。茶室ではしばしば,客のための空間はより狭くより暗い。」
〈引用終わり〉
建築という未知の世界でしたが,知的な興奮が得られた1冊です。
(2020年6月)
特集は「新型コロナウイルス禍に立ち向かう」でした。
特に参考になったのは,赤坂真二先生の文でした。中でもこの部分です。
〈引用はじまり〉
先生方は,個人的には子どもの心身や学級経営が気になっているようですが,学校としてはそうしたことの優先順位は低く,関心の多くは,学習内容が終わるのか,これからの授業の進め方をどうすればいいのか,オンライン授業の方法など,学習や授業に関することに注がれていました。
〈引用終わり〉
その通りです。教育課程や授業内容の心配ばかりして,学級経営や生徒との信頼関係うづくりをおろそかにしたのではないかと思っています。その結果,小さなトラブルが発生しているのではないでしょうか。
野中信行先生が言われているところの「3・7・30の法則」にある「30」を徹底できなかった結果が表れてきていると思うのです。始業式(入学式)から30日間かけて繰り返し,繰り返し指導をして学級のシステムをつくりあげておく必要があったのです。
最後に赤坂先生は,こう書かれていました。
〈引用終わり〉
学校教育にとって本当に怖いのは,ウィルスなんかではありません。その対応で子どもたちや保護者の信頼を失うことなのではないでしょうか。
〈引用終わり〉
これもまた,その通りです。
(2020年6月)
下村さんの本はほとんど読んでいますが,今回も一気読みでした。
裁判官,弁護士,検察官は,法に従って職務を全うしているのですが,それぞれの正義があります。
いくつかの伏線が最後に見事につながっていく感動を味わいました。
法とは何か,正義とは何かを深く考えた1冊です。
下村作品には,ほぼ外れなしです。
(2020年6月)
漫画「空母いぶき」(かわぐちかいじ 講談社)が完結しました。
中国軍によって先島諸島の住民が制圧下に置かれ、尖閣諸島周辺で海上自衛隊と中国軍が衝突。
戦争を回避し、住民を救出するためにはどうすればいいのか。
日本はどう動くのか。
漫画だからできる空想的な物語です。
しかし、漫画だからで終わらせることができない近未来の物語になるかもしれません。
「海の地政学」(竹田いさみ 中公新書)を読んだ影響もあるかもしれませんが、四方を海に囲まれた海洋国家である日本は、これからも海を巡る隣国とのパワーバランスがいっそう重要視されていくと思います。
最近、沖縄付近を航行している中国の「001型航空母艦 遼寧」の動きも気になるところです。
(2020年7月)
タイトル通り,東日本大震災で自分の命も惜しまずに救助救援活動に専念した自衛隊員の活動記録です。
まえがきにはこんな文が書かれています。
〈引用はじまり〉
「あの日,隊員たちは携帯がつながらず自分の妻子や親の安否もたしかめられない中で,惨状が広がる現場に急行した。自ら津波に巻き込まれながら,溺れかかった人の命を救った隊員たちもしる。彼らは小雪がちらつく中,夜を徹して住宅に取り残された住民の救出をつづけ,さらに翌日から何日にもわたって行方不明者の捜索に当たった。」
〈引用おわり〉
この本を購入しようと思った理由は2つです。
1つは,九州各地を襲った豪雨災害での自衛隊の献身的な活動に感激したからです。
2つは,自衛隊員と新型コロナ感染と戦う医療関係者がオーバーラップしたからです。
感染者の増加数や感染源ばかりを強調する報道ですが,最前線で戦っている人たちがいるのことを忘れてはいけません。
この本には,こんな場面が紹介されています。
自衛隊員である夫に妻がこんなことをたずねました。
「仕事と私,どっちが大切なの?」
夫は,何のためらいもなく即座に,仕事,と答えたそうです。
そして,こんなことを付け加えました。
「家族より部下が大切だし,部下よりも国民が大切だ」
「危険を顧みず,身をもって責務の完遂に務める」人々が,この日本にいることを誇りに思います。
(2020年7月)
お気に入りの作家である,下村さんの作品です。
コープスとは「死体」のことです。
映画「スタンドバイミー」のような内容で,少年たちが死体を探すひと夏の冒険物語です。
同時進行で女刑事が,この謎の死体の捜査を始めます。
しかし,下村作品ですから最後にどんでん返しがありました。
(2020年7月)
浅田次郎さんの作品を読むと,どうしてこんなにも心が震えるのでしょうか。
今までに「鉄道員(ぽっぽや)」「メトロに乗って」「壬生義士伝」「天国までの100マイル」「椿山課長の7日間」などを読んできました。
今回は「終わらざる夏(上)」(集英社)を読破しました。今まで描かれなかった大東亜戦争中のソ連との国境を接する北千島の占守(シュムシュ)島を舞台にした戦争文学です。
8月15日の敗戦の日までには下巻を読破したいと思っています。
こんな場面がありました。
〈引用はじまり〉
疎開先で子供たちを教育する立場である浅井訓導の独白です。
「浅井は南面した本堂の縁側に座って,あの夜と同じ星座を仰いだ。目を凝らせば,頭上には滔々と天の河が流れていた。そのほとりに輝く一等星は,琴座のベガ,鷲座のアルタイル,白鳥座のデネブ,三つの星を結ぶ,夏の大三角形。まだ敗けたわけではない。教科書がなくたって,鉛筆も帳面も定木も足らなくたって,あすの晩は星の伝説を子供らに教えてやろう。戦争のひもじさを忘れてしまうくらい美しい,星々の物語を。」
(中略)
そして,「星めぐりの歌」を口ずさみました。
銀河の詩人はみずからやみずからの子弟のためではなく,未来の飢えた子供らのために,すばらしい物語と詩を書いてくれた。
〈引用おわり〉
こういった文学作品に出合い,心が震える瞬間を積み重ねていくとで,感性が磨かれていくのだと思います。
今から下巻を読みます。
(2020年8月)
今,一番気になっている芸人である千原ジュニアさんの本を読みました。自伝的小説「14歳」は随分昔に読みましたが,こちらのほうが断然いいです。
全編にわたりジュニアさんの繊細さが伝わってきます。
授業中に生徒に紹介したい面白いネタも多いですが,なるほどそんな見方もあるのかとうなづく話も多いです。例えば,こんな話です。
〈引用はじまり〉
これは誰かの言葉なんですけど,「視力」というのは「思力」でもある。それがないと,「そこに隠されている大事なものを素通りしてしまう」のだと。ニュートンだってえ,絶えず「思力」を持っていたらこそ,リンゴが落ちた瞬間に「万有引力や!」って引っ掛かっただと思うんです。
〈引用終わり〉
授業づくりにつながると思いました。
見ている物体は全員が見えているはずです。
しかし,「思力」がある教師は,それを授業で使えるかどうかを考えることができると思います。
ということで,ジュニアさんの「便所は宇宙」シリーズ残り5冊を購入しました。
そういえば、谷崎潤一郎も「陰翳礼讃」の中で日本の厠のすばらしさを書いていましたね。
(2020年8月)
以前から,冒険もの,探検もの,漂流もの,遭難もの,山岳もの,極地もの,辺境ものを好んで読んできました。
この本もタイトルで即買いしました。
自分が行けないところは実際には,どんなところかを知りたいのです。
マイナス60度の世界とは,
昭和基地のリアルな生活とは,
山田さんの平易な文章で,おかしく最後まで一気に読みました。
「南極に行ってみたい」という単純な思いで人生の選択をしてきた結果,実際に行くことができたと言います。
ある意味,こんな生き方もいいのではないか,と語りかけてくれた1冊です。
もちろん,社会科の授業で使える南極ネタが多々ありました。
(2020年8月)
土作彰先生のお勧めの1冊「ゴーマニズム宣言 コロナ論」を読みました。
メディアリテラシーを教えるべき教師がテレビが流している情報だけを鵜呑みしているように感じます。
テレビだけでなく雑誌やネットニュースや書籍などの情報も吟味すべきです。コロナ差別をするなと言いながら,感染者を悪者扱いし,濃厚接触者までも探りだそうとしています。
これが差別につながるのではないかと思います。
モチをのどに詰まらせて窒息死する人が年間4000人もいます。
特に1月は1500人もいるそうです。
数字だけ見ると,モチはとても危険なものだと言えます。
しかし,「モチを売るな!」と誰も言いません。
また,インフルエンザにかかった人を悪者扱いする人はあまりいないと思います。
逆に1週間も大変でしたねとねぎらう人が多いのではないでしょうか。
コロナ感染もインフルと同じような感覚で扱うことで,「コロナ差別」などおきないのです。
学校で,コロナ対策を声高に叫べば叫ぶほど,「コロナ差別」が強化されると思うのです。
皆さんも,是非「コロナ論」を読んでみてください。コロナに対する見方が変わります。
(2020年9月)
「青春を山に賭けて」を読んで以来ずっと植村さんの本を読んできました。
もしかしたら,若い人は植村直己を女性と思う人がいるかもしれません。
世界の5大陸最高峰を登頂し,グリーンランドや北極圏を犬ぞりで走破した冒険家です。
夢だった南極大陸の犬ぞり横断を実現する前,1984年北米最高峰のマッキンリー冬季登頂を果たしたのち,消息を絶ちました。
彼に惹かれる理由は,超人的な冒険家ではなく,とても人間臭い冒険家だからです。
例えば,北極圏走破の途中で乱氷帯に行く手を阻まれて身動き取れなくなった時に,奥さんに助けを求めて叫び続けたというエピソードがあります。
この本に収録されている開高健さんとの対談の中で,開高さんが言っていた「胆大小心」(肝っ玉は大きく用心深い)という言葉がぴったりの人物だと思います。
これかも植村直己さんを追い続けます。
(2020年9月)
映画化された新田次郎さんの「剱岳 点の記」(新潮文庫)では,明治40年に三角点を設置するために明治政府が派遣した柴崎測量隊の苦難が描かれています。
柴崎隊は,自分たちが剱岳初登頂だと確信していましたが,山頂には古びた仏具が置かれていました。
つまり,登山具が発達していない平安時代に,険しい剱岳に登った人物がいたことになるのです。
この人物は誰なのか,目的は何か,どのルートを通ったのかを高橋氏は,何度も剱岳に登り,多くの文献にあたり,関係者を訪ねて,この謎を解いていきます。
歴史ミステリーの要素も加わり,最後まで一気に読みました。
これほど険しい山を平安時代に登山具もなしで登った人物の凄さがわかりました。
(2020年10月)
自分の力だけで移動する機械である自転車を使い、地球一周をした男の物語です。
自転車の移動速度で描いていますから、その土地土地の様子がよく分かります。
まあ、その人の主観でもあるでしょうが、人々の暮らしぶりが描いてあるので、社会科の授業で使えるネタも多かったです。
地球一周して何を得たのかと言えば、人とのつながりの大切さだと小口さんは言っています。
このあたりからも正直さが伝わり好感が持てます。
決してオーバーではなく、等身大の旅ルポでした。
決心から行動に移すまでのこの壁を越えるためには、いろいろ考えてはだめなんですね。
まずは、やってみることが大切です。
(2020年10月)
著者は弁護士の資格を持つ現場教師です。ですから,法律に基づいて問題を改善しようとする姿勢です。
教師は,教育活動の法的根拠を知っておく必要があると思い,昔,法令集を読んだことがあります。
しかし,著者は現場教師でもありますから,毎日生徒と触れ合い,教師集団を観察しています。ですから,法律一辺倒では,うまくいかないこともあると理解を示しています。参考になる部分は多かったですが,部活動の在り方については,私と違う考えでした。高校教師ですから,中学校の部活動の実態を深く知らないのかもしれません。
全体的に大いに参考になる本です。法的根拠は知っておく必要があるのですから。
(2020年11月)
終日の休みの日曜日。
定期テストの採点をしました。1学級1時間程度かかりますから2年生の採点だけで3時間。
これに加えて1年生2学級の採点で2時間弱。
そして、素点の転記。パソコン入力。
単純計算で、採点だけで5時間強の時間が費やされるのです。
こんな長時間の仕事を学校でできるわけがありません。当然、持ち帰りの仕事になります。
生徒の個人情報などを持ち出しを禁止していますが、では、どうやって採点や成績処理をすればいいのでしょうか。
矛盾だらけのきれい事です。
その合間に息子が勧めてくれた漫画「ブルージャイアント」を読み始めました。
サックスで世界一のジャズプレイヤーになる夢を持つ高校生の物語です。
いざ読み始めると止まりません。
久々に漫画に圧倒されています。
音が見える、音の圧力を感じさせる漫画です。
古本で全巻買いましたので、じっくり楽しもうと思います。
(2020年11月)
第1章10巻は読破し,久々に漫画の力を実感しました。
その続編の第2章が「BLUE GIANT SUPREME」です。ジャズプレーヤーになるためにドイツへ渡った主人公「大」。
そこで,新たなメンバーと出会い世界一を目指します。
音が聞こえなくても,ジャズを知らなくても,自分を信じて揺るがない若者に心を打たれるはずです。
第2章も,じっくり味わいながら読み進めています。
(2020年12月)
佐世保教育サークルの辻川先生の初の単著「ラスト3か月の学級づくり」(明治図書)を読みました。
4月の最初のスタートに関する教育書は多いですが,最後をどうするかという本は,それほど多くないと思います。
冬休み中に読んで,1月から3月,学級をどうまとめるかを知りたい人は,是非,読んでください。
具体的な実践例も多く紹介されていますから,若手教師にとっても分かりやすい内容となっています。ゴールを意識した学級づくりこそが大切です。
4月の最初を「黄金の3日間」と言いますが,卒業後,様々な進路に進み,本当にバラバラになってしまう中学3年生の1月から3月の卒業式までを「プラチナの3か月」と言いたいです。
(2020年12月)