社会科授業づくり

授業の最低限の必要条件は何だと思いますか。それは,「全員参加」です。一斉授業も課題解決学習もアクティブラーニングも,生徒全員が参加していないと意味がありません。

ここでは,全員参加の授業をづくりを基本とした授業論と授業実践について紹介します。

1 全員参加の社会科授業づくり(1)

 私の社会科授業は,おおよそこんな流れで進めています。

 ①授業を10分の5セットと考えていろいろな課題を与えて,その都度一人一人を評価しています。

 ②誰でもできる課題を与えます。(地名探し,色塗り作業,気づきを書く)

 ③苦手な生徒でも高い評価がもらえるような課題を出します。(知識よりも発想力,想像力を評価しま 

 す。いわゆる逆転現象を起こす課題です)

 ④授業のテンポが鈍ったらクイズを出題します。                         

 ⑤課題が早く終わった生徒はステップアップ課題に取りくむようにしています。 


 では,授業の実際を紹介します。1年生の地理的分野「乾燥帯の特色」という単元です。
 

「モンゴルのステップでの暮らし」についての授業です。

 

 ①地図帳でモンゴルの位置を確認させる。
 ②ステップの写真を見せて気づきを発表させる。
 ③ゲルという移動式の住居の特徴を教える。
 ④ゲルを組み立てるためにはどれぐらいの時間がかかるかクイズを解かせる。
 ⑤どうして移動式の住居なのかを考えさせる。
 ⑥夏は山の上→秋は草原→冬は丘に囲まれた低地という遊牧の流れを知る。
 ⑦どうして冬は,丘に囲まれた低地に住むのかを考えさせる。
 ⑧現在のゲルの写真を見る(ソーラーパネル,パラボラアンテナ,オートバイがあること)
 ⑨どうして遊牧にオートバイが必要なのかを考えさせる。
 ⑩遊牧の生活の変化を理解させる。
 ⑪確認テスト

 という流れです。

2 全員参加の社会科授業づくり(2)

 教職15年ぐらいで荒れた学校に勤務していた時に、授業を大きく変えなければだめだと実感しました。

 そのためにまずは、生徒を授業中イスに座らせるためにはどうすればいいかを考えました。

 つまり,生徒を全員参加させるためにはどうすればいいかということです。


 もう少し深く考えた結果が,次の7つです。


(1) 楽しくしたら、まずは授業に参加するだろう

(2) 50分間は無理なので、10分間ぐらいは集中するだろう

(3) やんちゃな生徒も実はほめられたいのではないか

(4) やんちゃな生徒も認められたいのではないか

(5) ほめることと認めることを見える化するためにはどうすればいいか

(6) ほめられたことを見える化して、それがどんどんたまっていけばうれしいのではないか

(7) じっと座っていないのであれば、短い時間だけでも活動を取り入れたらいいんじゃないか 


 荒れた学校現場で悩み,苦しんだ結果,私の社会科授業スタイルが出来上がったのです。 

3 発問とフォロー

 大学生から発問について質問がありましたので,今回は発問について書きたいと思います。
 まず,質問と発問の違いについて,私はこのように考えています。
 質問とは,一問一答となるものです。
 例えば,「エジプト文明が栄えたのは,何という川の近くですか」という問いです。
 これは,「ナイル川」という答えしかありませんから,質問となります。
 では,発問とはと言えば,生徒からいろいろな答えが出るような問いです。
 例えば,「世界の4大文明の共通点は何ですか」
 「大きな川の近くに栄えた」
 「独自の文字を使っていた」
 「王などの巨大な権力が支配していた」
 などが出るでしょう。

 質問でも発問でも,重要なのはそのあとです。
 質問の場合は,正解は1つですから,正解を発表した生徒を評価します。
 では,発問の場合はどうでしょうか。
 発問であっても,教師は正解を持って問いを発するはずですから,正解を発表した生徒をしっかりと評価しなければいけません。
 しかし,様々な答えをしっかりと受け止めて評価していくことが肝要です。
 つまり,個々の生徒をしっかりとフォローするのです。
 「おしいね」
 「あとちょっとで100点だ」
 「うーん銅メダル」
 「こりゃすごい。先生も思いつかなかったよ」
 「大学生の答えを越えたね」
などです。
 このようなフォローをすることで,生徒たちは授業への意欲を継続できます。
 また,その教科が苦手な生徒でもしっかりと評価してもらえるので,眠ったり,私語をしたりするドロップアウトが少なくなります。
 また,正解ではなくても,とてもユニークな答えを授業に組み込んでいくことで,授業に深まりや広がりがでる場合があります。
 いろいろな研究授業を参観してきましたが,このフォローが圧倒的に少ないように感じます。
 生徒の答えに対して,軽い言葉かけで済ませ,すぐに先に進むのです。

 発問とフォローは対の存在ですから,発問づくりと同じようにフォローの勉強もすべきだと思うのです。

4 全員参加の社会科授業づくり(3)

 全員参加をさせるために50分間に留意していることは,次の5点です。


 ①知識をしっかりと教える

 ②作業や活動をさせる

 ③思考を促す

 ④意見を交流させる

 ⑤楽しい

 こうすることで,単調な授業ではなく,スピードやテンポが生まれます。

 スピードは,生徒の集中力を高めます。

 ゲームのスピードとテンポに慣れている生徒が多いですから,ダラダラと進める授業では,生徒は集中しないと思います。

 では,授業の実際を紹介します。


 今日の2年生は日本地理で,北九州と水俣のエコタウンについて学習しました。

一番苦労したのは,③です。

 教科書を何回も読み,写真や表やグラフなどを見て,社会的思考に関する発問を考えました。

 そこで2つの発問ができました。

 1つは,「1901年に官営八幡製鉄所を北九州につくった理由をノートに書きましょう。」

 2つは,「水俣病が発生した時に,住民と工場や国との対立が起こった理由はわかりますが,住民どうしの

  対立が起こった理由をノートに書きましょう。」

 いろいろと考えた結果,水俣の発問をやってみました。

 生徒たちは予想以上にいろいろな角度から考えて,ノートに書いていました。

 時間があれば,数名に発表させて,意見交流をさせたほうがよかったと思いました。

 何年やっても,何回やっても授業づくりは難しいです。

 全員参加の社会科授業づくり(4)

先週1年生の社会科で「南アメリカ州」を教えました。


その導入部分でこんなことをやりました。


次の①~⑤に南アメリカ州にある国名を教科書で調べてノートに書いてみよう。


ちなみに教科書には赤色で書いてあるのが国名です。(こういった細かい指示を出さないと国名と都市名を混同する生徒が出ます)

①〇ル〇〇〇〇

②〇ル〇

③〇ル〇〇〇

④〇〇〇〇ル

⑤〇〇〇ル

生徒は一斉に調べ始ました。

こういった遊び心の導入をすることで,生徒たちの学びへのモチベーションが高まるのです。

「めあて」を板書しても,学びのモチベーションは高まりません。

形式にこだわらずに自由な発想で授業を創っていきたいものです。

6 社会科の授業づくり(1)(令和2年10月5日 学年通信に掲載)

 私の授業論と授業実践その1

 新型コロナの影響で授業参観が実施できていませんので,私がどんな社会科授業をしている のかよく分からないという保護者もいらっしゃるかと思います。

 そこで本号と次号で,私の授 業論(授業についての考え)と授業実践(実際どんな授業をしているか)を紹介します。 

1 社会科授業論(こんな考えに基づいて授業をしています) 

①全員参加の授業…当たり前のことですが,全生徒のために実施するものです。社会科が得意 な生徒もいれば,得意でない生徒もいます。歴史の知識が豊富な生徒もいれば,興味がない生 徒もいます。このような様々な生徒が全員参加できる工夫をする必要があります。 

②楽しい授業…学びに対する意欲を高めるための必要条件として「楽しい」ということがあり ます。心理学者の市川伸一先生は,これを「充実志向」(学習自体が楽しいこと)と名付け学 習動機の重要な要件として挙げています。「楽しい」のは,いろいろあります。例えば,学習 内容が理解しやすいから「楽しい」,学習課題が解けたから「楽しい」」,仲間と一緒に学習 できるから「楽しい」,先生のキャラが「楽しい」などです。いずれにしろ,勉強したくなる 最初の動機は「楽しい」ことだと思います。授業が「楽しい」と家庭学習への意欲も高まり, 更に難しい問題を解いたり,詳しく調べたりするようになるものです。 

③わかりやすい授業…私が大学生の頃の授業は,難しいことを難しく教える教授が多かったよ うに思います。特に哲学の授業では,何を言っているのか全く分かりませんでした。(その結 果 1 年次では単位を落としました)しかし,これは教えるプロとしては失格だと思います。つ まり,難しいことをできるだけ分かりやすく説明し,生徒がやりたくないことをやりたくなる 工夫をすることが教師の仕事なのです。「分からない」「できない」という生徒の声を素直に 聞き入れて,教師は授業を改善していくべきだと考えます。

④学力を向上させる授業…どんなに楽しくてもどんなに分かりやすくても,一人ひとりの生徒 の学力が向上しなければ授業とは言えません。私の師匠である野口芳宏先生は,授業の本質は 「向上的変容の連続的保障」とよんでいます。生徒が「この授業を受けて良かったな」と思え るような授業,「今日の授業を受けてまた一つ自分は賢くなった」と思えるような授業を毎時 間続けていくことが大切なのです。つまり,生徒にわからなかったことをわからせ,できなか ったことをできるようにする,そうした授業が連続的に保障されることが何よりも必要なので す。これが学力向上につながっていくのだと思います。 

 社会科の授業づくり(2)(令和2年10月12日 学年通信に掲載)

  授業づくりをする上で最も力を入れていることは,生徒の実態に合わせるということです。生 徒は,社会の影響を受けて変化していると思っています。昔であればファミコンやゲーム,今な らば,ネットゲームやSNSやスマホなどが影響を受けているのです。生徒の実態が変化してい るのであれば,その実態に応じて授業も変えていかなければ,すべての生徒を授業参加させ学力 を身に付けさせることは難しいのです。あくまでも個人的な考えですが,現在の生徒の全体的な 傾向をこのようにとらえています。 

〇長時間集中力を持続できない 

〇語彙(ごい)力が低い 

〇読解力が低い 

〇スピードに慣 れている 

〇結果をすぐに求める 

〇じっと座って話を聞くことが苦手である 

〇全体の空気 (ムード)に流されやすい 

〇ほめられた体験が少ない 

〇楽しいか楽しくないかが行動基準に なっている 

 このような生徒の実態を考えて,社会科授業でこんな工夫をしています。 

①教科書中心の授業をする(定期テストも教科書から出題している) 

②50分間の授業を10分間×5セットとしてとらえる。 

③毎時間,5つ程度の活動(考える・書く・作業する・発表する)に取り組ませる。

④活動後すぐに生徒一人ずつ評価をする。(シールを配り認める,ほめる,アドバイスする) 

⑤すべての生徒ができる課題を与える。(地名探し,色塗り,教科書の社会科用語探しなど) 

⑥スピード感をつくるためにゲーム活動やクイズを取り入れる。 

⑦説明はできるだけ,具体例をあげながら短く分かりやすくする。 

⑧難しい課題では,隣とのペア学習や仲間との交流学習をさせる。 

⑨社会科が苦手な生徒でも高い評価がもらえるような課題を与える。(知識ではなく,発想力 や想像力がある生徒が高い評価をもらえる) 

⑩シールを毎回,観点別のシールカードに貼らせて,学習の充実感と満足感を高めさせる。 

⑪毎時間,ノートの左側に学習プリントを貼らせ,右側に黒板を写させる。 

⑫学習プリントには,すべての生徒が短時間でできる課題がある。 

⑬学習プリントには,ステップアップの課題がある。(難しい課題にチャレンジさせる) 

⑭毎時間,前時の復習として3問テストを実施して学習内容の定着を図る。 

 横浜の初任者指導アドバイザーである野中信行先生は,私の社会科授業をこのように評価され ています。「①すべてが「日常授業」としてなされていること。②全員参加の方法が取られていること。 ③教科書を中心として扱われていること。④授業の課題は、小刻みで、活動を加えながら、スピード・テ ンポを大事にされていること。結局、「日常授業 」をどのように改善していくかとなると、こうなっていく はずである。その具体化が示されている。」(ブログ「風にふかれて」より引用) 

8 社会科クイズ(その1)

 今日の3年生社会科授業では,為替相場を扱いました。

 この導入では,世界のユニークな通貨をクイズにして出題しています。

 今日のクイズは,この3問でした。

 ①マダガスカルの通貨はどれ?

   A アリアリ  B アレアレ  C アロアロ

 ②グアテマラの通貨はどれ?

   A ハラアル  B アシアル C ケツアル

 ③フィリピンの通貨は?

   A ポソ  B ペソ  C パソ


 特に③を出題した理由は,3年2組に母親がフィリピン人の生徒がいるからです。予想通り,その子は,すぐに正解を選んでいました。他の生徒もその生徒に「教えて!」「教えて!」とたずねていました。

 授業は終わってすぐに,その生徒が本物のフィリピンの紙幣100ペソを見せてくれました。

 それで,またその生徒の周りに仲間がよってきて盛り上がっていました。

 やはり,生徒の笑顔が見られ,笑い声がある授業をしたいと思っています。

 社会科クイズ(その2)

今日の1年生の社会科は,天平文化を扱いました。

その中で,東大寺の大仏に関するこんなクイズをしました。

機動戦士ガンダムRX78-2と大仏はどちらの高さが高いでしょうか。」

A ガンダムが高い

B 大仏が高い

C 同じくらい

結論から言えば,このクイズは失敗でした。

理由は,ほとんどの生徒がガンダムを知らなかったからです。

生徒との年齢差を考えて,クイズを作ることを学びました。

10 教科書中心の授業づくり

   学 力 と は 学 習 指 導 要 領 の 内 容 です。そ の 内 容 を 分 か り や す く し た も の が 教 科 書 で す 。

  私 の 授 業 ス タ イ ル は , 教 科 書 を 使 っ て 授 業 を す る と い う も の で す 。 

 当 た り 前 の よ う に 聞 こ え ま す が ,ほ と ん ど の 教 師 は ,教 科 書 を 資 料 集 の 一 つ の よ う に 扱 っ て い ま す 。そ う で は な く 教 科 書 中 心 の 授 業 を す る と い う こ と で す 。指 導 書 を 読 ん で 授 業 の 流 れ と 板 書 を 考 え る だ け で は 不 十 分 で す 。教 科 書 中 心 と い う 制 約 を つ く る こ と で ,教 科 書 を 何 回 も 読 ま な く て は い け な く な り ま す 。何 回 も 読 み な が ら ,い ろ い ろ な こ と を 考 え ま す 。 い ろ い ろ な 疑 問 を 調 べ ま す 。 い ろ い ろ な 指 示 や 発 問 を 考 え ま す 。

① 構 成 要 素 に 分 け て 考 え る 

こ  れ は 愛 知 教 育 大 学 の 鈴 木 健 二 先 生 か ら 教 わ っ た こ と で す 。見 開 き 2 ペ ー ジ に 掲 載 さ れ て い る 文 ( タ イ ト ル と 本 文 , 解 説 な ど )・ 写 真 ・ 地 図 ・絵・ グ ラ フ な ど を そ れ ぞ れ の パ ー ツ に 分 け て み ま す 。 そ れ ぞ れ を 細 か く 観 察 し 深 く 考 え て み ま す 。 

② タ イ ト ル を 使 っ て 導 入 と 終 末 を つ く る

  例 え ば ,第 一 次 世 界 大 戦 後 の 世 界 を 扱 う 単 元 の タ イ ト ル は「 不 戦 の 誓 い 」で す 。こ れ を 使 っ て 導 入 で は「 不 戦 」の「 戦 」と い う の は 何 と い う 戦 い の こ と で す か と 問 い ま し た 。 そして,終 末 で は「 二 度 と 戦 争 を し な い た め に 世 界 の 国 々 は ど ん な 誓 い を し た の か 具 体 例 を 挙 げ て 説 明 し て み よ う 」 と 問 い , ま と め ま し た 。 

③ 学 習 用 語 を 理 解 し て お く 学 習 用 語 を わ か っ た つ も り で 授 業 を し て い る 教 師 が 意 外 と 多 い も の で す 。そ れ で は 適 切 な 説 明 が で き ま せ ん 。 例 え ば , 社 会 科 で 言 え ば 「 植 民 地 」 と は 何 か ,「 採 択 」 と 「 批 准 」の 違 い は 何 か と い う こ と が 理 解 で き て い な い と だ め だ と い う こ と で す 。辞 書 や ネ ッ ト で す ぐ に 調 べ る 癖 を つ け て お く 必 要 が あ り ま す 。 

④ 写 真 を じ っ く り 観 察 す る 写 真 の 人 物 の 表 情 や 髪 型 や 服 や 背 景 ,風 景 の 隅 々 ま で 見 て お き ま す 。す る と ,い ろ い ろ な 疑 問 が わ い て き ま す 。 そ れ を 元 に し て 発 問 を 考 え ま す 。

 ⑤ グ ラ フ や 表 を じ っ く り 観 察 す る グ ラ フ や 表 を し っ か り と 読 み 取 る よ う に し て お き ま す 。変 化 の 大 き い 部 分 や 疑 問 に 思 っ た 部 分 な ど を ま と め て お き ま す 。 そ れ を 元 に し て 指 示 や 発 問 を 考 え ま す 。 以 上 の よ う に ,教 科 書 の 細 か い 部 分 ま で 観 察 す る よ う に し て い ま す 。こ れ を 鈴 木 先 生 は 教 科 書 研 究 と 言 っ て い ま す 。教 科 書 研 究 は 教 材 研 究 の 一 番 基 礎 と な る 大 切 な こ と だ と 考 え て い ま す 。 

11 社会科授業の実際(1)

今日の1年生の社会科授業報告です。学習内容は,アフリカの産業です。

特に,ガーナのカカオ農園で働く子供について考えさせました。

授業の流れはこんな感じです。

①ガーナの場所を地図で探させる。

 ②ガーナの主な輸出品グラフで読み取らせる。

③カカオ豆からチョコレートがつくられるまでの流れを確認させる。

④発問「これだけカカオ豆がつくられているガーナですから,子供たちは,たくさんのチョコレートを食べているはずです。〇でしょうか×でしょうか。」

⑤カカオ農園で働く子供たちの写真を見て気づきを発表させる。

⑥発問「どうして,子供がで働いているのでしょうか」

⑦カカオ豆からチョコレートになるまでに長い工程があり,その途中で多くの経費がかかり,ガーナの労働者に支払われる賃金がとても低いのです。

⑧児童労働を減らす取り組みを2つ紹介した。

フェアトレードについて(マークと取り組みの様子)

〇スマイルカカオについて(ブラックサンダーがスマイルカカオに切り替えるニュースを紹介。

⑨休日などにスーパーやコンビニに行った時に,フェアトレードマークがついた商品ちブラックサンダーの裏を自分の目で確認しよう。

12 社会科授業の実際(2)

年生の社会科授業で「社会権」を扱いました。

その中で,「教育を受ける権利について」の導入部分で,このような流れで授業をしました。

〇「この写真を見て,気づくことを2つ以上ノートに書きましょう」

 生徒が書いた気づきです。

・おじいさんやおばあさんが勉強している。

・日本人ではないような人が勉強している。

・私服を着ている。

・少人数で学習している。

・夜,勉強している。

・靴をはいている。

・黒板に書いてある文字が少ない。

〇「このような学校を夜間中学と言います。」

この後,夜間中学について,全国の数や設置場所や生徒の年齢別割合などを説明して,動画を見せました。

〇「では,憲法第26条を読んで,夜間中学が設置されている理由をノートに書きましょう。」

ここまでで20分間でした。

たった1枚の写真ですが,使い方次第で,生徒の関心を高めることができます。教育を受ける権利の大切さについて,しっかりと考えた生徒が多かったです。

まさに,「生きることは学ぶこと。学ぶことは生きること」ですね。

写真や資料は文部科学省のものを使いました。

13 効果がある導入

 今日の社会科で「自己決定権」を学習しました。

 その導入で次の写真を提示し,

「これはいったいどういうことでしょうか。ノートに理由を書いてみましょう」 

すると,こんな答えを書きました。


〇心が1歳ということ。

〇1歳の子供がいるということ。

〇1歳の頃に戻りたいと思っているから。


などで,なかなか難しいようで,なかなか書けない生徒が多かったです。

そこで,次のヒントを出しました。

「その人の一部が1歳なのです。」

すると2名の生徒が正解を書いていました。

 学級全体で「おーっ,すごい」という声が上がりました。 

たかが1枚の写真ですが,一気に授業へ引き込むことができるのです。

普通の導入であれば,黒板に「自己決定権について考えよう」とめあてを書き,始める授業となりそうです。

どちらの導入が,効果があるかは,明白だと思います。

14 工夫ある自学ノート

 生徒の学習意欲が高まってくると生徒たちは,自学ノートを提出しはじめます。それも工夫したものが多くなります。これが,主体的に学ぶ態度,学びを調整する力ということなのでしょうか。

 そんな難しい言葉ではなく,「素晴らしい」「美しいまとめ方」とノートに一言書くだけで,更に学ぶ意欲が高まるのです。

 評価とは,生徒一人一人を伸ばすために行っているのです。通知表や指導要録の時にだけやるのでは効果はあまりありません。毎時間,一人ひとりの生徒を認め,ほめ,励ますことで伸ばすことができると思っています。

15 社会科授業の実際(3)

 今日の1年生の社会科は,戦国大名を扱いました。

 この授業の中で,こんな発問をしました。


「戦国時代の後期になると,城が山城から平城(平地の城)へと変わりました。その理由は何でしょうか」


 これだけでは,難しいので,平城の画像と城下町の俯瞰の画像を提示しました。


 社会科の授業では,このような思考を刺激する発問を必ず1つします。

 生徒たちは,画像や教科書の文をヒントにして,思考を巡らせます。

 このような発問をしなければ,生徒は考えもしませんし,教科書を集中して読むこともないでしょう。

 安易にタブレットで調べるという癖がついてしまっては,与えられた資料で思考する楽しさを奪ってしまう可能性もあるのです。

 もちろん,個人の思考時間を確保し,ノートに書かせた後で交流の時間をつくりました。

 こうすることで,思考が浅い生徒でも正解に近づけるのです。

16 授業研究を考える(その1)

 1  今までの授業研究 (平成22年9月1日記)

 教師生活25年間の中で,いろいろな授業を参観し,いろいろな授業研究に参加してきました。しかし,心に 残るような充実し有意義な授業研究はなかったように思います。授業研究の流れは細かい点では違いますが, おおよそ次のようなものでした。 

①授業者による反省(あいさつ,学級の実態,指導案の流れについてなど) 

②質問(だいたい指導案の中身の質問が多い。授業の中身については中々出ないが,出たと思っ たら一人の発言ややたらと長くしかも分かりづらい)

③意見交換(司会者の裁き方がマズイため,絞った意見交換ができない。単なる順番に感想を言 って終わりのことが多い) 

④指導助言(校長や指導主事などからの一言 

 中でも③の意見交換では,授業に関する突っ込んだ話はあまり出ませんでした。生徒がよく発言していたとか, 学級の掲示物がきれいだとか,掃除が行き届いているとか,いう程度のものでした。授業について触れるとして も社交辞令的な内容や一般論的なものが多く,何となくぼやけて終わることが多かったように思います。 

2 市教育センター兼任所員として 

 平成11年度から17年度まで7年間にわたり市教育センターの兼任所員としての仕事を担当してきま した。この仕事の内容は市内の先生方の授業力向上のために,市教育センター所員と連携を図りながら指導を していくものでした。その中心となるのが,市内中学校での研究授業を企画・運営することでした。もちろん私自 身も,年に1回程度,道徳授業を公開したり,講座を担当したりすることもありました。そこで,せっかくこのような 仕事を担当することになったので,従来の授業研究を反省し少しでも意義あるものにしたいと考え,次のような 改善を図りました。 

①授業参観前に,参観者によかった点(自分も取り入れたいこと)を1つ,まずい点(自分だった らこうする)を少なくとも1つはメモしてくださいとお願いをしておく。 

②授業研究での発言は,ポイントだけを絞って,1人2分以内で発表する。 

③出た意見をもとにして,深めていく。 

④時間内で聞けなかったことや,不明な点は後日,FAXで山中まで送る 

 ①では,授業を批判することは大切ですが,自分ならこうする,こうしているという代案を出すこ とが大切です。これをしないと単なる文句と受け取られてしまうからです。

 また,②の発表の時間を 制限することで,参加者全員の意見を聞くことができます。もちろん司会者の意見の裁き方も大切に なってきますが,そのことは,別の修業が必要となってきますのでここでは論を避けます。 

17 授業研究を考える(その2)

 3  改善後の変化 

 このような改善を図ったことで,授業研究でどのような変化が見られたかを挙げてみます。

  ①全体的に授業を真剣に参観するようになった。(以前は,授業中の私語があったり,参観者が授 業中に生徒を学習指導することもあった。) 

 ②若手教師の発言が多くなった。 

 ③疑問点や日頃の悩みなどが,多く出るようになった。 

 ④市教育センター主催の研修に参加者が増えた 

 4 まとめとして

  確かに,私が担当する授業研究に参加した教師は,今までと違った進め方を 訝 しげにみたり,戸惑っている感じがありました。しかし,リピーターが多かったことも事実です。このやり方に意義を感じている教師が少しずつ 増えてきているととらえていいのではないかと思います。

 ただし,このようなやり方を批判的に見ている教師も 多いことは事実です。このようなことからも,教師自身がお互いに授業を見せ合い,批判し合い,改善し合うよう な雰囲気をつくることの難しさを感じています。

 自分一人で自分の授業を反省し整理をし分析をしていくこ とは不可能ではありませんが,中々難しく継続していくことは大変なことだと思います。そこで,教 師一人一人の授業力向上のためには,授業研究はとても有効な方法だととらえています。アメリカを はじめヨーロッパ諸国が,この授業研究というシステムを大いに注目しているということも頷けます。 

 しかし,従来のやり方では授業力向上は望めないと思っています。

 東京大学大学院教育学研究科教 授の佐藤学氏は,著書『教育改革をデザインする』(岩波書店)の中で「教師としての専門的な同僚 性」という言葉を使われています。

 その本の中身をちょっとだけ紹介します。

 「内側から学校改革を推進 する必須の要件は,学校の中に授業を創造する専門家として成長し合う同僚性が形成されていること にあるといってよい。しかし,どの学校においても,もっとも深刻な状況にあるのが,この同僚性の 衰退である。校内研修は形式化して魅力に乏しいものになっているし,教師の職場内の関係は小グル ープの「おしゃべり仲間」の集合体になっており,職員室は相互の仕事を交流して教師としての連帯 と教育に関する見識を育てる場所になっていない。(中略)すべての教師がそれぞれ一年間に少なく とも一度は同僚に授業を公開して批評し合うことなしに,校内に確かな同僚性を築くことは不可能で ある。一年間に一度も同僚に授業を公開しない教師は,厳密に言えば,公教育の教師とは呼びえない だろう。」

 佐藤氏は理論の紹介だけに終わらせずに,自分の理論を実際の学校現場で実践化されてい ます。神奈川県の浜之郷小学校が有名です。職種や 経験や教科の枠などを越えて,一人一人の教師が授業について本音で語り改善していくことが,教師 の授業力向上の大きなポイントになるのではないかと考えています。

18 社会科授業づくり(2022年10月記)

 社会科の授業では,全員参加をさせるために50分間に


①知識をしっかりと教える

②作業や活動をさせる

③思考を促す

④意見を交流させる

⑤楽しい


場面をできるだけ取り入れています。

こうすることで,単調な授業ではなく,スピードやテンポが生まれます。

今日の2年生は日本地理で,北九州と水俣のエコタウンについて学習しました。

一番苦労したのは,③です。

教科書を何回も読み,写真や表やグラフなどを見て,社会的思考に関する発問を考えました。

そこで2つの発問ができました。


1つは,「1901年に官営八幡製鉄所を北九州につくった理由をノートに書きましょう。」

2つは,「水俣病が発生した時に,住民と工場や国との対立が起こった理由はわかりますが,住民どうしの対立が起こった理由をノートに書きましょう。」


いろいろと考えた結果,水俣の発問をやってみました。

生徒たちは予想以上にいろいろな角度から考えて,ノートに書いていました。

時間があれば,数名に発表させて,意見交流をさせたほうがよかったと思いました。

何年やっても,何回やっても授業づくりは難しいです。

19 社会科授業びらき(2020年4月記) 

初めての1年生の授業がありました。授業びらきとして,以下のことをしました。

①私の簡単な自己紹介

②じゃんけん自己紹介ゲーム

→じゃんけんをして,勝ったら自分の名前を言う。負けたら自分の名前を言ったのち,私のいいところ(良さそうなところ)を言う。

すると,優しそう,まじめそう,ひいきをしない,おもしろそう,イケメン(笑い)などを発表してくれました。優しい生徒が多いですね。

簡単なゲームですが,大いに盛り上がりました。

③授業の心得

→学習用具の確認,プリントリレー,発表の仕方,ノートの取り方,プリントの貼り方などを丁寧に細やかに教えていきました。

④最後に,楽しさを実感させるために,社会科クイズをして終わりました。

とても反応がよく,これからの授業が楽しみになりました。

また,興味深々という生徒の目に圧倒された50分間でした。

生徒の学習意欲を継続させるために,どんなことをすればいいのか,しっかりと考える必要があります。 

20 社会科授業の実際(4)令和4年9月25日の授業

今日の2年生社会科授業後半の流れです。約30分間

テーマは「水俣市の過去と現在」

①水俣市の場所を地図帳で確認させた。

(全員が探したことを確認した)

②水俣病について概要を説明した。

③ポイントを板書した。

(机間巡視をしながらノートを確認した)

④住民と工場との対立が起こり,裁判が行われたことを教えた。

⑤加えて,住民と住民との対立が起こったことを教えた。

⑥住民どうしの対立が起こった理由を考えさせ,ノートに書かせた。

⑦一人一人のノートを確認しながら,個別評価をしていった。

⑧なかなか書けない生徒は交流してもよいという指示をだした。

⑨生徒同士の教え合いの時間があった。

⑩理由の解説をした。

⑪現在の水俣市の取り組みについて説明した。

⑫住民の絆を取りもどすために,「もやい直し」活動が行われていることを教えた。

⑬「もやい」の意味をクイズにして考えさせた。

全員参加の授業にするため,小刻みな授業構成にしています。

ダレが生まれないように,テンポをつくっています。

学んだ知識を使って表現させるために,ノートにしっかりと書かせています。

はやりのタブレット授業から見れば,アナログ的な授業だと一笑に付されるかもしれません。

しかし,学びに対するモチベーションが低い,集中力が継続しない,漢字もあまり書けない,知識が不十分,知識をリンクさせることができない生徒が多い現状を考えると,このような授業が有効だと考えています。

何よりも生徒の笑顔が多い,楽しい空気がある授業となっています。

21 自学ノート(平成26年12月記) 

 社会科では,1年生の時から自学ノートを提出させています。これは,強制ではありません。 自 由提出としています。

 内容は,授業中に使った学習プリントについている社会科用語の書き取りと 基礎問題をすることです。

 この他に自分で調べたことや授業の復習をノートにまとめて提出してい ます。

 その自学のヒントとして,授業中に調べて欲しいことをつぶやいています。

 最近では,国会 の学習時間に,国会には「速記官」という人がいることを紹介し,「速記」について調べてみよう と投げかけました。

 すると次の日にすぐに調べてノートにまとめてきた生徒が2人もいました。

 こ のような意欲は素晴らしいと思います。

 勉強は,他人から言われたり強制されてやると楽しくあり ません。自分で調べ,自分で考え分かることで喜びを感じるものです。

 これが次の学びにつながる のです。

 自学ノートの提出状況ですが,1組2組ともに毎日10冊程度です。

 受験に備えて1年生の 内容をまとめなおしたり,問題集をしっかりとやっている生徒が増えてきています。

 また,受験に 向けて毎週金曜日に復習問題プリントを発行しています。

 これも自由提出にしていますが,これも 10名程度の生徒が提出しています。

 さらに意欲を持った生徒が増えることを期待しています。 

22 社会科授業の実際(5)令和2年12月の授業

今日の1年2組での社会科授業。

単元は,「鎌倉幕府の始まり」です。

中心発問は,「頼朝が,京都から遠く離れた鎌倉の地を選んだ理由は何でしょうか」

教科書には,現在の鎌倉の航空写真と切通しの写真が掲載されています。

この資料から,

「敵が攻め込みにくいから」

「山が多いので,木の実やけものなど食料が手に入るから」

「前が海なので,貿易がしやすいから」

「海の近くだから,暖かいから」

「海の魚を食べられるから」などの意見が出ました。

さらに,レベルアップした意見として

「朝廷から離れて自分がやりたい政治をしたかったから」

「朝廷の近くだといろいろ文句を言われるから」

が出ました。

みんな素晴らしい意見ですね。こんな深く考えることができたことはとてもすごいことです。とフォローをしました。

さらに,こんな発問をしました。

「平氏はずっと京都にいたので(            )」

「(   )に入る文章を考えましょう。」

さすがにこの発問は難しかったようで,なかなか筆が進みませんでした。ペアで話し合わせ,机間巡視をしながら意見を拾いながら,考えをつなげさせました。

こうすることで,難しい発問でも仲間と力を合わせることで答えに近づくことができることを実感させたかったのです。

いつもはできませんが,時間に余裕があれば,こんな授業展開ができます。

23 社会科授業の実際(6)令和2年12月の授業

今日の1年1組の社会科授業の様子です。

単元名は「承久の乱」でした。

まとめとして,以下の発問をしました。

「鎌倉幕府にとって,承久の乱はあったほうがよかったと思う人は〇,

なかったほうがよかったと思う人は×を書いて,その理由も考えましょう」


「〇」の理由

・承久の乱の後で,鎌倉幕府の支配が全国に広がったのであったほうが良かった。

・乱の前は,幕府の政治と院政の2つの政治があったので日本がまとまっていなかったと思うから。

・武士たちの団結がより強くなったから。

・この後に,元が日本を襲ってくるので,日本が一つにまとまっていたほうが良いから。


「×」の理由

・乱がおきなくても幕府の力は上皇よりも強かったので,幕府は全国を支配したと思うから。

・戦争で多くの人が死んだと思うから。

難しい発問だったと思いますが,生徒の深い思考を促すことができたと思います。

24 ドラマチック授業(令和5年1月記)

朝から部活指導。

午後は,1年生社会科の歴史的分野の教科書研究をしました。

「鎌倉幕府の成立」の部分に,こんな文がありました。教科書は東京書籍です。

「朝廷の勢力を回復しようとしていた後鳥羽上皇は,朝廷に協力的だった第3代将軍源実朝が暗殺されると,1221(承久3)年,幕府を倒そうと兵を挙げました。しかし幕府は大軍を送って上皇の軍を破り(承久の乱)・・・」

このわずか4行の文の中に,感動的なドラマがいくつもありました。

やはり「鎌倉殿の13人」の脚本家,三谷幸喜さんは,天才です。

教科書だけでは伝わらない歴史の面白さを授業で語りたいと思います。

25 発問で活性化させる(令和3年1月記)

令和3年最初の授業日。

しかし,あいにくの積雪。ということで,6時50分に自宅を出て,学校へ着いたのは8時10分でした。

しかし,遅刻しませんでした。雪道を長時間歩きましたので,いつもと違う場所が筋肉痛になりました。

久しぶりに生徒の笑い声を聞け,笑顔をたくさん見ることができました。

やはり,学校はいいなあと感じます。


生徒は元気とやる気をもらえる大切な存在でもあるんですね。

午後は,1年2組の社会科授業。

単元は,鎌倉仏教でしたから,こんな発問をしました。

教科書に,「戦乱に加えて飢饉も続いたこの時代には,新しい仏教の教えが次々と生まれました。」と書いてありますが,「戦乱や飢饉が続くとどうして新しい仏教の教えが生まれるのでしょうか。」

久しぶりの授業でしたが,生徒たちは一生懸命に自分の考えをノートに書いてました。

次の時間は,それぞれの考えを交流させたいと思います。

元気がいい生徒と楽しい時間を過ごすことができました。

26 歴史授業を面白く(2021年1月記) 

2年生の歴史の授業で明治初期の政治を教えています。

歴史の単元の中で教えることが一番難しいと感じているところです。

幕末から明治にかけて歴史が大きく変わるところで小説などでは面白いものが多いのですが,いざ教科書で教えるとなると難しいのです。

生徒が理解できるように説明するためには,膨大な基礎研究をしておかなければいけません。

自分が理解していても生徒に理解させることがとても難しい単元なのです。

個人的には西郷隆盛という人物がしっかりとつかめなていないのです。

研究不足ですね。マンガ「風雲児たち」やネットで調べたりしました。

大河ドラマの「西郷どん」も見ましたが,やはり西郷の人物像ができあがりませんでした。

つかみづらいほど大きな人物なのかもしれません。幕末に日本を訪れたイギリスの外交官アーネストサトウによる西郷は,黒目が異常に大きく,見つめられたら動けなくなるぐらいの目力ある人物だったということです。

外国人も圧倒されるぐらいのオーラを発していたのかもしれません。

淡々と教えるのであれば,ネットの動画を見せればいいと思います。

そうではなく,歴史の面白さや人物の魅力を伝えることが大切だと思っています。

西郷隆盛の魅力を伝えることができるようにもっと勉強します。

27 社会科授業の実際(7)(2021年2月記)

昨日の2年1組の社会科授業の様子です。

「大日本帝国憲法の制定」の部分です。

社会的思考を問う発問はこれです。

「これで日本は憲法と議会を持つ,アジアで唯一の立憲国家となりました。

大政奉還からわずか23年という驚くべき速さです。

どうして,このように急ぐ必要があったのでしょうか。」

フリータイムで行いました。自分の意見がまとまった生徒が挙手をし,

私が指名して発表させます。

ただし,発表は1回だけです。

するとこんな意見を発表しました。


〇「不平等条約を改正したかったから」

〇「他のアジアの国は,欧米の植民地にされてしまったから,他国に支配されないように急いだ」

〇「他の国に負けたくなかったから」

〇「欧米の国と同じぐらいの国にしたかったから」


他の生徒の意見をヒントにして,同じような発表もOKとしていますから,いろいろな生徒が意欲的に発表することができます。

この発問では,10名の生徒が発表しました。

発表できない生徒も仲間の意見を聞き,学ぶことができると思います。

教師が一方的に説明するよりは,空気も和らぎ楽しく学習できると考えています。

28 社会科授業の実際(8)(2021年2月記)

今日の1年1組,社会科授業の様子です。

「土一揆」の学習部分です。

①正長の土一揆の説明

②教科書に掲載されている,一揆勝利の碑文の写真の説明

③碑文を現代語に直して説明。

そして,こんな発問をしました。

「どうして,一揆勝利の文をお地蔵さんの横に刻んだのでしょうか」

30秒ほどたって,数名の生徒が答えをノートに書き,挙手をしました。こんな答えでした。

〇一揆に勝利したのは,仏教の力もあったから。

〇仏教を信じている農民が多かったから。

〇お地蔵さんを拝むときに,その文をいつも見るから。

〇お地蔵さんの横にあるので,大切にされるから。

どうしてもわからない生徒がいましたから,3分間ほど教え合いをさせました。

そして,生徒の意見発表と交流。

たった1枚の写真ですが,発問次第では生徒の思考を刺激し,学習意欲を高めることができるのです。

たかが発問,されど発問。奥が深いです。

29 社会科授業の実際(9)(2022年2月記)

3年生の公民の授業で「地球環境問題」を扱いました。

その導入部分で次の発問をしました。

「公害と地球環境問題の違いについてノートに書きましょう」

時間は3分間としましたが,時間を延長してほしいという声もあがり,生徒たちが一生懸命に考えていることが伺えました。

教科書を読みながらヒントを探す生徒や理科の教科書を見る生徒がいて,とてもいい雰囲気でした。

すると,3年2組のある男子生徒が,とてもいい考えを書いていましたのでほめると,

他の生徒にも更に頑張って考え始めました。

最後は,意見を交流させる時間を作りました。

社会科の楽しさはこんなところにあるのかもしれません。

30 自学ノートで良好な関係をつくる(2022年3月記)

3年生の社会科授業もあと2時間程度となりました。

3年間,自学ノートを提出した生徒には,いろいろなメッセージを書いて返却してきました。

部活動のがんばり,成績の伸び,悩み相談,激励など社会科とあまり関係がないメッセージも随分書いてきました。

生徒との良い関係づくりを意識して行ってきたことです。

このような,一見,学力向上と無関係な地道な取り組みこそが生徒の学習意欲を高めることにつながると信じています。

先日,女子生徒へ受検がんばってのメッセージを書いたところ,こんな素敵な手紙をくれました。

31 社会科授業の実際(10)(2022年3月記)

1年生の社会科担当がしばらく休みということで1年4組で金曜日に飛び込み授業をしました。

卒業式練習で忙しかったので授業をする予定ではありませんでした。

しかし,5時間目が空いていましたので,いきなり行って授業をしました。

自習監督の先生がいて,生徒はワークやタブレットで勉強していました。

ノートを見せてもらい,どこまで進んでいるかを確認した後で,ポイントを絞って授業をすることにしました。

単元は「倭寇と勘合貿易」です。こんな感じで進めました。

〇教科書を音読させる。

〇14世紀の中国の変化について,教科書を見て簡潔にまとめさせる。

〇倭寇の絵を見て気づいたことを発表させる。

〇明軍と倭寇の絵を見て,どちらが倭寇か考えさせる。

〇倭寇は強そうか

〇倭寇について説明する。

〇倭寇による,明と室町幕府の被害を想像させる。

〇勘合の写真を提示する。(勘合を小さな木札と勘違いしている生徒が意外といるため)

〇勘合貿易について説明する。

生徒ひとり一人をしっかりとフォロー(基本的にほめる)しながら進めていきました。

途中でクイズや笑いを交えながら授業を進めた結果,あっという間に50分が終わりました。

最初,戸惑っていた生徒たちも次第にいい表情になり,真剣に取り組んでいました。

反応もよくとてもいい感じで授業ができました

道徳授業は飛び込みでよくやりましたが,社会科はあまりしたことがありません。

しかし,楽しかったです。

卒業式が終われば,他のクラスでも飛び込み社会科授業をしようと思います。

32 復習プリントの活用(2023年3月記)

1年生は,全学級社会科の学習内容がすべて終わりましたので復習プリントをしています。

25分間で解けるような内容です。

手順は,以下の通りです。

①まずは自分のチカラだけで解いてみる。

➁どうしてもわからない問題は,解答欄の横に×をつける。

③一通り終わったら,教科書やノートを参考にして解答する。

④模範解答を見て採点する。

⑤間違った問題は,自学ノートに書いて再び解いてみる。

採点まで行うと約30分かかります。

33 社会科授業の実際(11)(2020年4月記)

今日の1年1組での社会科授業の様子を報告します。なお,先週授業開きが終わり,授業の進め方については教えていましたので,今日が本格的な授業開始となりました。
前の時間が体育だったため遅れてきた生徒が数名いました。
あいさつが終わった後で,時間を守らないということは周りの人に迷惑をかけるということを話ました。

●単元名「水のある星 地球」 世界地理の一番最初の授業です。

①ノートの書き方を確認。きちんと書いているか期間巡視でチェックしました。
 丁寧に遅く書いている生徒がいたので,早く書くことも大切だとを教えました。
②全員起立させて,教科書の指示した範囲を音読させ,読み終わったら着席するように指示を出しました。
 ほとんど全員が大きな声で元気よく音読ができたのでほめました。一人の生徒が遅く着席したので,手を抜かず最後まで読んだことをほめました。
③「ガガーリンはどこの国の人ですか」と一人の生徒を指名して,聞きました。教科書のきちんと読んだかどうかの確認のためです。
④雰囲気を盛り上げるために,クイズをしました。「人類の前に宇宙に行った動物は犬や猿ですが,これらの動物はある共通点がありました。それは,すべてオス,すべてメスどちらだと思いますか。ノートに書きます。」
⑤「ガガーリンが「地球は青い」と言ったのはなぜかをノートに書かせました。
 すべての生徒を期間巡視して,個別即時評価を行いました。
⑥陸と海の割合を教科書で調べさせました。
 すべての生徒を期間巡視で個別即時評価を行いました。
⑦3大洋と6大陸をノートに書かせました。
 すべての生徒を期間巡視で個別即時評価を行いました。
 太平洋を大平洋と書いたり,大西洋を太西洋と書いたりしていた生徒がいたので,間違いやすいので注意するようにと説明しました。また,間違ったことを私から指摘された人は,今日の授業を受けてよかった,もし受けていなかったら,これからずっと大人になるまで,太平洋を大平洋と間違い続けることになるかもしれないと説明しました。
⑧プリントによる作業で3大陸と6大洋の場所を調べさせました。
 すべての生徒を期間巡視で個別即時評価を行いました。
⑨プリントのステップ2のやり方を説明しました。
⑩プリントの貼り方を再度確認しました。ここまでで50分。

私の授業の特徴は,個別即時評価を数回行うことです。少なく見積もっても,同じ生徒のところに3回は近づいて評価します。
このシステムを取り入れて15年になりますが,一人一人の学習状況やどこでつまずいているかがわかりやすいという利点があります。また,自分の書いた答えが,個別にしかもすぐに評価されるのでやる気がでます。
社会的思考の発問では,成績がいい生徒が高評価がもらえるとは限りません。また苦手な生徒も高評価をもらえる可能性もあるため,不得意な生徒も意欲が高まります。
欠点は,期間巡視を頻繁に行うため,時間がかかるということです。この欠点をどうするかというのが,ここ数年悩んでいるところです。

授業が終わって,担任の先生が「社会科の授業は楽しかったと言っていました」という話を聞いて,ほっとしました。まずは,いい滑り出しでした。

34 社会科授業の実際(12)(2020年9月記)

このところ教科書を使った授業について書いてきましたので,今回は私の授業の実際を紹介します。

〈今日の1年生の授業より〉

学習内容は,前回の続きであるモンゴル帝国と高麗の朝鮮統一を15分程度教えた後に,メインの「武士のおこり」をやりました。ですから中途半端な感じになってしまいました。

①教科書を音読します。全員起立します。大きな声をそろえて読みましょう。(一斉)
②10世紀ごろ,武士が出てきた理由を教科書から探して,ノートに書きます。
※「いいね」「OK」「やるなあ」「いいぞ」などと個別即時評価をしていきました。机間巡視をしながら,探せない生徒にはヒントを与えました。
→農民や豪族たちが領地を守るために
③この頃出てきた,有力な2つの武士団とは何ですか?(指名し発表させました)
→源氏と平氏
④クイズ,源氏と平氏といえば紅白ですね。赤い旗は源氏と平氏どっちですか。ノートに書きます。一斉に答え合わせをしました。正解は平氏です。
⑤10世紀の中頃,力をつけた2人の武士が朝廷に対して反乱を起こしましたが,教科書から探してノートに書きます。
→関東地方…平将門
→西国…藤原純友
⑥2人が反乱を起こした場所を教科書の最後のページにある地図から探します。では指ピッ(指で場所をおさえるこの作業を私の授業では「指ピッ」と呼んでいます。)
※机間巡視しながら全員が2ヶ所を正しくおさえているかチェックしていました。
⑦教科書に掲載されている「武士の館」の資料(下の画像)をよく見て,4種類の動物を探してノートに書きます。

→犬,鳥(鷹),馬,猿
⑧どうして猿を飼っていたの?全員に問いました。挙手をした生徒を指名して発表させました。
→馬を守るため。
→泥棒がきた時に噛み付かせるため。
⑧この絵から,武士の家らしいところを探して,できるだけたくさんノートに書きます。
※机間巡視,机間評価をしながら「90点」「50点」「99点」などと言いました。
⑨最後にレベルが高い問題です。武士の家の周りには竹が植えてありますね。この理由をノートに書きます。わからない人は,隣の人と相談してもいいです。
→敵が侵入しにくいため
→竹やりをつくるため
→たけのこを食べるため
→他の木に比べて成長が早いから
→腐りにくいから
→外から見えにくいから
など面白い答えをたくさん書いていたので,期間巡視をしながらほめました。
しかし,途中で時間がきたので,答えは次回ということで終わりました。

私の授業の特徴は,期間巡視の回数を多くしていることです。また,個別即時評価を行い,個々の生徒をその場で評価していきます。
また,社会科が苦手な生徒でも高い評価がもらえるような発問をします。また,楽しくなるようなクイズを1回は行います。
テンポよく進めているのですが,時間がかかることが大きな課題です。
ちなみに,国語辞書を用意させて,わからない語句などをすぐに調べさせています。
こんな感じで毎時間の授業をすすめています。

35「社会科ミッション100」(2020年5月)

2回目の休業中に「社会科ミッション100」を課題としました。楽しみながら学習できる,しかも運動や手伝いと組み合わせたミッションもあります。

例えば,

〇「出雲の阿国」ダンスをつくり踊る。

〇星を眺めながら「伊能忠敬」と5回言う。

〇「や」で始まる県名を3つ大きな声で言う。

〇風呂掃除をしながら,「ペリー」でダジャレを言う

〇高床倉庫のイラストをノートに書く。

〇洗濯物をたたみながら戦国大名を5人言う。

などです。

中には,私の良いところを3つのしっかりとノートに書いてきた生徒もいました。

通常の課題と違っていたので,生徒もやりやすかったようです。

36 社会科授業の実際(13)(2013年9月記)

今日も,朝から2時間にわたり社会科の授業を大学生が参観しました。

私の授業だけではなく,いろいろな中学校で社会科の授業を参観しているそうです。

つまり,学ぼうと思えば学ぶチャンスが大いにあるということです。

学ぶためには,謙虚さが必要なのですが…。

さて,今日の2年生の社会科の授業の様子です。

単元は「シラス台地の農業」です。

 

①「シラス台地」の画像を数枚見せました。

②プリントでシラスの分布を色塗り作業をさせました。

②「どうしてシラスというのだろうか」と問い,数名を指名しました。

③「シラスは,米作に向いているか,向いていないか。その理由を考えよう」と言い,ノートに考えを書かせ,期間巡視で評価していきました。

④鹿児島県と宮崎県の農業の特徴を教科書のグラフを使い読み取らせました。

⑤現在は,シラス台地でも米作がさかんなところがあります。どうして米作がさかんになったのか,理由を考えよう」と言って,地図帳に掲載されている,開発前のイラストと開発後のイラストを見比べて考えさせました。

期間巡視しながら,個別評価をしていきました。

 

ここまでで50分でした。


37 定期テストづくり(2019年5月記)

来週の水曜日から中間テストが始まります。ということで,今日と明日はテストづくりをします。私のテストづくりのポイントは,生徒に授業をきちんと受けていて良かったと実感させることです。ですから,出題は教科書中心となります。また,授業で教えたことノートに書いたこと授業中考えたこと小テストでやったことが基本になります。資料集や問題集などから出題するのではなく,教科書中心にすれば生徒は教科書を大切にすると考えています。教科書をしっかりと読む,観察するようになると考えています。

38 社会科授業の感想(2014年3月記) 

昨日で,すべての授業が終わりました。

社会科だけで言えば,

1年生は,1クラスで105時間

2年生は,2クラスで210時間

3年生は,2クラスで280時間

総計で595時間でした。

 

研究発表の公開授業レベルをしたいとは思っていません。

毎日,5時間の授業をしていては,教材研究の時間もなかなか確保できませんでした。

ですから,高いレベルの授業ができるわけがありません。(言い訳のように聞こえますが,私は平凡は教師ですから)

日常の授業の中で,これはうまくいった程度の授業ができればいいのです。

それぐらいの目標を持ち,授業をしてきました。

レベルが低いと言われそうですが,40人近い生徒全員を50分間,授業の参加させ,指示通り動かせ,考えさせることがなかなか難しいのです。

 

普通の授業ができればいいと考えることで,肩の力が抜けて,プレッシャーもあまりかかりません。

 

普通の授業でちょっとした工夫や発問を行い,資料を選ぶぐらいの特別があればいいのです。

 

この1年間,普通の授業を通して,生徒たちの楽しく学ぶことができました。

これでよしとします。

 

卒業していった3年生の感想です。

・3年間お世話になり,ありがとうございました。社会の授業やお話もとても楽しかったです。ここで学んだことを高校でもいかして頑張っていきます。本当にありがとうございました。

・1年間ありがとうございました。授業,おもしろかったです。分かりやすかったです。

・授業はとてもおもしろかったです。自学ノートを提出した時も,コメントを書いてくださって,やりがいがありました。これからもしっかりと勉強をして力をつけていきたいと思います。

・3年間,社会科を教えてくださり,ありがとうございました。先生のおかげで社会科がとても得意になりました。僕は,歴史に興味があるので,もっとがんばりたいと思います。これまで本当にありがとうございました。

・3年間,社会科を教えてくれてありがとうございます。先生が話すことはとても面白く有意義な話ばかりでした。聞いていてとても楽しかったです。

・今までありがとうございました。先生のノートのまとめ方はとてもわかりやすく,テスト前に見直しに役立ちました。また,先生の話は面白くいつも楽しく聞きました。授業中のクイズも面白くとても覚えやすかったです。高校に行っても頑張ります。

・社会科の授業でお世話になりました。社会は5教科の中でも苦手なほうだったけど,今ではそうでもないです。3年間社会を教えてくださりありがとうございました。楽しかったです。