こんな本と出合った
読書は時空を越えることができます。
会ったことがない歴史上の人物と出合い,見たことがない未来や宇宙,深海を見ることができます。
また,体験したことがない冒険や恋愛も経験できるのです。
1冊の本との出合いが人生を変えることもあります。人生観を広げ,深めることができます。
そんな本との出合いのきっかけをつくるために,このページ「こんな本と出合ってきた」をつくりました。
この中の1冊が,あなたにとって素晴らしい出合いになることを願っています。
大阪大学総長の鷲田さん,神戸女学院大学の内田さん,本願寺派住職の釈さん。大阪市長の平松さんが教育についての座談会を本にしたものです。結論から言えば,この本はとても面白く,多くの情報を得ることができました。久々の最高評価本です。教育について,4人の方が違ったアプローチで迫りながらも,現在の教育をなんとかしなければという思いが伝わってくる内容です。読みながら,マーカーを入れていきました。大いに参考になりました。
その一部分を以下に紹介します。
〈以下引用〉
鷲田「何を教えたが問題ではなくって,たたずまいを教えた,スタイルを伝えたってことなんですよね。それでいいと思うんですよ。」
内田「教師というのはすごい打率が低いわけで。1割もいかない,8分5厘とか,それぐらいの打率なんですよ。でもに,それでいいと思うんです。「教育力」があれば打率8割とか9割になって,教えた生徒がみんな賢くなるなんて,そんなことがあるはずがないんですよ。」
平松「1割もないけれども,それが将来どっかで大きい花を開いて,その何分何厘かのもとにいろんなものが結集してくるというような,そんな社会を目指さんとあかんわけでしょ。」
〈引用終わり〉
(2011年4月)
太平洋戦争末期に,このような特攻隊があったとは知りませんでした。
伏龍隊という,海に潜って敵の上陸艇を海中から棒機雷で突くという作戦部隊です。
敵の艇は爆破できますが,もちろん海中の兵士も木っ端みじんとなります。
この本は,その部隊に配属された若い兵士が訓練を通して,死ぬことへを覚悟する過程を描いています。
戦争小説ですが,敵との戦いは描かれていません。
それよりもところどころに笑いもあります。
しかし,本当の戦争もこういった部分はあったと思います。
戦争という特殊な時代を生きた若者の姿を現代感覚で描いています。
今までとはひと味違った戦争小説です。 (2011年4月)
分かりやすく説明するための44のルールが,具体例を挙げながら書かれています。
この44個のルール中で参考になるなと思ったものは,5つ程度でした。
1つは,接続詞の「が」,テーマ出しの「は」は使わない。
2つは,主語と述語は近くに置く。
3つは,動きを表す名詞は動詞に変換する。
4つは,具体的な動作を表さない動詞は使わない。
5つは,英語はなるべく日本語にする。
初心者にとっては,もっと参考になるルールも多いと思います。
私は,野口芳宏先生から話術を学んだこともあり,この本から得られたルールは少なくなったのだと思います。
しかし,5つめの英語はなるべく日本語にすることは,その通りだと思います。トップダウンで現場に降りてくる政策やキャンペーンなど,本当に英語(カタカナ)が多いです。例えば,キャリア教育,マネジメント,PDCAサイクル,グランドデザインなど挙げればきりがありません。英語やカタカナにすれば,一言で済むからいいと思っているのでしょうか。それとも,単にかっこよく見えるからでしょうか,日本語だと堅苦しく捉えられてしまうからでしょうか,いずれにしても,もっとわかりやすい日本語でお願いしたいものです。鈴木孝夫さんも言っていたように,「言葉を大切にしない国は滅びるのです。」 (2011年4月)
重松清さんも子供や学校を扱った小説をよく書かれます。
私も重松さんの本はいつも注目していて,よく読んできました。
石田さんがこの本で描いた学校は,さわやかさがとても印象に残りました。
その理由は,主人公である教師,中道良太が実に清々しいからだと思います。
嫌みがありません。どことなく,テレビドラマ「スクール」の校長だった江口洋介さんに近いものがあります。
日曜日の夜は,明日から学校が始まるためどことなく気が重くなることもありましたが,あのドラマを観ると学校に行きたくなりました。
この本も読後,学校っていいな,教師っていいなと思いました。
そんな,元気をくれた1冊でした。全国の先生たちに日々の仕事で疲れたら,この本を読んで欲しいと思います。 (2011年5月)
絵本「100万回生きたねこ」の作家である,佐野洋子さんの自伝小説です。
ストーリーは,呆けてしまった母親の人生と自分の人生を重ねあせて進んでいきます。
子供の頃から母親を憎んでいた洋子さんですが,呆けた母親と接するうちに,母親の愛情に気づいていきます。
そして,ラストへ。
きれいな言葉で自分の文を着飾らせず,本音の言葉が印象的でした。
最後の10ページで涙が出てきました。
自分の父親と重なって見えたのかもしれません。
昨年,亡くなった父親の愛情に気づかないまま,遠く離れてしまいました。
50歳を間近に控えた今,父親の生き方や考え方を理解しようと思い始めています。
久々の最高評価本となりました。
きっと映画化されることでしょう。 (2011年5月)
7「これらからを生きる君たちへ」(新潮ムック)
この本の副題は,校長先生たちからの心を揺さぶるメッセージです。
2011年は,我々日本人にとって,忘れることができない年になりました。東日本大震災が起こったからです。
この年行われた全国の卒業式では,おそらくこの話題が取り上げられたことでしょう。
特に震災の中心部だった岩手県や宮城県,福島県では特別なメッセージが校長先生から伝えられたと思います。
この本では,校長先生から,未来の日本を築く子供たちへ告げられた熱いメッセージが11本掲載されています。どれも私の心に響いた理由は,本音で語られているからです。
特に響いたのは,立教新座中学・高等学校の渡辺憲司校長先生の話です。
「巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。」
この言葉に背中を押された生徒も多かったはずです。言葉のチカラというものを再認識しました。 (2011年5月)
10「賢者の書」(喜多川泰 ディスカヴァー)
喜多川さんの本は,以前「手紙屋」を読んで以来,久しぶりとなります。
喜多川さんの本は幸せな生き方について,とても分かり易くしかもドラマチィックに書かれています。
この本も,ファンタジー的な物語ですが,とても示唆に富んでいます。
例えば,第一の賢者はこう言います。
〈引用始まり〉
「とにかく行動を起こすのだ。よいか,それによって何が返ってくるのかを気にして,怖がる必要も,また期待する必要もない。手に入れたときは嬉しかろう。また,期待はずれっだったら辛かろう。しかし,大いなる力が絶対に必要なものをお前に分けてくれているのだという事実を忘れてはならない。」
〈引用終わり〉
生徒にも語ることができそうな話もありますので,ちょっとアレンジして語ってみようかと思います。(2011年6月)
教育界では,10歳というのが学びの臨界期という認識が広く知れ渡っていました。
つまり,学力を身につけさせるためには,10歳までが勝負であるということです。
この10歳という時期を心理学的に迫ったのが,この本です。
特に参考になったのは,道徳性の変化という章です。
9歳・10歳の時期の子どもについて,次のようにまとめてありました。
〈引用始まり〉
自分以外の人の立場に立てるようになり,第三者や集団,社会といった視点も理解できるようになります。また,公平や権威といった概念の背景にある意味について悟るようになり,具体的な能力や貢献度といったことを重視しますが,みんなのために考えてくれる人といった公についての理解も深まってきます。
〈引用終わり〉
子どもの道徳性の発達段階をしっかりと理解しておけば,それに対する効果的に道徳授業ができるのではないでしょうか。
中学校教師にも是非,読んでもらいたい1冊です。(2011年6月)
13「日本一 心を揺るがす新聞の社説」(水谷もりひと ごま書房新社)
おおよそ,新聞の社説は堅苦しくて気合いを入れて読むものだと思っています。
読んだからと言って,心に残るものでもありません。
社説は,その新聞の顔だという話も聞いたことがあります。
しかし,この本に載っている社説は,どれも心に響くものばかりです。
その理由は,水谷さんの眼差しがとても優しいからです。
まだまだ,この世の中捨てたものではありません。
是非,多くの人にこの本を読んでほしいと思います。オススメの1冊です。 (2021年7月)
14「魔法の日めくりメッセージ」(辻中公 ごま書房新社)
もともとは幼児教育での大切なことを1日1つ伝えてくれる日めくりです。
しかし,読んでみると幼児教育に留まらず中学生にも十分使えるメッセージもあります。
例えば,
〈引用始まり〉
●「いただきます」「ごちそうさま」
■食を通じて宇宙とつながる
手を合わせて言う動作,自分と食事に関わる全ての事柄がつながり合わさることを意味します。
親指にはご先祖様・お父さんなどと言う意味があるので,親指を見て言うことで,周りの方への感謝の心が育まれます。
食べ物への感謝の気持ちと共に,人とのつながり,世界とのつながり,宇宙とのつながりの中で自分が生きていることを感謝出来るのです。
●目を見て「あいさつ」してるかな?
■「あいさつ」は人とのつながり・結びつき
目を見ることは相手を認め,信頼関係を結ぶ第1歩になります。朝一番の「おはよう」は,1日の清々しいスタートがきれますよ。
沢山の「あいさつ」を探して声を出してみましょう!きっと,新しいつながりや,お友達とい出会えますよ。
〈引用終わり〉
この他にもたくさん,中学生に語る時の大きなヒントをもらいまいした。(2021年7月)
15「康子十九歳 戦禍の日記」(門田隆将 文春文庫)
被爆県である長崎県では,ほとんどの学校が8月9日を登校日としています。
原爆投下の日だからです。
私が子供の頃もこの日,登校し暑い体育館の中で校長先生の話を聞き,11時2分のサイレントに合わせて黙祷をしていまいした。
教師になってからは,生徒会担当として,この日に合わせて生徒会役員と一緒に平和集会の準備をしたこともあります。
校長先生の話や同じような資料を読むだけの平和学習を何とか変えたいと思っていたからです。
ちなみに,その頃やったことは,
・生徒会役員と一緒に長崎の平和公園へ行き,訪れていた外国人に平和についてのメッセージを書いてもらう。
・長崎の浦上にある原爆病院に行き,被爆者にインタビューをする。
・千羽鶴を折って,平和公園に供えることもしていましたが,折るだけではなく,折る前に裏の白い部分に平和に関する自分のメッセージを書かせる。
・修学旅行の学年全体の取り組みとして,平和に関する詩をつくり,それを生徒一人に1文字ずつ陶板に書き,釜で焼成してもらいました。その陶板を鹿児島の知覧にある平和記念館に供えることもしました。その際,国語科の先生に指導してもらい,その詩を館内で学年全員で大きな声で群読をしました。
最近の平和学習に対して,どことなく受け身的な印象を持っています。
そうではなく,平和のために自分が何ができるのか,能動的な平和学習が大切だと思っています。そのためには,教師自身が偏った戦争観を持つのではなくいろいろな本を読み世界に通用する誇りある日本人として生徒を育てていくべきだと思います。
その参考になった本がこの本です。8月9日を迎える前に一人でも多くの教師に読んでもらいたい1冊です。(2021年7月)
ついに吉田松陰先生が斬首されてしまいました。
このマンガでは,この後どうなったかを詳しく書いてあるので,とても勉強になります。
この後,桂小五郎や伊藤俊輔(のちの博文)たちが遺骸を引き取りにいくのですが,殺された松陰先生は全裸だったため,身体をしっかりと拭き清め,小五郎たちの服を着せたそうです。
斬られた首と胴体をつなぐことは許されなかったため,自分の首を自分でかかえるようなポーズで納められたそうです。
墓も罪人にはつくれないため,遺骸を埋めた上に自然石を置くだけの粗末なものだったそうです。吉田松陰先生が生きていれば,日本の歴史は大きく変わっただろうと言われています。
最後に即興でつくった詩が載せてありました。
吾今為国死(われいまくにのためにしす)
死不負君親(ししてくんしにそむかず)
悠々天地事(ゆうゆうてんちのこと)
鑑照在神明(かんしょうみょうじんにあり)
私は,今国のために死んでいきます。
これまでの私の行為は天子,良心にそむいていない。
悠久な天地の間で行われる行為は,すべて神のみが知っていることである。
私の忠誠も神のみぞ知ることである。
吉田松陰先生,享年三十歳。早すぎる死でした。(2021年8月)
昨日から,お盆休みに入っています。
午前中は,法事のために出かけ,午後は,妻に頼まれて換気扇の油汚れを徹底的に掃除し,夕方は破れた網戸の修理をしました。
その合間をぬって,この本を読破しました。
いつもながら,門田さんの取材力には驚かされます。
この本は,アメリカで生まれ日系二世でありながら学徒出陣し,特攻隊として亡くなった松藤大治(まつふじおおじ)さんの23年間の人生の記録です。
国籍はアメリカである松藤さんが,どうして母国を敵として特攻したのかを綿密な取材を元に描いてあります。
生前,松藤さんはこう語っていました。
「日本は戦争に負ける。でも,俺は日本の後輩のために死ぬんだ」
また,松藤さんの戦友である大之木英男さんは,生き残っておられ,次のように話されています。
「私たちは,たまたま1945年というあの時に軍人であり,若者でした。それは運命であり,国や家族を守るという使命や責任から,逃れようとは思いませんでした。松藤も同じだったと思います。私は,戦友たちの死を無意味だったとか,可哀想だったとか,そういうことは言って欲しくないんです。ただ,ご苦労さん,よくやった,とだけ言ってやって欲しいです」
彼らが命をかけて守ってくれたこの国のことをどれだけ考えているのでしょうか。受け継いだこの命を大切にしているのでしょうか。もし,戦死した人たちが,今の日本の様子を見たら何と言うでしょう。
胸を張って,「皆さんの死は無駄でありません」と言えるでしょうか。
そんなことを考えた,素晴らしい本でした。(2021年8月)
以前から,曽野さんの教育についての発言に注目してきました。
その発言が,この1冊にまとめられています。刺激的な本音がたくさん書かれています。
子供は基本的にみんないい子だと考えている人は,この本に抵抗を感じるでしょう。
しかし,私は,曽野さんの意見に賛成です。例えば,次のような発言です。
〈引用始まり〉
・子供たちは,死とは何か,人は死ぬとどうなるか,という現実に少しも深く係わることなく,死を他人事として済まして大きくなる。
・今の親や先輩や教師は,いったい何をやって来たのだろう。彼らは子供からよく思われることだけを念願して,鍛えもせず,怒りもしなかった。
・親は子供が生まれた瞬間から,刻々と別離へ向かって歩き出す用意をしなければならない。親が子供にしてやれる大きな事業の一つは,いつか別れることを上手にやってのけることなのである。
・戦後の教育は個性の形成,自由を行使する権利だけを教えた。教育は自発的にしたいことだけしかさせてはならない,と今でも信じて疑わない人がいる。
〈引用終わり〉
きれいごとではない言葉が響きました。
曽野さんは,日本という国や子供たちの将来を心配されています。だから,ここまで本音で語っておられるのだと思います。(2021年8月)
ちょっと前から,塾や予備校の先生の授業に興味を持ち,一度でいいから,その授業を見たいと思っています。
予備校の授業で,涙を流す生徒がいることに驚いたからです。
この本の著者も,代々木ゼミナールの英語講師です。
いわゆるカリスマ講師だそうです。
さて,そんな理由から学校の図書室にあったので,何気なくページをめくっていたら,生徒に語りたい言葉がいくつかありました。ここでちょっと紹介します。
〈引用始まり〉
・make a differenceは,違いをつくるという意味ではなく,重要という意味。ほかとの違いがあることが「重要」なのだ。
・潜水艦が沈没した場所を突き止める推論させる時,設計者,操縦者,地理に詳しい人などの各専門家を集め,彼らの専門分野からそれぞれに推論させる。合同で議論することはない。合同議論することではなくて,一人ひとりが他から分離され,孤立した形で推論させる。彼らの考えすべてを材料にして,総合的に判断する。そうすれば,沈没した位置がかなりの精度で特定できる。どんなに些細なことでも「いびつなもの」でも,自分だけの自信もかけらを寄せ集めたものが問題解決の鍵となる。
〈引用終わり〉
西谷さんも,この本の中で書かれていますが,授業というのは,自分の人生を語ることであり,生徒に影響を与えることなのです。
これは,我々公立学校の教師にも同じことが言えるのではないかと思います。(2021年8月)
最近,鈴木孝夫さんの本を読みたくて,ネットで探して購入しています。
古本なので,とても安い価格で買えるものもありますが,貴重な本は,定価の2倍以上の値段がついています。
この本も(初版は平成3年6月),ネットで90円でした。
送料を加えても定価より安いのです。
この本は,ことばを中心に,歴史,教育,国際化,国家,生き方について独特な視点で論じてあります。
とても面白く,説得力があるのです。
例えば,
〈引用始まり〉
・日本の漢字語の多くは意味論的透明性を持っているというのです。
・英語はたしかに必要なんだけれど,英米人も苦労して聞いたり,彼らが努力しなきゃわからないような英語でもいいんです。
・日本だけが逆の国際化をやっているのである。つまり,自分を捨てることが国際化だと思っている。
・強く固い自己完結性に裏打ちされたアイデンティティを未だに持っていない日本人が,このように急激な,そして開かれた国際化の過程で無定見に行動すれば,アイデンティティの崩壊ないしは拡散という好ましくない事態になるのではないかということである。
〈引用終わり〉
これからもしばらくは,鈴木先生の本を探して読みあさろうと思います。(2021年8月)
宇宙ものが好きでいろいろな本を読んできました。
と言ってもSFは全く読んでいません。
読むのは宇宙もののノンフィクションです。
例えば立花隆さんの「宇宙からの帰還」とかジム・ラベルさんの「アポロ13」とか松井孝典さんの「宇宙誌」などです。
さて,今回読破した本は,ソ連とアメリカの宇宙開発競争を描いたノンフィクションです。
歴史的に宇宙開発は2国間の熾烈な競争となっていますが,実は2人の科学者の競争だったのです。
ソ連のコロリョフとアメリカのフォン・ブラウンという科学者です。
この2人の人生を描いたものですが,とても感動しました。
新書とは思えないほどのドラマチックな展開です。映画化してもおかしくないほどです。
この本の最後の部分を紹介します。なかなか感動する終わり方です。
〈引用始まり〉
一九七七年六月一六日,ヴェルナー・フォン・ブラウンは,アレキサンドリア病院の一室でその炎の生涯を閉じた。享年六五歳。宇宙への早すぎる旅立ちであった。」
〈引用終わり〉
(2011年10月)
今日は,自宅でゆっくりと過ごしました。
こんなにゆっくりしたのは,何ヶ月ぶりでしょうか。
先週は腰の痛みがありましたので,今日はソファに寝そべって読書をしました。
読書の波が去っていて,ほとんど読んでいませんでしたが,やっと読破しました。
重松清さんの新刊です。
テーマは,「いじめ」です。
小説の中の小説という形をとり,いじめで苦しむ子供たち,子供をなくした親の救いを描いています。
重松作品に登場した人物も出てくる不思議な世界です。
最後まで,この世界にすんなりと入り込むことができませんでした。
しかし,重松さんのメッセージは次の部分だと思います。
〈引用はじまり〉
「生きてほしい…ずっと,ずっと,生きていほしい…夢なんかなくても,優しくなくても,正義の味方なんかじゃなくてもいいから,生きていれば…明日,夢が見つかるかもしれないし,明日,自分が自分であるという誇りが持てるかもしれない。それでいいんだよ」
「生きるっていうのは,なにかを信じていられるっていうことなんだよ」
〈引用終わり〉
この本の中で「想像力」という言葉がよく出てきます。
想像力とは,生きる力であると思います。
想像力とは,苦しいことを我慢できる力だと思います。
想像力とは,未来を変える力だと思います。
重松さんは,こう書いています。
「大切なのは,想像力です。信じることも想像力です。」と(2011年11月)
弁護士は語りで勝負というところがあります。
テレビドラマの「リーガルハイ」の弁護士みたいなおしゃべりはいないまでも,この本には語りのうまさの弁護士が紹介されています。
例えば,大阪空港訴訟の木村保男弁護の語りです。
その一部を紹介しましょう。
〈引用始まり〉
「地元の人々は騒音とは言わない。爆音,激音,轟音,痛音。口々に訴える。表現は異なっても,その音が頭からおおいかぶさり,おそいかかり,のしかかり,おさえつけ,耳をろうし,身体をすくませ,腹の底をえぐり,頭をなぐりつけ。心臓をしめつけ,動悸を早め,精神を異常にする狂気の音であることは変わりない。(中略)人々は言葉を奪われて沈黙する。やがて,沈黙は憤りに変わる。人々は相語らい,励まし合って,市役所,県庁にその苦しみを訴え,空港,運輸省にその怒りを投げつけた。」
〈引用終わり〉
この文を読んだだけでも,被害者の苦しみが伝わってきます。まさに語りのプロです。
この他,阿部定事件や足利事件を担当した弁護士たちの熱い語りが紹介されています。
下手な小説よりも面白い1冊です。(2011年11月)
この本は,東日本大震災の救助や支援活動で活躍した自衛隊の姿を描いたルポです
。自衛隊については,賛否両論あります。もし自衛隊がなかったら,こういった大災害の時に,誰が救助してくれるのでしょうか。彼らの姿こそ,滅私奉公という言葉がふさわしく感じます。自衛官の中には,家族の安否がわからないまま,救助に向かった人もいました。また,命令がなくても自らすすんで現地に行くという自衛官が大勢いたそうです。この本の中から1つのエピソードを紹介します。
〈引用はじまり〉
(気仙沼・大島で)
「もうすぐ卒業式があるのですが,まともにはできそうもありません」
群司令は島民がこぼした一言が気になっていた。
「そうだ!」と思いついたのは,「艦上卒業式」。ひそかに準備が進められ,迎えた当日,隊員手作りの「祝!卒業」と書かれたリボンと垂れ幕が掲げられた。誰が命じるわけでもないが,隊員が夜遅くまで作業したに違いない。お腹がペコペコだった子供たちは,用意されたカレーライスを大喜びで平らげた。「6杯が最高記録」と聞いて,7杯も食べた男の子,船酔いしながら無理して食べた子もいた。久しぶりに艦内に笑い声がこだました。悲しみを乗り越えて,成長していく子供たち。くじけそうになったら,艦上で撮った卒業写真を見てほしい。そんな思いで隊員たちは子供たちを見送った。
〈引用終わり〉
(2011年11月)
日垣さんらしい,きっぱりと言い切る文体に気持ちよさを感じました。
なるほどと思える部分が数多くありました。
例えば,付箋の使い方,速読の方法,本選びの方法などです。わかりやすくポイントがついていますから,そこだけ読んでも参考になります。
本選びのポイントを次のように書かれています。
・ネットの「うまい店ランキング」より,同僚の「ランチ情報」のほうが役に立つ。
・ページをめくると,七つの海を越えるがごとき冒険がある。
特に頷いたのは,読書感想文に関する内容です。
〈引用はじまり〉
うすうす感じている方も多いでしょうが,読書感想文を小中学生に書かせるというのは,正気の沙汰ではありません。プロだって面白くないことを,小中学生に強制的にやらせるのは,本を嫌いにさせるための意地悪い技術だとすら思います。学生時代,読書感想文の課題がでるたびに「あらすじ」を書いていたという人は,私の見込みではクラスの八割近くにのぼるのではないでしょうか。
〈引用終わり〉
巻末には,日垣さんが薦める100冊が掲載されていましたので,いくつかを選んで読んでみようと思います。(2011年11月)
今年も,何とか100冊を読破することができました。
市内に転勤してきたため,学校の図書室で新刊が借りることができたことや公的な図書館を利用しやすくなったこともあり,例年になく早いペースで読むことができました。
さて,記念すべき100冊目は,科学の本となりました。
以前から,幽霊や超能力やUFOなどにとても興味がありました。
そこから派生したのが,ニセ科学です。科学的な見せかけだけで金もうけをしている輩がいます。それにダマされる人も多いようです。
血液型占い,マイナスイオン,水からの伝言,ゲーム脳などです。
いかにも科学的ですよとうたっている点が,いやらしいですね。
この本で一番,興味を持ったのが,付録に書かれている「放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち」です。この章は,細胞分子生物学が専門の片瀬久美子さんです。
3.11以降,広がったデマのパターンとその分析を示しています。
例えば,「耳なしうさぎ」や「金魚椿」などです。
確かな根拠がないにも関わらず,不安を増長させ,そこに付け込み金をかせぐ輩がいるのです。
その1つの原因として,国民に科学的な知識が乏しいことがあると書かれています。
少なくとも,我々教師は科学的な根拠がないものを生徒に教えることがないように心がけたいものです。 (2011年12月)
私は,将棋についてまったく知りませんが,この本を読んで棋界の壮絶さを知りました。
この本は,重い腎臓病と闘いながら夢である名人を目指した村山聖(さとし)さんの29歳の生涯を描いたノンフィクションです。日垣隆さんの本で紹介されていましたので,読んでみました。結果,こんなにも凄い棋士がいたことに驚きました。この本に出会えたことに感謝します。久々の★5つ本です。次の最後の文章を読み終わると村山聖さんの写真を見直しました。胸がとてもあつくなりました。合掌
〈引用はじまり〉
村山は夢を目指した。将棋は村山にすべてを与えてくれた。村山の心にはいつも将棋盤があり,その上には果てしない青空が広がっていた。目の前にせまりくる死を見つめながら,村山はその短い人生の最後の最後まで少しも諦めずに,少しもひるむことなくはばたきつづけた。幼い日,一人きりで眠れない夜をすごした病院の固いベッドの上で,息を潜めながら見つけ出した何ものにもかえられない翼。名人への翼を。
〈引用終わり〉
(2011年12月)
今日から,勤務開始です。
例年ならば,4日までは休みをとるのですが,できるだけ早く心身を仕事モードに戻すために今日から出勤しました。
若い時みたいに,すぐにモード移行できません。
年を重ねるにつれて,助走距離を長くしていっています。
さて,今日の仕事は部活と実力テスト作成,来年度の社会科カリキュラム作成などを行いました。帰宅後,夕食前に読書しました。
今年の読破1冊目は,花まる学習会主催の高濱正伸さんの本です。
前もこのブログで紹介しましたが,子供に対する本音のメッセージが心地よいです。
その中から,1つ紹介します。
〈引用始まり〉
■22 欠席連絡は自分でしよう
欠席の連絡ひとつも自分で入れられないような高校生が,社会でメシを食っていけるだろうか?ということ。
欠席をするというのは,約束を破るってことでしょう。欠席連絡はつまり,約束を破るって社会に伝える作業。だから本来は重いものなんだ。そしてその重さは,約束を破る本人が背負うべきもののはずだ。
〈引用終わり〉
高濱さんの主張の根幹は,教育とは社会でメシを食える人間にすることです。この主張に基づいた,骨太のメッセージ集です。
(2012年1月)
岡野さんは,世界一細い注射針を作ったことで有名になりました。
刺しても痛くない注射針の穴の直径は60ミクロン(0.06mm)だそうです。
この針をつくるためにかかった日数は1年半,費用は1億円以上です。
岡野さんは,できないことにこそチャンスがあると言われます。
やる前からできないと言わない,まずはやってみることだと言われています。
大企業ができないことだからこそ中小企業がやれるということです。
そのことを岡野さんは,「恐竜はすぐに倒れるけど,アリンコは倒れない」といううまい例えをされています。大阪の下町工場のおばさんが,アメリカのNASAに頼まれてミクロの単位でレンズを磨いているという話を聞いたことがあります。
しかも手触りで,ミクロを確かめているのです。
ハイテクの時代だからこそ,こういったアナログの技術がますます大切になってくると思います。 (2012年1月)
鈴木さんの本と出会って,日本語に対する考えが変わりました。
日本の良さをあらためて知ることができました。
この本は,講義形式で書かれていますから,とても読みやすかったです。
しかし,この本を読み始めたのは,昨年の8月です。
少しずつ読んではいましたが,新しく購入した本をどんどん読んでいったため,読破したのが,今日になりました。
鈴木さんは,日本語は,「テレビ型言語」だと言われています。これについて,次のように書かれています。
<引用始まり>
「ヨーロッパ人のアルファベットというのは,音で聞けるものしかあらわさない。ところが,日本語では目は耳以上の能力があるから,目の能力も使いましょうということで,聞いて分からないけれども,目で見ればわかるという二重構造にした。」
<引用終わり>
時間がかかりましたけど,とてもいい本でした。鈴木孝夫さんと藤原正彦さんの対談集を出してほしいと思っています。
(2012年1月)
34「模擬授業・場面指導」(野口芳宏 一ツ橋書店)
画期的な本だと思います。この本の対象は,教師を目指している人です。
この本のタイトルも「教員養成試験αシリーズ」とあります。
しかし,現場の教師でも,当たり前すぎて考えもしなかったこと知らないことがたくさん書かれていてためになります。
例えば,授業実践の基本からです。
<引用始まり>
1教師全体に目を配る
「子どもの視線を糸だと思え。その糸を束ねて持つな。1本1本を大切に。」
2教師の話し方
①相手を尊重して話す。
②声は大きく,ゆっくり,はっきり話す。
③社会人としての話し方を心がける。
④児童・生徒と友達感覚の話し方はしない。
<引用終わり>
現場の教師が,上のことをどれだけ意識して教壇に立っているのでしょうか。
初任者研修でどれだけのことを教わるのでしょうか。
もし,私が初任者指導の係りになった時は,この本の熟読を義務として,この本をテキストにして指導していくと思います。
この本の背表紙には,野口先生のお名前が書かれてありません。
そのことを野口先生にお伝えすると驚かれていました。
書店で一人でも多くの教師に読んでもらうためにも次の版の時には,背表紙には是非,野口先生のお名前を入れてください。
お願いします。一ツ橋書店さん。
(2012年2月)
昨日と本日で,3学年分のテストを何とか作りあげました。
何回チェックしてもミスが見つかりますので,今回は特に念入りにチェックしました。
午後はゆっくりとした時間ができましたので,読書を楽しみました。
さて,この本は,ノンフィクション短編集です。
しかし,この本が異色なのは最初の3本が自分と父親との関係を取り上げていることです。沢木耕太郎さんの「無名」は,父親の人生を静かに描いていましたが,松原さんはちょっと違う描き方でした。感情を隠さないことで,すんなりと心に入ってきました。一番よかったのは,柔道の田村亮子さんと同じ階級であるため,オリンピック出場が叶わなかった長井淳子さんを描いた「遠きオリンピック」です。久々,いいノンフィクション作品に出会えました。 (2012年2月)
15年ぐらい前に,ラジオ深夜放送で「ドリアン助川の正義のラジオ!ジャンベルジャン!」という番組があったそうです。
その番組は,中高生たちがいろいろな悩みをぶつけて,ドリアン助川さんと語り合うという内容でした。その番組を本にしたものです。
悩みが「援助交際」「いじめ」「妊娠」「レイプ」などきわどい内容がほとんどですが,ドリアンさんが真正面からきれいごと抜きで語っています。
単なる悩み相談番組ではなく,一緒に考える,悩みを共有すると言ったほうがいいかもしれません。ドリアンさん自身が凄まじい人生を送ってきた人のなので,その一言が心に響くものがありました。
<引用始まり>
恋は素晴らしい。しかし恋以外にも惚れたものをひとつ持つべきである。僕の観点で言うならば,恋は音楽を助け,音楽も恋を助ける。逆もまた真で,失恋は音楽を養い,音楽は失恋を慰める。恋した女性とは二度と逢うことができなくても,その女性への祈るような気持ちを音楽で伝え続けることができるのである。
<引用終わり>
(2012年3月)
本日の午後は,バスケット部のお別れ試合がありました。
久々に3年生が参加したにぎやかな試合となりました。
受検が終わって安心感もあると思いますが,3年生みんな伸び伸びとプレイしていました。
さて,午前中は100冊を目指しての読書に励みました。
今回は,南海キャンディーズの山ちゃんの本です。
ほんのちょっとだけ気になっていましたので,古本屋で購入していたものです。
読んでみると,予想以上に面白かったです。
中でも興味を持ったのは,「張りぼての自信」という言葉です。
これについて,山ちゃんは次のように書いています。
<引用始まり>
たいして自身がないものでも,周りからボロッと出た褒め言葉などで小さな自信を張っていってもらったり,些細なことをそこに結びつけたりすることによって,結構立派な張りぼてってつくれるものなんです。僕はそれを「張りぼての自信」と考えた。
<引用終わり>
頑強な自信を持って人は,挫折にぶつかるとそこで一気に自信喪失になってしまいますが,何せ張りぼてなので,ちょっと張り替えることで自信がもどってくるのだと思います。
こう考えると,傷つくことになれた人ほど強くなれるんですね。
相方のしずちゃんとの出会いのエピソードも面白かったです。(2012年3月)
先日卒業した生徒から借りて読みました。
中村さんのパワーがビシビシと伝わってきました。
いろいろできない理由を言う前に,まずはやってみるという中村さんの哲学がぎっしりと詰まった1冊です。
しかし,ほとんど講演CDで聞いた内容でした。
卒業生も中村さんの生き方に共感した生徒がいました。
将来,思い出すことがあればいいなと思います。 (2012年3月)
40「THEがよくわかる本」(ランガーメール編集部 Languamail)
さて,今回は高校時代から疑問でした,THEをつける場合とつけない場合の違いについての本を古本屋で,2か月前に購入していました。(200円)
それをようやく読破しました。この本を読んで,ようやくわかりました。
この本によれば,
「theは孤独,a/anは仲間がいる」
「つまりtheはone and only を暗示する」となります。
特にこの説明文が納得しました。
<引用始まり>
それではDeath on the Nile(アガサクリスティーの傑作推理小説のタイトル)にはなぜtheがないのだろうか。このdeathは普通のどこにでもあるdeathではない。ナイル川のdeathとかなり絞られた状況のdeathなのでThe death だと金丸さんは思った。タイトルに一層の緊迫感を出し,読者の注意を引き付けるためにわざとtheをつけない。ちょうど新聞の見出しのように。
Killer at large!・・・(殺人鬼逃亡中)
本のタイトルを正確に読み取るのは難しい。しかし,ちょっとしたポイントを教えてもらうだけで英語の本が急に身近に感じられるようになる。
<引用終わり>
わずか3文字の「the」ですが,とても奥が深いですね。
しかし,英語を話せる人たちはtheの持つ意味を正確に理解して話しているのでしょうか。(2012年3月)
「たいまつ」は詩集ではなく詞集です。
辞書によれば「詞」とはいくつかの言葉をつないでいったものとあります。
そういった意味では,むのさんのこの本は詩集ではなく詞集なんだと思います。
さて,この「たいまつ」シリーズですがⅣで終わったと勝手に思い込んでいました。
しかし,東京の合田先生のご指摘があり現在6巻まで出ていることが判明しました。
そこで,5巻と6巻をさっそく購入しまずは5巻を読破しました。
この本を読むと,言葉のもつ力が伝わってきます。
生徒に話すために,この詞集の中にある言葉をたくさん借りました。
今回も,あらたな言葉と出会うことができました。
教師という仕事は,言葉を磨く必要があると思っています。
そういった意味でも,この「たいまつ」シリーズは私にとって大切な本となっています。
今回出会った言葉を1つ紹介します。
<引用始まり>
「月はきれいだが美しくない。いくらきれいでも,寒そうにべそをかいている。もらい物で身を照らしているせいだな。光でも熱でも何でも,もらい物では駄目だな。自分から熱くなって燃えて輝かなくちゃ。それが生きものだな。」
<引用終わり>
(2012年3月)
初期のゴーマニズム宣言は,新刊が出るとすぐに購入していました。
しかし,乱発傾向が強くなり,また小林氏がマスコミにもちょくちょく顔を出すようになってから買わなくなりました。
さて,今回購入した理由は,時間つぶしに立ち寄った古本屋で安かったからです。
いざ読んでみると面白かったです。
過去に発表したマンガも収録されていますので,要注意です。
オリジナルは最初の部分だと思います。
マンガですが,マーカーを入れる箇所が多くありました。
新書にしてもおかしくないような内容です。
小林氏の「公」と「私」の区別がつけられない日本人という主張に賛成します。
また,私が気にっている諏訪哲二さんや長田百合子さんも紹介されていて,なかなかいいです。
小林氏も言及されていた「13歳のハローワーク」に関する意見に対して賛成します。
私も「13歳のハローワーク」がベストセラーになった時に違和感を覚えました。
その理由は,自分の興味や好みで仕事を選ぶという考えに抵抗があったからです。
好きな仕事に就ければいうことありませんが,ほとんどの人はそうではないはずです。
働きはじめてから,その仕事を好きになっていくものだと思うからです。
仕事の選択条件を自分の好みだけにすると,嫌いになったらすぐにやめてしまう人が増えてしまうかもしれません。
そういったことが頭にありましたから,昨年度の職場体験学習の事前指導の時に,自分が嫌いな興味がないような仕事をあえて選ぶようにという話をしました。
嫌いだ思っていた仕事に,魅力を感じる生徒もいるかもしれないと思ったからです。
さて,このことを小林氏は,次のように書かれています。
<引用始まり>
自分にあった仕事を選べるはずだと。どこにあるんかい,そんな仕事!(笑)そんなに誰でも自分のなりたい職業に就けるかよ!ムチャクチャなことを教えてるなあ。自分のやりたい仕事なんて,なかなかやれないものなんだよ。それが現実なんだから,誰でも望めば希望の仕事をやれるみたいな,ありもしない幻想を与えちゃダメだよな。
<引用終わり>
名前ばかりの変な教育論を読むよりは,この「修身論」を読んだほうがタメになります。
(2012年4月)
世界で一番寒いところはどこでしょうか。
北極?南極?いえいえ,ロシアのヤクートという国です。(現在のサハ共和国)
そのヤクートに住むテレビ局員から米原さんに届いた手紙には,次のような季節の挨拶がありました。
「お元気ですか。こちらはすっかり暖かくなりました。外の気温はマイナス21度。暑いほどです」
驚きです。
12月の平均気温がマイナス50度のヤクートだからこそ書ける内容ですね。
異常に寒いところでは,どのようなことが起こるのかとても参考になりました。
例えば,次のようなことです。
・人間や動物が吐く息や車の排気ガスや工場の煙に含まれる水分が凍ってしまい居住霧となります。この居住霧で4m先のものも見えなくなってしまうそうです。
・家がほとんど傾いています。
・凍った道路なのに,車のタイヤはノーマルです。しかし,まったく滑りません。
・釣り上げた魚は10秒で凍結します。
・咳が出てしまう。
など社会科の授業のネタがいっぱい詰まった本です。 (2012年4月)
今日は,部活の合同練習会で1日中S高校に行っていました。
帰ってから,読みかけていたこの本を読みました。
夕食までの小一時間で読破しました。
佐藤さんの本は初めて読みましたが,とてもきれいな描写ができる作家だと思いました。
50歳の私ですが,高校時代を思い出させてくれ,心にしみる描写がたびたびありました。
きれいな描写の中に思春期特有のとんがった言葉が出てきて,そのバランスがいいですね。
特に,「違う」と書かないで「チガウ」とカタカナで書いているところが象徴しています。
自分が中学生時代に出会っていたかったなあと思える,そんな1冊です。
〈引用始まり〉
通ちゃんを好きだという自分の気持ちがとても悲しいのだ。前は,ただ幸せな気持ちだけだったのに。とびきりのダイヤモンドみたいに傷も曇りもなくて,どこまでも透明でキレイで最高の宝物だった。今は,時々,そのダイヤモンドが胸の中でごろごろして痛かったり苦しかったりする。好きと口に出すのが,痛いみたいな気持ち。
〈引用終わり〉
微妙な描写がうまいなあ。
(2012年4月)
久々に吉田さんの本を読みました。
吉田さんは気になる作家の一人ですから出た本はチェックしています。
つい最近もスパイ小説が出たばかりです。
さて,この本は昨年末に古本屋で購入していて読むきっかけがないまま今になってしまいました。はじめから3分の2ぐらいまでは登場人物が多いため,その人物の描写が多くなかなか話が進みませんでした。
しかし,残りの3分の1ぐらいから加速します。昔話の「さるかに合戦」みたいにラストはスカッとするのかなと思っていましたが,そんな感じではありませんでした。
しかし,グイグイと引き込む魅力がある小説でした。
これをきっかけにして吉田さんの本をまた読み始めるんだろうなあ。 (2012年5月)
戦争が終わって72年が経って,戦争体験者が少なくなってきています。
また実際に戦地に行った人の高齢化が進み,戦争の体験を直接聞くことが難しくなってきています。まさに風化しつつあると言っていいでしょう。
門田さんは,この「太平洋戦争 最後の証言」シリーズ3部作の執筆にあたり100名をこえる元兵士たちを訪ねて直接インタビューされています。
戦争の事実を知る最後のチャンスと言ってもいいでしょう。
映画や小説では決して伝わってこない,真実の重みが伝わってきます。
大鑑巨砲主義の象徴でもある戦艦大和の生涯を追うことは,日本の戦争の歴史を追うことでもあると思いました。全長263m,横幅38.9m,排水量7万2000トン,昭和20年4月7日午後2時23分東シナ海に沈没しました。乗り込んでいた3332人のうち戦死者は3056人で,死亡率は91.7%でした。戦艦大和こそが日本であり,日本の希望だったと思います。このことは「大和が沈む時は,帝国が沈む時」という言葉が表しています。
この本の中で,印象に残った部分を少し,紹介します。
<引用はじまり>
あの時代は「狂気そのものだった」とか,人々は「軍国主義教育によって洗脳されていた」などという人がいる。戦後教育は,そうして過去を位置づけ,さまざな事実を封印してきた。そして,自分たちのすぐ隣にいる最前線で戦った兵士たちの証言と実体験を軽んじてきた。<引用終わり>
生き残った柴垣さんの言葉を読んだ時に,胸にこみあげるものがありました。再び引用します。
<引用始まり>
「特別攻撃隊という使命を帯びて大和で沖縄へ行かれた方たちが,その足元におられるわけです。私は三千人からの人が,一つの魂となって,沖縄へ行こうとしたことがすごいと思うんですよ。それだけの人が国を救おうと思うて行ったんじゃからね。そういうことを国民の皆さんにも,よく覚えて欲しいと思うんですよ。あり合せの燃料を詰めて,三千人からの人が国のために一丸となった精神を見せてくれた。日本がこんだけ平和になったのも,礎になってくれたこういう人がおってくれたわけじゃから。私はその大和の精神は不滅だと思うとりますよ。」
<引用終わり>
平和教育で使う必要がある一冊だと思います。
このシリーズのあと2冊も購入します。(2012年5月)
今日は,代休です。しかし,習慣で5時半すぎに目が覚めました。
目覚めのコーヒーを飲もうと思いましたがガタガタして妻を起こすのも悪いと思いましたので,ベッドで昨日買ったこの本を読みました。
久々に,藤原さんの本を読みました。いつもながら,読後さわやかになりました。
これは,読みやすい文章のおかげだと思います。
本の題名である「管見」とは,見方が狭いという意味で「妄語」とは,うそという意味です。
題名は大きな謙遜でつけられていますが,中身はとても示唆に富んでいます。
この中で,一番うなづいた部分を引用します。
<引用始まり>
「父(新田次郎)もいつか死んでしまうんだな。死んだら脳味噌がもったいない。ぎゅうぎゅうに詰まった歴史の知識とか,一分に一句を詠む即興のわざでも自分の脳に移せたらいいのに」とよく思った。
<引用終わり>
その通りだと思います。しかし,こんなことができないからこそ,その人から学ぼうとするのです。話を聞いたり,本を読んだりするのです。何事も楽には習得できないものです。
さて,今日の仕事は締切が過ぎている機関紙の原稿を急いで書くことです。編集者には,迷惑をかけていますからね。しかし,今回も難しいです。(2012年5月)
今日は,市中学校体育大会の代休でした。部活がないのでゆっくりと休みました。
午前中は,遅れに遅れている機関紙原稿の執筆に力を注ぎました。
その甲斐あって,何とか完成し,担当者に送ることができました。
その後,コーヒーを飲みながら読書を楽しみました。
100冊を目指して頑張っていますが,現在36冊です。
ちょっとペースが遅いですね。
夏休みに気合を入れないと100冊は達成できそうもありません。
さて,この本は,今年の本屋大賞のノミネート作品でした。
書店で気になっていたのですが,学校の図書館にありましたのでさっそく借りました。
舞台は,地元長崎県の五島です。
島の中学校の合唱部員たちが,若い女性教諭と全国合唱音楽コンクールを目指す物語です。
前半は,人物描写でなかなかテンポが悪かったのですが,後半,いよいよコンクールが近づくにつれてドラマチックに展開していきます。
そして,最後は,目頭が熱くなっていました。
特別なストーリーではありませんが,感動します。
その理由は,課題曲となっている「手紙〜拝啓十五の君へ〜」を中心に置いた構成の巧みさにあると思います。
大賞をとった三浦しをんさんの「舟を編む」もよかったですが,この本も久々に感動した1冊となりました。
自分が経験してきた合唱コンクールと重なる部分があるかこそ感動も大きかったのでしょう。久々の★5つ本です。
中学生に是非読んでもらいたい,おススメの1冊です。(2012年6月)
プロ教師の会のブレーンである諏訪さんの新刊です。
すでに退職をされていますが,鋭さは変わりません。
教育現場で自ら体験したことをもとにして,理論を組み立てていますから我々のような現場教師には,よくわかる部分もあります。
しかし,よくわかるのですが,読後いつもやりきれなさが漂います。
閉塞感が残ります。
日々の仕事に悩んでいる教師は読まないほうがいいかもしれません。理論武装をしようと考えている教師には,参考になる1冊です。退職後だから,書くことができた内容もあります。
<引用始まり>
このオンリーワンはまったくいただけない。「社会的な個人」は他人(他者)とのかかわりのなかで自己のアイデンティティを築くものであって,「内的な自己」に閉じこもることによって確立されるものではないからである。もっといえば,オンリーワンは幼児的な全能感の残滓であり,宣揚しなくてもみんなが持っている感覚であり,むしろ,「社会的な個人」としては克服すべき質のものだからである。
<引用終わり>
SMAPの「世界にひとつだけの花」が流行った時に,すぐさま学校現場で利用した教師がたくさんいました。確かにとてもよい歌詞だと思います。しかし,この歌詞を学級目標などにすることや生徒に語る時に引用することなどには,違和感を覚えていました。それは,上で引用した,諏訪さんが考えることと同じだったからだと思います。オンリーワン意識が強い生徒ばかりでは,授業は成立しませんから。(2012年6月)
マンガとアニメ「宇宙兄弟」のヒットで宇宙に関する本をよく見かけます。宇宙もので一番面白い本は何かと聞かれたら,迷わず「宇宙からの帰還」(立花隆 文藝春秋)と答えます。宇宙に行った人々が,実際に考えたことや帰還した後はどうなったのかなど華やかな表舞台とは違った宇宙飛行士の暗い部分も描かれた傑作ノンフィクションです。宇宙空間でUFOを見た人や神を見たという人もいます。帰還後,牧師になったり,自殺をしたり人もいます。宇宙体験が彼らの人生に大きな影響を与えたことは事実なのです。
この本を読んでから,いろいろな宇宙ものを読んできました。この本は,以前NHKで放映された番組の関連本です。今まで秘密だった選考試験について詳しく書かれています。
興味深いのは,NASAのリンゼー室長の言葉です。
<引用はじまり>
「私たちが候補者を面接するのと同時に,候補者たちが私たちを面接して,宇宙飛行士の仕事とは何なのか,リスクは何か,どんな見返りがあるのか,そして宇宙飛行士としての人生とはどのようなものなのか,それらを理解した上で,それでもやりたい仕事なのかを考えてもらうことが重要なのです」
<引用終わり>
専門的な知識や技術ではなく,最終的には,この人は,多くの仲間と一緒に働くことができるのか,そして仲間が一緒に働きたいと思うかどうかという点で面接しているのです。
最終的にはチームとして動けるかどうかだと思います。最先端技術の宇宙開発の現場においても人としての魅力が重視されている点が興味深かったです。(2012年6月)
最近は,夜が明けるのが早いためか5時には目が覚めてしまいます。(歳のせいか?)朝食までの小一時間で読書をしています。さて,今回は久々に藤原さんの本を読みました。
藤原さんと言えば,大学生の頃に友人に薦められて読んだ「東京漂流」「メメント・モリ」の印象が強烈に残っています。最近では,藤原さんも年を重ねたせいか,私が年をとったせいかわかりませんが,静かな物語を好むようになりました。この本は,ノンフィクションのような小説,小説のようなノンフィクション短編集です。名もない人たちの出会いや別れを静かに見つめた内容です。読みながら,俳人の尾崎放哉(おざきほうさい)の俳句を思いだしました。
「入れものがない,両手で受ける」
「墓の裏に廻る」
そんな悲しさが伝わってくる本でした。 (2012年7月)
今日は,朝から部活でした。午後は,妻と一緒にホームセンターへ植木鉢を買いに行きました。観葉植物がぐんぐん育ってきて,鉢が小さくなってしまったからです。店内に入ると冷房が効いていないのかなと思うほどでした。節電のせいでしょう。
さて,帰宅後しばらくの間,風が通る涼しいところで読書をしました。
この本は,日本がお手本としている国について,実際にその国に住んでいる日本人がほんとのところを報告しています。一番面白かったのは,「世界の教育大国にフィンランド・メソッドはありません」という章です。現在は,あまり聞かれなくなりましたが,PISAの結果が公表された時は,フィンランドの教育がどんなに素晴らしいかを紹介する本がたくさん出版されていました。公的研修会でもよフィンランドの教育について学ばされました。しかし,ほんとのところはどうでしょうか。その一部を紹介します。
<引用はじまり>
この国では教職はクリエイティブな職種とみなされており,大学でも教育学部は競争率10倍という狭き門の人気学部だ。加えて1976年以降,特に小学生の先生になるには修士号の取得が必須とされている。フィンランドの先生は,ほぼずべて超高学歴というわけだ。このように教職の人気が高く,先生の社会的地位が依然として高いことこそ,生徒の人権を大きく認め過ぎて学級崩壊が問題となっているお隣スウェーデンの二の舞にならずに済んだ要因と広く受け止められている。
1991年のソビエト連邦崩壊後、それまでソ連頼みだったフィンランド経済が危機に見舞われて国家財政が逼迫した際、当時のヘイノネン教育相が「このような危機の時こそ、教育に投資することが将来の経済成長を生み、雇用確保につながる」と説き、教育費の大幅増額を要求したのだ。その精神が現在まで維持されている。
<引用終わり>
表面だけの良い部分を真似してもうまくいかないと誰もが経験で知っていると思います。フィンランド・メソッドが伝家の宝刀みたいに扱われたこと自体がおかしいのです。宗教や民族も違う,生徒と教師の関係も違う国の方法をすべてよしとすること自体がおかしいのです。よい部分もあれば,マズイ部分もあるのです。マズイ部分の一例を紹介します。
<引用始まり>
「住みやすさ」ばかりが語られがちだが,無視できない事実もある。それはこの国の自殺率の高さだ。フィンランドの自殺率は1965年から1990年の間に3倍も膨れ上がり,1990年には世界第3位の「自殺大国」であった。1986年から国を挙げて取り組んだ,世界初の「自殺予防プロジェクト」のお陰で,1992年から自殺率は約半分に減少し,2011年の現在では世界14位(日本は8位)と随分下がったものの,20歳から34歳の男性における死亡原因の最上位だ。2007年の統計によれば自殺は国内の死因別死亡率で4位,全体では毎年千人近くが命を絶っている。
<引用終わり>
学力が高くても,命を粗末にする国が素晴らしいとはとても言えないでしょう。日本にもあてはまる部分はありますよね。
お手本ではなく,ちょっとしたヒントをもらう程度でいいのかもしれませんね。
(2012年7月)
55「正しいパンツのたたみ方」(南野忠晴 岩波ジュニア新書)
著者は高校で家庭科を教えている先生です。この本を読んで,家庭科は生きるために大切なことをストレートに学ぶ教科だと再認識しました。
・食事
・家族
・お金
・性
どれも身近で大切なことです。
特に関心したのは,大人とは何かについて4つの自立をあげて説明してあることです。
①生活的自立
②精神的自立
③経済的自立
④性的自立
なるほどだと思います。社会科や学活で使えそうな資料もついています。
(2012年7月)
著者はAKB48のメンバーです。AKB48には,まったく興味がありません。総選挙でだれが1位だとか誰がチームAなのかなどどうでもいいことです。しかし,この本の著者はである仲谷さんには,とても興味を持ちました。テレビに出るわけでもなく,センターで歌うわけでもない人物なんですが,とても好感が持てます。彼女は,中学校時代,不登校生徒でした。AKBのオーディションに参加した理由は,クラスメートに前田敦子さんがいたからです。彼女はAKBを最終ゴールと考えてはいません。声優になるという通過点として考えています。自分のことをしっかりと認識している彼女は,非選抜という立ち位置を大切にしています。非選抜だからこそ,できることもあるのです。この言葉が印象的です。
<引用始まり>
私はどこの世界でも,ウサギとカメのウサギにはなれなかった。私は,ウサギとカメのカメとして,これからも挫折と失敗を繰り返しながら,そこで得た経験を糧として,成長していくことでしか生きてはいけないのだ。しかしそれは,けっして不幸な人生ということではない。非選抜メンバーにも,その責任を果たしている限り,必ず居場所が与えられるのだ。
<引用終わり>
この本を使って,道徳授業をつくろうと思いました。一人の少女が成長していく,素晴らしい本なのです。(2012年7月)
先日は,ロンドン五輪の開会式を生で見るために4時に起きました。ということで眠かったのですが,今日はいつもの通り,5時に目が覚めました。
話は変わりますが,社会科の授業で時差を扱います。計算が入ってくるので,苦手な生徒が必ずいます。しかし,今年は時差を肌で感じることができる絶好の機会です。開会式やサッカーの試合の時刻をイギリスと日本との時差に興味関心を持たせることができると思います。ロンドンとの時差は9時間ですが,サマータイムをとっているため,8時間の時差となります。日本のほうが進んでいますから,日本の時刻から8時間をマイナスします。そうなると,開会式はロンドンの見地時刻で午後9時から始まって,3時間以上も続きましたから,終わったのは午前0時を過ぎたころだったのでしょうか。その日に試合を控えていた選手の体調は大丈夫だったのかなと考えてしまいます。
時差の話は置いておき,5時に起きて朝読書をしました。現在,興味がある宇宙ものです。
中学生向きに書かれていますから,1時間ぐらいで読破しました。野口さんの夢についての考えは,中学生にも話したい内容です。
夢に向かって一直線に突き進んでいくのではなく,夢を持ち続けならが,意識しながら別のことをやってもいいということです。それは決して無駄にはならないということです。野口さんは,次のように書いています。
<引用始まり>
宇宙に飛び立つまでの,長い道のり。
乗り越えなければならない壁がたくさんあった。
遠まわりに思えたこともあったけれど,
振り返ってみれば,なにひとつとしてむだなことはなかった。
<引用終わり>
朝から日差しがとても厳しいですが,宇宙関係の本を読むと,ちょっぴり涼しくなります。
(2012年7月)
今日は,午前中は部活,午後は市総合教育センターでの研修でした。内容は,小学校道徳の授業改善に関するものでした。小学校の内容でしたが,昨年も参加しましたので,今年も参加してみました。うちのサークルでは,小学校と中学校の道徳にあまり壁みたいなものは感じません。しかし,公的な研究会などに参加すると,ちょっとした違和感というか温度差を感じます。さて,今日の研修です。結論から言えば,予定調和的で,ねらいが見え見え,先が読めるなど,私から見ると魅力がない資料(「モムンとヘーテ」)でした。指示発問もあまり工夫がないなと思いました。ねらいは,おそらく「友達って何?」でしょう。流れは,こんな感じです。
①資料をすべて一気に読む
②話の感想を書かせる
③資料に書いていない,登場人物モムンとヘーテの会話を考えさせる
④これを役割演技で発表させる
⑤どんな会話がいいかを全体で考えさせる(「合意形成」というそうです)
深澤先生が言っていた言葉を思い出しました。
「素晴らしい道徳授業は,大人も感動させるものだ」
教師だけが納得し,子どもの心を揺さぶった授業とは言い難いものでした。
研修の帰り,ツタヤに立ち寄り物色して,「天才 柳沢教授の生活」の新刊が出ていましたので,購入しました。私が,毎回購入している唯一のコミックです。今回は,久々にいい話が多く掲載されていて,満足しました。特に,第1話の「彼女に聞きたくて」という話がよかったです。いつか,道徳授業をつくりたいと考えています。考えてから約8年もたっていますが…。
(2012年7月)
現在,道徳の時間の年間カリキュラムを作成しています。本校独自のものです。市教委から,指導があったわけではありませんが,そろそろトップダウンで提出を求められそうな感じだからです。作成にあたり,いろいろな出版社が出している,いわゆる副読本の見本を取り寄せ,目を通している最中です。内容項目と資料をすべて抜き出し,一覧表にしています。これが大変な作業なのです。各学年35時間分ですから105個の資料を読みます。しかも,6社分ですから,630個の資料に目を通すことになります。もちろん,細かく読むのではなく,流して読んでいます。このような作業を進めていると,いろいろなことが見えてきます。例えば,出版社の色です。例えば,必ず使われている資料です。例えば,昔から使われている古典的な資料です。これに文部科学省が出している「中学校道徳 読み物資料」も加えるつもりです。部活の指導の前後で作成していますので,まだまだ終わりそうもありません。今年の夏は,これを完成させることが大きな仕事になります。
さて,今朝も読書をしました。この本を読むと,亡くなった母を思い出しました。私の家庭は,貧しかったと思います。小学生の頃の記憶です。父親の収入だけでは家族を養うことができなかったのでしょう。時折,母は日雇いの道路工事の作業に行っていました。男に交じって働くのですから,大変な苦労があったと思います。一番母に甘えたい時期に,すぐそばに母がいない寂しさがありました。50歳になった今でも覚えているくらい,寂しかったのだと思います。
そんな母と,姜尚中さんの母親が重なることもありました。母の強さと優しさを思い出した1冊です。 (2012年8月)
今日の午前中は,部活動の指導と道徳カリキュラムづくりでした。今日から,各学年の年間指導計画表づくりに入っています。心のノート,行事,学活,教科,総合などとリンクさせています。誰からもつくれと言われていないので,途中,ちょっぴり手を抜こうとも思いました。しかし,乗りかかった舟ですから最後まできっちりと作ろうと躍起になっています。
午後は,市総合教育センターでの授業改善「中学校・道徳」に参加しました。今回は,講師として福岡の占部賢志先生の講演会でした。今までに3回ほど拝聴しましたが,ここまで歴史の素晴らしさを語ってくれる人は知りません。いつも日本人ってすごいな,素晴らしいなと感心します。今回一番印象に残ったのは,教師に大切なことは「言葉の力」を持つということです。確かにそうだと思います。それに加えて,その言葉を誰が言うのかということも重要になってきます。同じ言葉でも,言う人が違えば,相手の心にまったく響かないこともあるからです。言葉に魂がこもっているのか,情があるのかということだと思います。あっと言う間の2時間でした。
さて,読書ですが相変わらず,5時から6時までの朝読書というリズムです。今回は,来週の講演会で小惑星探査機「はやぶさ」の開発に携わった方の話を聞きます。その予備知識を得るために読みました。絵本形式でかかれているので,とてもわかりやすかったです。よくは知りませんでしたが,「はやぶさ」の地球帰還というのは,日本の宇宙開発の歴史から考えるととてもすごいことだと思いました。アメリカのアポロ13号に近い奇跡ではないのかなと思いました。講演会が楽しみになりました。(2012年8月)
「大和撃沈編」に次ぐ2冊目です。平和学習を行うこの時期に平和や戦争に関する本を読みます。係りから配られたプリントだけを読んで生徒に語ることはしたくありません。まずは知ることです。知ることにより考えます。こうやって自分なりの考えをもつことができるのだと思います。生徒も同じでしょう。いろいろな本や話や映画やドラマなどから新しいことを知るのです。まずは,ここから始まるのです。
<引用始まり>
「多くの人々が,多くの才能が,そのそれぞれの夢を抱きながら,国によって殺された。言うまでもなく,祖国が戦いに敗れようとする時に,若者が生命をかけて国に身を挺するのは当たり前だが,国には,その国民の死を求めるのに節度があります。特攻を命ずるなどの国行動は,狂気の沙汰であり,国の行動としての節度を超えます。」
<引用終わり>
重い言葉です。日本は戦争の終え方を知らなかったという言葉を思い出しました。向かうのも勇気,逃げるのも勇気なのです。(2012年8月)
読破しようと何回もチャレンジして,結局いつも途中で断念してしまう本があります。例えば,夏目漱石の「こころ」や筒井康隆の「虚航船団」などです。この本も,第1章だけ読んでほったらかしていました。いざ,気合を入れて読み始めるとなかなか面白かったです。特に面白かったのは,最後の「番外編 眠れる分度器」です。読みようによっては,教育論みたいな話です。次の話がよかったです。
自分の腕を生徒に噛ませた教師と噛んだ生徒のセリフです。
<引用はじまり>
「どうだ,時田,先生の血は?」
「あったかくって,ぬるぬるします。変な味がする」
「それが,生きているってことだよ」
「生きている血には,味がある。おまけにあったかい」
「じゃ,死ぬと味がなくなっちゃうんですか?」
「そうだよ。冷たくて,味のないのが死んだ人の血だ」
「だからな,死にたくなければ,冷たくって味のない人にはなるな。いつも,生きている血を体の中に流しておけ」
<引用終わり>
(2012年8月)
タイムリミットが迫ってくる推理,サスペンス小説を読むようになりました。この本も,死刑執行というタイムリミットが迫る容疑者の冤罪をはらすために,事件を捜査していく2人の男の話です。手がかりは,「階段」の記憶のみ。さあ,どうやって真犯人を探し当てるのか。時間は迫ってきます。なかなかの出来でした。あと1冊ぐらい高野さんの本を読んでみようかなと思います。
午後は,実家へお盆の集いで出かけます。長崎市程ではありませんが,小さな精霊舟をつくり流します。爆竹が鳴る中で大きな精霊船を流すのもいいですが,小さい舟に仏様をのせてかえすのも風情があっていいです。昨日までの大雨が心配でしたが,今日は夏らしい絶好調の日差しが降り注いでいます。夕方には涼しくなるのかな。 (2012年8月)
今日は,朝から部活に行き,午後は道徳授業年間計画の最終チェックと9月3日に発行予定の学年通心の作成をしました。その合間に,この本を読破しました。以前から,鍵山さんの言葉を通信や懇談会などで紹介してきましたが,この本にもたくさんのいい言葉が書かれていました。さっそく,ノートに視写していくと3ページにもなりました。
例えば,
素手で掃除を行う理由として,「人間の指先は非常に敏感にできている。直接感じることが問題解決の早道である。ゴム手袋や長い柄を使うとその分だけ感覚が遠ざかる。つまり問題から遠ざかるということである。直面する問題から逃げずにできるだけ近づいて対処することである」
また,言葉の引き出しが増えました。ありがとうございます。(2012年8月)
下巻も一気読みでした。人間を尊重し,人間を信頼し,人間を愛した国岡鐡造の一生。日本人に誇りを持てる1冊です。鐡造と部下の会話より
<引用はじまり>
世界最大の巨大タンカーを驚きと感動の目で見つめる全国から集まった少年少女の姿を,鐡造は艦橋から嬉しそうに眺めていた。
「東雲よ,見たか。あの子たちの目を」
鐡造は言った。
「瞳が輝いておる。あの子たちは二十一世紀の日本を支えていく子供たちだ」
「三十五年後ですから,私も見ることはありません」
二人は笑った。
「どんな国になっているでしょうか」
「日本人が誇りと自信を持っているかぎり,今以上に素晴らしい国になっておる」
鐡造はもう一度甲板に目をやると,歓声を上げている少年少女たちを,まるで宝物を見つめるようにいつまでも眺めていた。
<引用終わり>
出光佐三さん95歳の生涯でした。(2012年8月)
明け方から,台風の影響で風雨が強くなりました。久々の台風で心配していましたが,大きな被害もなく一安心です。今日は,このような悪天候のため外出を控えて,通知表用の評価と学年通信作成をしました。そして午後は,久々に読書をしました。以前読んだ「聖の青春」で感動しましたので,同じテーマ,同じ作者である本書を古本屋で購入しました。
棋界には,厳しいルールがあります。奨励会には,満23歳の誕生日までに初段,満26歳の誕生日を含むリーグ戦終了までに四段にならなければ退会というルールです。四段からプロとして認められ,給料や対局料などの収入も得られますが,三段ではその保障がまったくありません。この本は,この戦いに敗れ,棋界を去った若者のその後を追ったノンフィクションです。将棋をまったく知らない私でも,ぐいぐいと引き込まれました。大崎さんの本をしばらく追ってみようと思います。
この本を読み終えたぐらいから,雨もやみ,少し明るくなってきました。 (2012年9月)
大崎さんの有名な「聖の青春」と「将棋の子」を読みました。この2冊は将棋の世界を描いていました。今回は,同じノンフィクションですがテーマは「愛」です。2001年8月15日付の朝日新聞に次の記事が掲載されました。
邦人男女,ドナウで心中 33歳指揮者と19歳女子大生 ウィーン
たったこれだけの記事ですが,大崎さんは何かひかれるものがあり,この心中事件を調べていきます。どうして19歳の若い女の子が異国の地で死ななければならなかったのでしょうか。
読み進めていくうちに,彼女の深い愛が見えてきます。
最後の方にこの女子大生の写真が掲載されていましたが,笑顔で写っていることがよけいに痛ましかったです。
人を愛することで悩み,喜び,苦悩し,支え,支えられる,そして別れ。
将棋とは全く違ったジャンルのノンフィクションですが,こちらもよかったです。
(2012年9月)
将棋の世界に興味を持っています。それでこの本もネットで注文しました。タイトルからもわかりますが,プロの棋士を目指して奨励会に入っあ瀬川さんが,26歳までに4段になれずに,将棋の世界から離れていまいます。その後,会社員になりますが,プロ棋士への夢を忘れることができずにいました。そこで,アマでも途中編入ができるような制度をつくってほしいという嘆願をした結果,認められて晴れてプロの棋士になったのです。しかし,これは簡単なことではありません。5段,6段の錚々たるプロたちに勝たなければならないのです。それを乗り越えてプロの棋士になった瀬川さんの生き方に励まされます。やはり,将棋の世界はとても魅力的です。(2012年9月)
朝日新聞の特集でいじめについて,著名人がメッセージを送るコーナーがありました。途中で朝日新聞を購読することをやめたので,この後,どんな人がメッセージを送ったのか,わかりませんでした。サークルまでに時間があったので,書店で物色して見つけました。あさのあつこさんや松井秀喜など62名の有名人がズラリと並んでいます。中でも一番,心に残ったのは,作家の高史明さんと美輪明宏さんのものです。
高さんは作家です。37年前に一人息子を自殺でなくされました。その息子さんが書いた詩をまとめて「僕は12歳」という本を出されました。
〈引用はじまり〉
命は一つだから大切なのではなく,君が家族や友人たちと,その足がふみしめる大地でつながっている存在だから貴重なのです。切羽つまった時こそ,足の裏の声に耳を傾けてみてください
〈引用終わり〉
(2012年10月)
テレビタレント化しているMさんよりも,池谷さんの方が信頼できると思っています。この本は,最新脳科学的に受験勉強をどうすればいいかを分かりやすく紹介しています。
特に海馬の話は面白かったです。大脳皮質は,記憶をする部分ですが,見たもの,聞いたもの,感じたものなどすべての情報を記憶しようとすれば,5時間でパンクしてしまいます。そのために,海馬が取捨選択して必要な情報だけを大脳皮質へ送っているのです。となると,受験勉強の情報は,人間にとって必要な情報なのでしょうか。生物である人間にとって必要な情報は,生命に関わるものです。ここから考えると,受験勉強の情報はいらない情報ということになります。このいらない情報を大脳皮質に送り,記憶させるためには,何度も繰り返し送り,これは必要な情報であると海馬をだますことが大切なのです。このように脳科学的に言っても,復習をすることはとても有効な学習方法だと言えます。
この本の情報を,学年通心に掲載したところ,育友会の会長さんからためになったといううれしい返事をいただきました。 (2012年10月)
Eテレの番組「バリ・バラ」はNHKの冒険番組だと思います。今まであまりテレビで取り上げなかった障がい者の性について,ソフトですが,取り上げているからです。
さて,このブログは生徒も読んでいますから,本の内容については詳しく書けません。
しかし,タブー扱いされてきた障がい者のセックスについてのノンフィクションです。読みながらショックを受ける部分もありましたが,とても大切なテーマだとあらためて思いました。
その昔,山田太一さんの脚本で「男たちの旅路〜車輪の一歩〜」という素晴らしいドラマがありました。この中で,車いすの青年が両親に頼んでお金をもらい,風俗店に行く場面がありました。しかし,どの店からも断られて,結局何もしないまま家に帰ります。両親には,断られたことを告げられずに嘘をつきます。青年は泣きながら笑います。このシーンがずっと頭の片隅ありました。
そこでこの本を読んでみました。とても刺激的な本ですが,このような問題があることを知っておいて欲しいと思います。(2012年10月)
読書癖というものがあります。それは,いったん読み始めると次の本,次の本とどんどん新しい本を探して読みたいという読書欲がわいてきますが,しばらく読まない日が続くと読みたくなくなってしまいます。
最近は,読まない日が続いていました。しかし,100冊読破できない可能性もありますから,何とか残り2か月で頑張りたいと思います。
そこで,昨日の社会科部会が終わった後でTUTAYAに立ち寄り,新刊を物色しました。今回は,今まで読んだことがない作家の文庫本を探すことが目標でした。いろいろとぱらぱら読んで購入したのが,この本です。小路幸也(しょうじゆきや)さんです。とても読みやすく中学生でもOKです。
命が残りわずかな人のそばに,獏(ばく)という人物が現れます。この獏は,その人の思い出を食べさせてもらうかわりに,それまでの人生で取り戻せるものを1つだけ与えてくれます。つまり,人生の分岐点に戻りやり直した別の人生を見せてくれるというのです。
なかなかの構成で楽しめました。そうきたか!という落ちもなかなかです。別の作品を読んでみようと思います。 (2012年10月)
「リライブ」でなかなか気に入ってしまった,小路さんの2冊目です。「リライブ」よりは,評価は落ちます,静かな青春小説です。高校生の頃に読みたかった1冊と言っていいでしょう。
しかし,いい言葉がありましたので引用します。
〈引用はじまり〉
人に迷惑を掛けるような奴はそれだけでマイナスなんだ。そこから這い上がったってようやくそれで普通にちゃんと生きている人間に追いついたってことなんだ。いるじゃん,昔はワルかったってのを売りにしているような奴。ああいうのを見ると思うんだ。お前に迷惑を掛けられた人間がどういう思いでいるか,そういう人たち全員に許してもらってお前はそこにいるのかってさ」
〈引用終わり〉
(2012年11月)
79「子供の名前が危ない」(牧野恭仁雄 ベスト新書)
先日,このブログで紹介した,ビブリオバトルで紹介されていた本です。著者が命名研究家というちょっぴりあやしい内容かなと思って読み始めると,どうしてどうして面白かったです。珍しい名前をバカにするのではなく,その名前が流行する時代背景などを通して考えるという点に興味を持ちました。もっと詳しく言えば,その時代の世相をそのまま表すのではなく,日本人の欠乏感を表しているのだそうです。
戦争中,日本の勝機が薄くなった頃は,「武」「勝」「勇」「勝利」「進」などの名前が増え,自然の大切さが叫ばれた頃は,「さくら」「若菜」「大地」「拓海」「翼」などが増えているのです。
さて,最後に次の名前が読めますか?
①万愛鈴 ②円久 ③八月 ④富良日 ⑤多生人
答え
①マーリン ②マルク ③オウガ ④プラス ⑤タフト
こりゃあ,読めん。(2012年11月)
女性を扱った道徳授業をつくろうと思って,この本を購入しました。宝塚歌劇団の歴史は90年以上あります。戦争に翻弄され,利用されるという厳しい中でも,未来を信じ,歌を忘れずに逞しく生きた女性たちに感動します。
<引用はじまり>
工場の片隅で,それでも玉井浜子さんはたえず歌っていた。歌は現実ではなく,また,悲愴でも絶望でもない。歌があるかぎり,そこには別な世界が開け,たえず希望をつむぎだしてくれる。幸いなことに,歌だけは数かぎりなく知っていた。思えば,その歌う歌はすべてタカラヅカで学んだものであった。それゆえ,歌っている限り,タカラヅカは彼女の血肉であり続ける。そして歌うことで,心はやすやすと現実を飛び越えていき,ここではない,はるか遠い自由で明るい夢の場所へと飛び立っていけたのだろう。
<引用終わり>
(2012年11月)
1980年代,私は大学生でした。地方の大学でのんびりと過ごし,いろいろな人と出会いました。それらの人々から,本や映画や音楽などを紹介してもらいました。中でも研究室OBのHさんが古本屋を経営されていましたので,毎日そこに転がり込みマンガ本を読み漁っていました。また,Hさんから紹介された本も読んでいました。大学時代は,宙ぶらりんな感じを常に持っていました。特に,この本のタイトルである19歳,20歳は就職や将来のこともあまり考えていない,ふわっとした年代なのかもしれません。
この何ともいいようのない大学生の姿を実にうまく描写した本です。あの頃が,懐かしく思い出されました。もう30年も昔のことです。大学生活を過ごした地方都市Y市に行きたくなりました。そんな歳になったのですね。 (2012年11月)
ついに,桜田門外の変が起こりました。いつもなら,ギャグがちりばめられていて笑いを誘うのですが,さすがに今回はギャグを最小限に抑えてリアルな描写でした。一人ひとりの動きを細かく描いてあり,分かりやすかったですね。
しかし,歴史的な大事件がわずか3分程度だったということに驚きました。
吉田松陰の時もそうでしたが,井伊直助の首をとった後,どうなったかを細かく描いてあり,大いに参考になりました。こういった部分をきちんと知ることで,授業の深まりが出てきます。しかし,このコミックは出版されるのが遅いので前の話を忘れてしまっていることが多いです。ですから,いつも前巻から読み直すことになってしまいます。
12月に突入しました。残り13冊です。(2012年12月)
冷え込みが厳しく,あまりの寒さで5時半に起きてしまいました。せっかくの日曜日ですから,二度寝をしようと思ったのですが目が冴えてしまい眠れませんでした。あきらめて読書をしました。本を持つ手が寒く毛布をかぶって読みました
越谷さんは「陽だまりの彼女」で気にった作家さんです。
さて,この本の表題作である「金曜のバカ」は恋愛小説なんですが,普通のものとは違います。例えるならば,痛快対決恋愛小説といったところでしょうか。
じめっとした恋愛小説やドロドロした恋愛小説が嫌いな人におすすめです。
本格的に起きて外を見ると,雪が降っていました。おそらく初雪でしょう。そんな寒い中,部活に出動しました。 (2012年12月)
86「一斉授業10の原理 100の原則」(堀裕嗣 学事出版)
結論から言います。中学校若手教師は絶対にこの本を読むこと。
この本を若い時に読んでいれば,ちょっとはましな教師になっていたかもしれないと思わせる素晴らしい本です。
いろいろな教育実践者のエキスがつまっています。原則というのは,技と言ってもいいかもしれません。100の原則の中には,日頃の授業で使っているものも数多くありました。その原則がきちんと目的が書かれているため,納得することも度々でした。
一斉授業の必要性とその方法については,学力研の久保斎先生の本や講演が大いに参考になりました。そしてこの堀先生の本で頭の中が整理された感じがします。今年読んだ教育書で一番の収穫だと言えます。繰り返し読んで,ノートに整理していこうと思います。初任者研修で絶対に使ってほしいと思います。 (2012年12月)
副題は,吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日です。津波による福島第一原発での大事故を扱ったノンフィクションです。この本には,映像で見ることができなかった男たちの凄まじ闘いが描かれています。すべての電力を失い暗闇の中で原子炉を冷却するために,高いレベルの放射線で汚染された施設の中,命をかけて日本を守った男たち。東電の職員,協力企業の人々,自衛官など。最悪の事態となれば,チェルノブイリ事故の10倍の被害が出て,しかも日本は北海道,九州,そして汚染された本州の3つに分割される危険もあったそうです。
事故の復旧にために消防車で真っ先に駆けつけた自衛官は,こう答えています。
「あたりまえのことをしただけです。」
なんと素晴らしくかっこいいのでしょうか。
日本を救うために自らの命を投げ出す覚悟と行動があったことを子供たちに伝えて行きたいと思いました。
最後に門田さんの言葉を紹介します。
「この作品で描かせてもらったのは,原発事故の悲劇の実態と共に,最悪の事態に放り込まれた時に日本人が発揮する土壇場の底力と信念だったかもしれない。」
原発0,卒原発など選挙の道具に使われた感が強い原発ですが,このような人々がいたことを知った上で,賛成,反対を考えて欲しいと思いました。久々の★5つ本です。 (2012年12月)
今日は,朝から部活に行きました。自宅を出るときは,降っていなかった雪ですが,部活が終わり帰る途中で,はらはらと雪が降ってきました。雪予報が出ていましたので,もっと降るのかなと思っていましたが,そうでもありませんでした。
午後は,妻の買い物の手伝いでスーパーに行きました。さすがに年末です,店内は多くの買い物客で賑わっていました。
この本の著者,高橋さんはノンフィクション作家なんですが,身近なものや素朴な疑問をテーマにしてくれます。ですから,読後,心がズシりと重くなることはありません。読んでいてニヤリとすることが多いですね。
趣味というのは,人それぞれですが,こんな趣味があったのかというものも紹介されています。例えば,「航空無線傍受」です。こんなやりとりが書いてありました。
〈引用始まり〉
ーな,何が面白いのでしょうか?
「つまんないでしょ」
ーというより,どこが面白いのか,と…
「つまんないですよ」
「誰もやっていないだろうということをやるのがマニアです。流行ったら終わりなんです。」
〈引用終わり〉
趣味というは,人と同じではないほうがいいように感じます。人と違った趣味ならば,堂々と言えるような気がします。しかし,あまりにも常識離れした趣味だと相手も離れてしまいますね。
私も「趣味は何ですか?」と聞かれたら,「読書」「映画鑑賞」ぐらいしかこたえられません。これでは自分をアピールできませんね。ちなみに男性の趣味の上位は,
1位 ドライブ(50.36%)
2位 映画や演劇の鑑賞(30.13%)
3位 パソコン。インターネット(24.99%)
4位 国内旅行(22.58%)
5位 読書(21.18%)だそうです。
(2012年12月)
今日は,朝から頼んでいたクリスマスケーキを店に取りにいきました。イブは今日ですが,2人の息子が明日帰ってくるため,うちのクリスマスパーティーは明日です。午後は,生徒用の年賀状を作成しました。結局3種類の年賀状を作成しました。親戚用,教育関係者用,生徒用です。
さて,雑用をしながら隙間の時間を見つけて,100冊完全読破を目指してがんばっています。
この本は,本の雑誌社のオススメ本という宣伝文句が書いてありましたので,買ってみました。初めて読む作家さんでしたが,躍動感ある文章,中学生が気に入るような小道具や設定でした。
最近は,暗くて重い家族小説が多いなか,この本は明るく前向きになれる内容でした。落ち込んだ時などには,ちょうどいいかもしれません。ケーキも豪華な食事もない聖夜では,ちょっぴり寂しいので,妻にほんの少しの花を買ってあげました。(2012年12月)
19世紀,イギリスはアジア貿易の交通路を求め北極海を通過する北西航路を開拓するために,極地探検に力を注いでいました。
その代表的探検家として,ジョン・フランクリンがいます。彼は,イギリス国王の依頼で部下128名を連れて北極海の探検に出ます。しかし,極寒やビタミン不足から来る壊血病,そして食糧不足などが原因(とされている)で全員が死亡するという最悪の結果になってしまいました。
そのフランクリン隊が通ったコースをたどり,フランクリン隊がどうして全滅したかを探るノンフィクションです。
角幡さんは,仲間と2人で103日間にわたり約1600キロを橇を引きながら歩きました。マイナス30度という極寒,しかも乱氷で歩きにくい状況でした。北極熊の恐怖に怯える時もありました。
こういった極限状態で人間には何ができるのか,どうなるのか,どうすれば生き残れるのかということに対して,以前からずっと興味がありました。いろいろな探検もの,漂流もの,登山ものなどをいろいろと読みあさってきました。
グーグルアースで地球上どこでも見られる時代となり,冒険や探検に魅力がなくなってきているように思います。しかし,こんな時代だからこそ,自分の目で見る,肌で感じる,耳で聞くなどを大事にする角幡さんの冒険に惹かれるのかもしれません。
探検について,角幡さんは,こう書いています。
〈引用はじまり〉
探検家が探検をすることには多くの人が様々な理由をつけてきた。それは社会的名誉だったり,軍人社会での出世だったり,他国との領土拡大競争の結果だったり,商業的な側面からの要請だったりした。もちろん部分的には正しかっただろう。しかしそれらは私にいわせると部分的にしか正しくない。そんなことは人間が探検をする本当の理由にはならない。探検をしない人たちが考え出した分かりやすい理屈に過ぎないのだ。悩みや葛藤や逡巡という要素を取り除いた,やらない人たちが納得するためだけの,きれいに体裁を整えた説明なのだ。
〈引用終わり〉 (2012年12月)
昨年の暮れにテレビドラマ「鈴木先生」全11話を見て,一気にはまってしまいました。
すぐにネットの古本屋にコミック全巻を購入しました。
届いたのが元旦で年賀状とほぼ同時でした。
正月三が日ゴロゴロしながら読み始めましたが,これが止まりません。テレビドラマと同じとは分かっていますが,細かい部分が違っていて,面白いのです。
時々,楳図かずおタッチの絵に脅かされますが,何よりも鈴木先生の語りが魅力的です。哲学的な語りに抵抗があるかもしれませんが,是非一度読んで欲しい漫画です。
今年映画化されましたので,そちらも見たいと思います。さあ,急いで続きを読まなければ。
この漫画のせいで実力テストづくりが中々進みませんでした。明日は,今年初出勤ですから,学校で完成させるつもりです。
昨年は,96冊しか読破できませんでしたから,今年は100冊読破を目指していこうと思います。どんな本と出会うかとても楽しみです。 (2013年1月)
ついに読破しました。全11巻。漫画とはいえ,読み応えがありすぎて時間がかかりました。全巻を通読するといろいろな伏線がはられていたことがわかります。
鈴木先生の説教でもない,情熱的でもない,哲学的な語りによって,生徒たちも少しずつ成長していきます。もちろんこんな語りをしても,目の前の中学生はほとんど理解できないでしょう。しかし,教師としての構えについては学ぶべき点が多々ありました。例えば,次のようなものです。
〈引用はじまり〉
実際現場に入って担任を持てば,クラスの生徒と一年間,関わり続けることができる。そうなったとき,普段からその場だけの効果にとどまらない応用力を持つ生きた指導を心がけていれば,夏までには四ヶ月分,冬までには八ヶ月の手立てを積むことができるだろう。未来の自分がピンチにのときによりよい指導ができるように,手立てのもとをタイムカプセルを土に埋めるようにして,生徒らの胸のなかに埋めておくんだよ。そして,その過去の自分からのプレゼントたる手立てが生徒から届けられたとき。その瞬間の自分の脳力をフル回転して,心の汗をかきまくって…仕込んでおいたものが生み出してくれるその瞬間の手立てを,もらさず最大限に活用し,目一杯打ち込むんだよ!
普段からのたゆみなき工夫とその場の全力投球。教師が二つをしっかりやれてなきゃあ,生徒らに…普段の授業をいいかげんに聞いて,テスト前の詰め込みだけでOKだと体で言っているようなもんじゃねえかな?
〈引用終わり〉
明日からいよいよ授業開始です。この漫画のおかげで生徒の見方が少しだけ変わってくると思います。(2013年1月)
国際霊柩送還士の仕事を追ったノンフィクションです。国際霊柩送還士とは,不慮の事故や災害などにより外国で亡くなった方の遺体を本国の自宅まで届ける人々のことです。
しかし,遺体を運ぶだけではありません。できるだけ生前の姿に戻して届けるのです。
遺体によっては,顔の原型をとどめていないものもあります。それを見事に復元して,遺族に届けるのです。遺体だけではなく,遺族のことを真剣に考えて,行動する姿に感動しました。こういった人々が,我々の知らないところで日夜活躍しているのです。
〈引用始まり〉
日本人がより強く遺体に触りたいと思い,遺体を抱きしめたいと願うんだよね。アメリカの人もヨーロッパの人もあまり遺体には触ろうとしない。(中略)日本人は違うよ。みんな亡くなった人が帰ってくると痛いの手を取り,足をさする。小さな子を亡くしたお母さんは,その子を抱きしめたまま泣いて,泣いて,どうしても放さなかったんだよ。周りの人たちはそれを引き離すのが大変だったんだ。だからね,私はママがキスできるようなご遺体にして帰してあげたい。それが私の願いなんだよ。」
〈引用終わり〉
この本を読むと,映画で見た「おくりびと」がきれいすぎるように思えてきます。
(2013年1月)
以前から読もうと思っていましたが,タイトルがキツそうなので敬遠していました。
文庫になったことをきかっけに購入しました。
内容は,定年退職後どういう人生を送ればいいのかというものです。この本を読むと,藤原さんは人生の決断を何回となくされてますが,こういった決断ができない人がほとんどなのです。ですから,この本を読んでいくに従い,定年後苦しい坂が待っているという閉塞感だけが残ってしまいました。
明日から仕事を頑張ろうという気持ちになれない本です。
しかし,私も残りの10年間で定年後どうするか,ボチボチと考えなければいけません。
(2013年1月)
今日は,節分です。毎年のことですが恵方巻きを食べ,豆まきをしました。
2人の息子は自宅を離れて生活していますから,寂しい節分ですが,こういった年中行事は必ずやるようにしています。
さて,大好きな吉村昭さんの本です。「長英逃亡」「戦艦武蔵」「高熱隧道」「破獄」「大黒屋光太夫」など有名な作品は読破しました。
こういった作品とは別に,旅ものも好きです。取材で訪れた場所での住民とのふれあい,会話,聞き取りなどこういった現地取材を入念に行うことで,記録文学とよばれる素晴らしい作品が出来上がったのだと思います。
特に,零戦を工場から飛行場まで牛車で運んだということを知ったことが,「零式戦闘機」を書くきっかけになったそうです。確かに面白い光景が目に浮かびます。
吉村さんは,亡くなってしまいましたが,未読の作品もありますから,じっくりと着実に読んでいこうと思います。(2013年1月)
ニッポン放送の「うえやなぎまさひこのサプライズ!」というラジオ番組で取り上げられた,23のいい話が収録されています。1話5ページ程度ですから,手軽に読むことができます。
昔々,大学4年生の頃に就職活動で某新聞社を受検しました。1次試験は何とかパスして2次の面接試験で,どんな記事を書きたいかという質問がありました。
その時に,悲しい,辛い,痛ましい記事が多いので,読んだ人の心が温かくなる記事を書きたいと答えました。
結局,その新聞社の内定はもらえませんでした。
この本には,名前も知らない人たちの心温まる話がつまっています。
この本を読み終えて,目立たないところで,いろんな人ががんばって生きているんだなと改めて感じました。
折に触れて,道徳や朝の会や学年集会などで紹介していきたいと思います。 (2013年2月)
書名と著者が同じなので,おやっと思った人もいるでしょう。間違いではありません。この本は,田中宏和運動が全国に広がっていく様子を描いたドキュメントです。
同姓同名の田中宏和さんたちが集まり,新たな田中宏和さんを探して会いにいくという,ユニークな運動なのです。もちろん遊びですが,その徹底ぶりには驚かされます。
Tシャツ,タオル,名刺はもちろんですが,何と田中宏和の歌まで作られています。
田中宏和さんの集団が一同に会すると,相手を何と呼ぶのか。
そこのところは,本を読んでくださいね。
公式ホームページはこちらです。これだけの数の田中宏和さんの写真があると,圧倒されます。感動します。是非,ごらんください。
ネットで調べると,私と同姓同名も数名いました。珍しい名前なのに,同姓同名がいることに驚きます。日本は広いです。
http://www.tanakahirokazu.com/ (2013年2月)
昨晩は,11時頃にベッドに入り読書を始めました。いつもならば1ページも読まないうちに睡魔が襲ってくるのですが,昨晩は読書欲が睡眠欲を打ち負かし,結局読破してから寝ました。
さて,今朝はゆっくりと起きようと思っていましたが,年齢のせいでしょうか結局7時半には,起きてコーヒーをたてました。
今日は,期末テスト前で部活もなく,久々にゆっくりとした1日でした。
午前中は,明日の道徳授業公開のための資料作成と確認とリハーサル,そして期末テスト作成とバタバタとした半日は過ごしました。
昼食は,久々妻とふたりで外食に出かけました。今までは,いつも2人の息子を加えた4人でしたので,ふたりきりは本当に久しぶりでした。味も値段も内容も満足の料理でした。
さて本です。こちらも久々のシーナ本です。『岳物語』から続いている私小説シリーズの最新刊です。シーナも3人のじいじになってしまい,孫を相手に悪戦苦闘の日々を送っています。シーナさん独特の視点と表現が随所にあり,心が温かくなりました。
新刊が出てもすぐに買わなくなったシーナ本ですが,しばらくぶりに読み,その面白さを再確認しました。
で,先ほどネットで3冊注文しました。(古本ですが…) (2013年2月)
先日の東京出張は,飛行機が苦手なため新幹線で往復しました。特急と新幹線を使うと片道7時間以上かかります。これだけの時間をかけてゆっくりと読書ができました。読んでいる途中で軽い睡魔が襲ってきて,しかも新幹線の振動が心地よくて気づいたら寝てしまっている。そんなひと時がたまらなく好きです。
さて,往復で14時間以上かかりましたから,結局3冊を読破しました。
今回は,私が一番気に入っている百田尚樹さんの最新刊である『夢を売る男』です。前作の『海賊と呼ばれた男』で精神と肉体がボロボロになってしまったのでしょうか,最新作は,肩の力がふっと抜けたような軽い話でした。出版業界の裏側を描いてありますが,これが事実ならここまで書いていいのでしょうか。ちょっぴりホント臭いと思う部分もありますが…。
まあ,百田尚樹さんも疲れたのでしょうね。ということで,百田作品で初めての★2つにしました。残念です。量産してはいけませんね。 (2013年2月)
教師をする前に,2年ほど肉体労働をやっていました。ハードな仕事が終わり自宅に向かう車の中でよく聞いていたラジオ番組が「小沢昭一の小沢昭一的こころ」でした。
お囃子が流れ,あの名調子が聞こえてきます。
軽妙な語りとユーモアと蘊蓄でとても楽しめる番組で,1日の疲れがフッととれた気がしていました。
さて,小沢昭一さんは昨年,お亡くなりになりましたが,この本を読むと,小沢さんのあの名調子が蘇ってきました。
この本を読むと,その蘊蓄にも驚かされます。その中の1つを紹介します。
〈引用始まり〉
母乳といいますものは,この血液が変化したものっていうのは,まあどこかで聞いたことがあるようですけれども,なんともこの血液が胸に来て,わずか1分で真っ赤な真っ白になるんだそうですよ,お乳に。すごいもんですね。
〈引用終わり〉
テレビと違い,ラジオは語りだけで聴く人にイメージをつくってもらわなければいけません。つまり,表現がうまくないと,聞いている人には全く伝わらないのです。堅苦しい表現でもダメです。ユーモアがないといけません。そういった意味でも,ラジオ番組を聞くことで,話術を学ぶことができると思っています。
「また明日のこころだ〜っ」(2013年2月)
先週の出張で新幹線を利用しましたが,その往復で3冊の本を読破しました。荷物が重くなるので,書斎にある未読の文庫本を適当に入れて出ました。
その1冊が,この「ラッシュライフ」です。今までに伊坂さんの本は「砂漠」を読んだだけです。その時の印象があまりパッとしないものがありましたので,読まずに1年以上,書斎で眠っていた本です。
結論から言えば,やはりダメでした。肌に合わないという感じですね。読みながら,昔々見た映画の「チュエーンリアクション」を思い出しました。いろいろな出来事がそれぞれ絡み合って展開していくという,とても面白い構成の映画でした。しかし,この本は,今ひとつでした。
おそらく,これからも伊坂さんの本は,読まないだろうなあ。(2013年2月)
今日は,昼にまたがる時間帯での部活でした。この時間帯が一番やっかいです。11:00前に早すぎる昼食をとり,2時間半の部活を終えて帰宅するのは15時頃です。こうなると1日が終わったなという感じです。夕食までソファに寝転がって読書をするぐらいしかありません。
ということで,毎晩寝る前にちょっとずつ読んでいた「夏のバスプール」を読破しました。初めての作家でしたが,ドキドキさせる恋愛小説で最後まで一気に読ませる筆力がありました。
次は「海が見える街」を読んでみようと思います。
さあ,これから月曜日発行予定の学年通信のネタ探しをします。これが中々大変です。頑張ります。 (2013年3月)
東日本大震災の影響で,卒業式を中止した埼玉県立教新座高等学校の校長先生が,HPに掲載したメッセージがネットで全国に広がりました。それをまとめたものがこの本です。
詩的でしかも骨太のメッセージに胸が熱くなりました。
特に印象に残った部分を引用します。
〈引用始まり〉
謙虚さを失ってはいけない。与えられた命を自ら絶つ,などということは,傲慢以外の何ものでもない。常に命に謙虚であれ。
命二つ中に生きたる桜かな
松尾芭蕉が『野ざらし紀行』の中でよんだ句である。(中略)
私がここでこの句を紹介するのは,「命二つ」という発想が心に強く響いてくるからだ。私は「命ひとつ」と考えていた。それを芭蕉は「命二つ」と切り出したのだ。
かけがえのない命は,もちろん自分だけのもので,他の者と取り替えようはできない。だが,命は自分ひとりのものではあるが,ひとりで支えているものではない。
単数ではなく,複数の命によって支えられている。
他者の存在を意識することなしに,命はありえないのだ。
〈引用終わり〉
芭蕉の句も素晴らしいですが,この解説も素晴らしいです。命がどうして大切なのかについて,また新しい視点をもらうことができました。
この本に出会えたことに感謝です。
明日からいよいよ弥生3月です。
新しい命が芽吹く時です。 (2013年3月)
ベストセラーになり,映画化された「いま,会いにゆきます」の作者です。
昔から,へそ曲がりのところがあり,ベストセラー本は読まないことにしていました。それで,「今,会いにゆきます」はまだ読んでいません。
ある雑誌に,この本が面白いと書いてありましたので,こちらを買って読みました。
恋愛をテーマにした3つの話が入っていますが,一番よかったのは,タイトルにもなっている「ねえ,委員長」でした。
ラストも清々しくて,好印象でした。中学生にもオススメの1冊です。
次こそは,「いま,会いにゆきます」にチャレンジします。 (2013年3月)
今日は,昨日書き残していた学年通心を完成させました。
その後,この本を読破しましたが,はずれでした。お互いが言いたいこと言っているだけで,かみあうことがない,ただただ読んでいて疲れました。
この本に出てくるいくつかの,歴史的出来事をネットで調べていくうちに,youtubeの国会中継にはまってしまいました。
これがなかなか刺激的で面白いのです。
中でも興味を持ったのは,現在内閣府特命担当大臣である稲田朋美国会議員の発言です。
自民党が野党だった頃のもので,民主党の大臣や総理大臣に対する鋭い指摘や理論的に追い詰めるやり取りなどがとても刺激的でした。
新聞を読むより,国会中継を見たほうが政治についてはるかに分かりやすいし,何よりも国会議員の本当に姿が見えるのです。
ふさわしい例えではないかもしれませんが,探偵が犯人をジワリジワリと追い詰めていくようだと思いました。
稲田議員は何冊かの本を出していましたので,さっそく1冊購入しました。
挿入している動画は,大津いじめ事件についてのものです。 (2013年3月)
今日の午前中は,息子と一緒に墓掃除に行きました。
お彼岸ということもあり,あちらこちらの墓で,掃除をする人たちがいました。短い雑草がびっしりと生えていたので,むしりにくくて,時間がかかってしまいました。
いっそのこと,コンクリートで固めてしまえば,草むしりなどしなくていいのでしょうが,それでは,墓掃除に行く人も少なくなってしまいそうです。
やはり,お彼岸,お盆,正月ぐらいは,墓に行き,掃除をしてお参りするほうがいいと思います。
さて,この本ですが,家庭の事情で家族がバラバラになったエリート高校の少年が主人公です。
母親と離れて住むことになったところが,北海道の児童養護施設です。
ここをきりもりしているのが,母親の姉つまりおばさんのです。
そこで,様々な人々と出会い,大切なことを学び,少年が成長していく話です。
まあまあといったところでした。 (2013年3月)
昨晩は,転勤退職される先生たちのお別れ会でした。
ひとりひとりにユニークな卒業証書を渡しました。いろいろなエピソードを交えての感謝状みたいなものです。
私は,校長先生の卒業証書をつくり渡しました。以前,一緒に働いたことがありましたので,そのあたりのことをユーモアを交えて書きました。
寂しい気持ちをみんなもっていましたが,楽しいひと時でもありました。
さて,今朝はゆっくりとした朝でした。それで布団の中で,この本を読破しました。
東日本大震災で,傷ついた人々の再興がテーマです。再生と書かずに再興と書いたのは,再生は一度死んで再び生き返るような感じがするからです。
被災者の心,その心を思いやる人々を連作で描いています。
こういうテーマは,重松さんはうまいなあと思います。 (2013年3月)
小説に飽きた時に,無性に読みたくなるのは,シーナさんのスーパーエッセイです。
スパーエッセイとはシーナさんがデビューした時の宣伝文句です。
このスーパーはスーパーマンのスーパーではなく,スーパーマーケットのように何でもありますよといった意味らしいです。
さて,この本には雑学がたくさんつまっていますから,社会科の授業で使えます。
例えば,このネタ。
〈引用始まり〉
一番エライのが「サーロイン」でこれは牛の腰部上部に位置する。もともとはただの「ロイン」と呼ばれていたフツーの肉だったが,あるときイギリスの国王ヘンリー八世がこのステーキを食べて感激し「これはどこの肉か?」と聞いた。料理長はかしこまって「ロインと申します」と応える。感動続くイギリス国王は「うーむまことにこれは貴族のような肉だ。これからはこれにサー(貴族)の称号を与えよう」と言い,以降「サーロイン」と呼ばれるようになったという。
〈引用終わり〉
シーナさんは,世界の辺境地の冒険を何回もやった人ですから,これまた世界地理の面白ネタがたくさんあります。ゲテモノ食や怪しい生物など生徒が喜びそうなもあります。
くだらないと言えば,くだらないのですが,ちょっとした息抜きに読むにはもってこいの本です。
(2013年3月)
いつもそうですが,諏訪さんの本を読むと,教師という仕事を冷静に見つめることができます。
この本もそうですが,いじめについて冷静に考えさせられました。
マスコミや教育評論家など外側の人たちが,いじめ問題について論じることは簡単です。
例えば,尾木ママこと尾木直樹さんの論調もそうです。尾木さんは,いじめを人権問題として捉えています。たしかにそう言った面もあります。しかし,現状はそんなに単純ではありません。どこまでがいじめか,いじめでないか線引きが難しい部分もあるのです。このことを諏訪さんは次のように言っています。
〈引用はじまり〉
「また,尾木さんのようにいじめはいじめであり,重大な人権侵害として,そのレベルや内容を分別しないで扱うと,生徒(子ども)たちの学校生活や自由な交友関係を抑圧することになる。つまり,軽いいじめは子ども(生徒)たちの日常生活にまとわりついている。そのすべてを「人権侵害」として捉えれば,極論すれば,口もきくな,接触するなということにもなりかねない。生徒の自由を侵害する全体主義的な学校になる。
〈引用終わり〉
現場の教師がおかれている状況や権限をしっかりと認識して,また子ども性善説に偏らないで,いじめ問題について論じてほしいと思います。
今日は,部活が休みでした。明日からいよいよ新年度が始まりますから,のんびりと過ごすことにしました。
昼は,妻と二人で銀婚式のちょっとしたお祝いをするためにイタリア料理を食べにいきました。ランチを食べましたが,パスタ・肉・パンそしてデザートまで付いていました。値段も安くお得でした。
午後からは,ソファでゆっくりと読書をしました。映画化された恋愛小説です。亡くなった妻が,夫と息子の前にあらわれます。わずか6週間という短い時間を一緒に過ごしたあとで,妻は再び去っていきます。
ここで終わりかな?と思っていたら,最後には,感動的な結末が待っていました。
別れのシーンでは,ジーンときて涙が出そうになりました。(年のせいか?)
そして,タイトルの「いま,会いにゆきます」の意味が分かり,納得です。
きれいな物語で,話の中に出てくる透き通った雨粒のような印象です。
ある意味,ファンタジー小説とも言えます。
とても読みやすく2時間程度で読破できました。 (2013年3月)
昨年,世界の14座登頂に成功した竹内さんへのインタビューをまとめたものです。
14座というのは,8000mを超える山のことです。
この本のページ数がすごいのです。なんと540ページにもなる本です。
竹内さんは,2007年にガッシャブルムⅡ登頂途中で雪崩にあい,背骨を骨折するという大けがをしました。しかし,手術,リハビリを経てなんと次の年には,この山の登頂を成功させました。
竹内さんは,死と登山について,次のように語っています。
〈引用始まり〉
「確かに死は身近です。非常に身近だと思うんですよ。だけど,死が身近ということと,死ぬかもしれないなというのはちょっと違うと思います。(中略)どちらかというと,死が身近な故に,危険が見えるので,あっ,ここは死ぬかもしれないからやめようとか,こうなって落ちたら死ぬかもしれないから,こういうふうに対処しようと考えられるんです。死を身近に考えるからこそ避けられるんだと思います。」
〈引用終わり〉
冒険家の故植村直己さんも,「冒険とは生きて帰ること」と言っています。自分が生きていることを実感するために冒険をするのでしょう。
この本を読んで,生きるチカラの凄さを感じました。(2013年4月)
1982年5月,ミニヤコンカ(7556m)に登頂目前にして,松田さんと菅原さんは,無念の下山を決意しました。
しかし,その下山途中で悪天候,食糧不足,ひどい凍傷,氷壁からの転落など多くのアクシデントに遭遇しました。
途中で,菅原さんともはぐれ,凍傷で足先や指が動かなくなってしまいましたが,全身を使いながら何とか下山しました。
その19日間の奇跡的な生還を追ったノンフィクションです。
今までにいろいろな冒険,登山,漂流ものを読んできましたが,これほどまでに凄まじい内容はありませんでした。
本当に奇跡としか言えません。
途中,松田さんは幾度となく生死の境をさまよいました。
幻視や幻聴にも襲われました。
救出後,松田さんは,両手の指と両足の膝から下を失うことになりました。
しかし,松田さんは,1995年にシシャパンマに遠征をしています。どうしてそこまで山にこだわるのでしょうか。そのことについて,松田さんは次のように書いています。
〈引用始まり〉
「僕は,菅原の分まで生きるために,生還したのだ。それに中谷さん(菅原さんの捜索途中で高山病のため死亡)の分まで加わった。(中略)僕の体はもう,僕自身のためのものではない。僕の人生はもう,僕一人のためにあるのではない。僕に,足ができた。帰国してから三ヶ月後,両足の切断口を再手術して,骨を削り,むき出しだった切断口を肉と皮膚で包み込んだ。それによって,義足が履けるようになった。僕は,歩いている。毎日二時間,リハビリテーションセンターの庭を散歩している。まだ,松葉杖をついて,そろり,そろりとゼンマイ仕掛けのオモチャの歩きかただけど,いまにまた山に登れる日が来る,と確信できる足になった。
僕は,また登る。」
〈引用終わり〉
故植村直己さんは,冒険をすることで自分が生きていることを実感したいと言っていました。また,冒険とは生きて帰ることとも言っていました。
奇跡的に生きて帰った松田さんの代償はあまりも大きすぎました。(2013年4月)
連日の体育大会の練習とびっしりつまった授業のため,今週末は疲労困憊で迎えました。
本当に教師という仕事は,体力勝負という部分が大きいと思います。
疲れた体を癒すために,久々に恋愛小説を読みました。
恋人の死によって,日々喪失感を感じている主人公,奈緒子。
死んだ恋人の親友である功。
お互いの心の空白を埋めるために,やがて付き合うようになります。
しかし,2人の間には,死んだ恋人の思い出があります。近づこうとしても近づけない。
1つになろうとしてもなれない。
読んでいてとても切なくなります。
タイトルでもわかるとおり,とても美しい話です。
中高生にオススメの恋愛小説です。
その中から,引用します。
〈引用はじまり〉
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも,これからはできるだけ動こうと思っている。たとえ状況自体は変わらなくても,見る目が…いや俺たち自身が変わるはずなんだ」
〈引用終わり〉
巻末に重松清さんが解説を書いていましたが,これがまたいいんですねえ。
また,引用します。
〈引用はじまり〉
「亡くなったひとが「星になる」のは,ただ遠くへ行ってしまうということだけを意味しているのではない。星は変わらない。たとえ四季おりおりに夜空の中で配置を変え,夕暮れから夜明けまでの間に東から西へ弧を描いて流れてはいても,また夜が訪れ,あるいはひとめぐりすると,星は変わらずそこ光っている。亡くなったひとも,同じではないか。」
〈引用終わり〉
疲れた体でしたが,心は大学生の頃に戻ったようでした。(2013年4月)
宮崎駿さん,高畑勲さんの名前は知ってる人は多いでしょう。
この大塚康生さんを知ってる人は,結構なアニメ通です。
「ルパン三世 カリオストロの城」や「未来少年コナン」のエンディングに作画監督として大塚さんの名前を見たことがある人もいるでしょう。
この本は,大塚さんが日本のアニメ歴史について証言した本です。
読む前は,アニメの裏話的な内容を予想していましたが,そうではありませんでした。自分が知っているアニメの歴史とは違った驚きの内容も度々書かれていました。
例えば,大塚さんは,手塚治虫さんを漫画家としては認め尊敬していましたが,「鉄腕アトム」などのアニメ作りに関しては批判的であること。
ディズニーアニメは,日本のアニメーターがすべて尊敬していたわけではなく,アンチディズニーの意見が多かったこと。などです。
あとがきで大塚さんはアニメについて次のように書かれています。
〈引用始まり〉
かつて絵筆が鉛筆に替わったように,今や鉛筆がマウスやペンタブにかわりました。しかし,どんなに道具が発展しても,人は原初の「絵」の持つおもしろさを捨てないでしょう。例えば幼児が描いた「お父さんの顔」とお父さん本人の写真をくらべると,幼児の描いた顔はお父さんと似ても似つかないとしても,そこには幼い子供の感性と親子の愛が表現されているのです。それがどんなにリアルに描かれたとしても写真のコピーでないかぎり,描いた人の創造力のなかでのリアリズムであって,そこには独立した「存在感」があるのです。絵の幼さがかえって人間のやさしさや可能性を思わせてくれます。アニメーションが”絵”であるあいだは,この原則は変わることがないと思います。
〈引用終わり〉
この本を読み終わって,アニメーションというよりも動画という言葉がピッタリくる熱い時代があったことを知りました。
以前,YouTubeで稲田さんの国会での質問を見て,とても興味を持ちました。そこで,この本を購入し読んでみました。
稲田さんが日本を本当に愛していることが伝わる内容でした。
「保守」という言葉が持つイメージとは違う,稲田さんの「保守論」がとても印象的でした。その一部を紹介します。
〈引用始まり〉
私の考えている「保守」というのは,「信義」「誠実」という価値を重んじる生き方,いま生きていることについて先人たちに感謝し,未来の世代のことを考えて生きることです。「保守」とは特別のことではありません。家族と地域共同体に価値を置き,まじめに生きる人々の生活を守ることが,私の言う保守です。
〈引用終わり〉
子供が日本が好き,日本人に生まれて良かったと言えるような教育をすすめていくことが大切だと思います。
また,党派を超えて,日本という国の未来を考え政治を行って欲しいと思います。
今日は,体育大会の疲れのせいか,腰が痛みましたので,自宅でゆっくりと過ごしました。
窓を開けると心地よい風が部屋に入ってきました。
のんびりと過ごすことが,とても贅沢に感じた1日でした。
気づいたら,このブログの更新も2100回を超えていました。ひとつの区切りですね。
(2013年4月)
道徳授業を創ろうと,資料をあさり読み始めたのはいいのですが,いいアイデアが浮かばずにやめてしまいました。気分転換をしようと思い,駐車場の掃除や草むしりをしました。
土日は部活で自宅にいないことが多いので,まとまった休みがないと本格的な掃除ができません。
さて,40冊目です。300年前のサムライが現代にタイムスリップし,高校教師である「まり」と恋に落ちます。時空を超えた切ないラブストーリーです。
アイヌの歴史が描かれていて,ちょっとだけですが勉強になりました。
ついに,閲覧者が15万人を超えました。
ツナたないブログですが,いつも見ていただき感謝しています。これからも,あまり力を入れずに書いていきます。
今後ともよろしくお願いします。 (2013年5月)
昭和40年代,つまり私が小学生だった頃の話です。
近所には何となく怪しい雰囲気がまだ残っていました。
例えば,学校からの帰り道に知らないおじさんが,座っていて怪しげなものを売っていました。トムボーイ,シーモンキーや透視メガネ,スパイセットなどです。(おそらくこんな商品は誰も知らないでしょうね)
例えば,昼間から酒を飲んで泥酔したおじさんがいました。
例えば,秋のお彼岸近くになると大勢でお遍路さんがやってきていました。
例えば,UFOを見たと言い張るクラスメイトがいました。
例えば,全部のくじをひいても1等が当たらない駄菓子屋さんがありました。
例えば,消防車のサイレンを真似しながら走っているおじさんがいました。
例えば,チョコレートをやるからと言って子供を誘拐していく人さらい(実際に私は見たことがありません。)が出たらしい。
何となく怪しいのです。しかし,こんな人たちを決して排除するわけではなく,存在価値を認めていたように思います。
こんな怪しい人たちは,中学生の頃には見なくなっていきました。今考えてみると,不思議な時代だったと思います。しかし,楽しい部分もあったように思います。
さて,この本ですが,まさに私の小学生の頃の時代を描いたものです。怪しい不思議な話がつまっています。言い換えるならなば,ファンタジーホラー小説といった感じです。
朱川さんの文章はとても読みやすいのが特徴です。短時間で読破しました。
懐かしさと怖さが入り混じった短編作品集です。
以前読んだ「かたみ歌」も面白かったので,さらに読みたくなり,3冊注文しました。
しばらくは,朱川さんを追って行きます。
(2013年5月)
私の本格的な読書は,中学生からはじまりました。
このきっかけになった1冊は,横溝正史の「八つ墓村」でした。この後,横溝作品を読みあさりました。おそらく100%とまではいきませんが,90%の作品は読破したと思います。
ここまで,はまった理由は,時代設定の魅力です。
戦争が終わって,まだ世の中が混沌とした時代です。町には,まだまだ暗闇が存在していたと思います。田舎だとなおさらその暗闇の不気味さが残っていたことでしょう。
田舎の古い風習やドロドロした人間関係が,いっそう不気味さを増していました。
さて,この朱川さんの作品ですが,同じにおいがしました。また,江戸川乱歩の世界にも似ています。
超常現象的な話ですが,どことなく懐かしさが漂っていました。特によかったのは,最後の「月の石」という話がよかったです。
大阪万博で見た,アメリカ館の「月の石」が柱になっていて,夫婦愛を描いてあります。
朱川さんの本は,すでに買った本が2冊ありますので,そちらも楽しみです。
さあ,今からテスト問題(2学年分)を作らねば。(2013年5月)
次の詩のどの言葉に,心が惹かれますか?
「生きる」
生きているということ
いま生きているということ
それは 切った爪のゆくえをさがすこと
あたらしい スリッパに素足を入れること
テレビのなかでだれかが笑っていること
まだ読んでいない本の表紙をさすること
「ことし最後かな」とおもいながら ガスファンヒーターの電源をきょうも入れること
フライパンに落とすバター
電車のリズミカルな揺れ
三ヶ月ぶりの大あくび
夢のなかで飛び交う蝙蝠
マグの底に残るコーヒー1㎝
マフラーにくすぐられる頬
いま生きているということ
あなたの言い分に耳をかたむけること
あなたのワイングラスをよこどりすること
あなたの好きな歌をくちずさんでみること
交わしたいくつかの約束を おぼえているということ
詩の好き嫌いは,その人の感性によるところが大きいと思います。
いくら自分が好きなフレーズを他人に紹介しても,気にいってもらえないことも多々あります。
逆に他人から勧められた詩を読んでもいまいちピンとこない時もあります。
そういった意味でも,詩の好き嫌いは,人ぞれなんだなあと思います。
ちなみに,私がこの詩のなかで一番,心惹かれた言葉は,
「マフラーにくすぐられる頬」という言葉です。
(2013年6月)
生徒指導で使えるかなと思って購入しました。
生徒が問題行動を起こすと,いつくかのパターンで指導することになります。
しかし,どんな場合でも反省文を書かせる場合が多いようです。
文章を書かせることで,自分がやったことや被害者のことをしっかりと考えさせるためです。
私もこういった指導をしていきました。
この本では,こういう指導を否定しています。では,どうすればいいのでしょうか。
それは,問題行動を起こした原因を深く考えさせる指導をするということです。
次のような課題を与えて,書かせてみるということです。
①「これまでに親からよく言われたこと」
②「自分のストレスについて」
③「今,悩んでいること(しんどいこと)」
④「今回の行動を起こして『得たもの』と『失ったもの』」
⑤「親に本当に言いたいこと」など
書いた内容から,問題行動の背景を理解し問題起こした生徒の内面を探るめためです。
確かに,今まで反省文を書かせた生徒指導では,形式だけで終わるパターンが多かったように思います。
反省文だけで生徒がよい方向へ変わることは難しいのが,現状です。
となれば,こういったやり方を知っておくことも大切です。
生徒指導の技の一つとして身につけておき,生徒の実態に応じて実践していくのがベターではないかと思いました。
もう一度読み直して,次の機会に実践してみようと思います。
中学教師には,是非読んで欲しい1冊です。
(2013年6月)
女性をあつかった道徳授業を創ろうと思って,図書室にこもって探していたところ,この本を見つけました。
伊達さんは,
6歳でテニスを始め,
18歳でプロになり,
25歳で引退し,
37歳で再びテニスプレーヤー
という,すごい人生を送っている人です。
読み終わってみると,確かに強く,たくましい,努力を惜しまない女性だということがわかりました。
しかし,この本では,道徳授業は創れないなと思いました。
理由は,生徒と結びつきそうなエピソードがあまりなかったからです。
すごい人生だなあで終わる授業になりそうだからです。
生徒の考えや行動とどこかつながるような話が欲しかったのです。
一言で言えば,人間くささが欲しかったのです。
他の資料を組み合わせれば,できないこともないでしょう。
しばらく,ねかせておきます。(2013年6月)
東日本大震災関連の本を少しずつ読んでいます。
この本は,そのタイトルが気になって購入しました。
私が新聞やテレビのニュースで知っている避難所生活とは違い,自由な空気が漂っている避難所がありました。
石巻市にあった「明友館」です。
この明友館で,人々を助けるために,懸命に活動した人々を描いたノンフィクションです。
この避難所で働く千葉恵弘さんは避難生活をしている人々のことを本当に考えた支援を進めた人です。
例えば,次のようなエピソードが紹介されています。
〈引用始まり〉
「プライバシーが保たれないということで,多くの避難所では段ボールの仕切りが採用されている。しかし,明友館では使おうという話にはならなかった。千葉がその理由をこう説明する。あれはみなさんをつなぐ妨げになるんですよ。そこに若干でもプライベートな空間があると,人間はどうしてもそこを自分のテリトリーにしてしまう。それこそ隣の人の毛布の毛玉が一個飛んでくるだけでも嫌になるわけですよ。夜中にペンで書き物をしている方がしれば,その小さな音でさえも安眠妨害だって,頭にくるようになる。うちの避難所でも,夜中に誰かせきでもしていると,『昨日,ずいぶんせきをしていたけど,大丈夫だったかや?』って自然に声をかけていますからね。」
〈引用終わり〉
テレビや新聞では伝わってこない震災のその後,いろいろな本を読んで少しでも理解する努力をしようと思います。
明友館で働く人々は,とてもかっこいいと思いました。
時がたつにつれて,東日本大震災のことはあまり伝わってこなくなりました。しかし,まだ続いてるのです。
過去のことではないんです。
明友館のHPはこちらhttp://www.meiyukan.com/
(2013年6月)
現在,4つの仕事を同時進行中です。
①期末テスト作成2学年分
②市教委計画訪問のために道徳指導案作成
③とっておきの道徳授業11の原稿作成
④7月4日に実施予定の全校道徳づくり
です。
この土日が勝負と思い,朝5時に起きて頑張っています。
その合間に読書を楽しんでいます。
この本は,中1から中3まで不登校だった岡田くんが,自分を変えるために四国八十八ヶ所遍路58日間の記録です。
この遍路の中で,岡田くんは自分の教師という夢を見つけることができました。
この本の中で,こう言っています。
「これまでの僕は人と真正面から向き合うのが怖かったが,今回の八十八ヶ所巡礼を通して,人と接することの素晴らしさを学んだ。さまざまな人との出会いが,自分を大人にしていくのだということも。」
止まったままでは,変わらないのです。まずは,行動を起こすことから始まるのです。
さあ,仕事を再開しなければ…。(2013年7月)
日本人初の14サミッターとなった登山家の竹内洋岳さんの本です。
哲学というタイトルですが,世界の8000mをこえる山々を登頂した記録を記した本です。
最終章で,登山を通して考えた人生哲学みたいな内容は出てきます。
中でも一番納得した言葉は,
「経験は積み重ねず,並べるもの」です。
このことについて,竹内さんは次のように書かれています。
〈引用始まり〉
私にとっての経験とは,積み重ねるものではなく,並べるものなのです。経験が増えれば増えるほど,数多くのディテールが知識となって記憶にインプットされます。そのディテールとディテールとの隙間を埋めていく作業が想像です。
だから,経験の積み木のすべてが見渡せるように,テーブルの上に広げておく。そして,並べてある位置を移動させたり,順番を入れ替えたりしながら,隙間を埋め尽くすほど想像力を膨らませていくわけです。
〈引用終わり〉
これは,なるほどと思いました。(2013年7月)
先週の月曜日から,なかなかハードな日々が続いています。
夏休み前に,大きな仕事も待っています。精神的に疲れる1週間になりそうです。
そんな中,3連休の最終日は,無理やり読書をしてリラックスしました。
ショートショートで有名な星さんのお父さん(星一 はしはじめ)が,こんなすごい人物だったとは全く知りませんでした。
アメリカに渡り,そこで伊藤博文,野口英世,新渡戸稲造,津田梅子,片山潜など教科書に出てくる明治時代の著名人と親交を深めていたのです。
星さんがノンフィクション的に書かれているせいもあって,物語が淡々と進んでいきますが,そこれでも父,一氏の魅力と素晴らしさが十分に伝わってきます。
明治時代には,志を高く持ち,真剣に学ぼうとする若者がたくさんいたのでしょう。
今こそ,明治に学ぶ時なのかもしれません。 (2013年7月)
132「天才 柳沢教授の生活34」
久々の新刊です。この漫画を読むと,とても優しい気持ちになります。
きっと作者の山下和美さんは,言葉をとても大切にする漫画家なのでしょう。
例えば,「桜の杜の満開の下」では,次のようなセリフがあります。
柳沢教授と父康則さんとの会話。教授が母親の思い出に浸っているシーン。
柳沢教授「お父さん何故でしょう。涙が出てくるのです」
父康則「人は無邪気だった過去の自分や もう取り戻せない大切なモノに触れると涙が出るものなのだ」
その通りです。
(2013年7月)
歴史上の人物を描いた小説をいろいろ読んできましたが,この小説の主人公である山岡鉄舟ほど人間的な魅力を感じる人物はいません。
あの西郷隆盛や勝海舟,清水次郎長,そして明治天皇まで影響を与えた人物なのです。
ただひたすら剣術と揮毫(書道)と座禅を愚直に行ってきた鉄舟は,地位や金銭に目もくれず,すべての人々を受け入れたのです。
上下巻で1200ページの大作ですが,とても読みやすく割とサクサク読むことができました。今年読破した本の中では,第1位です。
本屋大賞に輝いた「海賊とよばれた男」に近いものがあるかもしれません。
最後に山岡鉄舟という人間をよく表している文を紹介します。
〈引用はじまり〉
国とはなにか
鉄舟は,ふと,そんなことを思った。
人が集まり,ひとつの国家をつくろうとすると,どうしても意見の齟齬がでてくる。
勝った者はよい。勝った者の思い通りの国ができる。
負けた者は,どうするか。
唯々諾々と,勝者に服従するか。
鉄舟にも答えはない。
ただ,そのとき,その場で全力をつくす。
それだけが,鉄舟の信条であり,思想である。
国のために全力をつくす。
ということは,鉄舟にとって,
人のために,全力をつくす。
と同義である。衆生の安寧のために,できることをすべてやる。それが,かならず国のためになると信じている。
〈引用終わり〉
歴史の教科書に出てくるいろいろな人物について,電子辞書でひとりひとり調べてみます。もっと魅力的な人物に出会えるかもしれません。
とりあえず,次は西郷隆盛に関する小説を読んでみようと思っています。(2013年7月)
22巻は,大きく2つの話から成ります。
1つは,桜田門外ノ変の後始末と混乱。
2つは,勝海舟たちの渡米です。
今回は,勝海舟たちの渡米のエピソードが面白かったです。
例えば,38日間の航海のうち,晴天が7日しかなかったこと。
勝海舟たちは,どこにも寄港せずにサンフランシスコに到着しましたが,正式使節団はハワイに寄港しています。
その時に,ハワイのカメハメハ大王夫妻の歓待を受けています。その時,村垣淡路守が読んだ歌が面白い。
ご主人はたすき掛けなり
おくさんは大肌ぬぎて
珍客に会う
ご主人とは,カメハメハ4世で,珍客とは,遣米使節団の一行のことです。
22巻目ですが,まだまだ終わりが見えてきません。がんばってください。みなもと先生。
(2013年7月)
以前,テレビで池上さんが教育について発言しているのを見て,冷静に教育を見つめようとしている人だなと思いました。こんな内容だったと思います。
「学力低下」と叫んでいるが,世界的に見ると日本の学力はそんなに低いものではない。
そういったこともあり,今回この本を購入してみました。
内容は,池上さんの呼びかけに応じた26人の著名人が自分が教わった先生に関するエピソード綴ったものです。
ありがちな企画ですが,書いた人たちがほんのちょっぴり異色でした。
例えば,天皇陛下の心臓手術を執刀した天野篤さん,痛くない注射針を開発した岡野雅行さん,漫画「鈴木先生」の作者武富健治さんなどです。岩波書店ぽいという感じですね。
中でも一番的を得ていたのが,しりあがり寿さんの漫画です。
タイトルは,「センセイの最期」です。
その漫画の最後のコマに次のセリフがありました。
「先生は教師,生徒はお客さんと呼ばれるようになりました」
同じようなことを武富健治さんは,こう書いていました。
「現在日本の学校教育は,「消費者」を名乗りはしないものの,実質「消費者感覚」にだいぶ侵食されてしまっている人々の考え方や意見に囲まれ,大変「しんどい」状況にあると思います。」
ちょっと元気なれる本かなと想像していましたが,そうではありませんでした。
日本の教師がもっと元気になるような本を誰か書いてくれないでしょうか?
(2013年7月)
作者は,辺境探検作家の高野秀行さんです。
これは,高野さんが,大学生の頃に暮らしていた野々村アパートにまつわるおかしなエピソードがぎっしりとつまっています。
つまり,アパートに暮らすちょっと変ったとてもおバカな住民との交流話です。
こう書くと,昔読んだ椎名誠さんの「哀愁の街に霧が降るのだ」を思い出します。
どちらの本も大学生時代,生活していた男子寮を思い出します。
その男子寮には,30人近い男が集団生活をしていました。
寮生活では,4年生は神様的な存在で,1年生はこき使われていました。
まかない付きで,風呂とトイレと流しはすべて共同でした。
例えば,風呂は1年生が掃除をしお湯をためた後で,4年生から入ります。
石鹸やシャンプーは勝手に使われるし,漫画本は借りたまま返さないのが当たり前でした。
1回の端の部屋には7回生という謎の寮生も住んでいました。その姿を誰も見たことがないというミステリアスな人でした。
3畳という細長い部屋で暮らすヤツもいました。
4年生が酔っ払って寮に戻るといきなり放送が入り,後輩は廊下に出てお出迎えするというかなり迷惑な風習がありました。これが夜中だとたまりませんでした。
私も青春時代もこの本と同じように,怪しげなアパートとの思い出とリンクしています。
今の大学生は,風呂と台所もついた個室での生活をしている人がほとんどでしょう。
気楽でいいでしょうが,私や高野さんや椎名さんのような怪しげな青春の思い出はできにくいのではないかと思います。
(2013年7月)
シーナさんの魅力の1つに写真があります。
シーナさんのモノクロの写真を見ると,懐かしい気持ちになります。
大学生の頃に,シーナさんの「風景進化論」を読みました。
身の回りの風景を写真に撮り,それにまつわる話を添えるというおもしろさの中にふんわりとした感動がある本でした。
大学生時代は,シーナさんの本をすべて読破しました。
もちろん,講演会や映画会などにも数回行きました。
シーナさんの本を読むと,大学生時代を思い出します。
私のブログのタイトルの「半径3m」という表現も,シーナさんの言葉からいただいたものです。
さて,今回読破したこの本は,その「風景進化論」の続編です。70歳近くになったシーナさんが,昔住んでいた場所や職場があった場所,旅で行った場所などを再び訪れて,風景がどのように変化したかを再確認する内容です。
時々,人は懐かしさを求めることがあります。例えば,アルバムを見ます。音楽を聞きます。小説を読み直します。
そうすることで,自分自身の存在を確認するのです。
もちろん,懐かしい風景の中に懐かしい自分を見つけようとするのです。
(2013年7月)
今日は,午前中は学校で実力テストをひたすら作りました。その甲斐あって,ほとんど出来上がり保存をしました。そして再びファイルを開こうとすると,何やら見たことがないメッセージが画面に出てきました。
「不正データ」????
開けません。ネットで対処法を調べ,その通りやってみましたが,8ページ作ったものが,4ページぐらいしか修復でいませんでした。かなりショックでした。
そこで,気持ちを入れ替えるために図書室へ行き,面白そうな本を探しに行きました。
すると,何やら変ったタイトルの本がありました。
「ぞうきん」という詩集でした。パラパラとページをめくっていくと,その言葉に惹かれるものがありました。
作者は,岡山県玉島にある教会の牧師さんです。さっそく,気にった詩をノートに書き始めたところ,8ページにもなりました。
その一部を紹介します。
「上中下」
言われてしないのは 下の下
言われてするのは 下
黙っていてもするのは 中
気がつかなくてもするのは 上
そっとして気づかせないのは 上の上
眠っている赤ちゃんのおむつをかえる お母さんのように
「残る」
あたえて あたえて あたえて
あたえるものが なくなっても
もっと とおとい 感謝は ゆたかにのこる
いらいらした気持ちがスーーーと柔らかくなっていきました。
いい本に出会いました。
(2013年8月)
映画「風立ちぬ」を見て,以前から読んでみようと思っていたこの本を購入しました。著者はお気に入りの吉村昭さんです。戦記文学の第一人者とよばれる人です。
入念な取材を通した作品は,事実が持つ凄さと感動を与えてくれます。
日中戦争から太平洋戦争までの歴史は,まさに零戦の時代と言ってもいいのです。
これだけ素晴らしい戦闘機を作った航空技術者が日本にいたことに感動します。
特別攻撃隊で出撃した日本海軍機は1439機,陸軍機は954機,合計で23104機でした。
これだけの数の若者たちが自らの命と引き換えにして,この国を守ろうとしたのです。
この本を読んでいる途中で,実際の史料や模型を見たくなり,佐世保史料館(セイルタワー)に行きました。
海戦の資料や戦艦や戦闘機の模型が展示してあり,とても参考になりました。
終戦記念日を前にいい勉強をしました。
(2013年8月)
世界の8000m以上の山(これを14座と言います)を完全登頂した竹内さんを追ったノンフィクションです。前作の「初代 竹内洋岳に聞く」では12座までを追った記録でした。
本書は,その続編となるもので,残りの2座を登頂し,日本人で初めての14座を制服するまでの記録です。
極限状態で人間はどうなるのかということに非常に興味を持っています。ですから,登山もの,冒険ものや漂流ものなどを読みあさってきたのです。。
竹内さんの様子からも分かりますが,人間が自然驚異にさらされた時は,人間が持っているすべての感覚が研ぎ澄まされていくのではないかと思います。
生命を守るために,五感以外の感覚が働くのではないでしょうか。
これだけの記録を打ち立てた竹内さんですが,その感想がとてもいいですね。
〈引用始まり〉
「私は,14座という記録には到達しましたけど,これは,私にとっては最終目標でも何でもないわけです。これませ登ってきたように,登ったらまた次の山,そして,次の山って,山登りを続けていけるかどうかを自分自身で試してきたわけですから,次に行く山は,また,次の山というだけしかない」
〈引用終わり〉
エベレスト単独無酸素登頂へ挑戦している栗城史多(のぶかず)さんも気になります。
この2人の登山家の挑戦が成功することを祈っています。
(2013年8月)
今日は,朝から夕方まで1日中,部活の公式戦でした。朝は豪雨で,試合中は雷雨になり,帰りは曇りになっていました。
昨日から合計4試合をして生徒も疲れ果てたと思います。
しかし,目標だった公式戦1勝はできました。また,今日の2試合目は,接戦で一時期は同点まで追いつきましたが,結果は惜敗でした。
生徒の頑張りを見ることができて,良かったです。
普段の学校生活とは違った場所で生徒と接することの大切さをあらためて実感しました。
さて,本です。読破するのに時間がかかってしまいました。理由はイデオロギーに関する部分で,読む速度が落ちたからです。
戦後教育の裏側を知りたいと思って読みましたが,参考になる部分も多かったです。
(2013年8月)
授業のリズムとペースもようやく元にもどってきました。
また,随分と涼しくなり,学習しやすい環境にもなってきました。
さて,いつものように朝5時に目が覚めての読書生活です。そして,ようやく全3巻読破しました。
ついに3人は,日本へ送り届けられることになり,懐かしい故郷の景色を目にすることができました。
5年ぶりの故郷です。
しかし,時代は外国船打ち払い令が出されたばかりでした。
結局,3人は日本沿岸まで行きましたが,日本の地を踏むことはできませんでした。
愛する家族にも会えませんでした。
その後,3人は香港に戻り違う人生を歩んで行くことになります。
全3巻という大作ですが,一気に読ませる,感動作です。
その時代を精一杯に生きた素晴らしい3人の日本人に涙します。
(2013年9月)
146「燃えたぎる石」(植村三十里 角川文庫)
9月第一週もようやく終わりました。今日は,疲れが一気にきた感じでパソコンに向かっていると,すぐに眠くなります。
さて,植村三十里(うえむらみさと)さんの本は初めてです。
江戸時代末に,材木商をしながら石炭採掘に情熱をそそいだ,片寄平蔵の話です。
採掘のきっかけは外国船が石炭で走ることを知ったことです。
歴史に埋もれた日本人を取り上げたことは,素晴らしいですが,話の深まりが今ひとつでした。読みやすいのは,いいのですが。 (2013年9月)
久々に野口先生の本を読みたくなって,ネットで購入しました。
この本は,野口先生と小児科医である田下先生の講演会の記録となっています。
さすが,野口先生の語りは素晴らしく,頭にスーっと入ってきます。そして,納得です。
また,田下先生も語りも興味深い内容でした。例えば,次の部分です。
〈引用始まり〉
「人に迷惑をかけないと言いますが,人に迷惑をかけない人は本当にいるのでしょうか。私が誰かに何かをしたとします。その行為がその人にとって迷惑かどうかは,行為をされた人が決めるのであって,私が決めるのではありません。もし,行為を行った側が決めるのであれば,この人の迷惑にならないと思ってやっているのであれば,何をやってもよいということになります。」
〈引用終わり〉
確かにその通りです。今まで,生徒指導でも「他人に迷惑をかけるな」と言ってきましたが,反省です。そんな捉え方もあるんだと納得しました。
学年通心でも使えそうなネタがありました。
その他,幼児教育に大切なことなどとても分かりやすく書かれています。
育児に悩んでいるお母さんにオススメの1冊です。(2013年10月)
今日は,朝から育友会主催の親子もちつき大会に参加しました。小雨が降る中でしたが,保護者の協力のおかげで美味しいもちができあがりました。
あんこもち,しょうゆ砂糖もち,きなこもちができあがり,2つほどいただきました。
終わる頃には,雨もあがり,楽しいひと時を爽やかな気分で終えることができました。
さて,この本は,「危険な童話」でちょっぴり気になった土屋隆夫さんの名作と言われるものです。
まあ,アリバイトリックを中心においたトラベルミステリーの要素が盛り込まれた傑作でしょう。
携帯やデジカメが普及した現代では,こういった発想はでないでしょうね。
あと1ヶ月で約20冊を読破できるか心配になってきました。
できるだけがんばります。 (2013年12月)
この本は再読です。
折に触れてこの本を読み返しています。
読むたびに,新しい感じがします。
その理由は,読む年齢が違っているからだと思います。
この本を初めて読んだのは,40代前半でした。
そして50代になった今,読む返すと前とは違った言葉に感動をします。
例えば次の言葉です。
〈引用始まり〉
「熱心と愛情 それだけでやれることは,教育の世界にはないんです」
「教師として老いないために,研究授業をしていました」
〈引用終わり〉
加齢とともに感じ方が違ってくるのだと思います。
これを成長というのでしょうか。
臨時採用の若い先生とお別れする時には,この本をあげていました。
若いうちに読んでもらいたい言葉が数多くあるからです。
私自身も若い時に大村先生の言葉にふれていれば,ちょっとはましな教師になっていたのかもしれません。(2013年12月)
154「荒れには必ずルールがある」(吉田順 学事書房)
著者の吉田先生をサークルのT先生から教えてもらったので,さっそく購入し読んでみました。
結論から言えば,現場の実態に則した分かりやすい内容となっています。
しかもズバリと書かれていますから,読んでいてハッとする部分もありました。
例えば,
・警察力に頼らないことの方がある意味無責任と言える。
・トラブルは起きてよいという方針を確認する。
・問題行動を起こしている生徒には時間を使わずに,中間的集団やまじめな生徒集団の生徒との取り組みに時間を使う。
などです。
若い先生にも是非,読んでもらいたい1冊です。 (2013年12月)
道徳授業を創るために,購入しました。
この本は,佐藤先生が,大学生に提出させたあるレポートをまとめたものです。
あるレポートというのは,自分が生まれた時のことを親にきくというものです。
字数は1600字です。
日頃は,親の愛情に気づかないで,生きていることすら当たり前のように考えている若者が多いと思います。
自分が生まれた時のことを聞くと,あらためて親の愛情に気づく学生もいます。
使えそうなレポートがありましたから,さっそく道徳授業をつくろうと思います。
主題名は「親への愛」です。
資料は,3つ揃いましたので,あとは構成を考えます。
親への愛をどう表現するかということを考えさせたいと思います。
じっくりと発問を考えていきます。
年明けの道徳部会で公開する予定ですから,指導案を作成することになります。
冬休みの仕事になります。頑張ります。 (2013年12月)
今日から,休みに入りました。
午前中は,実力テストをコツコツと作っていました。午後は,家の大掃除で窓ふきをしたり,資源ゴミをまとめたりしました。
読書の波がようやくやってきて,今日の朝早くから,読みかけにしていたこの本を読破しました。
門田さんの本は,とても読みやすいのが特長です。
1974年8月に起こった三菱重工本社ビル爆破事件の犯人を追ったノンフィクションです。
特に,犯人逮捕の章は,緊迫した描写でまるで映画でも見ているかのような感じでした。
中でも,印象に残ったのは,次の部分です。
〈引用始まり〉
日本人が豊かになってきた時代ではあったものの,貧富の差はやはり大きく,同じ世代でありながら,学生運動をする側は比較的,裕福で,一方,警察の門をたたいた側は経済的に恵まれていない人たちが多かった。(中略)石に齧りついても,という執念とハングリーさを示したのは,学生よりも,むしろ犠牲者の底知れぬ無念さを胸に刻んだ警察官の側だったと言えるかもしれない。」
〈引用終わり〉
しかし,やっと逮捕した犯人たちのうち,数名は超法規的措置によって海外へ釈放されたことと,主犯格が未だに死刑になっていないという事実があります。
あの事件では,死者が8名,負傷者が376名出ました。
大勢の犠牲者たちの無念さが痛いほど伝わってきました。
さて,年間100冊読破を目指して頑張ってきましたが,今年もあと2日です。
100冊読破は無理なようです。
残念です。(2013年12月)
野中信行先生が薦められていたので購入しました。
中村先生は,「はじめに」で次のように書かれています。
〈引用始まり〉
我々教師は,1年間に1000時間を超える授業をしています。1000時間全てに,楽しい授業をするのは不可能でしょう。(中略)
意欲があってがんばっても,大部分の授業が普通のつまらない授業だったのです。
授業はもともとつまらないものだ。
こんなことを言ってしまったら,お叱りを受けるでしょうか。
〈引用終わり〉
その通りだと思います。
私の経験ですが,今までに授業がうまくなりたいと考えいろいろな本を読み,授業を参観し実践し改善してきました。(つもりです)
しかし,「今日の授業はうまくいった」と言えるものは,ほんのわずかしかありません。
中村先生が言われるところの,ほとんどが普通の授業なのです。
野中先生が提唱されている「味噌汁・ご飯授業」なのです。
たった1回の研究授業のために,全勢力を注ぐことも大切でしょう。
しかし,残りの約1000時間の授業を普通にできるようになることはもっと大切だと思います。
この本の章立てを見ても,参考になります。
第1章 授業の最初に教室のムードを支配する
第2章 テンポさえ良ければ子どもたちは授業に乗ってくる
第3章 授業への全員参加を保障せよ。
最終章 これだけは言いたい!教師は子どもに合わせて変わる勇気を
この本は,日々特別な授業をしようと頑張っている教師や授業づくりで悩んでいる教師や疲れている教師に読んで欲しいと思います。
(2014年1月)
本巻は,日米修好通商条約の批准のためにアメリカへ渡った,新見正興(しんみまさおき)を正使とする万延元年遣米使節団の話です。
特に面白かったのは,この使節団の中にいた立石斧次郎のエピソードです。
彼は,アメリカ女性のアイドルになり,「トミー」という呼ばれ訪問する場所場所で熱狂的な歓迎を受けたそうです。
しかも,「トミーポルカ」という斧次郎をたたえる歌まで作られたというから,すごいですね。日本人で初めて投げキッスをしたもの,この斧次郎だそうです。
教科書に出てこない裏話をギャグを交えて描いてあるので,とてもわかりやすいです。
遣米使節団が自分の目で直接見たこと,聞いたこと,肌で感じたことを帰国後すぐに日本の国づくりに役立たせることができれば,日本は違った道を進んでいたのだろうと思います。
しかし,攘夷の嵐が吹き荒れていましたので,それはかなわぬことでした。
159「この命,義に捧ぐ」(門田隆将 角川文庫)
今日は,朝から昼まで部活でした。
午後は,学年通心と道徳の指導案作成で奮闘していました。
気分転換で読書。
さて,この本は,私が気にっている門田隆将さんのノンフィクションです。
第二次世界大戦後,中国で起こった「国共内戦」で,共産党の毛沢東に追い詰められた蒋介石を助けた日本人がいたそうです。
元陸軍中将の根本博です。
根本中将は,終戦後,中国の内蒙古に迫るソ連軍から在留邦人を守るために,命令違反を犯してまでも武力解除をしなかった軍人です。
その根本中将を支援したのが国民党の蒋介石だったのです。
蒋介石の「義」に「義」をもってこたえるために,根本中将は,台湾近くの金門島へ命がけで行ったのです。
そこで,奇跡的な勝利を収めた国民党軍は,台湾を死守することができたのです。
中国史上,大きな歴史的事件の裏に,このような日本人がいたことに驚かされます。
こういった日本人がいたこともあり,台湾には親日家が多いと思います。
(2014年1月)
膨大なデータに基づいた緻密な分析をしている訳ではありません。
しかし,何となくその時代をとらえているのです。
その中で,なるほどと思ったのが,次の新幹線の名前についての部分です。
〈引用始まり〉
ちょっと話がそれるが,のぞみ,という,命名には,いかにも90年代らしい気分が見て取れる。それまでの「ひかり」「こだま」というのは実にわかりやすいネーミングである。一番速いのが光速,次に速いのが音速。わかりやすい。その光速よりも速い列車にどういう名前をつけるか。JRも悩んだのだろう。そこで,のぞみを出してきた。内面的世界である。精神論だ。宗教的とも言える。60年代の科学的気分から大きく逸脱して,内側へ向かってしまった。90年代の停滞が見事にあらわされている名前である。
〈引用終わり〉
新書のイメージとは違って,軽いタッチの本でした。
(2014年1月)
全国サッカー選手権大会で負けたチームの監督が,選手たちにロッカールームでの語りを収録したものです。
当たり前のことですが,何を語るか考えている監督はいません。
敗戦後,すぐに何を語るかです。
負けた事実は動かせませんから,この負けをこれからの高校生活や人生にどう役立たせるかについて語った監督が多かったです。
そのなかでひときわ目立ったのが,山形県の羽黒高校の本街直樹監督の言葉です。
「まず3年生おつかれさん。ありがとう。ホンマにお前らのおかげや,3年生。
よし帰ろう。お疲れさん」
本当に短い言葉ですが,感謝,いたわり,次への意欲が表現されていると思います。
何を語るかではなく,だれが語るのかという信頼関係の大切さが痛いほどわかる1冊した。
最後のインタビューで遠藤保仁選手が,次のように言っています。
「高校サッカーで終わりじゃなく,まだまだサッカーを楽しんでもらいたいですから」
卒業式の最後の学活で何を語るのかの参考になりそうな1冊でした。
(2014年1月)
中学校教師でも大いに参考になる内容でした。
1つ,時間の統率についてです。
中学校の帰りの会というのは,だいたい長すぎるものが多いようです。
あれもこれも話したいのでしょう。
あれもこれもチェックしたいのでしょう。
生徒は早く帰りたい,早く部活に行きたいのです。
話など真剣に聞いている生徒がどれぐらいいるのでしょうか。
私は,授業開始と終了時刻は必ず守るようにしています。
特に,終了時刻は厳守しています。
教師自身が時間を守る姿勢を見せることも大切だと思います。
2つ,「味噌汁・ご飯の授業」の提案です。
生徒の活動を数多く組み込むことの大切さは,中学校教師は再考すべきです。
説明が長い,話し合う時間が長い,書かせる時間が長い,発表させる時間が長いなどテンポとスピードが悪い授業では,生徒は集中しません。
いろいろな活動を取り入れて,生徒に空白の時間を作らせないようにするのです。
毎日の授業で生徒全員を参加させていく,そんな技術を身に着けることが大切だと思います。
この「味噌汁・ご飯の授業」作りは,とても大切にしたいと思っていますので,社会科部会などで,これに関する発言しています。(2014年1月)
163「世界最速の男をとらえろ!」(織田一朗 思想社)
今日は,今年度最後の授業参観でした。その後,体育館で親子レクレーションということで,学級対抗のドッヂビーを行いました。
保護者たちが子供と一緒にいい汗を流しながら,楽しむことができました。
中学生にもなると親子が一緒に運動したり,遊んだりすることは少なくなってしまいます。
たまには,こんな授業参観があってもいいと思います。
さて,読書熱再燃です。
この本は,様々な競技のタイムを計るための,時計の開発と測定する人々の涙ぐましい努力を扱ったノンフィクションです。
現在,行われいるオリンピックを始め公式戦では,当たり前のようにタイムが瞬時に表示されています。
しかし,このストップウォッチが実用化されたのは,1844年のことです。
つまり,それ以前の大会でのタイムは正式な測定ができていないのです。
もしかしたら,ボルト以上の最速記録があったかもしれないのです。
また,1964年の東京オリンピックの陸上競技では,ゴール前にストップウォッチを持った24人の計時員がひな壇に座って測定していました。
また,計時は人間の反射などの生理学的な問題とも大きく関係しています。
人間の反射は一般的に0.14秒〜0.20秒だそうです。
このことから,フライングの基準が0.1秒に設定されているそうです。
このようなエピソードが数多く紹介されています。
この本を読むと,ソチオリンピックの見方がちょっぴり変わると思います。
(2014年1月)
関東地方の大雪とは違い,今日は温かい陽が差し込んだ居間では,エアコンを消して読書ができました。
さて,この本はノンフィクションです。
ノンフィクションと言えば,大学時代には,立花隆さんや柳田邦男さん,沢木耕太郎さんの作品を読んできました。最近では,門田隆将さんや角幡唯介さんです。
この上原隆さんのノンフィクションは,この5人の作風とは違っています。
名もなき人たちの日常を描いていてます。普通の人びとにも,こんなドラマがあることを教えてくれます。
それぞれの話が5ページほどの短編集ですが,なかなかいい話が収録されています。
「好きな人と昼食をいっしょにしている。そのなにげない時を幸せと感じないならば,幸せなんてどこにもないかもしれない。」(「女たちよ」より)
今日の天候と同じように,心がほわっと温かくなりました。
明日からまた,がんばってみようと気持ちにさせてくれる1冊でした。
(2014年2月)
ゴーマニズム宣言は,以前は読んでいましたが,ここ最近は読んでいませんでした。
「慰安婦問題」に関する発言などをYOUTUBEで見て,久しぶりに小林節を読んでみたくなりました。
さて,内容は,「個」と「公」についてです。
一部引用します。
日本では国のために戦って負けてしまったものだから,悲惨な目に合った話と悲惨なことをした話だけが巨大化して国ごと萎縮し,「公」から「個」へなだれをうって走ってしまった。国家アレルギーは個人を異様に偏重し,個人の権利のみ声高に主張させ個人への義務や制限を取っ払い公共心を崩壊させてゆく。
そして最後のページで小林さんは,次のセリフを言う。
「自分を一番自由にしてくれる束縛はなにか?それを大事に思う心を育てよう」
すべてが自由であることが一番不自由であり,ある程度の束縛や制限があるほうが自由だという私の考えと似ている部分があります。
制限があると,その中で試行錯誤を繰り返し新しいものが生まれ,個性となると思います。
何でも自由という状況では,本当の意味での個性は生まれないと思うのです。
すべてが自由というのは,実は不安なものなのです。
このあたりのことは,テレビ版のエヴァンゲリオンでも語られていました。最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」です。
マンガにしては,文字が多すぎて読むのも大変疲れますが,深い思考を迫られる1冊には違いありません。
社会科教師であれば,いろいろな視点を持っておくべきだと思います。
その視点を持つための必要な1冊であると思います。
(2014年2月)
福山雅治さん主役で映画化された原作本です。
人は,なくしてはじめて,その大切さに気付くものです。
そして,後悔をするものです。
6年間育てた息子は,出産時に病院で取り違えられた他人の子供だったのです。
血のつながり
共に過ごした6年間
これらの狭間で苦悩する夫婦。
次のセリフが心に迫ります。
「そうだよな。でもな,六年間は…。六年間はパパだったんだ。できそこないだったけど,パパだったんだよ」
タイトルの「そして父になる」が素晴らしい。
人は,子供が生まれたからとって,自然に父親になるわけではありません。
○○をして,△△をして,□□をして,××をして,
そして父になるのです。
福山雅治さんの主役もいい感じですが,相手側の父親役のリリーフランキーさんもはまり役だと思えます。
映画も是非,見たいと思いました。(2014年3月)
この本は,NHK「100年プログラム」という番組で行われたインタビューを元にしています。
世界的指揮者である小澤さんが,音楽と表現について語っています。
音楽については,まったくわかりませんから,音楽は楽譜どおりにやればいいと思っていました。
しかし,違うんですね。当たり前ですけど。
このことについて,小澤さんは次のように言っています。
〈引用始まり〉
「速さもね,ほんのちょっと速かったり,ほんのちょっと遅かったりで,演奏家の出している音がうんと変わってきたり,お客さんに対する影響がうんと変わってきたり,極の全体の雰囲気とか,いろんな印象が変わってきたり,(中略)その人の解釈の中に入ってきちゃうんですよ。どうしても。作曲家が楽譜に書き添える情報には限度があるわけ。」
〈引用終わり〉
なるほど。オーケストラのメンバーひとりひとりが,その曲に関してそれぞれの解釈をしているとしたら,バラバラになってしまいます。
それをまとめるのが,指揮者だということですね。
小澤さんも言っていますが,10%から30%ぐらいの人が自分に賛成じゃなくても,まあうまくいくそうです。「まあ,しょうがない」ということですね。
職員集団も同じだと思います。
100%が賛成することは難しいことです。
ですから,「まあ,あの校長が言っているからしょうがない。やってみるか」と思わせる雰囲気が大切だと思うのです。(2014年3月)
170「バカの国」(KAZUYA アイバス出版)
慰安婦,君が代,日の丸,天皇,靖国神社参拝などに対して,偏った報道や論を主張をするメディアがあります。
テレビや新聞はその局独自の方針がありますから,情報を取捨選択しています。また,編集も行っています。例えば,街頭インタビューではすべての意見を取り上げることはしません。方針によって取り上げる割合を変えている(はずです)。
テレビやラジオだけでは中々流れてこない情報もあります。取り上げないニュースもあります。
そんな時は,ネットの動画が参考になります。もちろん,ネット動画も偏りや嘘があると思いますが,参考にはなります。
最近,YOUTUBEで国会中継や選挙演説などをよく見ます。これがとてもおもしろいです。
また,この本の著者であるKAZUYAさんの動画である「KAZUYA CHANNEL」もほぼ毎日見ています。
物事を1つの角度からだけとらえることは避けたいものです。そういった意味からも,この本は刺激になりました。
情報をすべて鵜呑みにするのではなく,「おや」と思ったらネットで調べてみるといいかもしれません。
違った角度の見かたができるようになります。
因みに,本の中身はこんな感じです。
第4章 俺がスーパーファミコンに夢中だった頃、戦前の小学生は人生を学んでいた
第5章 俺がアニメに夢中だった頃、戦前の小学生は国を学んでいた。
(2014年3月)
福島県の各地に支社を持つ福島民友新聞という地方紙があります。
その支社のほとんどが津波や放射線によって大きな打撃を受けました。
しかし,記者たちは,次の日の新聞を発刊するために,東日本大震災に立ち向い命をかけて取材をしました。
その事実を追ったノンフィクションです。
東日本大震災関連の本は,少しずつ読んでいます。
少しずつ伝えていくためです。
伝える方法はいろいろあります。
社会科の授業で,道徳の授業で,このブログで,
伝えていかなければいけないと思っています。
東北から遠く離れた長崎の地です。
忘れられるスピードも早いと思います。
ですから,いろいろな本を読み,生徒に伝えていきたいと思っています。
この本の片隅に次のような文がありました。
南相馬で避難生活をしていた九十三歳のおばあちゃんが,「私はお墓に避難します。ごめんなさい」という遺書を残して自殺した。
こういったことを伝えたいのです。
新聞にも載らない,テレビのニュースにもならないことを伝えたいと思っています。
読んでいる途中で,何度も涙があふれてきました。(2014年3月)
言葉というのは,大きな力を持っています。
一瞬で他人の心を変えることができるのです。
悲しんでいる時に,優しい言葉をかけてもらうと心が楽になります。
嬉しい時に,嫌なことを言われるとその喜びも吹き飛んでしまいます。
ですから,言葉はよく選び,大切に使いたいと思っています。
学年集会や行事の事前指導では,語ることをノートに書きだします。
話す内容の柱とどの言葉を使えば,生徒の心を響かせることができるかどうか考えています。
これがなかなか難しいのです。
それで,いろいろな本を読み,気に入った言葉をノートに書きだしています。
さて,この本には野口先生が選ばれた55の言葉が載っています。
言葉一つ一つに,野口先生の経験談が添えられていて,これも大いに参考になります。
ラインマーカーを持ち,気に入った部分にしるしをつけようとしました。
結果として,ページをめくるたびにマーカーを入れることになってしまいました。
しるしをつけた部分から野口先生の言葉をいつくかを紹介します。
・見えていなかったものが見えてくる。そのことが人間として成長する,ということなのである。
・集中力より絶縁能力のほうが大事だ。
・尊敬は「他人のために」という発想からのみ生まれてくる。
・教師こそ,三省を
三省とは,
①人のために真心を込めて接したか
②友だちとの付き合いの中で裏切るようなことはしなかったか
③生半可な理解で人に教えなかったか
・謙虚で優秀な者は疑問があればいつでも質問してくる
・「までの努力」ではなく,「からの努力」を
・「守破離」に中で「守」こそが重視されるべきではないか。
最後にこの本に書かれていた言葉の中で,一番気に入ったのは次の言葉です。
・「低学力」は必ずしも人を不幸にはしない。だが,「低道徳」は,多くの人を不安と不幸に陥れる。(2014年3月)
最近映画化された「銀の匙」の原作者のエッセイマンガです。
私はこちらのほうが好きです。
酪農実体験をもとにしていますから,いろいろな農業ネタが得られます。
もちろん社会科の授業で使えるネタもあります。
例えば,カボチャは地面についた部分が黄色なるので,白い皿を下に敷いて全部を緑色にしている。
例えば,北海道産のジャガイモを冬季に発送するときは,クール宅急便にするそうです。その理由は外の気温がマイナス20度以下なので,ジャガイモが凍ってしまうからです。
例えば,厳冬の年は豊作になると言われているそうです。その理由は,土の奥まで冷えが入り込むので,土中の害虫が死んでしまうからだそうです。
次号が楽しみです。(2014年3月)
味噌汁・ご飯の授業とは,日常の授業のことです。
つまり,普通の当たり前の授業のことです。
では,どうして当たり前の授業の本が出版されたのでしょうか。
それは,当たり前の授業ができない教師が増えてきたからです。
いや,自分自身は,当たり前の授業をしている気になっているのでしょう。
それは,研究授業をみると分かります。
研究授業のレベルではなく,むしろ普通の授業以下の授業だったりします。
普通の授業とはどんな授業なのかを知らずに,初任者からここまできたのでしょう。
普通の授業の基本を教えてもらうことなく,自分で学ぶこともせずにきたのでしょう。
研究授業は,「ごちそう授業」です。
そんなレベルの高い授業をするのではなく,普通の授業を1年間できる教師を育てることが大切だと痛感しています。
ぜひ,この本で学んでほしいと思います。 (2014年4月)
偽科学ではありません。科学的なにおいがするものを疑似科学と考えていいでしょう。
池内先生は,この疑似科学を3つに分類しています。
①第一種疑似科学
占い系(血液型,おみくじ,幸運グッズなど),超能力系(スピリチュアル,テレパシーなど)
②第二種疑似科学
科学的な装いをしていながらその実態がないもの
水の記憶,マイナスイオン,波動,ゲルマニウム,フラボノイド,ポリフェノールなど
③第三種疑似科学
疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの
電磁波公害,環境ホルモン,遺伝子組み換え作物など
この疑似科学は,人に害がなければいいのですが,いろいろなビジネスと結びついたり犯罪に結びいたりするものもあります。
最悪の場合は,人を不幸にさせるものもあります。
10年ほど前に3000円程度で購入した扇風機には,「マイナスイオン」というボタンがついていて,これを押せばマイナスイオンが発生するというものです。
さて,すぐにこのボタンを押してマイナスイオンを発生?させましたが,何がいいのか何が変わったのか全く分かりませんでした。
この,「マイナスイオン」商品は,本当に効果があるのでしょうか。
効果がわからない「マイナスイオン」売り文句にするのは,ある意味詐欺ではないでしょうか。
こんな身近なところに疑似科学の問題があるのです。
手品はタネがあるとわかって見ていますからいいのですが,こういった疑似科学は,タネがないようにみせかけ,いかにも科学的な効果があるようにうたっているのです。
みなさん注意しましょう。
日向教育サークルのブログで紹介されていましたので,購入しました。
先週の学年通心では,池谷さんの本を元にして最新脳科学の基づいた勉強法を紹介しました。
池谷さんの本は,好んで読んでいますから,この本も楽しみでした。
トメさんの漫画で,どうすればやる気ができるかがとても分かりやすく書かれています。
イラストを使って,生徒や保護者にも説明できると思います。
やる気を出すために大切な4つのこと。
①体を動かす
②いつもと違うことをする(マンネリ化を防ぐ)
③ごほうびをあげる
④なりきる(強く思いこむ)
まずは20日続けてみようなんかも,生徒に教えてあげると喜ぶかもしれません。
なかなか,分かりやすくて面白い本でした。
(2014年4月)
今日の午後からは,部活の練習試合でした。
4連休初日にも関わらず,学校には5名ほどの職員がいました。
本当に,中学教師は忙しくて平日は教材研究や書類作成などができないのです。
ですから,休日に出てきて仕事をしている人も多いと思います,
5時過ぎに終了し,帰宅後,この本を読破しました。
昔から,冒険もの,漂流もの,遭難ものが大好きでいろいろな本を読んできました。
人間が極限状態に置かれた時に,どうするのか,何を考えるのかを知りたいのです。
漂流もののベスト3を紹介します。
1位「たった一人の生還」(佐野三治 新潮社)
2位「大西洋漂流76日間」(スティーブン・キャラハン 早川書房)
3位「エンデュアランス号漂流」(アルフレッド・ランシング 新潮社)
さて,読破した本は,ちょっと変わった漂流ものです。
自分の体を実験台に使うというものです。漂流中は,海水を飲んではいけないという定説がありました。
これを実験漂流で覆そうというものです。
読んでいくうちに,のどが渇いてきます。
ネットの古本でようやく見つけました。
(2014年5月)
179「道徳授業の教科書」(野口芳宏 さくら社)
野口先生の道徳授業の中で一番,印象に残っているのは,「岐路の選択」という授業です。
この授業を受けたことで,私の道徳授業に対する意識が大きく変わりました。
衝撃を受けたといってもいいでしょう。
その後,「幸福の条件」「教育勅語」の授業など多くの授業を受けてきました。
この本には,野口先生の道徳授業に対する根本的な考えと授業の実際が掲載されています。
特に,教師の熱い思いで授業を実践する「実感道徳」の必要性を感じます。
どこからか借りてきたような道徳授業を「道徳ごっこ」と言われています。
道徳授業を創って実践している私にとって,この言葉が胸に刺さりました。
自分のハートにぐっときた題材を資料化し,教師の哲学に基づいた授業をすることの大切さを再認識しました。
以前,私は雑誌に「(道徳授業で)もっと教師の価値観を押しつけよう」というタイトルで原稿を書いたことがあります。
このことについて,野口先生は次のように書かれています。
「まだ自分の確たる価値観を持たない子どもたちに,物事の本質的な価値観を教え,身に付けされる基礎指導が道徳だ。正しいことは教え込んでよいのだ。生きていく上で基本となる正しい価値観は,教え押し付けていくべきなのだ」
勇気が出る一文です。胸がすく一文です。
読後,野口先生の道徳授業をまた受けたくなりました。
(2014年5月)
今日は,代休です。
ゆっくり寝ていられると分かっていても,いつも通りの時刻に起きてしまうのは歳のせいでしょうか。
おかげで朝からドリップ式コーヒーを入れ,じっくりと味わいながら読書をしました。
一番好きな時間です。
椎名誠さんの本は,かれこれ30年以上も読んできましたが,相変わらず面白いです。
特に,自分の身内のことを書いた「岳物語」や「大きな約束」などの私小説が好きです。
この本は,そんな私小説の最新版です。
じいじいになった椎名さんと孫3人との格闘の日々が描いてあります。
私小説ですが,時おり,現代の教育について,人生について,世界からみた日本について,死について,生き物についてなど椎名さんらしいコメントが挿入されています。
これが,一番の魅力です。
今日1日で,のんびりともう一冊読破したいですね。
もちろん,コーヒーを片手に。
(2014年5月)
182「いま伝えたい!子どもの心を揺るがす“すごい”人たち」(水谷もりひと ごま書房新社)
子供だけではなく保護者にも読んでほしい1冊です。
こんな生き方って素晴らしいと感じられる話,自分の生き方についてちょっと立ち止まって考えたくなる話,そんな裏話があったのかなど40話が収録されています。
「日本一心を揺るがす新聞の社説」よりも,子供たちに話してあげたい話がたくさんあります。
これを使って道徳授業を授業を作り,生徒と一緒に考えたくなるような話もあります。
(2014年5月)
一風変わったミステリー小説です。
小学生の鈴木太郎は,同級生から神様と呼ばれています。
その理由は,すべてのことを知っているからです。
つまり,今から起こるであろう殺人事件の犯人を知っているのです。
この本には短編6つ収録されていますが,書き出しはすべて同じです。
「○○が犯人だよ」という神様の言葉から始まるのです。
最初から犯人が分かってしまうという不思議なミステリーなのです。
まあ,テレビで言えば「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」みたいなものです。
しかし,話の終わり頃になるに従い,ちょっと強引すぎじゃないかという印象を持ちました。
また,登場人物のほとんどが小学生というのも,違和感がありました。
発想は面白いのですが,残念です。 (2014年5月)
チベットのツアンポー峡谷の未踏破地域を単独で踏破した角幡さんの,エッセイ集です。
以前から,冒険本や探検本が好きでいろいろ読んできました。
そのせいか,植村直己さんや野口健さん,栗城史多(くりきのぶかず)さんを扱った道徳授業を作りました。
世界的に有名な冒険家が,冒険をしようとしたきっかけは,驚くほど単純なのです。
それは,「今の自分を変えたいということです」
これは,冒険家だけではないはずです。
誰もが考えていることでしょう。
冒険家であれ,教師であれ,会社勤めのサラリーマンであれ,自分を変えるために必要なことは,勇気を出して一歩を踏み出すことなのです。
グーグルアースでエベレスト頂上も簡単に見ることができる今,冒険がなかなか難しくなったと思います。
また,冒険に対する社会的認識が低くなってきていることも事実なのです。
悲しい時代になってしまいました。
(2014年5月)
幕末から明治の初めまでの激動期を生きた政治家たちが,新しい国づくりをどうやったかを描いた傑作です。伊藤博文や山形有朋,陸奥宗光など教科書に登場する人物たちが,西洋に学びながら日本をどういう国にしていくのかとても興味深く読むことができました。
この本に登場する人々の共通点は,好奇心旺盛ということと知識量が豊富であるということです。
アメリカやイギリス,ドイツ,フランスなどの政治の仕組みを学び,法律を学び,しかも天皇制をどう組み込むかという問題がありました。
最終的には,明治国家のグランドデザインを作ったのは,伊藤博文だったということが一番,興味をもった部分です。原文の引用が随所にあるため,読むスピードは遅くなりますが,とても面白く読めました。 (2014年6月)
息子から勧められて読み始めると,これが面白かったです。次巻を読みたくなりました。ということで寝ながら読み始めて結局,第一部が完結するまで読んでしまいました。
さて,次はどんな展開が待っているのでしょうか。 (2014年6月)
191「中高時代に読む本50」(清水克衛 PHP)
一般的に読書は,個人的なこだわりや偏りがあるものです。好きな作家ばかりを読み続けて,他人から紹介されてもなかなか本腰を入れて読もうとしないのです。
私もそうです。
ですから,本屋ですすめられている本を買ったり,ネットの書評などを参考にして買ったりしています。
その結果,新しい作家の本が面白かった時は,宝物でも発掘したような喜びを感じます。
さて,この本で新しい本との出会いがありました。紹介されていた本で,気になった3冊を購入しました。
本日,2冊は届きましたので,さっそく読み始めます。 (2014年6月)
やなせさんが,いろいろな所で発言したり書いたりしている心に残る言葉を集めたものです。
その言葉に添えて,1ページ程度の文章があります。
この1冊にやなせさんの人生が詰まっていると思います。
この本を元にして道徳授業をつくってみようかなと思いました。
それぐらい,心に迫る内容でした。 (2014年6月)
今まで,菊池先生の講座は何回も受けてきました。また,菊池先生に招かれて,北九州の企業セミナーで道徳授業の作り方についての講座を担当したこともあります。
そういった意味でも,菊池先生とはいろいろとご縁があります。
さて,今回の「教師修行セミナー」でも講座を担当していただきましたが,初めて受講した先生が,もっと早く出会っておけばよかったととても後悔していました。
それほど,インパクトがあったのでしょう。
この本は,菊池先生の実践集というよりは,菊池先生の実践である「ディベート」や「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」の根幹にあたる教育哲学が中心に書かれています。
「公」の意識の大切さ,父性の教育などうなづく部分も多かったです。
この哲学の部分を理解して,実践しないと失敗してしまう恐れがあります。
ですから,菊池実践を取り入れる前にぜひ読んでほしい1冊です。(2014年7月)
196「権威」(後藤静香 善本社)
言葉を集めるために,いろいろな詩集を読んでいます。
例えば,むのたけじさんの「たいまつ」などは,たくさんの心に刺さる言葉に出会いました。
この本も,ネットの書評で知り購入しました。
発効日を見ると,初版は大正10年とありました。これだけ見てもすごいです。
この本には,390もの詞(言葉)が書かれています。
しかし,これだけの詞の中から私の心に刺さったのは,わずか5編程度でした。
うーん。
響きませんでした。残念。 (2014年7月)
毎日,何の目的意識もなく大学に通っていた一人の若者が,このままではいかんと思い立ち,とりあえず新宿のゴミ拾いを始めます。
やくざに絡まれ,ケンカに巻き込まれ,サラリーマンたちからは冷たい視線を浴びせられながらも,とりあえず1カ月続けます。
1カ月でやめようと決めていましたが,ある出来事が彼の人生を変えます。
この本を読むと,人間捨てたもんじゃないなと思えます。
鍵山秀三郎さんの言葉を思い出しました。
「1つ拾えば,1つきれになる」
行動することで,自分の人生は変えられるのです。
さあ,夏休みです。
100冊読破を目指して,なんとか読破冊数を稼ぎます。(2014年7月)
200「人生逆戻りツアー」(泉ウタマロ プレジデント社)
生きがいをなくした初老男のクロードが木から降りられなくなった愛猫を助けた後で,落ちて亡くなってしまいます。
そこに天使が現れて,クロードと一緒に人生をさかのぼって見に行きます。
大好きだった絵を描くこと。
イレーヌとの結婚そして別れ。
この本が言いたいことは,「人生に無駄なことはひとつもない」ということ。
自分の人生を変えることができるのは,自分自身であることを教えています。
※追伸:このブログの訪問者もついに26万人を突破しました。ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
(2014年7月)
久々の★4つ作品に出合いました。
見事なプロットと伏線にただただ関心しました。
初めて読んだ作者さんですが,また読みたくなりました。
最後のどんでん返しには,驚かされます。
中学生には是非読んで欲しい1冊ですね。 (2014年8月)
私の研究テーマの1つに話術があります。
どういう話し方をすれば,聞きたくなるのか。
どのような言葉を使えば,聞きたくなるのか。
どのような文法を使えば,聞きたくなるのか。
そのために,いろいろな講演会では話者の特徴や印象的な言い回しや心に刺さった言葉をなどいろいろとメモしています。
テレビでは,落語や漫才をよく聞きます。
そういった意味でも,この本はためになりました。
ヒトラーの25年間の演説で出てきた50万語の言葉をデータベース化するという途方もない研究をまとめたもとのです。
これだけでも★4つです。
確かにヒトラーは演説の天才といえるかもしれませんが,それだけでは歴史は変わりません。
ヒトラーの演説に熱狂した聴衆がいたのです。
ヒトラーのような救世主を待ち望んだ人々がいたからこそ,ドイツは変わったのだと思います。
また,ヒトラーは場の雰囲気をうまく読み取ったり,いち早くマイクやラジオ放送を積極的に使ったりして,聴衆をひきつけていったのです。
ヒトラーが良く使っていた文法は,
①AではなくBである。
②もし,AしなければBになる。
だそうです。
断定的な発言によって,聴衆は柔軟な思考ができにくい状態になっていたのかもしれません。
この本は,現代の我々に,いろいろな発言や情報を場の雰囲気に飲まれて信じることなく,いったん冷静に考えることの大切さを訴えているのだと思います。 (2014年8月)
いよいよ夏の甲子園が始まります。
子供の頃は,毎日のようにテレビで甲子園中継を見ていました。また,どの高校が優勝するのか予想までする熱の入れようでした。
また,漫画では水島新司さんの野球漫画にはまっていました。「ドカベン」「あぶさん」「一球さん」「野球狂の詩」などです。
さて,この本は甲子園を目指す高校球児が主人公で,笑いと涙を交えて描いています。
また,現在と過去を交互に描くことで,ラストの感動をより大きなものにしています。
試合の様子の描写はとてもうまくて,まるでテレビを見ているような感じです。
大人になる寂しさなども描かれていて,野球を知らない人が読んでも感動すると思います。
ちなみに,ひゃくはちとは,ボールの縫い目の数です。
会話の中に,「四苦八苦」も108だと出てきます。
つまり,4×9=36 8×9=72 36+72=108
なんという偶然。 (2014年8月)
高校1年生の時,友人から全巻借りて読んだ「あしたのジョー」の感動は今でもはっきりと覚えています。
マンガってこんなすごいんだということを教えてくれた1冊です。
その作者であるちばてつやさんが自分の作品を解説した本です。
この本を読んで,ちばさんの作品に漂っている貧しさや寂しさ,特に矢吹ジョーの悲しい目の理由が何となく理解できました。
今までに読んだちばさんの作品は,それほど多くはありません。
これを機会に読んでみようかなと思いました。
誰もが気になる「あしたのジョー」のラストシーンについて,ちばさんはこのように解説をしています。
〈引用始まり〉
あの姿を見てジョーは死んだんだと言う人も多い。しかしそれには異論がある。私が描きたかったのは,存分に闘ってきたジョーが「燃え尽きた」瞬間である。生も死も越えて,無言のジョーの抜け殻がそこにある。そんな終わり方にしたかったのである。
〈引用終わり〉 (2014年8月)
今までに,鈴木先生の講座は何回か受けてきました。
道徳授業の素材探しや料理法,そして発問づくりなど多くのことを学ぶことができました。
特に道徳授業づくりのセンスが素晴らしいといつも感心していました。
そんな鈴木先生の道徳授業づくりの奥義がぎっしりと詰まった1冊です。
この本からの学びをいくつか紹介します。
①道徳授業ができるまでの鈴木先生がどんなことを考えたかが書いてあります。思考過程を知ることで,自分が創る時の参考になります。
②小さい吹き出しの中に,指示や発問の意図が明確に書かれています。授業の中で行うことすべてに目的があります。ただ何となくとか指導書に書いてあったからでは,ダメです。
③ねらいの書き方が大いに参考になります。
道徳授業のねらいの部分に,「道徳的実践力を高める」とか「くじけない心を持ち,社会を変えようとする態度を育てる」など50分間の授業ではとうてい達成できないような大きすぎるねらいが書いてあることが多いようです。50分間の道徳授業でできることは限界があります。そのことを理解した上で,ねらいを設定することが大切です。
ちなみに鈴木先生は,「意識を高める」とか「態度を育てる」とか「気持ちを持たせる」という語尾で書かれています。
語尾までしっかりと考えてあります。
④生徒全員を授業に参加させる技がいくつも取り入れられています。
授業というのは,全員参加させることが重要です。しかし,現実を見ると分かっている生徒中心に進めて分からない生徒は置き去りにしているような授業を平気で行っている教師がいます。
楽しく強制的に授業に参加させることが大切なのです。
⑤発問や指示の種類がバラエティ豊かです。
「この時の○○さんはどんな気持ちだったでしょうか」とか「今日の授業の感想を書きましょう」とか,ついついワンパターンな授業をつくってしまいがちです。
ワンパターンになりがちな発問づくりですが,この本から大きなヒントと刺激をもらました。
次に道徳授業をつくる時に,この本に書かれている発問を参考にしていきます。
⑥板書の仕方がよくわかります。
指導案を見るとなかなかいい授業のように思えても,板書がまったくダメな授業があります。授業のシュミレーションをしっかりとしていないのです。また,板書の重要性を認識していない教師が多いのです。
生徒は,授業後に板書を見て,今日の授業で学んだことを定着させたり,深めたりするのです。
中学教師は,もっと板書について学んでいかなければいけないと思います。
今後,何回も読み直してさらに学びを深めてみたいと思える本です。
若手教師にとっては必読です。(2014年8月)
今,気に入っている笹生(さそう)さんの本です。
クールな小学生の拓馬が,ハードルの選手に選ばれます。
同じく選ばれた運動音痴のでくちゃん。
そして,自宅に戻ってきた病弱な弟,健児。
でくちゃんとのハードルの練習。
健児との新しい生活。
いよいよ大会。
ラストはスピード感あふれる描写で,グイグイと引き込まれます。
そして,最後の描写が素晴らしいです。
〈引用始まり〉
おれは最終ハードルをバーすれすれにクリアして,一気にラストスパートをかけた。呼吸は,ぜんぜんみだれなかった。手足は,不思議とかるかった。もう止まらずに,どこまでだって走っていけるような気がした。
信じられるか?
山口拓馬は,自分自身にむかって,いった。
信じられるか?
山口拓馬。
悪いけど,いま,おれは本気だ。
〈引用終わり〉
本気になることは,かっこいいことです。(2014年8月)
久々に諏訪さんの本です。
いつもと同じように,すんなりと読み進めることができませんでした。
そんな理由で,読破するために相当な時間がかかりました。
しかし,諏訪さんの本は,一般的な教育書とは違って,教師や教育について冷静に見ることの大切さを教えてくれます。
つまり,当たり前とかキレイゴトを疑ってみるという視点で書かれているのです。
特に興味をもった部分は,「スクールカースト」を批判した部分です。
〈引用始まり〉
私はその状態をインドの上から下までたくさんの位階制を持ち,自分が生まれた階級(階層)から一生逃れることのできないカースト制に比するのはまったく賛成できない。カーストは階級のみならずその階級に宿命づけられてる職業とも結びつている。現在もカーストの軛に苦しみ喘いでいる人々が膨大に存在しているなかで,たかがクラスの人間関係のなかから醸成されてくる上下的,位階的な居心地の悪さの原因として「カースト」という語を使うことは許されるべきではない。まったく事実と質の異なることだ。
〈引用終わり〉
なるほどです。
はやりに流されることなく,ちょっと立ち止まって考えることの大切さを教えてくれています。
(2014年8月)
なかなかに疲れているらしく,昨晩は9時に眠ってしまいました。
そうなると,朝が早く目覚めてしまうのは,歳をとった証拠でしょうね。
ということで,今朝は5時に目が覚めてしまい,家人の迷惑になるので,静かに読書をしました。
この本は,私が大学生の頃つまり80年代初期を時代背景にしているため,とても懐かしかったです。
出てくる音楽やテレビ番組なども重なってしまい,一瞬で大学生の頃に戻ってしまいました。
何も知らずに読んでいくと,単なる青春ラブストーリーものです。
しかし,最後の2行を読むと,まんまと騙されたことに気が付きます。
そして,もう一度ページを戻り確認します。
なるほど!
ここまで騙された本は,ありません。
うますぎる構成に,感謝したくなりました。
ちなみに,乾くるみさんは,男だそうです。
これまた,騙されたました。
うまい!
(2014年8月)
初めて購入しました。
その理由は,気になる特集が組まれていたからです。
特集のタイトルは,「学校が危ない」でした。
現在,教師をとりまく様々な問題をデータに基づいて紹介しています。
ルポ①先生が辞めていく
ルポ②燃え尽きる先生
ルポ③ブラック化する職場
ルポ④多忙と疲労の果に
特に志水宏吉先生の言葉が印象に残りました。
「中学生になると,親の経済力(経済資本)だけでなく,家庭の教育環境(文化資本)や人間関係の豊かさ(社会関係資本)の格差がダイレクトに学力に結び付く。沖縄の小学校があれだけ頑張っても,中学校の結果は40位台だ。小学生は「頑張れ」と言うと頑張る。でも,中学生になると自意識が生まれ,勉強に向かい続ける子どもと,そこから背を向けてほかの世界に向かう子どもとに分かれる。背を向けた子どもを引き戻すのは大変だ。」
とにかく,教育再興のためには,教師が元気になるような施策が一番必要だと思います。
学力向上の問題も案外こういったところに解決策があるのかもしれません。
(2014年9月)