道徳授業実践記録

今まで,50本以上の道徳授業を創って,実践してきました。そのいくつかは,「とっておきの道徳授業 中学校編」(日本標準)に収録されています。この本の特長は,指導案ではなく,実際に授業をした記録という形式になっていることです。ですから,生徒の意見や生徒の反応などが細かく書かれています。それが,たとえ良くない反応であったとしても,授業の実際として書かれているのです。加えて,道徳授業を自分でつくるコツやポイントがわかるようになっています。是非,参考にしていただき,自分で道徳授業をつくってみてください。

ここでは,道徳授業実践として,学年通心に掲載したものを紹介していきたいと思います。

詳しい資料を希望される方は,メールを送ってください。

1「雨が降らないと虹は出ない」(A-3 向上心)

 先週2年2組で道徳授業を行いました。

資料として,片岡鶴太郎さんの人生を 取りあげました。

鶴太郎さんは,20代でお笑い芸人,30代で俳優とプロボクサー, 40代で画家といろいろなことにチャレンジして,成功してきたマルチタレントで す。

 さて,このような人生を送ってきた鶴太郎さんには,自分に自信をもった出 来事がありました。それは,高校受験を控えた中学校3年生の夏休みのことでした。

 受験勉強を始 めたところ,中3の問題集を見ても全くわからりません。仕方なく中2の問題集をやってみたそう です。しかし,それも分からない。さかのぼって中1の問題集を解いてみたところ,やっぱりわか らない。結局,小学校6年生の参考書とドリルを買ってやり始めたそうです。小6の問題 を懸命に解いていくうちにやり方がわかったそうです。すると,中1の問題がわかるようになりま した。

 そして夏休みの1か月をかけて中2,中3の問題も解けるようになったそうです。夕方4時 から明け方4時までの12時間徹夜でドリルを解いたこともあるそうです。

 このことについて,鶴太 郎さんは「その時のことは,今の自分の核になっていると思います。オレはやればできるんだ。馬 鹿じゃないんだ,と。このことに初めて自分の力で気づいたんです。中3の夏休みの大きな大きな 経験でした。」と言っています。 

 さて,授業では,鶴太郎さんの講演会の様子を動画で見せました。

 この中で鶴太郎さんは

 「雨が 降らないと虹は出ない」

 というハワイのことわざを紹介されました。

 そこで,「雨が降らないと虹 は出ない」とはどんな意味だと思いますかとたずねてみました。すると次のような答えが出ました。 

・勉強しなければ,成果はでない。 

・悲しいことも乗り越えれば,笑顔に変わる。

・失敗しないと成功はしない。 

・何かつらいことをしないと,良いこと結果はでない。 

・努力と悔しさがなければ,結果はでない。 

・努力をしないと夢は実現できない。 

・嫌なことでも,やってのけないと結果はでない。 

・やることをやらなければ結果はでない。 

・部活だったら,練習をがんばらなければ,勝つことはできない。 

・苦しさやつらさを味わい,乗り越えなければ,嬉しさや楽しさは味わえない。 

 道徳授業の良さは,1つの問いでもいろいろな意見が出て,その意見をクラスの仲間と共有でき ることです。

 教科の授業であまり目立たない生徒でも,道徳の時間には,仲間が大きくうなづくよ うな意見を発表することもあります。また,仲間の意見を聞くことで,自分の考えを深めることも できます。そうやって,より良い生き方について学んでいくのだと思います。

 今回の道徳授業でも, 2組の生徒はみんなしっかりと考え,素晴らしい意見を書き,発表することができました。 

2「思うは招く」(A-3 向上心)

5月30日(月)に市教育委員会の計画訪問があり,教育長や学校教育 課の先生方が全学級の授業を参観されました。

 そこで私は植松努さんの「空想教 室」(サンクチュアリ出版)という本で道徳授業をつくり2年1組で行いました。

 植松さんは,子供の頃 から紙飛行機が好きで宇宙にあこがれていました。大学で流体力学を学び,名古 屋で航空機設計を手がける会社に入社しました。1994年に北海道に戻り,父親が 経営する植松電機に入社し,現在,電磁石の開発製作を手がけています。同時に 人工衛星の打ち上げやロケットの打ち上げ実験などもしています。2012年には,ロケットの打ち上 げ実験で到達高度7,400mを達成しています。

 さて,この授業のねらいは

 「植松努さんのロケット づくりに賭ける情熱を知り,夢をかなえるために自分にできることがあることに気づく」 としました。

 特に植松さんの次の3つの言葉の意味を考えてほしいと思いました。

①「思うは招く」  ②「人との出会いで人生は変わる」 ③「優しさとあこがれが夢をかなえる」

生徒の感想から いくかを紹介します。

〇私も「小さな自信」を持つように目標を 立てていきたいです。 

〇私も自分でやりたいと思ったことや夢を大切にして何でもチャレンジしたいです。 

〇今までは,これがしてみたいけど,「どうせ無理だ」と思っていたけど,この授業を聞いて「ど うせ無理だ」と思う前に自分なりにがんばることが必要なんだと思った。 

〇今日の授業では,夢を叶えるための方法をたくさん知れてよかったです。夢を叶えるためには, 思い続けることと努力することが大切だと思うので,私もあきらめずに努力したいと思います

 〇ずっと思っているといつかは夢がかなうということを学んだので,途中であきらめたりせず最後 までやり通そうと思いました。

〇今日の授業で自分の夢が本当にかなうか心配だったけど,この授業で少し自信がつきました。 〇この人は優しさやあこがれで夢をかなえるのでかっこいいなあと思いました。

〇夢は小さなことをからでもあきらめずにやればかなえられるということがわかりました。 

3「笑顔のチカラ」(D-22 よりよく生きる喜び)

 1組から3組までのローテーション道徳授業が終わりました。

 今回の道徳授 業で2人の人物を扱いました。

 一人目は,女子プロゴルファーの渋野日向子 (しぶのひなこ)さんです。2019 年 AIG 全英女子オープンで日本人女子選手 として,42 年ぶりの海外メジャー優勝を果たした人物です。また,彼女はど んな時も笑顔を絶やさずにプレイをすることで「スマイル・シンデレラ」と呼 ばれて注目されました。 

 二人目は,水谷幸次さんです。笑顔は世界共通のコミュニケーションをテー マに,MERRY(楽しいこと,幸せなとき,将来の夢など)の輪を広げていく 『MERRY PROJECT』に取り組んでいる人です。「あなたにとって MERRY とは何で すか?」このシンプルな質問を世界中の人々に投げかけ,これまで同時多発テロ 直後のニューヨーク,東日本大震災の被災地,発展途上国など 30 か国を訪ねて 約4万人の笑顔を撮影してきました。 

 この道徳授業の目標を,「笑顔は,周りの人たちを幸福にする力があること を知り,笑顔で過ごすことが大切さを感じ取らせる」としました。

  「誰かの笑顔が自分の力となったことがありますか。それはどんな時の誰の笑顔ですか」

 とたず ねるとこんな答えが返ってきました。

・自分が迷っていたとき,お母さんの笑顔で決めることができた。

・試合に行く前に,家族が笑 顔で「行ってらっしゃい」と言ってくれて頑張ろうと思った。

・辛いことがあって落ち込んでい る時に友達が笑顔で「大丈夫!」と声をかけてくれて力になった。

・お父さんお母さんの笑顔が 力になった 

・悩んでいる時に家族の笑顔が力になった。

・試合中に家族の笑顔が力になった。

・ 競泳の池江さんの笑顔で頑張ろうと思った。

・試合前にチームメイトの笑顔が力になった。 

 感想も素晴らしいものが多く,しっかりと自分事としてとらえたことが分かります。 

〇笑うことの大切さが分かりました。これからつらいことがあっても笑顔で乗りこえていけた らいいなって思いました。

〇笑顔は人に元気を与える源であり,人の笑顔を大切にしていかなければいけないと思った。 

〇多くの人が悲しい時や落ち込んでいる時に心から笑っている人を見ると勇気がもらえるの ではないかと思いました。

〇悲しい時や悩んでいる時も友達や親の笑顔に救われるので,自分も笑顔で過ごすことを心が けていきたいです。 

〇笑顔は幸せにつなぐと知り,共感しました。笑ったあとは必ず楽しい気持ちになって悪い気 はしません。今回の授業は私に当たり前のことを教えてくれました。 

〇自分一人の力で幸せになっているんじゃなくて,他の人の力もあって幸せになっていると思 いました。 

〇今まで,どれだけの人の笑顔に救われただろう。改めて考えました。 

4「122対0」(A-5 強い意志)

 12 月 20 日 5 時間目 に実施 ~ 先 週 木 曜 日 に 学 年 道 徳 授 業 を 体 育 館 で 行 い ま し た 。

 前 回 ,人 権 学 習 で 実 施 し ま し た の で 2 回 目 と な り ま す 。

 道 徳 授 業 を 学 級 で 実 施 す る と き は ,一 人 一 人 の 考 え を 深 め ,意 見 を つ な げ る よ う に 進 め て い き ま す 。

 し か し , 140 名 近 い 大 人 数 を 相 手 に す る と き は ,パ ワ ー ポ イ ン ト の ス ラ イ ド 数 を 増 や し て テ ン ポ よ く 進 め る こ と に し て い ま す 。

 マ イ ク を 使 っ て 生 徒 の 意 見 を 発 表 さ せ ま す が ,深 め て い く こ と が な か な か 難 し い か ら で す 。

 で す か ら ,最 後 に 思 考 を 刺 激 す る よ う な 発 問 を し て 授 業 後 ,深 く 考 え さ せ る よ う に し て い ま す。

  さ て ,今 回 の 学 年 道 徳 の 主 題 は「 失 敗 か ら 学 ぶ 」で す 。こ の こ と は ,元 京 都 伏 見 高 等 学 校 ラ グ ビ ー 部 監 督 で あ る 山 口 良 治 さ ん の 「 良 き 敗 者 た れ ! ( Good Loser)」 と い う 言 葉 が 端 的 に 表 し て い る よ う に 思 い ま す 。 

 使 用 し た 教 材 は , 1998 年 の 夏 の 甲 子 園 青 森 県 予 選 で 実 際 に あ っ た 試 合 を 元 に 作 成 し た も の で す 。そ の 試 合 に お い て 122 対 0 と い う 歴 史 に 残 る 大 差 で 負 け た 深 浦 高 等 学 校 の 捕 手 で あ る 拓 司 く ん と い う 選 手 に ス ポ ッ ト を あ て ま し た 。彼 は ,野 球 部 を 引 退 し た あ と 自 分 の 進 路 を 実 現 す る た め に 並 々 な ら ぬ 努 力 を 重 ね ,つ い に は そ の 目 標 を 達 成 さ せ ま し た 。拓 司 く ん の 生 き 方 を 見 つ め さ せ る こ と に よ り , 負 け を 通 し て 学 ぶ こ と の 大 切 さ を 考 え さ せ た い と 考 え ま し た 。

 ま た ,最 後 に 自 分 の 生 活 に つ な げ さ せ る た め に ,野 村 克 也 さ ん と エ ジ ソ ン の 言 葉 を ヒ ン ト に 失 敗 を ど う と ら え る か を 考 え さ せ ま し た 。 発 問 は 大 き く 次 の 2 つです。 

① 「 122 対 0 で 負 け た こ と と 拓 司 く ん の 大 学 合 格 は 関 係 が あ る と 思 い ま す か 」 

② 「 野 村 さ ん は , 失 敗 と 書 い て 「 せ い ち ょ う 」 と 読 み , エ ジ ソ ン は 「 は っ け ん 」 と 読 む と 言 っ て い ま す 。 み な さ ん は , 失 敗 と 書 い て 何 と 読 み た い で す か 。 や り と り 帳 に 書 い て 明 日 提 出 し ま し ょ う 」 こ の 宿 題 に 生 徒 は 以 下 の よ う な 素 晴 ら し い 考 え を 書 い て き ま し た 。

 「 失 敗 と 書 い て , け い け ん ( 経 験 ) と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , ス テ ッ プ と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , じ ん せ い ( 人 生 ) と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , ま な び ( 学 び ) と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , み ら い ( 未 来 ) と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , ち ょ う せ ん ( 挑 戦 ) と 読 む 」 

「 失 敗 と 書 い て , せ い こ う ( 成 功 ) と 読 む 」 い よ い よ 1 月 か ら ,高 校 受 検 が 本 格 的 に 始 ま り ま す 。こ の 道 徳 授 業 で 考 え た こ と や 学 ん だ こ と を 大 切 に し て ほ し い と 考 え , こ の 道 徳 授 業 を 実 施 し ま し た。 

5「志村けんさんの心」(A-3 向上心)

志村けんさんの人生に学ぶ

  平成 29 年度の後期が始まりました。今,どんな気持ちでいますか。「新しい学期にな ったのでがんばろう」「目標に向かって毎日努力しよう」といった気持ちでしょうか。 

 先日,道徳の時間で志村けんさんの人生を教材として扱いました。志村さんは,ザ・ ドリフターズのメンバーで現在 67 歳です。テレビでは「バカ殿」や「変なおじさん」な どで大人気のコメディアンですが,ここに至るまでそうとうな苦労があったそうです。 

 その志村さんが好きな言葉は「忍耐」「努力」「心」です。

 そこで,こんな発問をしま した。

「志村さんが好きな心はどんな心だと思いますか」

 以下に生徒の考えを紹介しま す。

 「強い心」

「あきらめない心」

「素直な心」

「どんなことにも負けない心」

「優しい 心」

「ひたむき,夢へ一直線な心」

「全力で取り組む心」

「楽しむ心」

「人を思いや る心」

「純粋でまっすぐな心」

「相手の事を考える心」

「何事も積極的に取り組む心」 

「やりとげたい心」

「皆を幸せにする優しい心」 

 生徒が考えた心はどれも素敵な心だと思います。最後に,志村さんの人生から生徒た ちが学んだことをいくつか紹介します。 

○学校でも頭のいい人は,家でたくさん努力をしているのはわかっているけど,自分は なかなか実行できていないのですごいと思いました。私もがんばります。 

○今回の話を聞いて努力する人が天才なんだと思います。 

○努力はやっぱり大事なんだなと思いました。 

○自分は天才とは何をしてもなれるものではないと考えていたが,誰もがなれるものだ と分かった。自分の夢のために努力をしていこうと 思う。 

○今日の志村さんの話を聞いて,どんなにつらいことがあっても必 ず 楽しいことがやってくると思えば何でもできると思えた。 

○何でもできたり,はじめてやったことでもすぐに できたりする人が 天才だと思っていたけど,努力する人が天才だと聞いて納得しました。

 感想からも努力の大切さを感じ取ったことが分かります。この気持ち を大切にしてほしいと思います。 

6「仲間がいるから」(C-15 集団生活の充実)

 1 年生では,学年職員 6 名が週替わりでローテーション道徳を行っています。このローテーション 道徳の 1 巡目が終わりました。

 私は,道徳授業「仲間がいるから」を行いました。この授業は,学 年キーワードである「仲間と成長する」ことの大切さを心で感じ取ってほしいと思い,私が作りま した。

 使った教材は2つです。

 1つは,実業家の斎藤ひとりさんの言葉「仲間がいるから楽しい 仲 間がいるから前進できる」です。

 2つは,昨年度の卒業式で卒業生代表が読んだ答辞です。

 終盤で 「仲間がいるから(   )」 あなたは,(   )にどんな言葉を入れますか」と言ったところ, どの学級も 20 名近くの生徒が進んで前に出てとてもいい意見を書いてくれました。 

〇今の自分がいる 

〇挑戦できる 

〇助け合える 

〇次の一歩を踏み出せる 

〇自分は変われる 

〇自分を高められる 

〇未来がある 

〇勇気が出せる

〇思い出ができる 

〇自分らしく生きられ る 

〇立ち直られる 

〇笑い合える 

〇全力になれる 

〇笑顔になれる 

〇絆が深まる 

〇強くな れる 

〇生きる価値が見つかる 

〇自信がつく 

〇素直になれる 

〇乗り越えられる 

 生徒の感想からいくつかを紹介します。 

〇考えたこともないことを深めることができた。 

〇小学校ではやったことないような授業でとても楽しかったです。

〇新しいタイプの授業が出てきたなあと思いました。面白かったです。 

〇いままでの道徳とはちがって難しく考えずに分かりやすかった。 

〇時間がすぎるのがはやかったで す。またしたいと思いました。 

〇それぞれ意見は違うけど,みんなの考えがよくわかりました。 そして,理由が似ている意見も多くありましたが,ひとり一人の発表の仕方が違い,よく気持ちが 伝わりました。 

〇仲間がいるのは幸せなことに気づきました。仲間とけんかしたりすると思うけ ど,相手のことをわかり合って,仲間のことをもっと大切に思えたらいいと思いました。 

〇自分 は仲間がいるから頑張れるということを実際に経験したことがあります。自分ができないことに一 生懸命に取り組んだらほめてもらえたことが実際にありました。なので,今回の授業が人生の宝物 になりました。

〇自分にとっては,友達も仲間も生きるには必要だと思いました。何か悩みを聞 いたり,聞いてもらったり,してもらうことはとても大切だからです。そして,今までの道徳の授 業で一番楽しかったです。道徳授業の楽しさに気づけました。 

〇仲間は,イやなことを吹き飛ば し,何倍も楽しい思いができるすごい力を持っているものだと気づきました。

〇楽しかったし,心 にしみました。友達も仲間も大切な宝物なので失わないようにしたいです。 全員意欲的で,しっかりと考え仲間の意見を聞きながら自分の考えを広げ深めることがでました。 これからも,道徳授業を通して,より良く生きることについてしっかりと考えさせたいと思います。 

7「いじめ」(C-11 社会正義)

 この授業は,群馬県の元小学校教師である深澤久先生の実践を元にしています。

 6月2日(木)道徳授業の様子(2年1組) 先日,教育実習生のために道徳授業(2年1組)を公開しました。校長先生をはじめ5名の先生 が参観されました。

 内容は「いじめ」についてでした,ねらいは次の2つです。

 1つは,「いじめ」 は犯罪であるという視点を与えることです。

 2つは,自分の良いところをさらに伸ばしていこうと いう気持ちにさせることです。

 授業の大まかな流れは次の通りです。 

 ①自分の良いところをノートの書かせる。

 ②友達から自分の良いところを書いてもらう。 

 ③人として悪い行為を考える。

 ④「いじめ」とはどんな行為をいうのか考える。 

 ⑤いじめと思う行為が,刑法の第何条にふれることかを班で話しあう。 

 ⑥「いじめ」とは何か。短い言葉で表現させる。 

 ⑦自分の良いところをもう一回確認する。 

 ⑧今日の授業の感想を書かせる。 

 1組の生徒は,私の道徳授業を受けるのは初めてでしたが,みんな真剣に考え,一生懸命に発言 をしていました。生徒の感想からいくつかを紹介します。 

〇いじめをすれば犯罪になるということがわかった。自分の良いところは,もっと伸ばして悪いと ころは直していって,いじめをしないようにしたいです。 

〇いじめはしてはいけないことだとわかった。人をいじめると相手が悲しんだり嫌がるので,いじ めを1つの犯罪だと思って生活していきたいと思った。 

〇いじめをすることで相手が傷つくし,あとからやって自分も後悔すると思うし,いじめも立派な 人権侵害だと思いました。犯罪の種類もいろいろあってとてもためになりました。これからは, いじめられている人をみたりしたら助けたいと思った。 

〇自分はいじめたこともないし,いじめられたこともないので,あまりわからないけど,1つだけ わかったことがあります。それはいじめとは犯罪の並のとても悪くだれも幸せにはならないとい うことです。

 道徳授業というのは,自分のより良い生き方を考える時間です。週に1時間,生徒 と同じ土俵で生き方について考える貴重な時間だと思っています。

 ご家庭でも「今日の道徳はどん な話だったの?」「どんなことを考えた?」など子供さんに聞いてみてください。また,資料をき っかけにして,親としての生き方を伝えることも時には大切なことだと思います 

8「万年筆の病院」(C-13 勤労)

  3週間にわたり行ったローテーション道徳授業が全学級で終わりました。

 今回は,長崎市浜町 にあるマツヤ万年筆病院の店主である原卓弥さんを教材として取りあげました。この教材は,令 和2年8月11日の読売新聞に掲載された記事を元に作った自作道徳授業です。 この記事を道徳授業で使いたいと考えた理由は,原さんの仕事に対する信念に感動したからで す。原さんが売った万年筆は数十万本,お客が誰であっても遠慮はしません。そのお客に合った 万年筆しか売らないのです。つまり,最適の万年筆がなかったら売らないこともあるのです。 そのために,原さんはお客さんと会話をしながら要望を聞き,書いた文字や手首の様子なども 観察して万年筆を選んでいます。しかも,商品は永久保証。材料費以外の修理費は一切取りませ ん。店の利益だけではなく,お客さんのことを思い商売をしている原さんの仕事に対する姿勢の 素晴らしさを生徒に伝えたいと考えました。生徒の感想をいくつか紹介します。 

〇一人一人のお客さんのことを考え大切にしている所がとてもすごい人だなあと思いました。 

〇お客さんのことをよく考えていて,とても優しいと思いました。

〇万年筆にもお客にも敬意を 表しているので,すごく尊敬します。

〇原さんは,この仕事に生きがいを感じていると思った。 

〇お店の利益だけじゃなく,お客を大事に思っていることが心に残った。

〇自分より万年筆やお 客さん一人一人のことを考えているところが素晴らしいと思いました。

〇お客さんへの心遣いが 良いなと思いました。

〇仕事への姿勢がかっこいいと思った。

〇自分のもうけよりお客さんにあ った万年筆を出して,お客さんに幸せになってもらうことを大切にしていることだとわかって,なるほどと思いました。

〇お客さんの笑顔のために万年筆を売っているんだなと考えると,相手 のためにと思うことはとても大事なことだと感じました。

〇自分の利益ではなく,他の人が良い 気持ちになるようにしていてすごいと思いました。 

 また,ある保護者の方からのこんなコメントをいただきました。お忙しい中,本当にありがと うございました。

 「原さんのように自分の仕事に自信を持って働いていらっしゃるのがうらやま しいと思い,息子にもできれば人の為に役に立つような人になって欲しいと思いました。」 

 どの学級も笑いがあふれ,多くの意見が出た楽しい道徳授業でした。しかし,真剣に考える場 面では静まりかえり,ほとんどの生徒が一生懸命に考え書いていました。仲間の意見を聞き,仲 間と意見を交流させることで,自分の考えを広げ深めることができた道徳授業でした。

9「 本 田 美 奈 子 .さ ん の 生き方」 (A-3 向上心)

 今 の 自 分 に 満 足 す る こ と な く ,常 に チ ャ レ ン ジ し て き た 本 田 美 奈 子 .さ ん 。

 ア イ ド ル 歌 手 で デ ビ ュ ー し た 彼 女 の 人 生 は 決 し て 順 風 満 帆 で は あ り ま せ ん で し た 。 苦 悩 と 挫 折 。 

 そんな中 で , 彼 女 は ミ ュ ー ジ カ ル 「 ミ ス ・ サ イ ゴ ン 」 の オ ー デ ィ シ ョ ン を 受 け ま し た 。 そ の 結 果 15,000 人 の 中 か ら 主 役 に 選 ば れ る の で す 。 

 し か し 突 然 , 彼 女 に 急 性 骨 髄 性 白 血 病 と い う 病 魔 が 襲 い ま す 。闘 病 中 も 決 し て く じ け る こ と な く 力 強 く 生 き ま し た 本 田 さ ん で し た が , 2005 年 帰 ら ぬ 人 と な っ て し ま い ま し た 。 

 実 は , 彼 女 の 強 い 意 志 が 名 前 に 込 め ら れ て い る の で す 。 そ れ は 名 前 の 最 後 に つ い て い る 「 .」( ド ッ ト ) な の で す 。 

 先 日 , 本 田 美奈子 .さんの 人 生 を 扱 っ た 道 徳 授 業 を 行 い ま し た 。 感 想 を 紹 介 し ま す 。

〇 が ん ば ろ う と い う 気 持 が み ん な に 届 く と っ て も い い 生 き 方 だ な あ と 思 い ま し た 。 

〇 歌 が 生 き が い だ っ た の か も し れ な い , 私 も 何 か 生 き が い を 見 つ け て 生 き た い 。 

〇 チ ャ レ ン ジ し て 自 分 の 壁 に 立 ち 向 か う こ と の 大 切 さ を 学 ぶ こ と が で き ま し た 。 

〇 何 事 に も 全 力 を 出 し て す ご い な あ と 思 い ま し た 。 歌 っ て す ご い と 改 め て 思 い ま し た 。 

〇 自 分 の 芯 が あ っ て か っ こ い い 人 だ な っ て 思 い ま し た 。 

〇 本 田 さ ん の 気 持 や 強 さ を 知 る こ と が で き ま し た 。 

〇 今 日 の 授 業 で は 「 生きる 大 切 さ 」 を 学 び ま し た 。 

〇 本 田 さ ん の ど ん な 状 況 で あ っ て も ポ ジ テ ィ ブ に 考 え , そ れ を チ ャ ン ス に す る の が と て も す ご い と 思 い ま し た 。 

〇 チ ャ レ ン ジ は チ ャ ン ス , こ の 言 葉 の 胸 に 僕 も 頑 張 ろ う と 思 い ま し た 。

  道徳授業 を 「 よ り よ い 生 き 方 を 考 え る 時 間 」 と と ら え て います。 い ろ い ろ な 人 の 生 き 方 に 触 れ , 自 分 の 考 え を 持 ち 仲 間 と 意 見 を 交 流 さ せ る こ と で , 生 き 方 に つ い て の 考 え が 深 ま る の だ と 思 っ て い ま す 。 家庭で ,生 き 方 に つ い て 子 供 と じ っ く り と 話 す 機 会 は あ ま り な い と 思 い ま す 。で す か ら ,学 校 で は ,週 に 1 時 間 し か な い 道 徳 の 時 間 を 大 切 に し て 指導を し て い ま す 。

 授 業 で 使 っ た 資 料 を 家 庭 で も ご 一 読 し て い た だ き ,子供と 一 緒 に「 よ り よ い 生 き 方 」に つ い て 考えて ほ し い と 思 い ま す 。 

10 「本当の国際貢献とは」(C-18 国際貢献)

    雨宮清さんの生き方

  現在,世界には 1 億個以上の地雷が埋まっているそうです。この地雷は 1 個 1 個手作 業で撤去するのが一般的ですが,すべての地雷を見つけて撤去するには 1000 年以上かか ると言われています。地雷の被害にあった人々の悲惨な様子を知った日本人技術者の雨 宮清さんは,本業のかたわら地雷除去機の開発に挑みました。 様々な試行錯誤の結果,開発が成功して,現在カンボジアや ニカラグアなど世界各地で,この地雷撤去機が活躍していて多 くの地雷が爆破されています。

 「地雷を取り除いただけでは,本当の復興にはならない。」

  という雨宮さんの言葉をもとにして,本当の国際貢献とは何か について考えさせたいと思い,この道徳授業をつくりました。

 生徒の感想をいくつか紹 介します。

・ただ地雷をなくすだけでなく,その後の土地のことまで考えている雨宮 さんはすごいと思いました。 

・僕たちができることは,想像力を働かせていろいろなアイデアを出し それを実行することで世界が平和になるしたくさんの人が幸せにな れ るんだと思った。 

・戦争を起こすのも平和を作り出すのも結局は人間なんだと思った。 

・人が人のために何かをするということはとても偉大なことだと思う。 

・世界では私たち日本人のように安全で安心して生活をすることができ るのが普通ではないんだと思いました。日々の生活に感謝をして,そのような人たち のために何かできることはないか考えながら生活していこうと思いました。 

・自分たちだけが幸せに暮らしてもいいのかと思った。 

・平和というのは,戦争がない国ではなく皆が皆のことを考えて楽しい生活をおくるこ とだと思います。相手のことを考えられる人になりたいと思いました。 

・人を助けるために他の国でも協力してできるような人になりたいと思いました。 

・今日の授業で地雷というものを初めて知り,驚きました。そして悲しかったです。 

11 「ノーベル賞とイグノーベル賞」 (A-5 真理の探究)

 「緑色蛍光タンパク質(GFP)の研究(2008 年)」下村脩さん,

 「iPS 細胞の作製に成功(2012 年)」山中伸弥さん,

 「リチウムイオン電池の開発(2019 年)」吉野彰さんが受賞した賞は 何か知っていますか。

 そうですノーベル賞です。ダイナマイトの発明者として知られるアル フレッド・ノーベルの遺言に従って 1901 年から始まった世界的な賞です。物理学、化学、生 理学・医学、文学、平和および経済学の「5分野+1分野」で顕著な功績を残した人物に贈ら れます,賞金は約 1 億2000万円です。もちろん,交通費,食費,ホテルなど滞在費は無 料だそうです。

 では,次の研究で日本人が受賞した賞を知っていますか。 

 「牛のふんからバニラの香りの成分を抽出(2007 年)」山本真由さん,

 「バナナの皮を踏んだ 時の滑りやすさを証明(2014 年)」馬渕清資さん,

 「ヘリウムガスをワニに吸わせて鳴き声の仕 組みを解明(2020 年)」西村剛さん。

 答えは,イグノーベル賞です。

 イグノーベル賞とは,1991 年,イギリスのマーク・エイブラハム氏が創設し,風変わりな研究をした10の個人やグループ に対し,時には笑いと賞賛を時には皮肉を込めて授与される賞です。賞金は0円,交通費,食費, ホテルなどの滞在費は自腹だそうです。この賞を日本人が14年連続で受賞しています。

 この「ノ ーベル賞」と「イグノーベル賞」を比較し,考えさせることで真理を探究することの大切さを考 えさせたいと思い,この授業を創りました。

 授業の中心部分で「この2つの共通点があると思い ますか。あるとすればそれは何ですか」と問いました。

 すると,ほとんどの生徒は「ある」と答 えました。

 その理由として,

 「研究者は自分が不思議に思ったことを研究していることに共通点 があると思いました。」 

 「そのことだけに夢中になれて,それを何年も何年も研究しているとい うのが最大の共通点だと思います。」

 「誰かの役に立って,一生懸命に努力をしているところが 似ていると思いました。」など素晴らしい意見を発表しました。 

 最後に,生徒の感想をいくつか紹介します。 

 〇1つのことに打ち込み自分の好きなことを生かして,身近なもの の役に立てようとすることは素晴らしいことだと思います。 

 〇小さなことでも真剣に努力することが大切だと思いました。 

 〇自分で何かを考え。それに取り組み結果を出して,人々に発表す ることは素晴らしいことだと思います。 

 〇この世の中に必要じゃないことはないと僕は思います。 

 〇この世界に不思議なことがいっぱいになれば,面白い世界になっていくと思います。 

 生徒のいろいろな考えに触れることができる道徳授業は,やはり楽しいです。 

12「涙がきっと支えてくれる」(A-3 個性の伸長)

 先日,「涙そうそう」を使って道徳授業を 行いました。この歌の詩は,森山良子さんが亡くなったお兄 さんを想って作ったものです。 

 授業中「たくさんの涙に支えられて人は生きていく」とい う言葉の意味をたずねました。

 すると,こんな意見がでました。 

・涙を流した分だけ人は強くたくましく成長するということ。 

・いろいろな涙があるけれど人の心を映し出してくれるもの。嬉しい 時も悲しい時も一 緒に支えてくれる。 

・たくさんの人たちのいろいろな涙が人を成長させていく。 

・何回失敗しても涙を流しても,その失敗 (涙)から次どうすればいいか学んで人は成 長し生きていくということ。 

 授業の感想からいくつか紹介します。 

・あと半年で卒業なのでいっぱい 涙を流して,友達や家族や友人の思いを心に残して卒 業式でいっぱい涙を流したいと思いました。

・自分の中で涙は自分の弱い部分の表れだと思っていました。けれど涙を流すことで人 は自分を見直し強くなっていくものだと 改めて考えることができました。 

・いつも涙は悲しかったり恋しかったりと少しマイナスなイメージが強かったのですが, 幸せを伝える一つの方法だと学びました。 

・僕も涙を流すことは多くある。でも,それを支えだと思ったことは一度もなかった。 感情を表に出すことで人に支えられていることを感じることができると思った。 

・とても感動して心がほっこりした。 

・涙に支えられて生きているというのを聞いて心に響いた。これからは 良い意味での涙 を流したい。 

・悔しかったら次はもっと努力しようとするし,悲しかったらそれを乗り越えようとす るから,その分強くなれるから,涙を流した時の感情によって人は成長できると思いま した。今日の授業は深く考えることができてよかったです。 

13「ぼくのスーパーヒーロー」(D-19 生命尊重)

 平成21年11月,大阪で行われた中学校道徳授業改革セミナーで,大阪の町立中学校の教頭先生と話をする機会がありました。

 その中で,私が創った道徳授業「ぼくのスーパーヒーロー」(『とっておき の道徳授業3』日本標準に収録)が話題になりました。その授業の最後のおばあちゃんのせりふで涙 が出たということでした。私が創った道徳授業の中でも,この授業が一番有名?ではないかと思いま す。今までに10人以上の先生に資料を送りました。

 さて,そんな「ぼくのスーパーヒーロー」を創 った動機を紹介したいと思います。資料は『ぼくのおばあちゃん』(ぴあ)で,作者はイラストレー ターのなかむらみつるさんです。みつるさんとおばあちゃんの心温まる,しかし悲しい実話をもとに した絵本です。

 絵本のタイトルと道徳授業のタイトルを変えた理由は,授業の導入で次のような発問 を考えていたからです。

 スーパーヒーローと言えば,どんなことを思い浮かべますか。

  この発問をすることで,生徒を授業に引き込もうという意図があり ました。

 また,どうしておばあちゃんが,スーパーヒーローがなのか を考えさせることにより,おばあちゃんの愛情を感じて欲しいと思っ たからです。

 さて,2004年の春の夜,たまたま立ち寄った本屋で この本を見つけました。ぱらぱらとページをめくっていくと,絵本の 割にはページ数が多く,このままでは授業では使えないので,買うの はやめようかなと思いました。しかし,最後のおばあちゃんの言葉を見た瞬間,買うことを決めまし た。この言葉を伝えるだけでも,授業をやる意味があると思ったからです。その言葉とは,おばあち ゃんが亡くなる時に,みつるさんに言った言葉です。 

 どんなに悪いことをしても怒ったりしないから,死ぬ順番だけは絶対に間違えないでね。 

 この言葉にグッときました。感動しました。この熱い思いをY中学校で公開した時の指導案にも 文章として入れました。 

 本時のねらいを達成するために選んだ資料は,『ぼくのおばあちゃん』である。選定の理由は, この本の中に書かれた亡くなる時に,おばあちゃんが孫に言った言葉を生徒に伝えるためである。 

 たった1行の言葉を生徒に伝えたいという理由だけで,道徳授業を創ることができるのです 

14「1秒の言葉」(C-15 集団生活の充実)

  私が新採の頃,長崎県教育委員会が発行した冊子にある詩が掲載されていました。

 何か心に残る詩 だったのでコピーしてとっておきました。

 その後,その詩を学級通信に載せ配布しました。そのことも忘れかけていた頃,卒業式の謝恩会である保護者から,1枚の紙切れを見せられました。それが, あの詩の切り抜きでした。

 とてもいい詩だったので,切り抜いていつも持ち歩いているとのことでし た。

 それはSEIKOがラジオCMのために募集した「1秒の言葉」という詩でした。

 それから10 年ほどたって自分で道徳 授業を創りはじめ,小学 生のための道徳授業を依 頼された時,この詩を思 い出しました。言葉の大 切さを考えさせるには, とてもいいネタだと思い ました。

 また,生徒が日 頃,使っている言葉が気 になっている時でしたか ら,なおさら,授業を創 りたくなりました。

 授業構成はとてもシンプルで す。しかし,最後の決め の言葉がなかなか見つか りませんでした。しかし,道徳授業を創ろうという意識を持っていれば,ネタは見つかるものです。 そんな時にある本で,テレビドラマの「3年B組金八先生」のセリフを見つけました。これでネタ はそろいました。あとは,生徒の言葉に関する 経験と重ね合わせる発問を考えるだけです。そ こで,次のような発問を考えました。

〇「今ま で言われた言葉で,うれしくなったのは,どん な時に誰から言われた言葉ですか。」

〇「今まで言われた言葉で,悲しくなったのは,どんな時に誰 から言われた言葉ですか。」

 あとは,「ありがとう」「がんばって」「おめでとう」「ごめんなさ い」「さようなら」を( )にしてそれぞれに入る言葉を考えさせるという流れにし,最後に金八先 生の言葉を紹介しました。

 この授業がきっかけとなったかどうかは不明ですが,昨年「1秒の言葉」 が再注目され,SEIKOが映像付きのCMを創り,TVの「深いイイ話」で取り上げられました。 

15「愛する人のためにできること」(C-16 家族愛)

  思春期まっただ中の中学生は,異性に対する興味関心が非 常に高く,恋愛がブームのようになってしまうことがありま す。そんな中学生に人を愛することの素晴らしさや愛される ことの喜びを伝えたいと思っていました。そして,授業を通 して,生徒に伝えたい思いがありました。

 それは昔見た映画 で出てきた「愛は与えてはじめて愛である」というセリフで す。そのセリフの意味を考えさせる授業を創り3年生に授 業をしました。

 扱った人物は,SF作家の眉村卓さんです。 彼が書いた『妻に捧げた1778話』(新潮新書)を資料 に使いました。眉村さんは,余命あとわずかを宣告された 妻,悦子さんのために一日一話のショートショートの小説を 書こうと決心しました。その内容は暗く重たいものではなく,どこかにクスッと笑いが起こるような ものにしようと考えました。

 書いた作品は全部で1778話。悦子さんが余命1年と宣告されてから 5年がたっていました。彼の深い愛情が奇跡を起こしたのです。

 2002年5月28日,この前日ま でに書き続けた物語は原稿にして1万枚以上でした。

 その日もいつものように1778話目を書き始 めました。書かれた話の題名は「最終回」。実は数時間前,悦子さんは帰らぬ人となっていたのです。 

 その「最終回」という話を中心においた授業を構成しました。実は,この「最終回」という短編には 52行に渡る空欄があります。その空欄を 使い次の発問をしました。

  眉村さんはこの52行の空欄に書きたか ったことは何でしょうか。想像して書い てください。 

 生徒の意見は,

「二人が結婚してからの 出来事」

「奥さんに対する感謝の言葉」 

「懐かしいたくさんの思い出」「今まで支 えてくれてありがとうございました。と書 きたかったと思います。」などでした。

 や はり中学生には難しい内容だったかもしれ ません 

16「雨宮清さんの生き方」(C-18 国際平和)

 平成12年のあるセミナーで佐世保の小学校に勤務さ れているT先生が創った道徳「地雷の授業」を知りました。この 中で次の発問がありました。 

 「戦争が終わったら平和になると思いますか。」

 この発問に感動しました。

 授業の最初でこの発問をして,地雷 について考えを深めさせ,最後にこの発問を再びするという見事 な構成でした。この発問をいつか中学生にしてみたいと考えてい ました。

 そんな時,雨宮清さんの話を「世界まる見えテレビ特捜 部」で知りました。

 雨宮さんは,仕事でたまたま訪れたカンボジ アの人々が地雷の被害に苦しんでいることを知ります。そこで, 彼は勤務している山梨日立建機で地雷除去機の開発に挑み ます。その成功までの過程を生徒に伝え「強い意志」をね らいとした道徳授業を創ろうと思っていたのですが,資料 を集めていくうちに,違うねらいを考えるようになりまし た。それは,雨宮さんの夢は地雷をなくすことだけではな いことを知ったからです。

 雨宮さんは,次のように言って います。

  「地雷をなくしても本当の復興とはいわない,本当の復興のためには,あと1つ大切なことがあ る。それは,地雷を取り除いた畑に新たに作物を育てることだ。」「現地を復興させることによっ て現地の人々は新たに作物を育て,それを売ることができるようになる。現金収入を得て,子ども を学校に行かせ字を学ばせることができる。字が読めれば,危険な地域や「地雷原」などの標識に 気づくことができるから,危険を回避することができる。」 この言葉に惹かれました。

 平和は自分たちの力でつくっていくものだと教えられたからです。

 雨宮 さんのような気概ある日本人が外国で活躍している姿を生徒に教えることで,日本人として誇りを持 って欲しいという願いもありました。さて,この授業は昨年12月に3年生で実施しましたが,その 日の夜に雨宮さんを扱ったテレビ番組が放映され,家族の中でも話題となったそうです。そのことは 全く知りませんでしたが,本当に,いいタイミングでした 。

17「車いすのJリーガー」(A-5 強い意志)

 以前,テレビで北京パラリンピックの車いすバスケットボールの試合を見て,これは格闘技だと思 いました。

 金属音が響く激しいぶつかり合いによる転倒は当たり前なのです。

 それでもひたすらシュ ートを打つ選手たちを見ているうちに,障がい者のスポーツとは思えなくなくなってしまいました。 

 いろいろな道徳授業を見てきましたが,障がい者が苦しみや困難を乗り越えようと懸命に生きる姿 を見て,自分の生活や目標を見つめ直そうといった授業が多かったように思います。

 私は,そのよう な障がい者道徳を創ることに抵抗がありました。

 理由ははっきりとしていませんが,障がい者に対す る認識不足したからかもしれません。

 しかし,ある雑誌に掲載されてい た,京谷和幸(きょうやかずゆき)さんの言葉と出会って道徳授業を創 りたいと思いました。

 京谷さんは,高校時代から有名なサッカー選手で した。その後,Jリーグのジェフユナイテッド市原と契約しプロのサッ カー選手となりました。1993年に公式戦初出場したのですが,その 1週間後交通事故に遭い下半身不随となり生きる力を失いました。

 しか し,彼は車いすバスケと出会い新たな目標を見いだすことができました。

 彼はこう言っています。

 「 もし神様がもう一度歩けるようにしてあげると言っても 僕は,断ります 」

 自分が京谷さんの境遇にあったらこのような言葉は,絶対に言えません。

 ここまできっぱりと言い 切れる理由は何だろうかと思い,彼が書いた本を探して読んでみました。

 調べていくうちに,妻の陽 子さんの支えと家族(陽子さんと子ども2人)への深い愛情が背景にあることがわかりました。

 これ で,授業の中心発問は決まりました。以下の発問です。 

 「もし神様がもう一度歩けるようにしてあげると言ったとしたら,京谷さんは断るとはっきりと言 っています。どうして断るのだと思いますか」

 この理由を彼はこのように言っています。 サッカーは自分のためにやってきた。交通事故にあってから,人のことを考えることができるよ うになった。人間的に成長したから。 

 人は,自分一人だけでは強くなることはできません。

 支えてくれる人がいるからこそ強くなれるの だと思います。

 このことを考えさせる授業構成にしました 

18「星野道夫さんの生き方」(A-5 強い意志)

  右の写真をどこかで見たという人も多いと思います。この写真を 撮影したのは,星野道夫さんです。

 星野さんで道徳授業をつくろう と思った理由は2つあります。

 1つは,彼は19歳の時に1枚の写 真に心惹かれました。そこにはアラスカのシュシュマレフという村 が写っていました。

 彼は,その村にどうしても行きたくなくなり, アラスカにある村の村長さんたちに,自分の強い思いを書いた手紙 を出したのです。

  「僕は日本の学生でホシノ・ミチオといいます。本の中であなたの村の写 真を見ました。村の生活にとても興味があります。訪ねたいと思っている のですが,誰も知りません。仕事は何でもしますから,どこかの家におい てもらえないでしょうか。 … 返事を待ってます 」

 その後,ほとんどの手紙が宛先 不明で戻ってきたそうです。

 1ヶ月ぐらいたち忘れかけていた頃に1通の手紙が届き,彼の人生が動 き始めました。

 彼はすぐにその村に行き3ヶ月間エスキモーの人々と共同生活をしたのです。

 この時 の感想を次のように書いています。

 「自分で想像できる大きな自然をはるかに超越したもっと大きな 自然をこの目で見て,自分の気持ちの中に新しい風が吹いたような,新しい世界の扉を開いてしまっ たような気がしてとても感激しました。」

  2つは,彼は26歳の時にアラスカ大学野生動物管理学部入学試験を受けたのですが,合格点には 30点ほど足りなかったのです。

 しかし,どうしても入学したかったので学長に直接頼み込んだ結果, 何とか合格にしてもらったのです。

 この2つのエピソードから,星野さんのアラスカに対する並々で はない情熱と人間臭さを感じました。

 その後,彼はアラスカの美しい自然を撮影し続け,34歳の時 に第3回アニマ賞を受賞,38歳で第15回木村伊兵衛賞受賞(週刊朝日連載開始)し,41歳で結 婚,42歳で長男が生まれ幸福な人生を送っていました。

 しかし,43歳の時,ロシアのカムチャツ カで撮影中,ヒグマに襲われ亡くなってしまいました。

 授業の後半で星野さんのお父さんの言葉を紹 介しました 

 「一般的にいう寿命からすると,道夫の人生は短かったかもしれません。撮りたいもの,書きたいことがも っともっとあったと思います,でも,自分の好きなことをやっていこうと決めて, その道を歩いた … 極めて 密度の濃い人生を生きたのだから,あの男は幸せだったと思います」 

 最後にこの発問をして授業を終えました。

 「星野さんにあって,自分にないものは何ですか」 

 〇目標に向かって努力すること。

 〇しっかり夢をもつこと」など前向きな意見がでました。 

19「Kさんの人生の転機」(A-5 強い意志)

 今では,富士山やエベレストの清掃登山などで有名になった野口健さんですが,7大陸最高峰世界 最年少登頂という素晴らしい記録を持っています。

 んな野口さんが登山を始めるきっかけとなった のは,1冊の本でした。

 人生を変える1冊という言葉はよく聞きますが,本当にあることに驚きを感 じます。

 エジプト人と日本人とのハーフである彼は小学生の頃はいじめにあっていました。いじめて いた連中に復讐をした後,エジプトの小学校に転校しました。しかし,そこでもいろいろな問題を起 こしました。これらのことが原因で父親からイギリスの全寮制高校に無理矢理入学させることになり ました。ここでも勉強もせず遊んでばかりいたせいで成績が急速に下がりはじめ,ついには暴力事件 を起こし高校では謹慎処分になってしました。その時,出会ったの本が,冒険家の植村直己さんが書 いた『青春を山に賭けて』(文春文庫)です。その時のことを,次のように言っています 。

 僕は『青春を山に賭けて』をむさぼるように読んだ。大学の山岳部でも馬鹿にされ,就職も思うに まかせず海外放浪の旅に出た植村さんと,停学で行き場のない今の自分の立場に共通点があるよ うな気がした。厳しい寮生活が生活のすべてで,ましてや,謹慎処分で囚人のような生活を送った 後の僕には,植村さんの世界放浪の話しは新鮮だった 。

 野口さんは16歳でモンブラン登頂を成功させた後,次々に世界の最高峰を登頂し25歳ではエベ レスト登頂に成功しました。また彼は,こうも言っています 。

 いい大学に行って,一流の会社に入るだけが人生ではないと,若い人に伝えたいのです。僕と同 じく落ちこぼれて目標がない中学生や高校生はたくさんいると思います。僕は,植村さんの『青春 を山に賭けて』に出会い,生きる目標ができました。目標をなかなか見つけられない若い人に,挑 戦することや,夢を持つことの素晴らしさを僕の本から感じとってもらえることを願います。 

 このような野口さんの生き方に感心し,ねらいを「目標をもち前 向きに努力することの素晴らしさを感じ取らせる。」にしました。 授業の最後に次の発問をしました 。

 「自分の目標を達成するため大切なものは何でしょうか 。」

これは,ねらいに近づけることができたかを判断するための発問 です。

 生徒の答えには次のようなものがありました。

〇きっかけを 大切にすること。

〇目標を持つこと。

〇前向きな努力を続けるこ と。

 このように,夢や目標を持つことの素晴らしさを感じ取った生 徒が多かったと思います 。

20 「自分を変える一歩」(A-3 向上心)

  資料を集めはじめてから約1年かけて,ようやくできあがっ たので先週,2Aで道徳授業をやってみました。

 取り上げたの は,最近よくテレビに登場している登山家の栗城史多(くりき のぶかず)さんです。

 この人物で道徳授業をつくろうと思った 理由は,登山経験がまったくない一人の青年が単独無酸素で世 界の頂上を目指そうと思った理由に親近感を持ったからです。 (人間臭さを感じたのです)その理由は2つあります。 

 1つは,高校2年生の時に母親を亡くした時に交わした「一生懸命に生きる,弱音を吐かない,そ して最期に『ありがとう』と言える人生を送る」という約束です。

  2つめは,高校3年生からつきあっていた彼女に振られたことです 。

 特に2つめの理由に,とても親近感を持ちました。彼女に振られた後の栗城さんは,1週間も部屋 に引きこもったそうです。そして,たまたま訪れた友人の大学で登山部の募集ポスターを見て,心惹 かれるものがありました。

 つきあっていた彼女が登山をしていたので,その魅力を知りたくなったそ うです。こうして彼の人生が大きく変わったのです。

 2004年の北米最高峰であるマッキンリー単独登 頂を成功させ,その後,世界6大陸の最高峰を単独無酸素(これに疑問を持つ人もいます)で次々と 登頂した人です。現在は,世界最高峰であるエベレスト登頂に向けて3度目の挑戦をしています。

 ま た,彼が一般的な登山家と違う点は,自分の登山を自分でビデオ撮影し,ネットで発信していること です。彼の息づかいがリアルタイムで伝わってきます。

 さて,このような栗城さんの生き方から,ね らいを「生徒に自分を変えるためには勇気を出して行動することが大切であることを感じとる」とし, 授業を構成しました。

 そして,授業の最後に次の発問をしました。 

 栗城さんが書いた本のタイトルは,『一歩を越える勇気』です。みんなにとって,自分を変える ために必要なことは何ですか 。

 これに対して生徒は,次のような意見を書きました。

〇目標を見つけて一生懸命にがんばること。

〇誰にでも優しくできるようにすること。

〇がんばって勉強すること。

〇視野を広くすること。

〇い ろいろな人と話をしたり,相手の気持ちを考えながら話したりすること。

〇自分の考えをしっかりと 持つこと。

 有名なスポーツ選手や偉人を扱った道徳授業はそれはそれでいいとは思いますが,構成が マズイと資料中の人物と生徒との間に大きな隔たりができてしまい,結局,他人事で終わってしまう ことになってしまいます。しかし,栗城さんの生き方は生徒に近いものがあると思います。

 なお,こ の実践記録は,来春発刊予定の『とっておきの道徳授業9 中学校編』(日本書籍)に掲載予定です。 

21「ハッピーバースデー3・11」(A―19 生命尊重)

 平 成 27 年 1 月 27 日 の 市 道 徳 部 会 で 東 日 本 大 震 災 を 扱 っ た 道 徳 授 業 を 公 開 し ま し た 。 

 主題名は「 命 は 希 望 」です。

 こ の 授 業 で 使 用 し た 教 材 は 2 つ で す 。

 1 つ は ,日 本 ユ ニ セ フ 協 会 が 制 作 し た 「 ハ ッ ピ ー バ ー ス デ ィ ー 3.11」 で す 。 こ れ は , 東 日 本 大 震 災 の 日 に 東 北 地 方 で 生 ま れ た 赤 ち ゃ ん た ち を 取 り 上 げ た 動 画 で す 。命 の 大 切 さ と 未 来 を 信 じ る こ と の 大 切 さ が 伝 わ る 感 動 の 動 画 で す 。 

 2 つ は ,『 ハ ッ ピ ー バ ー ス デ ー 3.11 あ の 日 , 被 災 地 で 生 ま れ た 子 ど も た ち と 家 族 の 物 語 』( 文 ・ 並 河 進 写 真 ・ 小 林 紀 晴 飛 鳥 新 社 ) と い う 本 で す 。 こ の 本 は , 3.11 に生まれた 11 組 の 赤 ち ゃ ん と 家 族 を 取 材 し た ノ ン フ ィ ク シ ョ ン です。 

 そ し て , こ の 道 徳 授 業 の 指 導 案 の 主 題 観 に 以 下 の よ う な 文 を 書 き ま し た 。 

 東 日 本 大 震 災 に つ い て 多 く の 新 聞 記 事 や 書 籍 が 世 に 出 て い る た め ,そ れ を 資 料 に し て 道 徳 授 業 を つ く り 実 践 し た 教 師 が い る と 思 う 。ま た ,津 波 の な ま な ま し い 動 画 も 多 く ネ ッ ト 上 に ア ッ プ さ れ て い る の で ,そ れ を 資 料 と し て 使 っ た 教 師 も い る と 思 う 。そ の よ う な 道 徳 授 業 で は ,東 日 本 大 震 災 で 亡 く な っ た 人 や 行 方 不 明 者 の 数 を 提 示 し た り ,生 き 残 っ た 人 々 の 悲 し み を 伝 え る 部 分 を 資 料 に し た り し て い る も の が 多 い よ う で あ る 。 し か し , そ の よ う な 道 徳 授 業 を つ く り 実 践 す る こ と に た め ら い が あ る 。 

 そ の 理 由 は 以 下 の 5 つ で あ る 。 

 ① 被 害 者 の 深 い 悲 し み を 考 え る と , 取 り 上 げ る こ と が で き な い 。 

 ② 大 震 災 か ら ま だ 年 月 が 経 過 し て い な い 。 

 ③ 大 震 災 に 関 す る 本 や 記 事 を 十 分 に 読 ん で い な い 。 

 ④ 亡 く な っ た 人 の 命 を 数 で 表 す こ と に 疑 問 を 感 じ る 。

  ⑤ 人 の 「 死 」 を 扱 う こ と に 慎 重 で あ り た い 。 

 私 の 「 生 命 観 」 の 基 に な っ て い る 二 つ の 言 葉 が あ る 。

  一 つ は , 日 野 原 重 明 さ ん の ,「 い の ち は 時 間 で あ る 」 と い う 言 葉 で あ り , 二 つ は , THE BLUE HEARTS の ボ ー カ ル 甲 本 ヒ ロ ト さ ん の 「 生 きる 人 に 生 ま れ て き た ,生 き る こ と は か っ こ い い 」と い う 言 葉 で あ る 。

 こ れ ら の 言 葉 を き っ か け に 思 考 を 巡 ら し た 結 果「 命 は 希 望 で あ る 」と い う「 生 命 観 」を も つ よ う に な っ た 。 

 具 体 的 に は ,生 き て い る か ら こ そ い ろ い ろ な こ と が で き る と い う こ と で あ り ,一 生 懸 命 に 生 き る 命 は ,周 り の 人 た ち を 幸 福 に す る と い う こ と で あ る 。

 本 授 業 で は ,命 は 大 切 で あ る 単 純 な 認 識 を 持 た せ る の で は な く ,命 は 希 望 に つ な が る と い う こ と を 感 じ 取 ら せ た い と 考 え て い る 。 

 あ れ か ら 8 年 が 経 ち ま す 。東 北 地 方 か ら 遠 く 離 れ た 土 地 の 私 た ち が 被 災 し た 人 々 に 思 い を 馳 せ る こ と が 大 切 です。

 そ う い っ た 意 味 で も ,東 日 本 大 震 災 に つ い て 道 徳 授 業 に 限 ら ず 朝 の 会 や 帰 り の 会 な ど に 生 徒 に 語 る 必 要 が あ る と 思 い ま す。

22「命は美しい」(その1)(A―19 生命尊重)

 市 道 徳 部 会 主 催 の 道 徳 公 開 授 業 が 無 事 に 終 わ り ま し た 。

 今 ま で は ,完 全 オ リ ジ ナ ル 教 材 を 使 用 し て き ま し た が , 初 め て 長 文 読 み 物 教 材 を 使 用 し た 道 徳 授 業 を 創 り ま し た 。 

 今 回 の 公 開 授 業 で 提 案 し た か っ た の は 以 下 の 3 つです。

 1 教 科 書 教 材 ( 読 み も の 教 材 ) と オ リ ジ ナ ル 教 材 を 組 み 合 わ せ た 道 徳 授 業 の 工 夫 

 伝 え た い 内 容 が は っ き り と わ か る 教 科 書 教 材 で は ,生 徒 の 関 心 も 高 ま り ま せ ん 。 そ こ で , オ リ ジ ナ ル 教 材 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 欠 点 を 補 完 で き る と 考 え て い ま す 。 

2 思 考 を 刺 激 す る 発 問 の 工 夫 の 大 切 さ 

 従来の 教 材 中 の 自 分 の 気 持 ち を 問 う よ う な 発 問 で は な く ,生 徒 が 考 え た く な る 発 問 を つ く ろ う と 努 力 し て い ま す 。今 回 は ,「 命 は 美 し い と 思 い ま す か 」と い う 発 問 の 後 に ,「 す べ て の 命 は 美 し い と 思 い ま す か 」と い う 少 々 挑 発 的 な 発 問 を つ く っ て み ま し た 。このこ と に よ り , 生 徒 は 刺 激 さ れ 深 い 思 考 を し た の で は な い か と 思 い ま す 。 

3 生 徒 の 意 欲 を 高 め る 授 業 技 術 

  い く ら 教 材 が 魅 力 的 で も 有 効 な 授 業 技 術 を 使 用 し な け れ ば ,生 徒 の 意 欲 を 高 め る こ と が で き ま せ ん 。 そ こ で , 今 回 の 授 業 で い つ く か の 授 業 技 術 を 使 用 し て み ま し た 。 例 え ば ,授 業 に テ ン ポ を つ く る た め の 列 指 名 ,発 表 す る 生 徒 を 安 心 さ せ る た め に 側 に 行 く ,発 表 し や す い よ う に 隣 の 人 の 意 見 を 黒 板 に 書 か せ る ,生 徒 の 発 言 に 対 し て 必 ず フ ォ ロ ー を す る な ど で す 。

  参 観 者 に ど れ ぐ ら い の ヒ ン ト が 与 え ら れ た か 疑 問 で す が ,自 分 と し て は 手 応 え が あ っ た と 思 い ま す 。 そ れ は , 生 徒 の 感 想 か ら も 伝 わ っ て き ま し た 。 

  生 徒 の 感 想 よ り

〇み ん な 最 初 か ら 命 が 美 し い と は 限 ら な い か ら 相 手 を 大 切 に し ,自 分 も 大 切 に す る こ と で ,命 は 美 し く な る の で は な い か な と 思 い ま す 。

〇生 き て い る の は ,奇 跡 だ と 思 う か ら 自 分 の 命 を 粗 末 に せ ず , 最 後 ま で 大 切 に し よ う と 思 い ま す 。 

〇命 は 難 し い 言 葉 だ な と 感 じ ま し た 。私 も 命 は 美 し い と 断 言 で き る よ う に な り た い と 思 い ま し た 。 

〇命 は 大 事 だ け ど け っ し て 自 分 だ け の も の じ ゃ な い 。親 か ら の 宝 物 だ し ,人 の た め に 使 え る 人 に な り た い と 思 え た 。最 後 ま で 命 を 使 い 守 り き る こ と が 本 当 の 美 し い 命 だ と 思 う 。

〇自 分 に で き る こ と は 人 に 傷 つ く こ と や 嫌 な 思 い を さ せ な い こ と や 人 に 思 い や り を 持 つ こ と が 大 切 だ と 思 い ま し た 。 こ れ か ら も 命 を 大 切 に し て い き た い で す 。 

〇命 は 決 し て 目 に 見 え る も の で は な い け ど ,誰 か の た め に 行 動 し て 力 強 く 生 き て い れ ば 美 し く 輝 く の だ と 思 っ た 。他 人 の 美 し い 命 を 傷 つ け る こ と な く 自 分 の 命 を 美 し く し て い き た い と 思 う 。(つづく) 

21「命は美しい」(その2)(A―19 生命尊重)

〇「 命 は 美 し い 」と い う 言 葉 は と て も 深 い ,時 間 が 足 り な い く ら い に ,だ か ら 考 え が い が あ り ,楽 し か っ た 。自 分 の 命 は 美 し い か と 聞 か れ て Yes と い え る か 分 か ら な い の で Yes と 言 え る よ う に 生 き た い 。自 分 の た め だ け で は な く ,他 の 人 の た め に 生 き よ う と す る 命 を は じ め て 聞 い た 。 と て も す ご い 。 

〇 今 ま で , 命 を 「 大 切 な も の 」 や 「 宝 物 」 な ど , 自 分 か ら み た こ と し か 考 え て い なか っ た か ら ,「 美 し い 」と い う 命 そ の も の を 表 す 表 現 に す ご く 新 鮮 で 新 し い 考 え 方 を 感 じ る こ と が で き ま し た 。 

〇自 分 と は 全 然 違 う 意 見 を 聞 い て ,よ く 考 え る と「 そ う だ な ー 」と 思 う こ と が あ っ た 。

〇 命 を 大 切 に し , そ ま つ に し な い と い う こ と と 自 分 の 命 を ほ こ り に 思 う こ と が 大 切だ と 思 い ま し た 。

〇命 に つ い て 深 く 考 え る こ と が で き ま し た 。「 誰 か の た め に 」の お 話 は ,母 と 似 て い る 所 が あ っ て 共 感 も 感 動 も す る こ と が で き ま し た 。「 命 は 美 し い 」と い う 言 葉 は す ご く す て き だ と 思 い ま し た 。 死 に た い と 思 わ な い こ と , 人 を 悪 く 言 わ な い よ う に す る だ け で も 美 し い と 思 え る の で 自 分 も 絶 対 に 思 わ な い で 言 わ な い よ う に し た い で す 。

〇 思 っ た こ と は 生 物 そ れ ぞ れ の 感 性 だ か ら , 命 に 対 す る 考 え 方 は い っ ぱ い あ っ て いい と 思 う 。 そ の 上 で 答 え は な い と 思 う 。 自 分 以 外 の 考 え 方 を 知 れ て お も し ろ か っ た 。

〇 命 は 長 さ で は な く て そ の 人 が 精 一 杯 生 き る こ と だ と 思 い ま し た 。

〇 今 日 読 ん だ 文 は 自 分 の 家 族 に お き か え る こ と が で き た の で , お 母 さ ん の 命 は 美 しい に 全 員 賛 成 し て く れ て 嬉 し か っ た で す 。 

〇 と て も 感 動 し ま し た 。 僕 も 友 達 を 傷 つ け な い よ う に し て い き た い 。

〇 命 を 美 し い と 感 じ た こ と は な か っ た け ど , 授 業 を 通 し て 考 え が 変 わ っ た 。 お 話 の中 の 「 誰 か の た め に 」 と い う 言 葉 が す ご く ひ び い た 。 自 分 も 自 分 が い や に な っ て し ま う 事 が た く さ ん あ る し , 今 後 も 感 じ る こ と が あ る と 思 う け ど 誰 か の た め に 頑 張 ろ う と 思 え た 。 

〇 反 対 意 見 の 人 の 言 い 分 を 聞 い て 納 得 し た と こ ろ も あ り ま し た 。 確 か に 自 分 か ら 命を 消 し て し ま う の は 美 し い 命 を 保 っ て い る と は 言 え な い な と 感 じ ま し た 。 こ の 意 見 か ら 私 も 簡 単 に 死 に た い と か 言 わ ず に 精 一 杯 苦 し く て も 周 り の 人 の た め に 生 き て い き た い と 思 い ま し た 。

〇「 命 は 美 し い 」と い う 言 葉 に は 自 分 の 中 で も 賛 否 が あ り ま し た 。ど う し て も 生 き ら れ な い 人 が こ の 世 界 に 沢 山 い る 中 で も そ の 人 た ち の 分 ま で 生 き な い と 意 味 が な い の で 精 一 杯 が ん ば ろ う と 思 い ま す 。 

〇自 分 が ど う 過 ご し て い く か で , 命 が 美 し く な っ た り す る ん だ と 皆 の 意 見 を 聞 い て思 え た し , 病 気 な ど で 死 ん で し ま う 人 た ち は 生 き た い と い う 希 望 を 持 っ て い て 私 も 生 き た い と 思 え る 希 望 を 見 つ け ま す 。 

〇 命 に つ い て 深 く 考 え 直 す こ と が で き ま し た 。 自 分 の 考 え を 見 つ け る だ け で な く ,友 達 の 考 え も 知 る こ と が で き た の で 良 か っ た で す 。

〇 一 日 一 日 を 大 切 に 生 き , 美 し い 心 を 持 っ た 人 に 将 来 な り た い と 思 い ま し た 。 〇命 の 大 切 さ な ど は 考 え た こ と が あ っ た が , 美 し さ に つ い て は 今 ま で あ ん ま り 考 えた こ と が な か っ た の で 今 日 の 授 業 を 通 し て 考 え る こ と が で き て よ か っ た 。 

22「新幹線のお掃除天使たち」(C-13 勤労奉仕)

  新聞やテレビのニュースなどでご存じの方もいらっしゃると思いますが,今年度から道徳が 「特別の教科 道徳」になりました。大きな変更点は,教科書が配布されたことです。 

 今までは,それぞれの教師が授業で使う教材(基本的に読み物資料)を準備して実施してき ましたが,これからは,基本的に教科書を使った道徳授業を実施することになります。

  第 1 学年では 4 月からローテーション道徳授業を行っています。これは,1 年生担当教師全 員が,各学級をまわりそれぞれのやり方で道徳授業を行うというものです。このやり方の良い と思われる点を4つ挙げてみます。 

①それぞれの教師のやり方で授業をすすめるため,生徒の関心・意欲が高まる。 

②次は,どの先生が道徳授業をするのかという生徒のワクワク感が高まる。 

③同じ教材で4回道徳授業を行うので,教師の授業力が上がる。 

④複数の目で生徒を観察できるので,生徒の良い部分を把握し評価できる。 

 私も「新幹線お掃除の天使たち」という教材と教科書の 「新しいプライド」という教材を組み合わせて,すべての学 級で実施しました。

 この教材の内容は,東海道新幹線の車両 清掃をしているエッセイという会社で働く人の様子を紹介し たものです。この授業を通して,自分の仕事に誇りを持つこ との大切さや仕事を通して周りの人を幸せにすることが大切 であることを感じ取ってほしいと思いました。

 最後に,生徒 の感想をいくつか紹介します。 

 〇どんな仕事もしているお母さんの姿が私は好きです。 ほこりに思うお母さんです。だから,この物語のような一生懸命仕事をする人を尊敬します。 

 〇働く上で大切なことは,その仕事を好きになる事だと思います。最初は,その仕事ははず かしいとか嫌いとか思っているかもしれないけど,自分や人のためにもちゃんと,その仕事 に向き合っていくことが大切だと思います。 

 〇お金をかせぐことも,将来,自分の仕事にやりがいを持つことも大切だと思った。

 〇自分がやりがいのあることを一生懸命にがんばることが大切だと思いました。 

 週に1時間だけの道徳授業ですが,中学生のうちに道徳性を養うことは,とても大切なこと です。将来,道徳性を問われる場面に遭遇した時の判断基準の一つになるからです。 

23「幼い頃の心と今の心」(A-3 個性の伸長)

 令和元年6月20日に道徳授業「幼い頃の心と今の心」を公開しました。

 この道徳授業の元になったのは,「ハンバーガーグー」(てぃ先生 KKベストセラーズ)です。

 その時に使 った資料を紹介しますので,保護者の皆さんも考えてください。 

 エピソード① 

 朝,登園してきたあとにおままごとをしていたA子ちゃんが(3歳)が,突然思いついたよう に言いました。「おおきくなったら,携帯になりたい!」 

 発問① 「どうして,携帯になりたいのでしょうか」 

 エピソード②

  B子ちゃん(3 歳)が「せんせい みて」とかわいいお花の絵を見せてくれました。「上手だ ね!すごい!」とほめたら,「どうして,じょうずかわかる?」と聞かれたから「練習したの?」 と聞き返すと・・・ 

 発問②「B子ちゃんは,何と言ったでしょうか」 このような園児と先生とのユニークなやりとりを資料とした道徳授業です。 

 この授業のめあては「幼い頃の自分を思い出すことで,自分や仲間の素敵な心を見つめる」と しました。

 生徒の感想からいくつかを紹介します。 

〇友だちのいいところをたくさん見つけられたからよかったです。 

〇気づいて振り返ったらいろいろな人がいろんな心を持っていることに気づけた。

〇自分のいいところを言ってもらえてうれしかったです。これからも自分のいいところを続けて いきたいです。 

〇私は,この授業で友達の良さにも気づいたし,自分のことについてもよくわかった。とても考 える授業になったのでよかった。 

〇自分の幼い頃をすこしずつ思い出してきました。また,相手にどんな心があるか考えることも わかったりしていい時間だったなと感じました。 

〇私もみんなも成長しても幼い頃の心が残っていると感じました。みんなそれぞれの心が残って いたので良かったです。

〇今は,幼い頃とは身長や考え方などいろいろなことが違うけれど,幼い頃からある心を大切に していくこともいいことなのかなあと思いました。 

 週に1時間だけですが,道徳授業を通して自分を見つめ仲間と意見を交流させて,より良い生 き方について考えさせたいと思っています。

※発問①の正解 「ママとずっといっしょだから」 

※発問②の正解 「おはなが,かわいいからだよ」

24「島野修さんの人生」を終えて(その1)

 平成23年1月に市道徳部会の研究授業を離島小規模校の鷹島中学校で実践しました。この時のタイトルは「島野修さんの人生」としましたが,「とっておきの道徳授業」では,「ブレ―ビーとネッピー」となっています。今回は,生徒の感想や研究協議で出た意見などを紹介します。

生徒感想より

 1 主発問「夢とは何だと思いますか」に対する意見 

〇自分の好きなことがかなわなくてもまた再チャレンジすること。

〇無限の可能性 

〇だれもが持っている希望 

〇自分が未来へと進んでいくための希望,勇気 ・自分で努力して自分でかなえること

〇自分の考えや思いを叶えるもの

〇自分がやりたいことや目標 

〇自分への励まし。実現させるもの 

〇生きていくための希望。

〇自分が目標にしていること

〇かなえるもの

〇自分で見つけだすもの。そしてかなえるもの。

〇自分を前向きにさせてくれる,はげましてくれるたくさんの力をもった大切な存在。 

〇生きる希望

 2 授業の感想 

〇今日の授業で夢は叶えるためにあるんだなと思いました。 

〇夢について久々考えました。夢はもつものだと思いました。 

〇夢があることはいいことで,かなわないかもしれないけれど,信じていれば大人になったらもしか したらかなうかもしれない。かなわなくても他の夢をもてばいいと思います。

〇夢は持たないより,持ったほうがいい。 

〇夢とは何かなどためになりそうなことを考えさせてくれる授業でした。

〇夢について,あらためて考えることができた。

〇夢というものは,すごいと思いました。

〇夢って大事だなあと思いました。

〇夢がかなう確率は少なくてもかなえることができることがわかった。

〇夢について考えることができてっよかったと思う。

〇早く自分の夢を見つけようと思った。

〇子供のときから見ていた夢をかなえることができなくても,新たな夢や目標を持ち続けていた島野 さんはすごいなと思いました。私もいつまでも目標がある人でありたいです。

〇自分の夢がかなわなくても,ずっとその夢を思っていればちがったところでも叶えることができる ということを教えてもらって良かったです。

〇この道徳の話でわかったことは,「夢がかなわなくてもまた夢がある」ということが心に残ったこ とです。 

25「島野修さんの人生」を終えて(その2)

授業研究より

  研究授業の後,市道徳部会で授業研究を行いました。今回は,その中で出た意見や質問について書 きます。

 7名という少人数でしたが,活発な意見交換ができ若い先生にとっては有意義な時間だった と思います。また,新しいつながりができた時間でした。

 以下,ポイントだけを掲載します。 

 質問  生徒に「夢とは何か」という発問がありましたが,山中先生が考える「夢」とは何ですか。 

 山中  ひねくれた性格のため「夢は必ずかなう」「夢を向かって努力しよう」などのきれいごとの考 えを持つことができません。今のところは,「夢を持つことで人は幸福になれる」つまり「夢 とは,人を幸福にするもの」と考えています。 

 質問  自分の授業では板書計画がうまくいきません。板書のコツを教えてください。

 山中  授業後,板書を見たらその授業の流れがわからなければいけません。特に,パワーポイントを 使った授業では,場面が切り替わってしまうとすぐに消えてしまうので,ポイントとなる言葉 や生徒の意見などは配置を考えて書くようにしています。つまり,生徒が思考しやすいように また,生徒の思考の流れが最後にわかりやすいようにすることだと思います。 

校長  耳からだけの情報は消えてしまうので,文字として残すことが大切です。ネームプレートなど を使い,視覚的に自分を見つめるような工夫も効果的です。 意見 夢がかなわない人を扱ったことで,より身近なものとして考えることができました。ビデオを 見た後の教室の空気がとてもよかった。生徒は本音で発表していたと思う。 

質問  生徒の本音を引き出すコツや方法は何ですか。 

山中  一番大切なのは,ネタです。意外性や驚きのあるネタを常に探しています。やはり,日頃から アンテナを高く,ネットワークを広くしておくことです。もう一つは,授業構成です。どのタ イミングで資料を提示するのか,資料のどの部分を見せるのか,主発問はどこでするのか,授 業の緩急をどうつけるかなど,どんな生徒でも,考えられるような発問,書けるような発問づ くりを心がけています。 

意見  生徒への接し方が上手だった。最初にゲームを取り入れて和ませる方法が良かった。指導案を 見ただけで授業の様子がわかりました。全員参加をさせる工夫が取り入れられてよかった。

校長  道徳授業は共感させることからはじまるのだと思います。中学校の授業は言葉が乱暴だと思い ます。もう少し具体的にしっかりと説明してほしいと思います。生徒に生徒の言葉で言わせる ことが大切です。教師は復唱は避けなければいけません。というのは,せっかく生徒が自分の 言葉で発表しても教師の言葉にかえられてしまい,意欲をなくしてしまうからです。教師はし ゃべりすぎの傾向があります。もっと沈黙を大切にしてほしい。生徒のつぶやきを大切にして ほしいです。すると生徒は時間をかけてじっくりと考えようとします。道徳授業のねらいは方 向概念でいいと思います。ですから「○○しよう」となります。お疲れ様でした 

26「愛すべきうそ」(Bー6 思いやり)

  平成28年1月27日(水)に1年2組で道徳授業を行いました。この授業は市道徳部会の研究授業として公開し たものです。20名をこえる参観者がありましたが,生徒たちは真剣に考えを書き発表することがで きました。

 この授業のテーマは「うそ」です。

「うそ」は基本的に悪いことです。

「うそ」によって, 他人の心を傷つけたり,多くの人々を混乱させたりすることもあります。

 また,「うそ」を繰り返 すことで,周りからの信用を無くすことにもなります。ですから,家庭では,幼い頃から「うそ」 をつかないようにとしつけをします。

 また,イソップは「金の斧,銀の斧」や「オオカミ少年」な どの童話という形にして,「うそ」をつかずに正直に生きることの大切さを分かりやすく教えてい るのです。

 しかし,「うそ」は100%悪いことかと問われたら,そうではないと答える人がほとんど だと思います。なぜならば,時と場合によっては,「うそ」をついたほうがいいことがあるからで す。

 大人であれば,今までの人生を振り返ってみても「うそ」は悪いと思いつつ,ついてしまった 人も多いことでしょう。そこで,悪い「うそ」ばかりでなく,相手の思いやる「愛すべきうそ」が あることを考えさせる道徳授業を創り実践しました。

 保護者から以下のようなコメントをいただきましたので紹介します。

〇「嘘」と聞くと悪い事の様に思いますが,「相手のための嘘,自分以外につく嘘で周りを幸せにで きる嘘もあると思います。自分自身をかばうための嘘というのは,いつか必ず自分に返ってくると 思います。それはきっと自分に心のゆとりがないからだと思います。相手の事を思える時に心にゆ とりがあり,自分自身充実している時だと思うので日頃から視野を広げて心にゆとりを持てる様に 親としても成長しなければと思いました。

  生徒たちは,多くの参観者があり緊張もあったことでしょうが,「うそ」について真剣に考えて くれました。生徒たちに感謝です。 

27「オワリはじまり」(C-15 集団生活の充実)

 〈卒 業 へ 向 け て の 最 後 の 道 徳 授 業〉 

  先 週 ,最 後 の 道 徳 授 業 を 学 年 道 徳 と い う か た ち で 行 い ま し た 。学 年 道 徳 授 業 を 行 っ た の は わ ず か 3 回 で す が , 生 徒 は 毎 回 楽 し く 真 剣 に 授 業 を 受 け て い ま し た 。 

 さて,卒 業 に 向 け て の 道 徳 授 業 と い う こ と で ,教 材 は ,「 オ ワ リ は じ ま り 」( か り ゆ し 58)と い う 歌 を 使 い ま し た 。

 2011 年 8 月 15 日 に 放 送 さ れ た 日 本 テ レ ビ の「 人 生 が 変 わ る 1 分 間 の 深 イ イ 話 ~ 真 剣 に 命 を 考 え る ~ 」の 中 で ,私 が 創 っ た 道 徳 授 業「 命 が あ た え る も の 」(『 と っ て お き の 道 徳 授 業 Ⅳ 』日 本 標 準 )が 取 り あ げ ら れ ま し た 。

 そ の 時 に 司会 の島田 紳 助 さ ん が 紹 介 し た の が こ の 曲 で す 。

 そ れ 以 来 ,こ の 曲 を 気 に 入 っ て 卒 業 シ ー ズ ン に な る と 使 っ て い ま す 。 

 さ て , 今 回 の 道 徳 授 業 の 流 れ は 以 下 の と お り で す 。 

〇 「 い よ い よ 卒 業 で す が , 3 年 間 の 自 分 を 振 り 返 っ て み ま し ょ う 」 

① 「 や り 残 し た こ と は あ り ま せ ん か 」 

② 「 親 友 と 語 り 合 い ま し た か 」

③ 「 恋 は し ま し た か 」 

④ 「 忘 れ ら れ な い 出 来 事 に 出 会 い ま し た か 」 

⑤ 「 大 切 な 時 を 胸 に 刻 み ま し た か 」 

⑥ 「 命 を 燃 や し た こ と が あ り ま す か 」 

⑦ 「 笑 っ て さ よ な ら が 言 え そ う で す か 」 

⑧ 「 卒 業 は 終 わ り で す か , は じ ま り で す か 」 

⑨ 「 卒 業 式 で 何 が 終 わ る の で し ょ う か 」 

⑩ 「 卒 業 式 で 何 が は じ ま る の で し ょ う か 」 この後「 オ ワ リ は じ ま り 」 を 流 し ま し た 。 

⑪ ど う し て こ の 曲 の タ イ ト ル は 「 は じ ま り オ ワ リ 」 で は な く 「 オ ワ リ は じ ま り 」 な の で し ょ う か 。 

⑫ 最 後 に , 曲 に 合 わ せ て 3 年 間 の 思 い 出 の 写 真 を ス ラ イ ド シ ョ ー で 見 せ ま し た 。 

生 徒 の 中 か ら 笑 い 声 が お こ り , 体 育 館 は し ば ら く 和 や か な 空 気 に 包 ま れ ま し た 。

28「悲しみと喜び」(C-15 集団生活の充実)

 道徳授業「悲しみと喜び」を1年全学級で行いました。

 この授業は,アンパンマンで有名なやな せたかしさんが作詞した「手のひらを太陽に」を教材とした自作道徳授業です。 この歌の歌詞をじ っくりと読むとあることに気がつきました。

 それは,1 番に「生きているからかなしんだ」,2 番 に「生きているからうれしんだ」とあります。やなせさんは,どうして,「うれしい」よりも「か なしい」を先に入れたのかということです。

 その理由が,『明日をひらく言葉』(やなせたかし P HP研究所)に書かれていました。

 そこで,生きていく上でとても大切なことを生徒に感じ取って 欲しいと思いこの授業を作りました。

 指導目標を「『手のひらを太陽に』の歌詞に込めたやなせた かしさんの思いや彼の人生観を知ることで,悲しいことがあっても前向きに生きようとする心構え をつくらせる。」として,

 授業を行いました。生徒たちは楽しみながら真剣に考え,仲間の意見を 聞きながら自分の考えを広げ深めることができたと思います。 

〈生徒の感想〉 

〇人が亡くなったら,人や生きることの大切さがわかるし,失敗があるから,それが成功につな がるのだと思います。これからは,悲しみの心も大切にしたいと思います。悲しみを深くわかっ て,うれしさをそれよりもっとわかりたいと思いました 

〇自分の考えとみんなの考えがだいぶちがっていたので,やっぱり道徳は面白いなと思いまし た。道徳には正解がないと思うのでこれからもいろいろな考えを出していこうと思います。 

〇生きることの意味を知ることができました。悲しみがなければ,喜びはないということは,正 しいと思います。理由は,悲しいことがあったからこそ,努力ができるし,うれしいことにもつ ながると思うからです。 

〇何となく聞いていた歌に,人生で大切な意味が 込められていたことを知り感動しました。 

〇私も一度挑戦して失敗してくやしかったけど, 次頑張ろうと思い,挑戦すると成功してうれしか ったことがあります。だから,「悲しみがあるか らうれしさがある」は本当だと思いました。 〇生きていると良い事,悪い事,いろいろと起こります。私も不幸や悲しみ辛いことを経験し てからこそ幸せや普段の幸せを実感できると思います。 

29 奈良尾中学校で道徳授業をしてきました(平成27年9月) 

 25日(金)の朝7時30発有川行の高速船に乗る予定でしたが,時化(しけ)のため欠航となってい ました。仕方がないので,フェリーで行くこととなったのですが,フェリーが大きく揺れ続けたこと で,一緒に行った県立大学生と仲良く船酔いになってしまいました。2時間40分の船旅が終わりほ っとしていましたが,軽い吐き気と頭痛があり授業ができるかどうか心配でした。

 有川港には奈良尾 中学校の校長先生が迎えにいらしていて,陸路で40分かかってようやく奈良尾中学校に到着しまし た。全校生徒が38名の学校ですが,学校の前には海が広がっていて,夏には海水浴やサーフィンを楽 しむ人々が集まるそうです。

 学校に着くころには,吐き気もおさまり給食もおいしくいただくことが できました。牛乳が「五島牛乳」でした。ちょっと珍しいので写真を撮りました。 

 その後,道徳授業をする3年1組の教室に行ってみると,珍しいものがいくつかありましたので写 真で紹介します。 

①木製の机とイス

 実際に座ってみましたが,重いのですが,すわり心地は良くて寒 い時は,温かいだろうなと思いました。ちなみに間伐材(かんばつざい)を使っているそうです。

②通学かばん

 私が中学生の頃使っていた,黒色の通学かばんなのです。懐かしい気 持ちになりました。黒の通学かばんを使っている中学校があることに驚いてしまいました。 

③奈中仕草(しぐさ)

 この中でいいなあと思ったのは,「あいさつのトリプル S」 です。「SOUL …心をこめて」「SMILE …笑顔で」「STOP …止まって」という意味だそうです。 

 道徳授業を行った3年1組の14名の生徒は,大勢の先生たちが参観する中でしたが,とても真剣に 考えしっかりと発表してくれました。いろいろな学校で道徳授業をしていますが,いつも感じるのは, 人と人との出会いはとても大切だということです。一つの出会いが時間と場所を変えて新しい出会い をつくってくれることもあるのです。

 フェリーの移動時間が5時間20分,車の移動が1時間20分とい うきつい日程でしたが,新しい生徒と新しい先生たちとの貴重な出会いがあり,本当に行ってよかっ たと思います。 

 この出会いが 将来,どこかで つながっていく ことを信じて います。

30「新幹線お掃除天使たち」(C-13 勤労奉仕)平成27年11月実施

 先日13日(金)に1年3組で道徳授業を行いました。その理由は,長崎大学教育学部で道徳教育を 研究されている山岸賢一郎先生からの是非参観したいという要望があったからです。 

 当日は,山岸先生の他,長崎大学教育学部大学院生4人,長崎県立大学生4名などが参観しました。 その道徳授業の内容について紹介します。

 「何のために働きますか」とたずねられたら何と答えますか。平成24年に内閣府が調査した結果で は,

1位「お金のため」(51.1%),

2位「生きがいを見つけるため」(20.8%),

3位「社会の一員と して務めを果たすため」(14.8%)

4位「自分の才能や能力を発揮するため」(8.8%)でした。

 この 結果を見た時に何か大切なことが抜けていると思いました。それは,「人々を幸福にするため」に働 くということです。この目的を感じ取らせるために,『新幹線お掃除の天使たち』(遠藤功 あさ出版) という本から作った道徳授業を実施しました。

 1年3組の生徒は全員50分間熱心に授業に参加し,しっか りと考え発表してくれました。山岸先生からもお褒めの言葉をいただきました。生徒の感想と保護者 からのひとことを紹介します。 【生徒の感想】 

・人のために働いている人もたくさんいることがわかりました。仕事は人を 喜ばせて,楽しい思い出を作ることができることが分かりました。 

・僕は,最初自分のために仕事をする人しかいないと思っていたけど,人の ためにする人もいると知ってすごいと思った。 

・僕は,今まで働くとはお金を得るためや自分のためだと思っていました。しかし,テッセイの人はお 客さんの笑顔のために働いていたのですごいと思います。 

・仕事への気持ちが変わった。お金をかせぐだけじゃだめということを学んだ。 

・何のために働くかはあまり考えたことがなくてちょっと難しかったです。でも,人の意見を聞いた らこのためかなあなどと納得しました。周りの人の役に立つようにしたいです。 

・今日の授業でたくさん学びました。僕も将来,みんなを笑顔にすることができる人,職業に就き たいと思います。山中先生の授業は楽しかったです。 

・最初は,自分が生きる為に働くのだと思っていたけど,授業が進むごとにその考えはなくなり,人 が笑顔になる為など人のことも考える授業になりました。 

・どうやって働いたら,みんなが幸せになるかを考える。 

・仕事への気持ちが変わった。お金をかせぐだけじゃだめということを学んだ。 

・今日の授業で働く人の気持ちが少し理解できたと思います。テッセイさんは,どんな難しい掃除を だってやれるのですごいと思いました。 

・仕事は楽にみえたけど,きついこともあるんだなあと思いました。 ・私は今日の授業はして良かったなあと思いました。なぜかというと,最初はお金のためだと思って いたけど本当はお客さんのためだと分かったからです 

【保護者からのひとこと】 

・いいところは見習っていきたいですね。誰に見られているからとかではなく自分自身のために ・列車に乗る側にしたら,ただ列車内がきれいになっているだけじゃなく,声を掛けてもらい,一礼 をされたら,これからの旅行や仕事が気持ちよく出来ると思います。ちょっとした心遣いで人の気 持ちを優しく出来ることを改めて感じました。 

・同じ日本人として礼儀正しいということが誇りでもありますが,実際自分たち個人個人は本当にそ うなのか疑問もあります。しかし,この「新幹線の天使たち」から,見えていてもいなくてもがん ばることのできる人たちの素晴らしさを改めて感じ,そのように心掛けたいと思いました。 ・日本人の真面目さや勤勉さをこれからも次の若い世代や子供たちに引き継いで生かしていってほし いと思います。 

・普段の生活でも同じような考え方でやってもらえたらと思います。 

・あいさつは他に何もしゃべらなくても気持ちが伝わる気がします。心をこめたあいさつをしてほし いです。 

・ちょっとした心遣いで人の気持ちを優しくできることを改めて感じました。

・利益のために働くという人がほとんどだと思います。仕事とは何か働くとは何かということを考え させられるエピソードなのではないでしょうか。私もそうですが,入居者様のために,そしてその ご家族様の気持ちを察しながら仕事の枠をこえて接するという気持ちは,この方たちと同じなのか なと感じ,この思いが娘にも届くといいなと思います。感じ方は人それぞれなのでしょうが,私は そう感じました。 

31「涙そうそう」(A-3 個性の伸長)平成25年11月実施

 いくつもの涙に支えられて人は生きていく 

 29日(金)の4時間目に2年2組で道徳授業を行いました。さて,この「涙そうそう」という道 徳授業は私が創ったオリジナルです。

 道徳授業には,社会科のような教科書はありません。また, 教師自身が資料をつくってもよいということになっています。こういったことから,15年前から現 在までに約30本の道徳授業を創り実践してきました。その中の1つが,この「涙そうそう」です。 

 この「涙そうそう」で道徳授業を創ろうと思った理由は,この歌にとても感動したこととこの歌 詞に惹かれたからです。そして,この歌詞がどうやって出来たのかを調べていくうちに,作詞を担 当した森山良子さんのエピソードを生徒に伝えたくなったからです。

 次のようなエピソードです。

兄がいなくなった後の3人の家族は互いにいたわり合うように,心の中いっぱいの兄のことに は誰も触れなかった。父と母が可哀想でならなかった。淋しくって淋しくって一人で何度も写 真を見る。何故逝ってしまったの?どうして死んでしまったの?苦しかった?それとも…。 夕暮れに空を見上げては一番きらめくお星様を兄と決め,「そこで見ていてね,私,晋ちゃんが 生きられなかった分も生きて,父や母を幸せにするからね」「ちゃんと見ていてね」「私の心が 聴こえているでしょ」嬉しいにつけ悲しいにつけ,キラキラと輝く星になった兄を仰ぎ見ては 話かける。その度に「良かったな」「頑張れよ」「大丈夫か」などと笑顔で応えるように,星が いっそう瞬いて見えました。(『あなたの涙そうそう』(幻冬舎 )

 このエピソードと別の資料「ぼくがサンタになったら』を組み合わせて,大人になるた めには,いろいろな涙を流すことが大切だということを感じとらせる授業にしたいと思いました。 

 さて,この道徳授業で生徒はどんなことを感じたのでしょうか。感想をいくつか紹介します。 ・涙は大切なものだなと思いました。涙はひとりひとりにとって必要なものだと思いました。 

・涙にはいろんな種類があると知ったので,これからの人生はたくさんの種類の涙を流していきた いと思います。 

・嬉し涙,悲しい涙,くやし涙,感動したときの涙。涙にはマイナスなイメージもあると思うけど。 その全ての涙があったからこそ,前に進んでいけるんだと思った。 

・涙にはすごい力があるように思えた。 

・涙を流すのは「恥ずかしい」とか「かっこ悪い」とか思っていたけど,心をリフレッシュしたり いろんな感情表現ができるので良いものだと思いました。 

・一生懸命してたくさんの涙を見て。たまには自分の涙も流して人生を最高のものにしたい。 

 道徳授業の良さは,学級の仲間のいろいろな意見や考えを聞きながら,自分の考えを広げたり深 めたりするところにあります。これからもいろいろな道徳授業を通して,より良い生き方とは何か について考えてくれればいいなと思います。 

32 ニ道徳授業「サンタクロースの心」 

 以前,A中学校の3年2組で行った7分程度のミニ道徳授業を紹介します。 

発問1 

「サンタクロースはいると思いますか,いないと思いますか」

反応1 

「いると思う」…11人,

「いないと思う」…23人 

発問2 

「サンタクロースとは,どんな人ですか」 

反応2 

「赤い服を着ている」

「ひげを生やしている」

「トナカイのそりで空を飛ぶ」

「子供に プレゼントを運んでくる」

「優しいおじいさん」

「煙突から入ってくる」 

説明1 

「いろいろな意見が出ましたが,サンタクロースは幸せを与える人だと言えませんか」

説明2 

「サンタクロースは,いるかもしれません,いないかもしれません。しかし,サンタク ロースの心を持つ人はいるのです。つまり,周りの人たちを幸福にする心はみんなも持 っているのです。皆さんは,冬休み中,誰にどんな幸福を与えますか。それが,サンタ クロースの心だと思います。」 

33「飼わない愛情」(A-19)(令和3年12月記)

 ローテーション道徳授業「飼わない愛情」を1年4組で行いました。

 これで3回目となります。

 前回と同じように,途中で仲間との意見交流場面を5分ほどとりました。

「新しい飼い主を探す以外に殺処分される猫を救う方法はないですか」という発問をした後,

①自分の考えをワークシートに書く。

②自分のプリントを持って仲間がどんな考えを書いたか交流しながら確認する。

③その中で,これはいいと思う考えを黒板に書く。

という流れです。

4組の生徒は,とても意欲的に交流し,黒板にも10名が書いてくれました。

参観していた大学生T君は,「自分も普段考えないことを真剣に考えることができました。とても興味深かったです。」と言っていました。

この授業をしなければ,殺処分されている動物たちに心を向けることはなかったかもしれません。

そういった意味でも,道徳授業は生徒たちに,大切なことを考えさせるきっかけづくりになると思うのです。

〇私の家ではペットを飼っているので,ペットの大切さをしっかりと考えることができました。今年で7歳になるけど,いつまでもかわいいです。犬とねこも生きているから,かわいがって幸せな生活をさせてあげようと思います。

〇命の大切さ,ありがたみを分かり,人間であっても動物であっても,対等に扱うことが大切だと思いました。私も実際に猫を飼っているので,責任を持って育てようと改めて思いました。

34 生徒からの年賀状(令和2年1月記)

今年最初の勤務でした。

机の上に年賀状が置かれていて,読んでみると前任校の生徒からのものでした。

その内容にちょっと感動しました。

年賀状に道徳授業のことを書いてくれていたのです。

朝から心が温かくなり,仕事始めの日がとてもうれしくなりました。

自宅へ戻り,すぐに返事を書いています。

35「2つの幸福」(令和2年1月記)

先週と今週の2回にわたりローテーション道徳で「2つの幸福」について考えさせました。


「2つの幸福」とは,

A 「与える幸福」

B 「もらう幸福」です。


授業の中で,「与える幸福ともらう幸福では,どちらの喜びが大きいですか」という発問をしました。

すると実施した2クラスとも同じような結果でした。

AとBは半分ずつだったのです。

Aの理由としては,

・与えると自分にも返ってくるからです。

・他の人の笑顔をもらって自分も自然に笑顔になるからです。

Bの理由としては,

・相手に優しさをもらって自分も優しくなれそうだから。

・自分は何もしていないのに幸福をもらうことができるから。

などの理由を発表しました。

半分ずつに分かれたということは,これは良問だったのでしょうかね。

36 道徳授業その後(令和2年1月記)

昨年末に行った親孝行を扱った道徳授業の後,とてもよい感想を書いた生徒が数名いたので,

コピーしてぞれぞれの家庭に渡しました。渡したものは,以下の3つです。


①授業の流れ

②親孝行を扱った読み物資料

③感想が書かれた道徳ワークシート


昨日,その反応がありました。

渡した生徒の母親が,わざわざお礼を言いにきてくれたのです。

「ありがとうございました。こんなことをしてくださる先生は初めてです」という

うれしい言葉でした。

道徳授業をきっかけにして,教師と保護者,生徒と保護者,生徒と教師のよい関係ができればいいと考えて,こんなことをやっています。

道徳授業は,50分やって終わりということではないのです。

37「親へのプレゼント」(2022年1月記)

コロナの影響で市道徳部員は不参加でしたが,道徳授業「親へのプレゼント」を公開しました。

参観者は,校内職員5名でした。

この授業の指導目標は「日頃あまり意識してない親の愛情の有難さを再確認させることで,親を大切にするという気持ちを具体的な言動で表現させる。」としました。

楽しい空気と穏やかな空気を作るようにしました。

親の愛という少し難しいテーマについて,真剣に向き合い,考える姿が見られてとてもよかったです。


生徒の感想です。


〇長い間,家族や友人,先生方からたくさんの愛をもらってきたけど,それに答えられるようなことはしてきたのだろうか。与えてもらってばかりで,とても恥ずかしい。これからは,与えられる側でなく,与える側になって,周りの人たちに愛をそそいでいきたいと思う。


〇日頃から,自分のためにがんばっている親や周りの人に感謝の気持ちでいっぱいになりました。こんどからは,ちゃんと親や周りの愛に気づいていきたいと思いました。


〇今まで以上に親に感謝をして,大切にしていこうと思いました。怒っていてもご飯を作ってくれて,習い事の送迎もしてくれるので,これからはたくさん愛を返そうと思います。


〇「愛」について深く考えたことがなくて,私も両親や友達,周りの人にこれからたくさんの感謝の愛を返していきたいと思いました。


〇親にはたまに冷たい態度をとってしまうことがあるけど,厳しく教えてくれたり,怒ってくれることも与えてもらった愛だと思うので,いつか愛でこたえれるようにしたいと思った。


〇愛について深く考え,私に今までたくさんの愛が与えられていることを知ることができました。


〇今からでも,親がしてくれたことに「ありがとう」と答えたいと思います。


〇いつも自分や家族を支えてくれて,頑張っているお母さんに感謝の気持ちでいっぱいになりました。これからは,あまり迷惑をかけずに過ごしたいです。


〇たまに親に反抗的な態度をとってしまいます。けれど,今日の道徳の時間で家族は私に愛をたくさんそそいで成長する姿を見守ってくれる大事な存在だと思いました。


この授業で,本年度の道徳公開授業は最後だと思います。残り1年で何回,道徳授業を公開できるかわかりませんが,機会があれば公開しようと思います。

38「ノーベル賞とイグノーベル賞」(2021年1月記)

ローテーション道徳授業の3回目を2年1組で行いました。

自作「ノーベル賞とイグノーベル賞」です。

3回目となるとさすがに進め方に余裕が生まれて,進め方もうまくなります。

学級担任だけが道徳授業をやっている学校では,こんなことが味わえないですね。

同じ教材を使い,違う学級の生徒に実施することで生徒への対応力も高まります。

学年職員の理解といい空気感がないとローテーション道徳授業の実施は難しいと思います。


生徒の感想をいくつか紹介します。


〇この世の中に必要じゃないことは,ないと僕は思います。

〇どちらの賞も,誰かの役に立って,一生懸命に努力をしているところが似ていると思いました。

〇この世界がふしぎがなことがいっぱいで,おもしろい世界になっていくんじゃないかと思います。

〇小さなことでも真剣に努力することが大切だと思いました。

〇2つとも,新しい発見を世界中に伝えられるいい賞だと思った。 

39 教員最後の道徳研究授業(2023年1月記)

大寒の中,市道徳部会の研究授業が終わりました。

主題は「平和に真剣に向き合う」です。

30名近い先生が参観する中,1年3組27名の生徒たちは,真剣に考え,書き,発表することができました。

終盤で,「誰か,黒板に考えを書いてくれませんか」といったところ,ほとんど全員が出て書いてくれました。

想定外(10名程度かなと考えていました)の展開でしたが,感想を省くことで時間ピッタリに終えました。

とても楽しく,充実感がある時間でした。

その後の研究協議でも,意見や感想ではなく多くの質問が出ました。


〇発問づくりのコツ

〇教科書活用の方法

〇板書

〇プリント交換発表

〇ICT活用

〇平和学習の在り方

これらの質問に丁寧に答えていきました。


最後に,退職お祝いということで大きな花束をいただきました。

20年以上,市道徳部会と関わってきましたが,とりあえず,今回で卒業です。

長い間,お世話になりました。1月24日

40「地域のためにできること」(2012年1月記)

道徳公開授業が終わりました。

校長,教頭をはじめ計9名の参観者がありました。

それぞれの先生から評価シート(私が作った個人的な評価シート)を書いてもらいました。

その感想を読むと個々の先生に何らかの学びを与えることができたことがわかりました。

それだけでも公開して良かったと思います。

2年2組の生徒たちは,反応もよく意欲的に活動していました。

ただ,時間配分のミスで最後まで進めることができませんでした。

しかし,私のねらいとしていた意見を発表させることができたので70点ぐらいの授業だったと思います。

改善したものを別のクラスで実践します。

この授業の主発問

「地域に笑顔の花を咲かせるために何ができるでしょうか」

に対する生徒の意見です。

〇季節の行事を積極的にする。

〇あいさつ

〇祭り

〇日頃の関わり

〇ご飯をつくって届ける

〇清掃活動

〇交通整理

〇リサイクル

〇有名人を呼ぶ

〇困っている人を助ける

〇イベントをする

〇ボランティア活動に参加する

〇伝統行事をする

〇日々のあいさつ

〇幸動力

〇地域で何かがんばっている人の紹介

〇お礼を言う。

〇レクリエーション

〇一人一人が笑顔でいることを意識すること

〇ひこうき雲でメッセージを書く。

指導案では分からない,指導技術,授業の空気,生徒とのやりとりなどライブでしか伝えられないものが少しは伝わったと思います。

あと何回ぐらい道徳授業を公開できるかなと考えると,ちょっぴりしんみりしてしまいます。

次の道徳授業へ向けて頑張ります。

41「勇気とは何か」(2020年2月記)

本日,道徳授業を公開しました。自主的な公開です。

参観者は,新採2年目のM先生と教頭でした。

自主的な公開授業の目的は,M先生に観てもらうことでした。

先日,M先生が道徳授業を公開しましたが,同じ教材で違う道徳授業を提案するということです。

目標は,勇気とは,「正義感+行動」であることを認識させ,「勇気」が社会を良くするための大きな力であることを感じとらせる。

としました。

生徒の感想をいくつか紹介します。

〇人に注意をする勇気を持ちたいと思いました。仲の良い友達にもだめな事はだめだよと素直に言うことが大切だと気づきました。

〇私は注意することが苦手です。とても注意をすると自分も相手もその周りの人も良い心になると思います。もしも悪いことをしている人がいたら勇気をふりしぼってできるだけ注意していきたいです。

〇良いことってなんだろうと考えるときがあるが。今日の授業はそれを深く考えさせられるものだった。私はいつも注意なんかしない。なぜなら,悪い事をやっている人は,この先,私の人生に関係ないからだ。でも,周りの人の事を考えると注意することも大切だ。いつかは自分も注意い

てみたい。良いことをしていたら自分に返ってくるだろう。自信を持てる人になりたい。

〇勇気について考えた。勇気を出した後も考えた。勇気を出そうと思った。

〇ちょっと勇気を出すことで変わることがあると思いました。普段は言えないようなことを勇気を出して言うと良いことがかえってくるのかもしれないと思います。

やはり,折に触れて授業を公開することも大切ですね。参観者を意識するとで,何らかの工夫をします。何よりも,別の視点で観てもらい,ヒントやアドバイスももらえるからです。

授業の評価を写真で載せておきます。2・12

42「天才なんかいない」(2023年2月記)

おそらく現役最後になる道徳授業「天才なんていない」を1年4組で実施しました。

内容は,随分前に広山隆行先生が作られた志村けんさんの人生を扱いました。

私なりにアレンジしたものを実践しました。2020年に亡くなり大きなニュースとなったこともあり,生徒たちは真剣に聞いて,考え,発表することができました。


生徒の感想です。

〇志村さんの言葉から,努力することの大切さを学ぶことができました。

〇天才は人ぞれぞれ違うけど,努力する人はみんな天才だと思った。

〇「天才」というのは,努力できる人なのかと思いました。

〇僕は天才ではないから,努力を続けたいと思う。

〇生きていると色々なことがあるから,あきらめない心って大事だなと思いました。

悲しいことを乗り越えて生きているんだなと思いました。2.15

43「STAND BY ME ドラえもん2」(2021年2月記)

 久しぶりに2年2組で道徳授業をしました。

 冬休みに作った新作です。ネタは,「STAND BY ME ドラえもん2」の新聞広告です。

 のび太としずかちゃんの結婚を題材にした感動する記事を使って,相手を幸福にするために大切なことを考えさせようと思いました。


生徒の感想からいくつかを紹介します。

〇相手を幸せにすることの大切さ,相手を幸せにするために必要なことを楽しみ,深く感動しながら知ることができました。

〇人を想う気持ちがあれば,人を幸せにできるのだと思った。

〇人の幸せというものに基準はないし,考え方もないものだなと思いました。

〇相手を幸せにすることは自分にもできると思いました。

〇誰かを幸せにすることと自分に自信がもてるようになることが大切だと思いました。

〇相手を幸せにするために自分らしくできることをしていくことが相手のためになるのだと思いました。

〇これから人の外見だけじゃなくて優しさなど内の部分を見たいと思いました。

〇人を幸せにするために,信じる心だったり,相手を想う気持ち(幸動力)をこれからしていきたいです。

〇幸せにすることはとてもむずかしいことだと思いました。

〇しずかちゃんがのび太を好きになった理由が素敵だと思いました。


「のび太としずかちゃんを結婚させるためにドラえもんはひみつ道具を使ったほうがいいと思いますか」という発問で授業が盛り上がりました。

最後で,この新聞広告のしかけを紹介すると生徒全員が驚きの声をあげました。

今日の道徳授業は,生徒全員が笑顔になる楽しい授業でした。

44「しあわせにするために大切なこと」(2021年2月記)

前回の「STAND BY ME ドラえもん2」を扱った道徳授業の感想です。

今回は,2年3組での実践報告です。

生徒感想

〇誰かをしあわせにすることは難しいことかもしれないけど,今日の学習で,人をしあわせにするために大切なことにきづくことができました。

〇その人のしあわせを願うことで,その人はいつかしあわせになれると思う。

〇私も誰かを信じることを大切にしたいと思いました。

〇人は優しさ,思いやりが大事だと改めて思った。

〇私はこの授業で,改めて,しあわせって何だろうと思いました。しあわせって自分も相手も思わなければしあわせとは言えないと思いました。

〇人をしあわせにするには,まず誰もが優しい気持ちを持って,相手を想う気持ちが大切だと思いました。

〇人をしあわせにすることは難しいけど,大切なんだと思った。

〇本当のしあわせについて考えることができた。

〇私はこれからたくさんの人をしあわせにできるような人になりたいです。

授業が一番盛り上がると予想していた動画を流した時に,音声が出なくて,残念でした。しかし,最後で音声も出たので,この授業のねらいに近づけることができたと思います。研究授業や大きな大会で発表するときは,Wi-Fiの不具合もあることを念頭に置き,パソコンとディスプレイをHDMIケーブルでつないで授業をしたほうが安全だと思いました。

ドラえもんを使った道徳授業ですから,いろいろな生徒が意見を発表できるという点も良かったです。

来週は,2年1組で3回目の道徳授業を実践します。

45「オワリはじまり」(2022年3月記)

今日から卒業式の練習が始まりました。

全体練習のはじめに10分程度の時間をもらい,105人の生徒を相手にしたミニ道徳授業を行いました。

使った教材は,かりゆし58の「オワリはじまり」です。


2つの発問だけのシンプルな授業です。


〇「卒業式は,おわりですか,はじまりですか」

挙手をさせると

「おわり」と思うが3分の2

「はじまり」と思うが3分の1

〇「オワリはじまり」の曲を聞かせました。


〇「どうして,曲のタイトルを『はじまりおわり』ではなく,『オワリはじまり』としたのでしょうか。」


時間がなかったので,数名の生徒の発言した取りあげられませんでした。

また,生徒の意見を聞き,つなげることもできませんでした。

いい授業とは言えませんでしたが,その後の練習では,ひとり一人が一生懸命に取り組んでいました。

いきなり厳しい礼法指導を行うよりも,このような導入を行うことが大切だと思います。

明日の練習で90%完成させます。

46 ローテーション道徳(2021年3月記)

2年1組で今年度最後の道徳授業を行いました。

2学年では5人の教師がローテーションし,3学級で道徳授業を行いました。

私は,以下の6つの道徳授業をしました。

①「自信を持って」

②「幸福を運ぶタクシー」

③「笑顔のチカラ」

④「万年筆の病院」

⑤「ノーベル賞とイグノーベル賞」

⑥「逃げるな,のび太」

※初任者ための公開授業「地域のためにできること」のみ2年2組で実践しました。

それぞれの道徳授業を3学級で行いましたので,

合計18時間の道徳授業を行ったことになります。

こういった道徳授業を行う場があることで新しい道徳授業を作る意欲が高まります。

また,同じ教材で3回行うことで,授業力も高まったと思います。

生徒たちが,毎回,私の道徳授業を楽しみにしてくれることが一番の喜びでした。

47「ハッピーバースデー3.11」の保護者感想(2021年4月記) 

道徳授業「ハッピーバースデー3.11」を松浦市のM先生が1年生で実践されました。

その生徒感想と保護者からもコメントを送っていただきました。

生徒の感想を読むと真剣に考えたことがうかがえ,また,保護者のコメントを読むうちに涙が出そうになりました。その1つを紹介します。


○中学生になり,反抗期も始まり,子も親もイラっとくることがあり,コミュニケーションがうまく取れない時もある年代になりました。

3・11から10年と言う節目で,授業で感じたことを本人から聞いたり,10年前を思い出して考えてみると,今ある命に感謝をすることだと話しました。

そして,その命を大切に生きてくれることだと話しました。

大きな災害など起きなくても,今後の人生で大変なことはたくさんあると思います。

どんな時でも,自分をまわりの人たちを大切に,川口さんと同じになりますが,強く生きていって欲しいと思います。



1つの道徳授業をきっかけにして,親子が命について話し合い,考え合う,こんな素敵なことはありません。

道徳授業を学校の中だけに終わらせることなく,家庭や地域や社会へ広げていくことで,生徒の道徳性はもっともっと高まるはずです。


これが,本当の「道徳のチカラ」なのです。

48「仲間がいるから」(2022年4月記)

本年度初めての道徳授業しかも1年生への初めての道徳授業をしました。教材は,この日に合わせて創った新作です。学年キーワードである「仲間と成長する」を扱った内容にしました。教科書を使わない道徳授業が初めてらしくこんな感想を書きました。

〇自分や友達,仲間のことをよく考えていなかったので,深く考えられる授業だったなと思いました。

〇普段は教科書を使うから,教科書を使わず学習するのが新鮮だった。すごく心に響いた。

〇苦手な授業が楽しく感じました。友達や仲間を大切にしていきたいです。

〇「仲間」について自分の経験を元に考えることができました。「友達」も大切だけれど結局,友達という関係が仲間として共に過ごした日々があったからできるものではないかと思いました。仲間を大切にしたいです。

〇仲間や友達の意味を知って「これからどんどん成長していける!」という可能性を感じました。

〇山中先生の言葉は「人の心を変える原動力」だなあと思いました。実際にかけられた言葉があって,私はさらなる成長に向けてがんばることができています。これは,友達や仲間でも,あてはまると思います。仲間からもらった言葉もあるからです。

〇自分の意見を持ち,発表したり,自分とちがう意見を聞いて納得したりして楽しかった。友達も仲間も大切だから大事にしながら過ごしていきます。

〇教科書を使わず考えると,思ったことも広げていき,交流もたくさんできて仲間の大切さを改めて考えることができました。

初めての私の道徳授業でしたが,1年生は積極的に発言をし,交流もできていました。特にうれしかったのは,笑顔で授業を受けていたことです。これからの道徳授業が楽しみです。


49「母という仕事」(2021年5月)

 今年度はじめての道徳授業を3年1組で実践しました。

1組に近づくと,3名の女子生徒が「今日の道徳は先生ですか」とたずねました。「そうだよ」と答えると,喜んでいました。

こんな時に,教師としての喜びを感じるのです。

さて,今回は,母の日が近いこともあり,土作先生が紹介されていた動画を使った道徳授業「母という仕事」を実践しました。

その感想をいくつか紹介します。

〇いつもお母さんからしてもらっていることが当たり前と思わずに日頃から感謝や余計な心配をかけないようにしようと思いました。

〇母には感謝の言葉を毎日言えるようにします。

〇自分のお母さんがすごく大変な仕事をしていることに気づけなった自分が情けないなと思いました。今日,お母さんが家に帰ってたとき「お帰りなさい,いつもお疲れ様」と母に言おうと思いました。これ以上,母に心配かけたくはないので喜んでもらうため体調を崩さないように気を付けようと思います。

〇大変な仕事をしているお母さんに感謝して少しでもいいから自立していきたいと思いました。

〇母親は,家のことを仕事を両方していて,とても大変だと思いました。今後心配をかけないよう自立していこうと思います。

〇お母さんは,こんな重労働をやっているのにいつも笑顔ですごいなと思いました。お母さんの負担を減らしていきたいと思いました。

〇母に感謝することを最近忘れていました。

〇私のお母さんは仕事が終わるのがとても遅いです。なににきつい顔をせずに笑顔で接してくれるお母さんはかっこいいなと思いました。

〇普段は,当たり前だと思っていたり,「ありがとう」が恥ずかしくて言えなかったりするけどお母さんという仕事の大変さがわかりました。感謝を伝えていこうと思いました。

50 道徳授業の反応(2022年5月記) 

先週1年1組で行った道徳授業「仲間と成長する」に対して1人の保護者がコメントをくれました。

とてもありがたいです。

これを単なるコメントとしてとらえてしまうのではなく,その背景を想像することが大切だと思います。

忙しい母親がわざわざコメントを書こうと思った理由を考えるのです。

そこから道徳授業のチカラが見えてくるのです。 

51「母という仕事」の保護者コメント(2022年5月記)

先週行った道徳授業「母という仕事」に対する保護者のコメントが届きました。読み物資料の下に,保護者からのコメント欄を付けているのが,私の道徳授業のスタイルです。道徳授業をきっかけにして,子供と親が会話しほしいと考えているからです。高学年になると,会話が少なったという保護者の声もあります。そういった意味でも,道徳授業がきっかけになればいいと思います。親が子供に夢や人生などについて語ることも大切だとも思います。 

52「母の日に思う」(2021年5月記)

 5月13日(木)に行った道徳授業「母の日に思う」(ローテーションによる2回目)の生徒感想をいくつか紹介します。教材を1つ増やしたことで,感謝の気持ちの大切さを感じ取った生徒が増えました。

途中で,動画の音声が途切れてしまうというアクシデントがありましたが,優しく和やかな空気が漂う道徳授業でした。

〇親への感謝を忘れずに,これから毎日過ごしていきたいと思いました。母の日,父の日をもっと大切な日にしたいと思います。

〇お母さんの大変さが分かっているつもりでも分かっていなかったところもあったと思うので。日頃から感謝の気持ちを持っていたいです。

〇これから感謝を伝えていかないといけないし,自分にできることは自分でして,お母さんとそしてお父さんにも心配かけないようにしていきたいです。

〇親がいつもあたりまえのようにしてくれることを普通だと思っていた時があったので,今日から,そのような考えを捨てて,毎日,感謝の気持ちを忘れずに自分でできることは自分でするようにしたいと思います。

〇親はいくつになっても親だから一生恩返しができたらいなあと思います。

〇いつも朝早く起きて,家の仕事をして,それを365日毎日するのはすごい

と思いました。それだけの感謝ではなく,ダメなことはダメ,良いことはほめて

くれる,人生で必要なことを教えてくれて感謝しています。

〇私はよくお母さんに反抗して「大嫌い!いなければよかったのに!私のことなんていらないんでしょ?」とよく言ってしまう癖があります。でも今日の授業を受けて,そういえば,コースターを自分で作ってプレゼントしたとき,笑って「ありがとう!」ってよろこんでくれたなと思うと,お母さんに感謝しないといけないなと思いました。