こんな本と出合った(2022年)

読書は時空を越えることができます。

合ったことがない歴史上の人物と出合い,見たことがない未来や宇宙,深海を見ることができます。

また,体験したことがない冒険や恋愛も経験できるのです。

1冊の本との出合いが人生を変えることもあります。人生観を広げ,深めることができます。

そんな本との出合いのきっかけをつくるために,このページ「こんな本と出合ってきた」をつくりました。

この中の1冊が,あなたにとって素晴らしい出合いになることを願っています。

666「一刀斎夢録(上)」(浅田次郎 文春文庫)

本当ならば休みですが,進路関係の仕事をするために午前中だけ出勤しました。職員室は教頭をはじめ数名の先生がいました。郵便局に受験料を振込み,私立高校推薦関係の種類を整えて進路指導主事に提出し,帰宅しました。午後からは,書斎の本をネット古本屋へ送るために段ボール詰めをしました。合計で5箱,おそらく200冊はあったと思います。終わってみると書斎がすっきりとしました。教育書とお気に入りの漫画や椎名誠の風景写真集はとってあります。これからは紙の本と電子書籍をうまく分けて買おうと思います。


浅田次郎さんの新選組本が無性に読みたくなり,電子書籍で「一刀斎夢録(上)」(文春文庫)を読みました。斎藤一が主人公ですが,新選組の活躍というよりは,どうやって終焉を迎えたかを斎藤一の語りで描いています。「壬生義士伝」もそうでしたが,浅田さんが描く新選組は,悲哀に満ちています。

kindleのペーパーホワイトのいいところは,いくつかありますが,1つは,1ページの文字数が変更できますから,自分が一目で読める文字数に設定できるところです。2つは,意味が分からない言葉を長押しするだけで分かることです。

下巻を読んでいますが,どんな終わり方をするのか楽しみです。

(2022年1月)

667「一刀斎酔夢(下)」(浅田次郎 文春文庫)

した。新選組三番隊長である斎藤一が,戊辰戦争西南戦争など時代が大きく変わる中で,どのように生きたかを描いたものです。居合の名人ですが,その描写が生々しく浅田氏の筆力の凄さがわかります。また,つかみどころがないほどの大人物である西郷隆盛を別の視点からとらえることができました。

午後は,21日に公開する道徳授業の指導略案作成をしましたが,授業の構成をどうするかずっと悩んでいます。生徒の思考がスムーズに流れるように,ねらいに近づけるためにはどのような構成にすればいのかが,なかなか決まりません。こんな時は,潔く諦めます。明日また考えることにします。

(2022年2月)

668「暁の宇品」(堀川恵子 講談社)


「暁の宇品」(堀川惠子  講談社)を読破しました。なぜ,アメリカは広島に原爆を投下したのかという疑問を追ったノンフィクションです。また,日清戦争から太平洋戦争までを船舶輸送という視点でとらえた素晴らしい内容でした。社会教師は,戦争を教科書や指導書やネットの情報だけで分かったつもりで教えてはいけません。様々な角度から戦争を描いた小説やノンフィクションや映画やドラマ,漫画などを読んだ上で教えるべきだと思います。上澄みだけを理解して,教えられるほど軽い題材ではないはずです。

そういった意味でも,この本は重要な1冊となりました。

(2022年2月)

669「野口芳宏 国語学力形成史」(柳谷直明編著 溪水社)

20年以上の間,野口先生から学んできた私ですが,この本で新たな学びと刺激を得ることができましいた。まだ途中ですが,じっくりと味わいたいと思います。最後に野口先生も書かれていましたが,「人生の幸福は大きくどんな人とどのような出合いを持つかによって決まる。」

ここで,ハッとしたのは,「出合うかによって決まる」ではなく「出合いを持つかによって決まる」と書かれたことです。

待つのではなく,自らきっかけを求め動くことが大切なのだと解釈しました。

まさに,私も野口先生との出合いを持ったことで教師人生が変わった一人です。

(2022年2月)

670「おもかげ」(浅田次郎 講談社文庫)

今日は早朝からN高校後期入試引率でした。13名の生徒も時間内に集合完了しました。控室では,学校の仕事ができませんので,いつも通りひたすら読書をしました。書斎から選んだ本は,「おもかげ」(浅田次郎 講談社文庫)です。450ページをこえる本ですが一気に読み終わりました。ラストに近づくにつれて,涙腺がゆるくなってしまい,さすがに控室で涙を流す姿を他校の先生たちに見られたくないので外のベンチで読みました。


歴史小説も好きですが,「鉄道員」や「地下鉄(メトロ)に乗って」「椿山課長の7日間」や「天国までの100マイル」などの感涙小説もたまりません。優しく美しい内容に感動して,入試引率で来ていることもしばし忘れて,ちょっぴり涙を流してしまいました。主人公が私と近い年齢ということもあるのでしょう。自分の人生とこれからを重ねて読んでしまいました。

(2022年3月)

メキシコで新しいピアニストと出会います。レッスンを担当することで音楽に新たな視点を得ることなります。アニメ映画が決定しました。 音が見えるマンガです。

(2022年3月)

672「母の待つ里」(浅田次郎 新潮社)

今日も終日N高校の入試引率でした。

朝は冷え込んでいましたが,昼頃には春めいた陽気となりました。

さて,今日の読書本は,昨日に引きつづき浅田次郎さんの「母の待つ里」(新潮社)でした。とても読みやすいリズムある文章で一気に読み終わりました。家族とは何だろう,故郷とは何だろうと考えさせる感動本でした。2日間にわたる入試も終わり,出てくる生徒の表情も気温と同じように和らいでいました。まずはお疲れさまでした。結果がとても気になると思いますが,明日から卒業式の練習が始まります。最後の最後まで成長する努力をしてほしいと思います。

(2022年3月)

673「とっておきの道徳授業 中学校編16」(日本標準)

巻頭で桃崎先生がこんな文を書かれていました。

「道徳科の教材開発に挑んだ教師にだけ見える世界がある」 

挑むという表現に痺れました。

私の実践も2本収録されていますので,是非,ご購入していただき,自分の学級で道徳科の実践をしてほしいと思います。


①「命は美しい」

②「ノーベル賞イグ・ノーベル賞」です。


実践後の感想をいただけるととてもうれしいです。

午後は休暇をとり,公園へ桜の写真撮影にいきました。公園には,桜の下で弁当を食べている人や仕事の合間に見にきたと思われる人などたくさんの人々が楽しんでいました。中には,着物姿で写真撮影をしている人もいました。


「桜は人の心を惑わす力がある」という言葉を思い出しました。

(2022年4月)

674「ちばあきおを憶えていますか」(千葉一郎 集英社)

週刊少年ジャンプを買い始めたのは,小学3年生頃だったと思います。連載は,「侍ジャイアンツ」「アストロ球団」「ど根性ガエル」「荒野の少年イサム」などでした。

中でも一番好きだったのは,ちばあきおさんの「プレイボール」でした。

魔球も出てきません。

超人もいません。

大きなドラマ展開がある訳でもありません。

しかし,夢中になって読んでいました。

ちばあきおさんは同じ漫画家のちばてつやさん(「あしたのジョー」)の実弟です。そのあきおさんの息子さんが父親の生涯を追ったノンフィクションである「ちばあきおを憶えてますか」(千葉一郎 集英社)を読みました。

あきおさんの草野球ユニフォームの背番号が「23」の理由

死後23年後にはじめて妻の夢にあきおさんが出てきた理由

この2つの理由を知るラストで涙が出ました。

もう一度「プレイボール」と「キャプテン」を読みたくなりました。

(2022年4月)

675「ジジイの片づけ」(集英社クリエイティブ)


椎名誠さんが,何となくすすめていたので早速購入しました。ウマ下手絵で有名な沢野ひとし画伯の本です。久々に読みます。私もいろいろと片付けする時が徐々に迫ってきていますので,参考にしたいと思います。帯にこんなことを書かれていました。

「隠遁とは老いた者だけに許される身分ではない。何歳であろうと,無駄なもののない空間で,清らかな時間を持てることは宝であり,その精神的な贅沢こそが隠遁なのである。」

楽しみです。

(2022年6月)

676「同志少女よ,敵を撃て」(逢坂冬馬 早川書房


テスト前で部活も休みです。いくつかの家の仕事を済ませた後で,読み進めていた「同志少女よ,敵を撃て」(逢坂冬馬 早川書房)を読破しました。第一次世界大戦独ソ戦を舞台にした,狙撃兵のロシア少女が主人公です。特に狙撃シーンの描写がすごくて映画のようでした。臨場感と緊迫感が伝わってきます。そして,壮絶なラストへ。本屋大賞と第11回アガサ・クリスティー賞の受賞した500ページ近い大作です。是非,ご一読を! 

(2022年6月)

野活の疲れが残っています。午前中4時間連続授業。午後から振休なので何とか頑張りました。また,来週から夏休みということもあり,何とか頑張りました。60歳の現実をひしひしと感じています。帰宅後,楽しみにしていた漫画「BLUE GIANT EXPLORER ⑥ 」(ビッグコミックススペシャル) を読みました。ドラマーとの出会いで主人公は更に成長するのでしょう。今回も演奏の迫力が伝わりました。 

(2022年7月)

678「不親切教師のススメ」(松尾英明 さくら社)

午前中は,段ボール箱や新聞をまとめて資源ごみ回収の準備をしたり,自宅周りの掃除をしたり,大汗をかきながら動きました。午後は,「不親切教師のススメ」(松尾英明 さくら社)を読みました。読後,野口先生の講座を聞くような爽快さがありました。これをすべて初任者や経験が浅い教師がすぐに実践することは危険だと思います。教師としての経験を積み,自分の教師哲学を持っておかないと単なる手抜き教師と批判されそうです。しかし,現在の教育に一石を投じた本であることは間違いありません。私が好きな言葉に近藤原理先生の「大らかに,細やかに,さりげなく」というものがあります。親切と細やかさは違います。個々の生徒の成長にとって何が大切なのかを見極めて個別の対応をしていくことが大切だと考えています。親切も行き過ぎるとおせっかいとなります。親切すぎる,おせっかいな管理職に読ませたい本でした。

(2022年7月) 

679「つぎはぎ仏教入門」(呉智英 筑摩書房


純粋な夏休み2日目。

午前中は,観葉植物の土入れ替え作業をしました。わずかな時間の作業でしたが,Tシャツが汗でぐっしょりになりました。午後は,久々の読書をしました。随分前に購入し,ちょっとずつ読んでいましたがようやく読破しました。

「つぎはぎ仏教入門」呉智英 筑摩書房)です。

以前から仏教に興味を持っていましたので,入門編ということでこの本を選びました。

 仏教の専門書とは違って,なかなか楽しんで読むことができました。

〇宗教は「死」への対抗として生まれた。

キリスト教は,「救済」の宗教である。

〇仏教は「覚り」の宗教である。

〇そもそも,釈迦が覚りを開き,それを説いた宗教が仏教である。釈迦から二千数百年,その教えである仏教は変容に変容を重ねてきた。最初に根本分裂があり,それを受ける形で大乗と小乗の分裂があった。小乗仏教では金口の阿含経典を原則的に守り釈迦一仏論であったが,大乗仏教はいくつもの経典を創作し,いくつもの仏を考案した。釈迦入滅後何百年もして成立した経典は。ありていに言って,偽経である。そこに描かれた諸仏も釈迦の与り知らぬものである。

1年生社会科では世界の3大宗教を教えます。これを教えるための基礎研究として読んでいましたが,間に合いませんでした。

反省です。

歴史的分野で教えたいと思います。

(2022年8月)

680「授業で学級をつくる」(土居正博 東洋館出版)

土居正博先生の「授業で学級をつくる」(東洋館出版)を読破しました。

中学校では,年間1015時間の授業を実施しています。

1年生の社会で言えば,年間105時間の授業を実施しています。この膨大な時間を単なる学習の場としてとらえるのではなく,生徒ひとり一人を鍛え育てるという視点を持つことが大切です。

それが学級づくりに大いに影響するのです。

随所に,野口先生,深澤先生,土作先生,杉渕先生,中村先生などの教育哲学が垣間見えて,読んでいる時に大いにうなづきました。

 若手教師に一番理解して欲しい部分が,「学級づくり」の全体像です。

①教師と子どもの信頼関係を築くこと

②一人ひとりの「基礎的資質」を育てること

③一般的な学級づくりの要素

①の信頼関係づくりで大切な部分を数多くの授業例で紹介されています。

生徒一人ひとりを大切にしながら,全員参加の授業つくることが大切だと再認識しました。

早速,同僚の若手教師に紹介します。

(2022年8月)

681「月まで三キロ」(伊予原新 新潮文庫

今年読んだ本の中で一番良かった本です。

伊予原さんは,初めて読んだ作者さんです。6編の短編が収録されていますが,どれも味のあるしかも涙腺がゆるんでしまう,感動本でした。

伊予原さんは,東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻されたそうです。その知識や経験が6編に見事に取り入れられていてます。例えば,月,雪の結晶,アンモナイト地球温暖化素粒子などです。

 読んでいてハッとさせられた部分です。「アンモナイトの探し方」から一部を引用します。

〈引用始まり〉

富美別町は,三笠市夕張市にはさまれた小さな町だ。

この一帯がかつて炭鉱で栄えたという話は,塾でちらっと聞いたことがある。夕張市などは今や財政破綻の状態だということも。ただ,塾の講師はこうも言っていた。覚えておくべきなのはそんなことではなく,日本の石炭の輸入先第一位がオーストラリア,二位はインドネシアだということ

〈引用終わり〉

自分がまだ感動する心を持っていたことを再確認できました。

こういった感動を大切にすることで,情が深くなるのだと思います。

教師には「知」だけでなく,「情」も必要なんです。

よかったら,読んでみてください。

(2022年8月)

682「ひまわりは恋の形」(宇山佳佑 小学館)

60歳でも純愛小説を読みたくなる時があるのです。

「ひまわりは恋の形」(宇山佳佑 小学館

今朝6時に読み終わりました。涙腺がゆるくなっていますから,ラストで涙が少し出ました。

(2022年8月)

683「昭和の消えた仕事図鑑」(澤宮優・平野恵理子 原書房

今日は,4回目のワクチンの副反応で特休をもらいました。熱は高くはありませんでしたが,何となくだるさが続いていましたので,1日ベッドで寝たり横になって読書をしたりしました。

けだるい感じの時に読む本は何がいいかなと思って,選んだ本が「昭和の消えた仕事図鑑」(澤宮優・平野恵理子 原書房)です。

昭和の頃にあった仕事がイラスト付きで解説されています。どのページから読んでもいいですから,気になった仕事から読みました。

私の記憶にある昭和の仕事は,

豆腐屋

〇金魚売

〇ロバのパン

〇乗合バス

〇電話交換手

〇下宿屋

〇炭焼き

〇アイスキャンデー屋

〇ポン菓子屋

などがありましたが,今は,すべて消えてしまった仕事です。

この本に,こんな仕事がありました。

何と読むか分かりますか。

「杣」

山林の伐木,造材,加工,荒削りなどの製材を行う人です。

読み方は「そま」です。きこりという呼び名より,「そま」というほうが山の仙人みたいな感じが伝わり,自然の中で生きる人ように思えます。澤宮さんは,この本の最初のこんな文を書かれています。

「これらの仕事には,今よりもっと人間の匂いと体温があったと私は思っている」

確かにそうだなあと思いました。

ぼーっとした頭で読みましたから,なおさらノスタルジックになったのかもしれません。

(2022年8月)

684「月島慕情」(浅田次郎 文春文庫)


ほろりとさせる美しい短編が7編収録されています。

特に表題作の「月島慕情」はラストでジーンとさせられます。

(2022年9月)

685「帰郷」(浅田次郎 集英社文庫


名もない人々を主人公にして戦争の悲しさを静かに描く短編集です。同じように戦争を静かに描いた「終わらざる夏」につながる作品だと思いました。

 「おもかげ」や「母の待つ里」など感涙本まではいきませんが,じわじわと感動する作品でした。


浅田次郎作品を無性に読みたくなる時がありますので,次回はいつでしょうか。

686「BLUE GIANT EXPLORER7」(石塚真一 ビックコミック)

発売をとても楽しみにしている漫画「BLUE GIANT EXPLORER」の7巻を読みました。その中で主人公ダイのセリフがしびれました。

「オレの中の全部を出します。昨日も明日もない。お客の心を動かすにはそれしかない。

真っ直ぐで熱い生き方を教えてくれる漫画です。アニメ映画化され,来年2月に公開予定です。

(2022年11月)