こんな本と出合った(2018年)

読書は時空を越えることができます。

合ったことがない歴史上の人物と出合い,見たことがない未来や宇宙,深海を見ることができます。

また,体験したことがない冒険や恋愛も経験できるのです。

1冊の本との出合いが人生を変えることもあります。人生観を広げ,深めることができます。

そんな本との出合いのきっかけをつくるために,このページ「こんな本と出合ってきた」をつくりました。

この中の1冊が,あなたにとって素晴らしい出合いになることを願っています。

443「授業力&学級経営力2月号」(明治図書

本号の特集は,「教師は伝え方が10割」でした。
教師の話術の腕をあげる方法について,様々な先生が書いています。
話術についての研修は,なかなかありません。
ですから,野口芳宏先生から学んでいます。
また,落語や漫才やお笑いタレントから学ぼうと努力をしています。
さて,今回は野口先生が6ページわたってこの話術について書かれています。
これだけでも買う価値があります。
野口先生の論文の見出しだけ紹介しておきます。
①聞き手との良好な場づくり
②公的話法と私的話法
③簡潔,,明快ということ
④抽象と具体のバランス
⑤体験と実践ということ
⑥話術は意図的に磨けば必ず実る

加えて,中村健一先生のブラックな話術論が興味を持ちました。
最初の一文に度肝を抜かれます。
「誰もあなたの話なんか聞きたがっていない」
どうです。読みたくなったでしょう。


私の連載もひっそりと掲載されています。(2018年1月)

444「流罪の日本史」(渡邊大門 ちくま新書


歴史の教科書を読むと,天皇上皇島流しにあったと書かれています。
流刑は死刑に次ぐ重い刑罰です。
その流刑を天皇に科すという歴史的背景を知りたくて読みました。
中学校の歴史教科書に登場する人物で,流刑になったのは,
源頼朝
後鳥羽上皇
親鸞
日蓮
後醍醐天皇
世阿弥
です。

えっあの人も流罪にあったんですかという人物もいます。
興味深い内容でした。(2018年1月)

445「雪の鉄樹」(遠田潤子 光文社文庫


久々に出会った感涙本です。

450ページをこえる長編ですが,1日で読んでしまうほど面白かったです。

初めての作家さんですが,この作家に出会えたことを本当にうれしく思います。

最後のページで涙が出ます。

というわけで,先ほど遠田さんの本を2冊注文しました。

読後,大学生時代に読んだ,弘兼憲史小池一夫の漫画「兎が走る」を思い出しました。

この本は今年の収穫本の1冊です。 (2018年1月)

446「アンチェルの蝶」(遠田潤子 光文社文庫


どうしてこんなにも感動するのでしょうか。

自分の子どもの頃を思い出すからでしょうか。

心が痛くなるほどの悲しい境遇に生きてる人々。

そんな人々が,いつかきっと希望が訪れると信じて生きています。

辛くなる場面も数多いですが,最後に光が射すことを信じて読みすすめました。

そんな遠田潤子さんの世界にずっとはまっています。 (2018年1月)

447「オブリヴィオン」(遠田潤子 光文社)


遠田さんの本,3冊目です。
共通点は,悲しい境遇の中で藻掻き苦しむ人々が明るい光を浴びることができるのかということです。
今回は,前2作とは違い,奇跡を起こす男が主人公です。
この奇跡を巡って悲しい事件が起こります。
ミステリー小説?
サスペンス小説?
純愛小説?

最後はやはり感動してしまいました。

遠田作品をまだまだ読み続けます。(2018年2月)

448「あの日のあなた」(遠田潤子 ハルキ文庫)


今日は雪のために朝7時に自宅を徒歩で出発して,公立高校の推薦入試会場へ行きました。

積雪量はそんなに多くありませんでしたが,大変な渋滞が発生していて,集合時刻ギリギリ間に合った生徒もいました。

その後は,控え室でひたすら生徒の面接試験が終わるのを待つだけでした。

この間,1冊読破しました。

遠田作品4冊目です。

遠田作品の共通設定は,家庭に恵まれない子供が主人公であるこという点です。

キリキリと心が痛む場面が多々ありますが,やはり感動しました。

今年,遠田作品と出会えたことが大きな収穫です。

面接試験が終わる頃には,雪もすっかりとけていました。

一旦自宅へ戻り,再び車で学校へ向かい6時間目の授業をしました。

朝からとてもハードな1日でした。 (2018年2月)

449「カラヴィンカ」(遠田潤子 角川文庫)


今日は,朝から久々に学校へ行きました。
体力的には100%回復した訳ではありませんが,さすがに一週間も仕事を貯めておいて
いきなり月曜日からはスムーズなリスタートはできません。
8時30分から12時まで仕事の整理をしてきました。
主な仕事内容
①机の上に貯まっていた回覧文書に目を通す
②アルバム代の帳簿付けと領収書作成
③通知表の所見記入
④学年通信の作成
⑤来週の入試関係の打ち合わせ
⑥ネットでの学校メール確認
⑦卒業式要覧のチェック

これでようやく机の上がきれいになりました。
その後,部活に顔を出しました。

さて,お気に入りの遠田さんの本です。
安静中に読んだ1冊です。
横溝正史の世界観でしたが,ミステリー仕立ての悲しい恋愛小説なんですね。
いつものことですが,一気に読ませる筆力には頭が下がります。(2018年3月)

450「蓮の数式」(遠田潤子 中公文庫)


遠田作品に登場する主人公は,必ず不幸な境遇で生まれ育っています。

そして,悲劇的なできごとが襲います。

その中で微かな光が見えてきます。

救ってほしい,救われて欲しい,最後はハッピーエンドになってほしい。

そういった気持ちにさせられ,最後まで一気に読んでしまうのでしょう。

この本もやはり心が重くなってしまいました。

そろそろ,明るく元気になるような本を探そうと思います。 (2018年3月)

451「蒼き山嶺」(馳星周 光文社)


学校評価の結果から,生徒の読書量が少ないということが分かりました。
分かったはいいですが,ではどうやって読書量を増やせばいいのでしょうか。
「本を読みましょう」と呼びかける
「読書カードを作って記録しましょう」
「家庭でもチェックしてもらいましょう」
学級文庫を作りましょう」
「学校でビブリオバトルをしましょう」
「読み聞かせをしましょう」
などの具体策が浮かびます。

しかし,これで生徒の読書意欲は高まりません。
自分自身を振り返ると分かります。
周りの人たちから言われて本を読むようになったのではありません。
親にチェックしてもらったから本を読むようになったのではありません。

また,生徒全員を読書好きにすることは無理です。

こういった現状を考えて,具体策を考える必要があります。

一番の問題は,教師自身が本を読んでいないということだと思います。
読書の面白さは理屈ではありません。
その面白さを生徒に伝えられるのは,実際に本を読んでいる教師だけです。
本を読んでいる人のほとんどが,話をしていて面白いということです。
ネットやテレビなどのくだらない話題ではない,真の面白さが伝わってくるのです。
それが,生徒に伝わって初めて生徒の読書意欲が高まると考えています。

さて,この本です。
山岳ものが大好きでよく読んでいます。
しかし,この本は期待外れでした。
もう少し,緊迫感溢れる描写が欲しかったです。

(2018年3月)

452「冬雷」(遠田潤子 東京創元社


古い因習にしばられた2つの家の対立が元になる悲劇。

まさに横溝正史の世界です。

ラストはやはり光が射します。

遠田作品は,これで一応終わるつもりです。 (2018年3月)

453「サハラの薔薇」(下村敦史 KADOKAWA


今日は,部活が休みで久々にゆっくりと過ごした1日でした。

駐車場の掃除,新聞を束ねる,書斎の整理などをしました。

午後は,読書でした。

久々の下村作品でしたが,ちょっと拍子抜けでした。

あまりにもスケールが大きすぎて,今までの下村作品とは違った印象を持ちました。

和製インディージョーンズみたいな話です。

今年度も終わりです。

いろいろな書類の点検や整理をしなければいけません。 (2018年3月)

454「アイスプラネット」(椎名誠 講談社


世界の辺境を旅しあらゆる面白本を読破したシーナさんが,中学生向けに書いた本です。
虫のこと
地球のこと
宇宙のこと
食べ物のこと
極寒のこと
厳暑のこと
などをおじさんが中学生に語るという形式で書かれています。
そう,これは「君たちはどう生きるか」と同じ形式なのです。
ジャンルは違いますが,地球のことについて面白く学べること請け合いです。
読後,地球や宇宙や虫などの見方が変わります。

因みに生物の足の数という話は面白かったです。
1本足
2本足
3本足




7本足の生物って知っていますか?

こんな本を書けるのは,シーナさんしかいません。(2018年3月)

455「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎 羽賀翔一 マガジンハウス)


ベストセラーです。

基本的にベストセラーは買わないのですが,図書室にありましたので借りて読みました。

初任者の頃,岩波文庫で読んだ「君たちはどう生きるか」ほどの感動はありませんでしたが,入門書としてはおすすめです。

生き方や物事について深く考えることの大切さを分かりやすく書かれています。

生徒に「君たちはどう生きるか」と熱く語る教師はほとんどいません。

しかし,生徒たちは,生き方について語ってくれる大人を求めているように感じます。

君たちはどう生きるか」ということはすなわち「自分がどう生きるか」ということなのです。

生徒に人生を語るためには,教師の人生観が豊かでないといけないのです。(2018年3月) 

456「地図のない場所で眠りたい」(角幡唯介高野秀行 講談社文庫)


転勤先は決まりましたが,所属学年や担当学年,主任,校務分掌,部活などが全くわからない宙ぶらりんな状態が続いています。

という訳で来年度に向けて作戦を立てようにも立てられないという状況です。

こんな時は,読書をするに限ります。

この本の作者は,冒険家というよりは探検家というほうがしっくりくる二人です。

椎名誠さんが言っていましたが,「冒険」は正しく「探検」は怪しい。

なるほど,なるほど。

「探検家」のイメージは,雪男やネッシーツチノコなど未確認生物(UMA)を探しにジャングルに行ったり,巨大蛇や大うなぎなどを捕獲する人のように思います。

何となくうさんくさい感じです。

しかし,探検家のほうが味があります。身近な存在のように感じます。

この本は,2人が今までの探検について対談した内容です。

笑いの中にも2人の芯の強さが感じられました。

この本で紹介されている本を2冊さっそく購入しました。 (2018年3月)

457「大家さんと僕」(矢部太郎 新潮社)


ちょっと話題になっていましたので,先々週,図書館で借りて読みました。
大きな感動や驚きはありませんでしたが,読後,ほっこりとしました。
この手の4コマ漫画は以前,読んだことがありそうな感じでした。
しかし,大家さんという言葉も死語になっていくだろうなあと思います。
大学時代には,頻繁に使っていた言葉です。
大家さんに家賃を払いに行くとか,大家さんに家賃を待ってもらうとかです。

同じような言葉で,間借りとか共同トイレ,共同キッチンや共益費なども死語になっていくのだと思います。

現在も,こんな優しくてちょっぴりお茶目な大家さんがいるんですね。

優しい心になれる1冊でした。(2018年4月)

458「仕事に磨きをかける教科書」(水谷もりひと ごま書房新社)


どのページを開いても,なるほど,そうか,ふーん,いいねえと言ってしまいます。

人に教えたいいい話が満載です。

道徳の授業を創れそうなエピソードもあります。

新学期で疲れていましたから,この本でリラックスできました。

新しい学校に,体と頭がまだまだ慣れません。

生徒も職員も多いので,少々時間がかかりそうです。(2018年4月) 

459「道徳読み」(広山隆行 さくら社)


道徳授業の新しい進め方について書かれた本です。

著者はサークルメンバーの広山先生です。

この方法を使えば,どんな教科書がきても大丈夫です。

もちろん,新聞記事や小説や漫画なども教材として使えます。

道徳的価値に気づかせる進め方ですから,軌道にのれば生徒は自分から日常生活で道徳を探すようになると思います。

中学生でも,実戦可能です。

是非,読んでみて下さい。 (2018年4月)

460「物語のある広告コピー」(パイインターナショナル)


久々に読破しました。
しばらく読みたくない日が続いていましたが,今日は部活もなく丸1日ゆっくりできましたので,1日で読破できました。
これをきっかけにして,ようやく読書の波が来そうです。

さて,この本には,有名なコピーがたくさん掲載されています。
それに加えて作者の思いが書いてあります。
道徳授業を作ろうと思い購入しましたが,気に入ったコピーライターが見つかったことが大きな収穫でした。
その人の本を早速2冊注文しました。
コピーライターという仕事は,言葉にこだわるものだと思います。
そのこだわった言葉の意味を考えさせる道徳授業を作れそうです。(2018年4月)

461「幸福を見つめるコピー」(岩崎俊一 東急エージェンシー


折に触れて読みたい本に出逢えました。
作者は有名なコピーライターである,岩崎俊一さんです。
岩崎さんの有名なコピーはたくさんあります。
例えば,
「やがて,いのちに変わるもの」(ミツカン
「年賀状は,贈り物だと思う」(日本郵便
「21世紀に間に合いました」(プリウス トヨタ自動車
などです。

私が好きなコピーは,見慣れている聞き慣れている言葉どうしを組み合わせて,ハッとしたり,えっと思ったりするものです。

大きな勘違いかもしれませんが,コピーをつくる作業は,道徳授業の発問づくりに似ていると思います。

私が発問をつくる時は,生徒が良く知っている言葉を使って,ハッとさせたり,えっと思わせたり,どうしてと考えさせたりしたいのです。

具体的に言えば,上の「やがて,いのちに変わるもの」で道徳授業を作ろうと思えば,つくれると思います。

凝縮された言葉の意味を考える過程で,生徒はいろいろなことを考えると思うのです。

最近,広告コピーの本を読みあさっていますが,一番しっくりきたのが,岩崎さんのコピーでした。
この本は,岩崎さんの有名なコピーが200近く収録されていますが,同時に心温まるエッセイも収録されているのです。
このエッセイが素晴らしい。
読後,幸せになれるのです。
これから歳を重ねるにつれて,おりに触れて読み返したいと思う大切な本の1つとなりました。
出逢えて本当によかったと思える1冊です。(2018年5月)

462「空母 いぶき1」(かわぐちかいじ ビックコミックス)


かわぐち作品は,「沈黙の艦隊」を読んだことがあります。
小学館漫画賞を受賞したということで,久々,かわぐち作品を全巻購入し読んでみました。

日本と中国が戦闘状態になれば,どうなるかを描いた漫画です。
尖閣諸島沖で,海上自衛隊と中国軍が衝突します。
このことを予期していた日本政府は,最新鋭の戦闘機を搭載した空母いぶきを就役させ,新艦隊を組織します。
その後,中国軍に占領された与那国島を解放させるために,いぶきは先島諸島へ急ぎます。


とにかく次の展開が知りたくて,ページをどんどんめくります。
次巻はどうなるか,読み始めたら止まらなくなります。(2018年5月)

463「空母 いぶき 2〜4」(かわぐちかいじ ビックコミックス)


緊迫感あふれる展開で一気に引き込まれます。

国を守るということは,何なのかを考えさせられます。

もし,万が一,仮に

いろいろな仮定法が頭をよぎりますが,その仮定が現実になったとき日本はどうなるのでしょうか。

空転する国会のニュースを見ながら,もしもの時に本当に大丈夫なのかと考えてしまいます。 (2018年5月)

464「全員参加の授業作法」(野口芳宏 学陽書房


久々に野口先生の新刊を読みました。
前編,野口節が炸裂しています。
さすが「本音・実感・我がハート」を信条にされている野口先生です。
本音でズバッと一刀両断してある部分を読むとスカッとします。
例えば,この部分です。


〈引用はじまり〉
思考とは,持っている知識を組み合わせて行う作業です。知識のパーツが少なければ,それらを使って組み立てる思考の構造物も小さくなります。知識が少なく,語彙力の乏しい子どもがいかに考えても,その内容は高が知れています。自由に語る,議論することは大切ですが,子どもたちがそれらの能力を十分に発揮できるようになるために,義務教育では,まず知識を多く習得させなくてはなりません。
〈引用終わり〉

全くの同感です。
表現力や思考力を重視して,知識を軽く扱う風潮があります。
社会科の評価観点も知識が最後になっています。

①関心・意欲・態度
②社会的思考・判断・表現
③資料活用・技能
④知識・理解

教育の不易と流行。
不易の部分を大切にしていきたいです。(2018年5月)

465「大人の迷子たち」(岩崎俊一 廣済堂出版


コピーライターの岩崎さんが書いた49話の珠玉のエッセイ集です。
短いコピーに添えられたエッセイがとても懐かしく心を揺さぶります。

その中で一番,心に刺さったのは,

「本当のことは,全部つながっている」です。


真理というは,分野が違っても,つながっているのかもしれません。

もっと言えば,大切な事は全部つながっているのかもしれません。

それが教育であれ,会社の経営であれ,スポーツであれ,恋愛であれ

根本のところでつながっているのかもしれません。


これは若い時には,気がつきにくいものです。
年齢を重ねてはじめていきつく悟りのようなものではないでしょうか。(2018年5月)

466「不明解日本語辞典」(高橋秀実 新潮文庫


高橋さんのノンフィクションは,身近なことをユニークな視点で書いています。

冒険をするわけでもなく,戦争物を書くわけでもなく,社会派ニュースを取りあげるわけでもありません。

しかし,面白いのです。

例えば,「弱くても勝てます」「からくり民主主義」「素晴らしきラジオ体操」などです。

今回は,身近な日本語に迫るノンフィクションです。

身近と言っても「あ」「ちょっと」「スッキリ」など本当によく使う日本語について,深く調べています。

もうちょっと身近な例えがあれば,もっと面白かったですね。 (2018年5月)

467「超常現象 科学者たちの挑戦」(NHKスペシャル取材班 新潮文庫


子供の頃から,超常現象が好きでした。
マンガでは,つのだじろうさんの「恐怖新聞」や「うしろの百太郎」などを読み,テレビ番組では,矢追純一さんのUFOもの,新倉イワオさんの幽霊ものなどの「あなたの知らない世界」,「特命リサーチ200X」など好んで見ていました。
同時に,超常現象が科学で証明できるかどうかということもとても興味があり,これに関する本も読みあさっています。
臨死体験」(立花隆 文春文庫)
「宇宙からの帰還」(立花隆 文春文庫)
「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」(松尾貴史 PHP新書)
疑似科学入門」(池内了 岩波新書
「もうダマされないための「科学」講義」(菊池誠 松永和紀 光文社新書)などです。

その流れでこの本を買いました。
注目すべきはNHKが取材したということです。
幽霊,テレパシー,透視,臨死体験,生まれ変わりについて,世界各国を巡り,実験を繰り返し,その実態を暴き出そうとしたものです。

科学的に証明できるためには,何回も同じ結果になることが重要です。
つまり常に同じ結果にならなければなりません。
例えば,透視実験を繰り返していくと,偶然とは言いがたい結果がでる場合があるのです。
同じ結果を得られないのです。
これでは,科学的な証明は難しいのです。

こういった事例が,過去,現在も世界にはたくさんあるのです。
科学では証明できないこともあるのですが,これがすなわち幽霊,UFOとか言ってしまうことが問題であり,これでお金を稼ぐヤツがいるからたちが悪いのです。

騙されないためにも,科学的な視点を持っておくことも必要です。(2018年6月

468「考え、議論する道徳に変える指導の鉄則50」(加藤宣行 明治図書


道徳科に向けて基本的なことを学びたい教師への1冊です。

Q&Aが分かりやすいです。

私も学び直しました。(2018年6月) 

469「超常現象を本気で科学する」(石川幹人 新潮新書


例えば,幽霊は存在するのかということを科学的に証明するのではなく,幽霊は役に立つのかという視点で調べていくスタンスです。

このようなスタンスをとることで,水掛け論はなくなると思います。

無駄な論争を繰り返すのではなく,お互いが真剣に根拠を示しながら議論できれば,違った結論がでるかもしれません。

今まで読んだ超常現象と科学との戦いを期待していましたから,少し拍子抜けしました。

しかし,こういう視点ならば賛成論者も反対論者も深い議論ができると思いました。

まあ,役に立つのならば幽霊もいていいと思います。逆に,幽霊を使って詐欺まがいの行為やお金儲けをしている輩は絶対に許してはいけません。 (2018年6月)

470「教師のチカラ34号」(日本標準)


本号の特集は,「脱 ざんねんな授業」です。
日常的に,いい授業をしているか,残念な授業をしているかを自覚している教師はどれぐらいいるのでしょうか。
たまに研究授業をするとその後に授業研究を行います。
その場で,適切な指摘や代案などを示してもらえば,いいか残念か分かるのですが,なかなかそうはいかないようです。
また,そのような場で批判的な意見を言うことをためらう教師が多いので,いい授業か残念な授業かの基準がないのです。


そのことを鈴木健二先生は次のように書いています。

〈引用はじまり〉
「ざんねんな授業」とは,簡単に言えば,つまらない授業のことです。つまらない授業では子どもの学ぶ意欲が換気されません。ですから,学力を含め,授業で育てるべき力が伸びていきません。しかし,自分の授業が「ざんねんな授業」であることに気づいていない教師が圧倒的多数です。気づいていたとしても,どうしたら抜け出すことができるかわからず,もがいている教師も多いことでしょう。
〈引用終わり〉


もがくならまだ希望があります。
もがくことすらせずに,これでいいと惰性授業をやっている教師も圧倒的に多いと思うのです。(2018年6月)


471「黙過」(下村敦史 徳間書店


期末テスト前で,部活動が休みになっています。

中学校教師にとって,自分の時間が持てる貴重な休みです。

ということで,何をしようか考えていましたが,持病の腰痛が出てしまい土日とも自宅でゆっくりとしていました。

長時間座ったり,長時間寝ていると腰が痛くなりますから,適度に起き上がりテストを作ったり,通信を書いたり,家事をしたりしていました。

この2日間は基本読書で終わりそうです。

下村敦史さんの本は,すべて読みましたが,今回の本は見事な構成で驚きました。

最初は短編集かなと思って読みすすめたところ,最後には驚きの結末が待っています。

「闇に香る嘘」「生還者」と並ぶ傑作だと思います。 (2018年7月)

472「微生物ハンター,深海を行く」(高井研 イーストプレス


昨日の大雨も一段落して,今日は曇りで時々晴れ間も見えました。

近くの川の水位もだいぶ落ち着きました。

しかし,また台風が近づいていますので油断はできません。

昨晩は,夜中に何度か目が覚めてしまい,そのたびにちょこちょこ読書をしました。

椎名誠さんが,本で書いていましたが

「人類は,宇宙の果ては見ることができるかもしれないが,一番深い深海は見ることができない。なぜならば,水圧によって潜水艦やカメラなどはすべて潰されてしまうから。」

なるほどです。

日本のしんかい6500をはじめ,地球の最深部に潜れる潜水艦は世界に7隻しかないそうです。

アルビン(米) / ノチール(仏) / ミールI&II(露) / しんかい6500(日) / コンスル(露) / 蛟竜号(中)

です。

潜水艦が大好きですが,逃げ出せない恐怖がありますから,乗りたくはありません。

この本にも,潜水艦で深海に潜る様子が出てきますが,恐怖感はまったくありません。

なぜならば,この本の作者がユーモアたっぷりに書いているからです。

そのせいか,世界的にもスゴイことを研究しているにも関わらず,その凄さがあまり伝わってきませんでした。

しかし,しんかい6500はすごいです。

JAMSTEC海洋研究開発機構)のHPはこちらです。

こちらからしんかい6500の魅力が分かります。

http://www.jamstec.go.jp/shinkai6500/system/ 

(2018年7月)

473「交換殺人はいかが?」(深木章子 光文社)


元警察官のおじいちゃんが扱った殺人事件をミステリー好きの孫に語って聞かせます。

そしてこの孫が再び,事件の真相を解明するこという変わった推理小説です。

6つの短編が収録されていますが,内容は,密室・幽霊・ダイイングメッセージ・双子・見立てなど推理小説の王道です。

トリック自体は,ちょっと無理があるものもありますが,気軽に読める1冊です。

夏休みは,ミステリーを読もうと思っています。 (2018年7月)

474「葉桜の季節に君を想うということ」(歌野晶午 文藝春秋


初めて読んだ作者さんです。

時代が違う,場面が違う複数の話が進んでいきます。

途中,おやっと思い前のページに行ったり来たりします。

何となく違和感がありながらも読みすすめていくと,最後で一気に作者のトリックに騙されたことがわかります。

本格的な推理小説でもあり,探偵ものでもあり,やはりこれは恋愛小説といったほうがいいのかもしません。

タイトルがいいですね。

最後の台詞もかっこいいです。 (2018年7月)

475「一緒に冒険をする」(西村佳哲 弘文堂)


久々に素晴らしい本に出会いました。
たまたま読んだ週刊誌に紹介されていましたので,購入し読んでみました。
タイトルは冒険もののように見えますが全く違います。
人間,自然,生きる,障害,つながりなどを大切にしている9名の講演会記録です。
経験からにじみ出る言葉がとても魅力的です。
平易な言葉こそが,人の心を打つのだと思います。
読後,心が柔らかく優しくなれます。
軽井沢風越学園の創始者である本城慎之介さんの言葉

「自己肯定感を持てない子どもが増えていると言われているけど,それを持つためには,失敗しても,助けてくれたり慕ってくれる仲間がいると思えることがとても大事」

仲間の大切さを生徒に言い続けている私の考えに重なる言葉でした。(2018年7月)

476「ノミのジャンプと銀河系」(椎名誠 新潮選書)


大学生の頃からずっとシーナ作品を読んできましたが,好きなジャンルのベスト5は

第1位 辺境探検もの
第2位 おもしろ本紹介
第3位 SF,サイエンスもの
第4位 馬鹿・面白話
第5位 私小説

です。

今回の本は,第3位のSF・サイエンスものです。
シーナの本を読むと,普通の本では決して書いていないような,面白ネタが満載です。
例えば,シロナガスクジラの糞の長さとか,ノミのジャンプする高さとか,宇宙エレベーターとか,地球上で一番暑い場所と寒い場所とかについてです。
こんな話は,授業ですぐに使えます。
今日も,三択クイズをしました。
くだらないネタですが,生徒には受けます。(2018年7月)

477「教師のチカラ30号」(日本標準)


今回の特集は,「国語力を育てる」でした。

国語の授業がどうして重要なのかについて,深澤久先生が鋭いことを書いていました。

深澤先生から,根本を考えることの大切さを教えていただいたので,この論文も納得しました。

野口芳宏先生が「国語は筆頭教科であることを忘れてはいけない」と言われていたことを思い出しました。

社会科の授業でも,国語力を育てるという意識を持てば,様々な実践ができます。

そういったことを今回の特集で学んだことです。

この雑誌の創刊号に原稿を書かせていただいたことを思い出しました。

あれから7年が経ちました。

教育雑誌がどんどん休刊していっていますが,この雑誌は,続いて欲しいと思っています。(2018年7月) 

478「道徳授業をおもしろくする! 子どもの心に響く授業づくりの極意」(鈴木健二 教育出版)


鈴木先生から,道徳授業づくりについて多くの学んでいます。

例えば,素材集めのコツや加工方法などです。

特に,鈴木先生が提唱されている「思考を刺激する発問づくり」について一番学びたいと思っています。

この本には,今まで多くのセミナーや書籍や酒席で学んだことがしっかりとまとめられていまます。

道徳の教科化が完全に実施されようとしている今だからこそ,道徳授業についての基礎をしっかりと学んでおく必要があるのです。

それをしないで,教科書を使った授業をすれば,副読本授業と変わらない道徳授業で終わる可能性があるのです。 

(2018年7月)

479「湖底のまつり」(泡坂妻夫 創元推理文庫


久々に本格的な推理小説を読みたくなって,ネット上の評価が高かったこの本を買って読んでみました。

トリックは,少々無理があるように感じましたが,推理小説というよりは純文学と言ってもいいぐらいです。

しばらく推理小説を読もうと思います。夏ですからね。 (2018年7月)


今日は,朝から部活の練習試合でした。

暑い暑い体育館の中で,4校で頑張りました。

帰宅後,ラストだけ読み残していたこの本を読破しました。

内容は,アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」へのオマージュ的になものです。

孤島に集まった7人の大学生が次々と殺されていきます。

そして,全員がいなくなります。さて,犯人は誰なのか,動機は何なのか,謎が深まります。

そして,驚きのラスト。

とても読みやすい文章で,一気に読破できました。

中学生から高校生の頃,推理小説にはまっていました。

日本では,江戸川乱歩横溝正史高木彬光森村誠一,海外では,アガサ・クリスティ,コナンドイルの作品を読みあさりました。

久々に,推理小説を読むと,あの頃を思い出します。

ちなみに私が一番好きな推理小説は,横溝正史の「獄門島」です。

この本は,「獄門島」をこえるととはできませんでした。

次は,どの推理小説を読むかネットで検索します。 (2018年7月)

481「黒いトランク」(鮎川哲也 東京創元社


よく練られたトリックに驚きました。

東京汐留でトランクに詰められた死体が発見された。

いったい殺人の場所はどこなのか。

鉄壁なアリバイをどうやって崩すか。

2つのトランクをどこでどうやって入れ替えたのか

死体移動トリックと時刻表トリックなどの本格推理小説です。(2018年7月)

482「星降り山荘の殺人」(倉知淳 講談社文庫)


今日は,朝から部活の公式戦でした。
猛暑による熱中症対策として,窓を開放しての試合となりました。
もし,窓を閉めてカーテンを閉めて試合を行っていたら,具合が悪くなる人が続出したと思います。
さすがに昼食は車に逃げ込んでエアコンの中で食べました。

多くの熱中患者や死者も出ているにも関わらず,部活動はいつものとおり実施されています。
死者を出した場合,誰が責任をとるのでしょうか。
裁判になった時には,部活動顧問の責任は問われないのでしょうか。
このようなグレーな部分を残したまま,部活動は続けられるのです。


さて,この本はタイトルからも分かるとおり推理小説です。
ユニークなところは,章のはじめに読む上での注意事項が書いてあります。
フェアな推理小説を目指そうとした作者の意図はよく分かりますが,それが書いてあることで,驚きは半減したと思います。
また,登場人物が意外と少ないため,ある程度犯人が絞られてしまいます。
ミステリーの夏はまだまだ続きます。(2018年8月)

483「道徳の授業がもっとうまくなる50の技法」(佐藤幸司 明治図書


11月に行われる全国道徳教育研究大会に向けて大会冊子の原稿を書いています。
その参考にしようと思い,購入し読破しました。
佐藤先生は,私が所属している全国サークル「道徳のチカラ」代表です。
道徳授業について基礎基本がとてもわかりやすく書かれています。
刺激的な言葉もありました。
・30秒間の静寂を楽しむ
・「基本型」を熟知する
・気持ちを直接問わず,行為の理由を問う
・ファンタジーを壊さずに人物に共感させる
・定番を崩す
・「価値葛藤」に惑わされない

温かい道徳授業づくりの佐藤先生らしい,穏やかな文章が読んでいて心地よかったです。

教科書教材の短所の部分を原稿書きの参考にしました。(2018年8月)

484「空母いぶき10」(いわぐちかいじ 小学館


いよいよ中国軍が,空母いぶきに攻撃を開始しました。

国を守るということは,どういうことなのか。

武器を持たずに国を守れるのか。

領空や領海,領土を侵犯する外国に対して,平和的に解決できるのか。

さまざまなことがリアルで起きそうな国際情勢です。

このマンガをきっかけにして,自衛隊の編成や装備について調べています。

特に佐世保は第2護衛隊群のイージス艦が配備されていますので,自分の目で見られます。

現在,4月に進水した「まや」を含めて7隻のイージス艦が日本を守っていますが,果たして十分な防衛ができるのでしょうか。

もっと日本の防衛について学ぶ必要があると感じています。(2018年8月)

485「野口ゼミへようこそ」(野口芳宏 登龍館) 


野口先生との出会いが教師人生を大きく変えたと思っています。ですから,野口先生を師と仰ぎ,教師修業を積んでいます。
さて,この本は野口先生が幼児教育の大切さについて書かれたものです。

〈引用はじまり〉
「幼児期の子供は一般に素直で純真,無邪気で汚れない心を持っている。人生の中で,それは、最も去行くがしやすく,大きな効果を生むかけがえのない教育最適期である。この時期に,基本的な生活習慣や心の持ち方を正しく,望ましく形成しておいたならば,その子の長い人生は必ずや幸せに彩られることだろう。「三つ子の魂百まで」の諺が示す意味の重さを改めて考えさせられる。反面,この大切な時期の教育を軽んずると,その後で必ずやってくる「再教育の困難性」に遭遇して悔いを深めることになろう」
〈引用終わり〉

まさにその通りです。
すべてが家庭教育の責任とは言いませんが,幼児期における親の教育というのは人生を変えるかもしれないということを肝に銘じておく必要があるかもしれません。
徳川家康の「むごい教育」にならないようにしなければいけません。

(2018年8月)

486「ハサミ男」(殊能将之 講談社文庫)


昨日から,学校閉庁日ということで休みに入っています。

早朝の散歩は休みの日のルーティーンワークです。

休みと言っても家のチマチマした雑務をこなしている日々です。

蜂の退治やら網戸の修理やら駐車場の掃除などです。

その合間にクーラーがきいた部屋で珈琲を飲みながら読書をしています。

さて,この本のトリックに見事にはめられました。

2度読みしなければいけないと思わせる構成です。

なかなか楽しめたミステリーです。(2018年8月) 

487「人物に学ぶ道徳授業」(野口芳宏 モラロジー研究所


野口先生が提案されている偉人道徳の実践編です。
①軍人
②武将
③皇室

この3つを教えることは戦争がどうしても絡んでくるので,消えたのです。
しかし,日本人として知っておくべき教養という意味でも,実に興味深い本でした。
日本の歴史を教えるためには,天皇について教えることは避けられません。
平和を教えるためには,戦争について教えることは避けられません。
権利を教えるためには,義務を教えることは避けられません。
何事もバランスが大切なのです。
教師は,このバランス感覚を身に付けておく必要があると考えます。
特に昭和天皇マッカーサー元帥との会見の話は,感動しました。

〈引用はじまり〉
天皇陛下は,「この度の戦争の責任はすべて私にある。文武百官は私の任命するところだから彼らには責任はない。私の一身はどうなろうと構わない。私はあなたにお委せする」と述べられた。この言葉に元帥は驚愕する。『マッカーサー回想記』の中で元帥は「私は大きい感動にゆすぶられた。死を伴うほどの責任,それも私の知り尽くしている諸事実に照らして,明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き受けようとするこのこの勇気に満ちた態度に、私の骨の髄までもゆり動かされた。
続けて天皇陛下は,「この上はどうか国民が生活に困らぬよう連合国の援助をお願いしたい。このままでは罪のない国民に多数の餓死者が出る恐れがある。ここに皇室財産の有価証券類をまとめて持参したので,その費用の一部に充てて戴ければ幸せである」と言われて大きな風呂敷包みを差し出された。元帥はゆっくり立ち上がり,陛下の手を握り,「私は初めて神の如き帝王を見た」と述べたと記録にある。

〈引用終わり〉


もし,昭和天皇があの話をしなければ日本は悲惨なことになっていたかもしれません。

内容は,以下の通りです。


一、道徳教育の根本的な考え方

二、『新編小学修身用書』の著者 ―― 廣池千九郎

三、自国への誇りと愛と忠誠 ―― 「軍人」をどう伝えるか

四、バルチック艦隊を撃滅した東郷平八郎

五、難攻不落の要塞を破った乃木希典

六、明治維新のリーダー ―― 西郷隆盛

七、救国の大御心 ―― 昭和天皇

八、人物教材の価値と活用 ―― 発問のない授業・「語り」(2018年8月)


488「考え,議論する道徳をつくる 新しい道徳授業の基礎・基本 必ず成功するQ&A 47 」(鈴木健二 日本標準)


来年度の教科化に向けて,この「考え,議論する道徳」という文言が入っている書籍が数多く出版されています。
そして,同じように「必ず成功する」という文言が入っている書籍も数多く出版されています。もちろん,こちらはダイエット本が多いのですが。
さて,内容は鈴木先生らしいとてもわかりやすい内容になっています。
一番参考になったのは,鈴木先生のネタ帳の画像が掲載されていることです。
これはまねしたいと思います。
初任者からベテランまで役に立つ内容ばかりです。
最後にこの文章を引用しておきます。


〈引用はじまり〉
ここに書いてあるのは,正解ではないということです。あくまでも私の考えです。大切なことは,自分なりの解答を見つけ出すためのヒントとしてとらえるということなのです。
〈引用終わり〉

必ず成功するわけではありません。目の前の生徒の実態も違います。教師の感性も違います。
しかし,学ぶべきことがたくさん書かれていることには変わりありません。(2018年8月)


489「授業づくりネットワーク№28 実践!道徳授業」(学事出版)


11月に神戸で開催される全日本中学校道徳教育研究大会兵庫大会の第4分科会で提案をします。
与えられたテーマは「道徳科における多様な指導法」です。
現在,その大会冊子の原稿を書いているため,道徳関係の本を読みあさっています。
この本もその目的で購入しましたが,巻頭対談「全実施目前,道徳の本質を問う」の部分は正直よくわかりませんでした。
しかし,実践的な内容も豊富で,著者も佐藤幸司先生,堀川真理先生,赤坂真二先生,金大竜先生などの名前が並んでいました。
道徳授業には多様なやりかたがあることが改めて分かりました。
しかし,理論的には素晴らしくても実践してみると上手くいかない場合が多いのです。
教師自身が未熟だからでしょうか?理論と実践がうまく結びつかないからでしょうか?
1つの理論に基づいて実践すれば絶対にうまくいくという方法はないと思います。
ですから,いろいろな理論を学び,様々な指導法を学び,多くの指導技術を身に付けようとがんばっているのです。
最後に金先生の文章を紹介しておきます。


〈引用はじまり〉
「大切なことはわかる。わかっているけれどできないことがあるんだ。僕たちがあたり前と思っていたことは本当に当たり前なのだろうか」ということを感じ,考えられるような授業にしたいのです。」
〈引用終わり〉

原稿の締め切りが迫っています。もう一息です。がんばります。(2018年8月)

490「サードマン: 奇跡の生還へ導く人」(ジョン・ガイガー 新潮社)


「サードマン現象」を知っていますか?
山岳遭難,漂流,同時多発テロ,極地など死に直面した極限状態になった時に,不思議な人物が現れて,導いてくれるのです。
幽霊,天使,幻覚,錯覚など様々なことが考えられますが,この本では,数多くのサードマン現象を紹介して,心理学,脳科学,自然環境などの視点で解明しようとした人びとを取りあげています。
例えば,アメリカでの同時多発テロの時,崩れかけたビルで逃げ惑う男の証言です。

〈引用はじまり〉
それは,「さあ,おまえにはできるはずだ。」と言っていた。しかも,声だけではなかった。確かな存在としてはっきり感じられたのだ。「誰かに助け起こされた」ような感覚があった。そして導かれているように感じた。「階段のところへ連れていかれた。手をつかまれたわけではなかったと思うが,連れて行かれたのは確かだ」
〈引用終わり〉

オカルト的に言えば,そういった声を聞いたり,見たりすれば恐怖心が起こりそうですが,サードマン現象は違います。
体験した人は皆,安心できる声,落ち着く存在だったと言っています。

これを単なる,オカルト現象として捉えるのは,早計です。
私たちの想像を超えるようなことが脳内で起こっているのかもしれません。(2018年8月)

491「奇跡の歌:戦争と望郷とペギー葉山」(門田隆将 小学館


まだ幼い頃の話です。

酔った父は,レコードをかけて一緒に歌い,それを子供たちに聞かせるという酒癖がありました。

当時父は,40代だったと思います。

例えば,美空ひばりさんの「悲しい酒」,森繁久彌さんの「知床旅情」,藤圭子さんの「夢は夜開く」などでほとんどが演歌だったと思います。

その中の1つにペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」がありました。

無理矢理聞かされていたのですが,何となく覚えていまっています。

この「南国土佐を後にして」がどうして生まれたのか,どうしてヒット曲になったのか,日中戦争という悲しい出来事を通して描いています。

いつも思いますが,門田さんのノンフィクションのネタ探しはとても興味深いです。

これからも門田さんのノンフィクションを読んでいきたいと思います。(2018年8月) 


2007年のM1グランプリで敗者復活戦から見事に優勝を果たした漫才師,サンドウィッチマンの自伝青春記録本です。
お互いの才能を知り,それを信じ抜いた結果の優勝だったと思います。
この本を読むと,鉄板ネタである「ピザのデリバリー」を見たくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=mtFLT2SP3rQ
最後に富澤たけしさんの言葉を引用します。

〈引用はじまり〉
「気持ちのない奴に,人生は変えられないんだ」
〈引用終わり〉

(2018年8月)

493「教師にも瞬発力・対応力が必要です 」(田中博史 東洋館出版)


タイトル通り,教師には瞬発力や対応力が必要です。

例えば,授業中に生徒からイレギュラーの意見が出たときに,どう切り返すかということです。

生徒と会話をしていて,生徒の表情が急に変わった時にどう対応するかということです。

指導案通り流れなくなった時にどうするかということです。

言い換えれば,アドリブ力と言ってもいいでしょう。

内容的には,お笑い芸人との対談集が主で,重要な瞬発力や対応力については具体例が少ない感じがしました。ちょっと物足りないといった感じでした。 (2018年8月)

494「鯨分限」(伊藤潤 光文社)


分限とは「ぶげん」と読みます。

意味は,富豪という意味です。

つまり,「鯨分限」とは鯨を捕って大金持ちになる人のことです。

主人公は,和歌山の鯨とりの棟梁である太地覚悟です。

江戸時代から明治の初め日本が大きく変わる時に生きた男の波瀾万丈の人生が描かれています。

なかなか力が入った快作です。

覚悟という男は潔さと決断の早さが魅力です。

物語がスピーディーに進んでいくので読みやすいですが,もう少し丁寧に描いたほうがよかった場面もありました。

しかし,激動の時代に生きた男気溢れる物語です。(2018年9月) 

495「教師のための法律講座 2018」(小学館


この小冊子は,「小六教育技術9月号」の特別付録です。
小冊子ながら,教師が遭遇するであろう30の出来事に関する法律が紹介されています。
例えば,こんな出来事です。
①子供の作品や子供が写っている写真を学級通信に掲載すると・・・
②金髪の子供の指導をどうするか・・・・
③忘れ物への対処・・・
④宗教色が感じられる行事に参加させるとき・・・
⑤教師の守秘義務・・・
などなど。

それぞれ,どんな法律がありどんな罪になる可能性があるか,とても分かりやすく書かれています。(2018年9月)

496 誰が「道徳」を殺すのか 徹底検証「特別の教科 道徳」(森口朗 新潮新書


主な内容は以下の通りです。

①GHQから道徳科までの歴史
②道徳の内容項目と教育勅語の比較
③道徳といじめ
④世界の道徳教育
⑤道徳でこれを教えるべきだ

タイトル通り少々過激な内容もありますが,日本の道徳教育についての概要を知りたい人は参考になると思います。

(2018年9月)

497「旅先のオバケ」(椎名誠 集英社


久々にシーナさんの本を読みました。
大学生の頃からずっと読んできましたが,久々読むと実に面白いです。
今回は,世界の辺境を旅してきたシーナさんだからこそ書けた内容です。
例えば,
ロシアの古いホテルでのポルターがイスト現象
スコットランドの古城での怪現象
日本の小さな無人島での道に迷った話
アウシュビッツの近くでのホテルでの不思議な体験などです。

シーナさんの旅ものは,社会科の授業でよく使わせてもらっています。 
旅のガイドブックや観光地の公式HPには掲載されていない,本当のことが書かれています。
例えば,ロシアのホテルの食事のまずさ,水のまずさ,風呂の汚さ
モンゴルのゲルでの生活体験,
北極圏でのトイレ中に,2000匹の蚊に襲われたこと
パリの街中の危険な場所
ツリーハウスや水上生活の体験など

社会科教師にとって,椎名誠さんの旅エッセイは教材研究には不可欠な本です。

(2018年10月)

498「教師のチカラ 季刊35号」(日本標準)


今回の特集は,できない子をできるように!音楽・図工・体育の実技指導でした。
社会科と違う技能教科の特集なので,参考にならないかもしれないと思いながら読み始めましたが,とんでもなかったです。
例えば音楽の指導方法は,現在,真っ最中の合唱コンクールの練習に役立ちます。
また,図工の指導方法は,スケッチ大会の時のアドバイスの時に役立ちます。
特に,鈴木健二先生の巻頭言は,参考になりました。

少しだけ引用します。

〈引用はじまり〉
授業づくりの基礎・基本を4つ挙げました。
①変化のある繰り返し
②集中力を持続させる工夫
③どの子どもも技能を身につけることができるスモールステップの工夫
④効果的な視覚支援
〈引用終わり〉


社会科の授業づくりも大いに役立つ基礎・基本だと思います。

また,編集後記の深澤久先生の言葉が刺激的でした。
〈引用はじまり〉
(道徳の教科化について)要録や通知表に何を書くかーこんなことはどうでもいい。教師の仕事は「エセ評価」を書くことではない。日々の生活の中で・正しい事を・自ら実践できる力(感性+実行力)を育てるために学校で何ができるかーここをこそ考えるべきだ。
〈引用終わり〉

深澤先生の文を読むと自分のまだまだ甘いことを痛感させられます。

(2018年10月)

499「死に山」(ドニー・アイカー 安原和見 河出書房新社


1959年,ソ連ウラル山脈で実際に起こった不可解な遭難事故。

9名のトレッカーたちは,テントから1㎞半離れた場所で,変死体として発見されました。

①衣服を身についていない

②靴を履いていない

③頭蓋骨が陥没している

④舌がなくなっている

⑤テントが切り裂かれている

⑥衣服から放射線が検出された

この怪現象の謎を解くために様々な説があがっています。

1 原住民による襲撃

2 雪崩

3 強風

4 武装集団による襲撃

5 兵器実験の被害

6 政府の機密実験

7 エイリアン

しかし,作者は関係者へのインタビューや現地取材を重ねて新たな結論に行き着きました。

なかなか面白い内容でしたが,結論としてはちょっと弱いかなと思います。

一旦読み出すとぐいぐいと引き込まれる内容です。しかも,多数の写真も掲載されていますので,読んでいる自分も推理している気持ちになります。(2018年11月)

500「紺碧の果てを見よ」(須賀しのぶ 新潮文庫


太平洋戦争を背景に,父に反発して海軍に入った主人公,鷹志と戦争に反発して自由な生き方を選んだ妹の雪子の運命を描いた歴史小説です。

仲間との友情と別れ,兄妹の絆を悲哀を込めて描いています。

敗戦後,鷹志が部下に語った内容が感動的でした。

〈引用始まり〉

「敗北せねば見えぬこともある。敗北したことで見えなくなるものもある。誰もは,一度は勝ち,一度は負ける。真に人として問われるのは,負けた後のことだ。諸君,悲憤はこらえよ,復讐は捨てよ,だが誇りは捨ててくれるな」

「我らは,敗北を糧に立ち上がる防人である。いかなる時代にあっても,諸君よ,紺碧の果てを見よ」

須賀しのぶさんの本をこれからも読み続けようと思います。(2018年10月)

501「風雲児たち 幕末編31巻」(みなもと太郎 リイド社

新刊が出るのを毎回楽しみにしていますが,この漫画は年に2冊ほどしか出ません。

ということで,新刊を読みながら,過去の巻を読み直すこともたびたびあります。

安政の大獄大赦,参勤交代の廃止などいよいよ徳川幕府の終焉が見えてきました。

(2018年11月)

502「みらいの教育」(内田良・苫野一徳 武久出版)


この本の副題が,「学校現場をブラックからワクワクへ変える」とあります。

教育社会学者の内田さんと教育哲学者の苫野さんの対談集です。

学校現場で悲鳴を上げている教師たちを救うためには,何が必要なのか,何を大切にすべきかを分かりやすく話しています。

特に印象に残ったのは,以下の部分です。


〈引用始まり〉

苫野「社会や教育を変えるためには,「不安」ベースと「ワクワク」ベースの大きく二つがあると思っています。(中略)これから,公教育の構造転換が確実に起こります。これもまた,「ワクワク感」がなければ決してうまくいきません。やらされ感や負担感ばかりを募る改革は,結局挫折していまうだろうと思います。」

「人格の感性に向けた教育とは,どこに存在するんかよくわからない,人間の崇高な理想像に向けて子供たちを教育する「特殊」なものではなく,〈自由の相互承認〉の感度を土台に、自ら〈自由〉に生きられる,〈自由〉な市民へと育むことにほかならない。」

内田「教育の特殊性を語る時,他業種とは別だと壁を作り,教育界に中でのみ対立をしてきたのではないでしょうか。その壁を取り払い,市民社会のルールを適用すべきです。」

「学校を論じたいならば,学校から離脱せよ。これが,苦悩の声を拾い上げていくために,今後の臨床教育学がとるべき一つの指針である。」

〈引用終わり〉


教育哲学と聞けば,いくら読んでもちんぷんかんぷんというイメージを持っていましたが,苫野さんの論はとても分かりやすく,面白かったです。

特に,歴史の中で,〈自由の相互承認〉という考えが生まれたことに納得しました。

これを苫野さんは,自分が自由になりたければ,自分は自由だと主張するのではなく,相手にちからづくで人に認めさせるのではなく,お互いがお互いに,相手が自由な存在であることを認め合うほかないと言っています。(2018年11月)

503「アクセシブルデザインの発想」(星川安之 岩波ブックレット


読売新聞の記事で「共用品」という言葉に出会い,いろいろと調べてたくなり購入しました。

例えば,シャンプーの横にある「ギザギザ」

ノンステップバス

「オンスイッチについている凸」などです。

健常者も障がい者も使えることができるデザインについて,もっと調べたいと思います。

江戸時代,柏餅の中にある粒あんこしあんを区別するために,葉っぱの裏と表を使い分けていたそうです。

これも立派な「アクセシブルデザイン」だと思います。 

(2018年11月)

504「共用品という思想」(後藤芳一・星川安之 岩波書店


社会科では,バリアフリーユニバーサルデザインノーマライゼーションなど似たような言葉が教科書に出てきます。

それぞれの違いを勉強するためにこの本を買いました。

知らないことが多く,目から鱗でした。

「共用品」をネタに道徳授業づくりを始めました。

さらに調べる必要がありますが,大切なことですから是非授業化したいと思います。

(2018年11月)

505「日本が売られる」(堤未果 幻冬舎新書


話題になっているので購入して読みました。

以前「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読んで衝撃を受けました。

その流れもあってのこの本です。

ニュースで,北海道の天然水が外国に狙われていて,財政難の地方自治体が山や土地を外国に売却しはじめてて,そこに湧き出る天然水も売却していることは知っていました。

この他には,種・ミツバチ・牛乳・日本の仕事などが外国に売られていることが,この本に書かれていてまた驚きです。

大丈夫か日本。(2018年12月)

506「ホケツ!」(小野寺史宣 祥伝社文庫

久々の読破です。

以前もこのブログで書きましたが,私の読書熱は大きな波があります。

読むときは1日で読破することもありますが,読まないときは1ヶ月ぐらい読みたくないときがあります。

冬休みに入り,ようやく時間的余裕が生まれましたので,今日1日かけて読破しました。

全く知らない作家さんでしたが,とてもよくできた青春小説でした。

サッカー部に所属している高校生の大地は,一度も試合に出たことがないホケツです。

タイトルからだけ考えると,サッカー中心のスポーツ小説のように思えます。

しかし,レギュラーの仲間たち,主人公を預かり一緒に暮らす伯母,友人,彼女?,離婚した父親など1つ1つを丁寧に描いています。

かっこつけないかっこよさいいですね。

そして,ラストシーンでは感動が待っています。

是非,中学生に読んでもらいたい1冊です。

きっと前向きに生きたくなるはずです。

この作家さんの小説をまた読もうと思います。

追伸 このペースでは100冊読破は到底無理ですね。(2018年12月)


手塚治虫の「ブラックジャック」は全巻揃えていて,何回も読み直しました。

この漫画の凄さは,手塚先生が,1話完結の物語を毎週連載していたことです。

週1ですが,すべての物語が素晴らしく妥協を許さない内容となっています。

高額な手術料をとる代わりに手術を成功させ,命を救う天才無免許医のブラックジャックから,命の尊さを学びました。

さて,このブラックジャックに憧れる,小学生の和也が主人公です。

学校では様々な事件やトラブルが発生し,家族は母親が出て行き父親と暮らすことになります。

そして,転校。

こういった出来事に出会い,様々な人びとと出会い,和也は大人へと成長していきます。

一番,気に入った部分がここです。

〈引用はじまり〉

ひとつ,はっきりしている。永遠に続く命が,どう形を変え,どこへむかうのか,おれにはわからない。わかる必要もないということだ。ここがおれの居場所だから,いられなくなるときまで,精いっぱい生きるだけだ。いつか,こことは違うどこかで,懐かしい人たちに会えるのを夢想しながら。

〈引用終わり〉

今年も終わろうとしていますが,心に残る1冊と出逢えたことに感謝です。

(2018年12月)

508「日本プラモデル六〇年史」(小林昇 文春新書)

小さい頃からプラモデルが好きで,たくさん作ってきました。

細かい部品を接着剤で付けていく孤独な作業がたまらなく好きでした。

地道な作業を重ねていき,完成したときの喜びは忘れられません。

小学生の頃は,マジンガーZサンダーバード科学特捜隊のビートル,ウルトラ警備隊のウルトラホーク,マットのマットアローなどなどにはまり,

中学生の頃は,ウォーターラインシリーズにはまり,

大人になってからも,ガンプラにはまりました。

文字通り,大人買いをして休みの日にちびちびと作っていました。

さて,この本は,プラモデル好きにはたまらない1冊です。

懐かしいモデルが写真付きで紹介されています。

一気に懐かしい幼い頃に戻ることができました。

(2018年12月)

509「空母いぶき 11巻」(かわぐちかいじ ビッグコミックス

毎巻,緊張感溢れる展開です。

自衛隊ですから,敵を倒すのが目的ではなく,戦闘能力を奪うために知能戦が繰り広げられます。

後半は,東シナ海での潜水艦どうしの戦闘になります。

尖閣諸島付近の大陸棚という浅い海で,どう闘うかのか,どうやって中国軍の戦闘能力を奪うのか,ハラハラします。

次巻は,宮古島奪還のための地上戦に突入するようです。

来年の4月が楽しみです。

日本の自衛隊でも空母「いずも」の建造計画があります。

いよいよこの漫画が現実味を帯びてきました。(2018年12月)