ハードケースを買ってはいけない8つの理由

1.場所をとる

ソフトケースに比べ、ハードケースはでかい。ベース用のケースともなると、1m近くなる。日本の地価の高い、狭い住宅にこれだけのスペースをとるのは経済的にも非常な損失である。貴重なスペースを確保するために、ハードケースを買ってはいけない。

2.ギターを弾かなくなる

ソフトケースならば、たてかけておいても、ちょっと口を開いてギターをとりだして弾くことができる。ところがハードケースともなると、ケースをよいこらしょと持ち出して、それなりのスペースのあるところまで運び、床によこたえ、三か所もある鍵を外し、ふたを開き、やっとギターが取り出せる。これだけの手間なのだから、ギターを弾かなくなってしまうのも当然である。ギターを弾きたいなら、ハードケースを買ってはいけない。

3.ギターが下手になる

弾かなくなるのだから、練習時間も少なくなり、ギターが下手になる。ギターが上手になりたいなら、ハードケースを買ってはいけない。

4.ギターが壊れる

久しぶりにハードケースから取り出してみたら、木が反っていて使い物にならなくなっている、ということがある。ギターはこまめに弾くことで人の手に触れるのがよい。たとえ弦をゆるめようとも、長時間放置されていればネックは反ってしまう。大事なギターを使い物にならなくしないためにも、ハードケースを買ってはいけない。

5.高い

ハードケースの値段は、ソフトケースに比べて高い。中古で買っても1万円以上する。1万円あればフォトジェニックやレジェンドのギター本体が買えてしまう。そんなものを買わなくても、エフェクターくらいは買えるだろう。余計なお金を使わないためにも、ハードケースを買ってはいけない。

6.重い

ハードケースは重い。アホみたいに思い。開けるために引っ張り出すのも一苦労だ。当然持ち運びなど、できようはずがない。重いハードケースを持ってのこのこ歩いたりしたら、指を痛めてしまう。ギタリストにとっては致命的だといえよう。指先を大切にしたいなら、ハードケースを買ってはいけない。

7.臭い

ハードケースを買ってきて、第一にすることは消臭剤をケースに投入することだろう。ハードケースというのは、独特のにおいがして、容易にはとれない。一説には、ケースの布を張り合わせているのに使われている接着剤の臭いだという。だとすれば、あまり体にいいものとも思われない。部屋を臭くしたくないなら、ハードケースを買ってはいけない。

8.ソフトケースの性能が上がってきている

一昔前のソフトケースは、たしかにひどいものだった。「ぬののふくろ」といった風情のものも、多く見られた。しかし今は、技術の向上もあって、耐衝撃性にすぐれたケースも多い。これでもかというほどクッションがはりつけられたケースもある。そういったケースに入れて、壁に立てかけておけばなんの問題もない。私の経験からしても、ソフトケースに入れておいたギターの方が、ハードケースに入れて保管したギターよりも不調が少ない。おそらく、頻繁に人の手に触れるせいだろう。

以上、ハードケースを買ってはいけない8つの理由を列挙した。

ギター雑誌のメンテナンス記事などを読むと、ギターはハードケースに入れて保管しないと壊れるかのような書きっぷりである。しかし、これにだまされてはいけない。

たとえば、完全に投機目的で数百万もするギターを買って保管する人であれば、たしかにハードケースに入れて保管した方がいいかもしれない。しかし、楽器としてのギターの性能を保ちたい、自分は投機家ではなくギタリストなのだという人には、ハードケースはけっしておすすめしない。

あなたが、ギターやベースの保管のためにハードケースを買おうと考えてこの記事を読んでいるならば、考えなおしていたほうがよい。私はソフトケースもハードケースも両方持っている。これは両方を、自分で使ってみたうえでの感想である。