デジカメの落日を、肌で感じた
Olympusコンパクト・デジカメ(コンデジ)
均茶庵は、Olympus TG-615の大ファンだった。2011年7月に販売開始になった、防水・耐衝撃のアウトドア用コンデジだった。惜しいことに、箱根で紛失してしまったため、TG-5に買い換えた。機能を遙かに向上させたコンデジだ。2.1mの高さから落としても、問題がないという優れものだ。
所が、ここ暫くどうにも調子が悪い。PCに接続すると、時折カメラの記憶媒体であるSDHCカードを認識しない。USBに何度か出し入れしていると、繋がるようになる。しかし、それも、数日前に完全エラーとなった。さあ、どうしよう。カメラの中には、撮ったばかりの写真が残っている。復元できない。
カメラからSDHCを取り出して、Win8.1のPCに差し込もうとしたら、何とPCにカード・ポートがついていない。しかし、Win7の古いPCには、幸いにしてポートがあった。祈るような気持ちでアイコンをクリックすると、100OLMPの記号が出てきて、画像も無事取り込めた。つまり、SDHCには異常がないものの、カメラ内部の機能不全でSDHCに繋がらなくなってしまったようだ。
『TG-5じゃないか。耐衝撃性は、十分にあるはずだ。そもそも、落とした事なんてない。ソフトが壊れてしまうんじゃ、耐衝撃性もへったくれもないじゃないか。』虚しい憤りを、PCにぶつけた。
メモリー以外の機能が使えるかどうか調べた。どのボタンを押しても、ハード的には、全く問題無いようだ。充電機能も生きている。メモリーの外部接続だけが不調だ。
七転八倒
TG-5の後継機としてTG-6を発表している。しかし、愛するオリンパスは、2020年6月に、1936年創業のカメラ部門をJIP(日本産業パートナーズ)に売却・撤退している。投資ファンド傘下のカメラなんて、使いたくもない。オリンパスのブランド名はあるものの、似て非なる者だ。何とかしてTG-5を回復させたい。
Win11が2021年10月に発表されており、メインテ終了のWin7の古いPCに何時までも頼る訳には行かない。幸いにして、SDHCが生きているから、SDカードリーダーを買って、PCのUSBポートに繋げば良いはずだ。
100円ショップのDAISOが、OTGタイプのカードリーダーを売っていると、以前Webで見た事がある。店頭にあれば、もろ100円プラス税金10円で買える。早速近くのDAISO 三軒と同業のSeriaをのぞいてみた。しかし、どこにも売っていない。そもそも、デジカメ用品なんて、何も置いていない。DAISOをWeb経由で買った場合、最低注文金額が1,650円プラス郵送料760円になる。15個もカードリーダーを買っても、使い道がない。
近くのPC Depoにも寄ってみたが、いつの間にか、こちらはデジカメのコーナーさえなくなっていた。Nojimaにも行ってみた。辛うじてSDカードとカメラは売っているものの、カードリーダーは全くない。カメラ内部の機能不全でSDカードに繋がらなくなる故障なんて、まるで考えてもいないようだ。
BuffaloのWebを見ると、BSCR27U3の値段が、1,859円とあった。多分これが正規価格なのだろう。一方、ビックカメラのサイトでは、899円とあった。ビックカメラは、お隣の駅に行かなければ店がない。電車賃往復300円。そして、Amazonでは、817円。Primeだから、郵送料はかからない。これに決めた。夕方注文をすると、翌日の午前中には、品物が郵便ポストに入っていた。しかしまあ、正規価格の半額以下だ。それだけ、SDカードリーダーの需要が無くなったという事なのだろう。。
早速トライ
手順は簡単だ。カードリーダーをそのままUSBに差し込めば良い。所が、PCはSDHCをまるで認識しない。『何・・・。』PCにDriverが入っていないのではなかろうか。PCの「Control Panel」から「Drive Manager」に入って、『ああでもない、こうでもない。』とクリックしまくるものの、丸でダメ。がっくりするとともに、疲れが出てきた。Win8.1で駄目なら、Win7でも念のためやってみよう。こちらは、ポートから直接試して成功しているから、Driverの問題はない筈だ。やはり、ダメ。
取りあえず、お茶を一杯飲む。冷静になる。突然気がついた。SDドライバーにSDHCを差し込んでいなかった。PCが認識しないのは、当たり前だ。恐る恐るSDHCを差し込む。見事に、アイコンが出てきた。開いてみる。大成功。再びWin8のPCに戻り、同じ手順を踏む。こちらも大成功。何と、2時間経っていた。
デジカメは終った
今度は、安心感と安堵感でコーヒーを飲み、テンションを少し上げる。そうだ、今やコンデジを使っている人は、レアな存在に変ってしまった。殆ど全ての人が、スマホのカメラ機能を使っている。内部メモリ-が大きくなって、microSDHCを使う必要も無くなった。スマホの性能・仕様は、今やコンデジ以上になっている。しかも、Lineなどで写真をそのまま送れて、簡便だ。
DAISOの店頭に、SDカードリーダーもコンデジ用品も売っていないのは、寧ろ当たり前だ。改めて良く見ると、iPhoneグッズやらスマホ関連の品物がぎっしりと並んでいる。『ああ、時代は均茶庵の遙か先を行っているんだ。』
しかし、均茶庵はコンデジを諦めない。趣味のカヤックを漕ぐ時に、万が一スマホを水中に落としたら、大変な損害だ。防水機能付きのスマホは、未だ珍しい。TG-5であれば、水中カメラ仕様になっているから、水深10mまでは全く問題ない。均茶庵の初代タブレットは、石の上に落として、完全に壊れてしまった。しかし、TG-5は、土の上であれば、2.1mまでは大丈夫だ。安心感がある。均茶庵は、屋外でコケの写真を撮ることが多い。TG-5には、顕微鏡モードもついていて、便利だ。勿論、スマホにも似たような機能があるが、TG-5の方が手軽だ。
無事に終った。もの凄い勝利感で、窓の外を眺める。いつの間にか真南に上がった太陽がまぶしい。
注)OTG: USB on the go USB機器同士を接続させるためのインターフェース規格
211117 均茶庵