鹿を追いしあの山
序文
思い出は、思い出の中にも思い出があり
思い出を遥かに偲んで思えば
つらい思いや悲しい思い、心高ぶる激しい思い
そんな思いが湧いたり消えたり
思いを思えば、思い出の深みに沈み込み
何故か楽しさと寂しさが
断りもなく心のドアをノックする
今、筑波にて散歩がてらに目に入る山並みを見れば、なぜか故郷の山を思い出し、そんな穏やかな日々の中、友の誘いでイヤイヤながらの思い出文作り。
イトムカ時代をああでおない、こうでもないと思い出し、それとなく書き綴ればはまり込み、何故か当初のイヤイヤが楽しく変わる面白さ。
故郷を出てから44年、親が閉山と同時に彼の地を出たこともあって、再び故郷の地を歩んだのは、16年前の47歳。
3年に1度の恵泉中学最初のクラス会。場所は塩別つるつる温泉。
初めて参加したのは良いが、待ち合わせの場所に赴くと、会う人会う人懐かしそうに私の名を呼んでくれるのに、私にしてみれば知らぬ顔。当たり障りなく君の名をと聞けるのは女性だけ。
クラスメートの名前はおぼろげにそらんじているが、何故か私は玉手箱を持たない浦島太郎。
宴会が始まるころには少しずつ昔の顔と今の顔がスライドし、嗚呼!なるほどと納得し、恩師も交えた小中学の校歌を斉唱すれば故郷のぬくもりフツフツと沸く。
翌日は山に勤める友の案内で、28年ぶりに彼の地を歩む。
昔の佇まい今は跡方もなく、ただ鬱蒼と茂る雑草ばかり。少し、目線を上にやれば、中学の図画の授業にみんなで描いた選鉱場。山の峰まで届かんばかりのレンガ色の屋根。青空の中で、昔の儘の姿をなし、嗚呼!再び会えたと懐かしく。
かつて通った学校に続く坂道や道端の大きな岩。そして運動場がなぜか小さく見えた
ことに皆驚き、これは子供と大人の目線のイタズラが成せる技と。
あちこちの草むらにはルピナス(和名・藤の花を逆さに見立て、昇藤と命名。花言葉・感謝)が、昔と同じ顔で咲いている。
ルピナスの花言葉通り感謝!感謝!
これから記す私の思い出は、思い違いや勘違いが多々あるやもしれず、お気づきの方はさらりと受け流してくれれば幸いです。
(以下 項目のみで省略させていただきます)
●アルバイト 〇新聞配達 〇映画館の雪下ろし 〇石炭入れ 〇地質調査(水銀鉱脈探し)
●死神に見放されて 〇トロッコ事故
●スキーにて
●熊の鳴き声
●アイタカー
●私と自然の恵み
●春
●夏から秋にかけて
●自身のおやつとして
●冬
●イトムカの川
●武華川の魚たち
●魚捕り 〇銛で
●ウサギ追いし彼の山
●冬の支度 〇廃材のリサイクル 〇木こりの真似事
●旅路の涯て