梅田義則

ダムでの悪戯

私はイトムカで生まれ、19歳の昭和40年4月までイトムカで過ごしましたが、今でも思い出すのは、工業用水用ダムでの悪戯の数々です。

ダムは、台風29号で発生した倒木を切り出した際の 貯水池(貯木を見た記憶は残っていません)と、選鉱場で使用する工業用水確保のために建設したと聞いておりました。が、国道39号線の改良工事で、ダムの中に国道が移設され、木造の天狗橋が解体された昭和36年前後は旧社宅に住んでいた私達悪ガキには格好の遊び場でした。

岩魚取り

ある日、遊び仲間の一人が、ダムの水門の下で、40センチを超える岩魚が、幾匹もダムに上がろうとして跳びはねているという情報を持ってきました。早速仲間4人ほどで岩魚釣りにダムへ行き、釣りはじめましたが、姿は見えるのですがさっぱり釣れません。ダムの水の落ちる部分はコンクリートで平らになっておりますので、水の落下を止めれば手づかみで岩魚を確保できると考え、水門の上に、保管していた止水用の角材(25センチ角で長さ2メートル程)を4人で移動して、水門の溝に落とし、水をせき止めると、水が減ったコンクリート盤の上で岩魚が跳びはねだしました。急いで高さ4,5メ―トルの崖を下りて、ダムの下で岩魚を捕まえようとしましたが、崖を下りるのに時間がかかり、元気な岩魚を追いかけているうちに、ダムの水位が上がり、水門から水が落下してきますので退避しなければならず、一匹も掴めませんでした。特に、帰り際に止水用の角材を水門から持ち上げて、元の場所に戻すのに、水門の上は幅が狭いため左右2名ずつの計4人しか作業ができず、復旧に大変時間を費やしました。それで次回は、水門に角材を追加してダムの水を止めるのではなく、設置してある角材を持ち上げて、ダムの水位を下げてから角材を戻すと、今回ほど苦労せずに水位調整できることを確認しました。そして、水門の上で水を堰き止める担当4名と、ダム下の岩場の上で水の落下が減りだしたらすぐに捕獲作業を開始する担当4,5名決めて解散しました。

次の休みの日、参加者10名ほどでダムに向い、堰き止め担当と、捕獲担当を決め、作業にかかりました。角材を持ち上げたまま5分ほどダムの水位が下がるのを待つのは大変な作業でしたので、次回は、持ち上げた角材を固定するロープを調達してくることにしました。アンダーシャツを網の代わりに使用した捕獲作業は順調で、慣れてくると、1回に4,5匹も捕まえられるようになりました。が、ダムの水位が下がると、選鉱場の工業用水集水口に水が流れず、選鉱場では断水状態になることに気が付きませんでした。遊び始めてから2時間ほどで、断水の原因を確かめに来た選鉱場の方に、全員捕獲されました。(中略)(札幌市在住)