イトムカ出身(または関係者)の皆様へ

拝啓

陽春の候、皆様におかれましてはご健勝にてお過ごしのことと拝察申し上げます。

突然のことで驚かれたこと思います。このような便りをさせていただくことをお許しください。

先の『思い出のイトムカ』発行に際しては、カンパや執筆をはじめ、本を購入頂き、誠にありがとうございました。

あれから早や8年の歳月が経ってしまいました。

実はあの本を編集している際に、名簿には記載されていない、戦時中のイトムカに”徴用”で働いていたという数人の方に出会いました。その方々の話や文章から、イトムカにある埋もれた歴史に、改めて思いを馳せたのでした。

戦時中の人手の足りないとき、中国や朝鮮から強制的に連行され、働かされていた方々のことは、戦後に育った私たちにはよく知られていないことが多くあります。

2010年に思いがけず、戦時中イトムカに連行され働かされていたという、中国人のお二人に名古屋の近くの東海市にあるお寺で会う機会があり、そこからイトムカにおける未解決の問題を見つめることになりました。

給料もまともに支払われていない、粗末な衣食住の中で、苛酷な労働を強いられ、そのお過程で犠牲になった方は朝鮮人24名、中国人23名といわれたいます。その方々の遺骨の一部が、西本願寺札幌別院に”合葬”という形で、残ってることも知りました。つまり、その遺骨は、遺族の元には還っていないということです。

戦後71年経ちましたが、こうした戦争の傷跡はまだ癒されてはおりません。しかし、私たちは日々の生活の中でこうした過去を忘れ去ろうとしています。私たち、戦後まもなく生まれた世代がいなくなった時には、そうした過去がほとんど忘却されてしまうことを危惧しています。

イトムカのひいては留辺蘂の発展に寄与し、犠牲になった方々の歴史的な事実は記憶に留め、きな臭い匂いのたちこめる今、再びこのような悲劇が起きないことを希って、慰霊碑の建立を呼びかけるものです。

どうか、趣旨をご理解いただいて、ご協力をよろしくお願いいたします。

(もちろんこれはあくまで任意です。)

敬具

「慰霊碑を建てる会」代表 木村 玲子

連絡先 TEL&FAX 011-563-787

2017年5月吉日