第2回「民衆史を語る会」講演会報告

去る10月6日(土)13:00~15:00、留辺蘂町公民館において、第2回目の「民衆史を語る会」を開催いたしました。

この日は中央道路「鎖塚」の追悼式と重なったということで、参加者は昨年より少なかったのですが、伊藤講師の内容深い講演と、

「慰霊碑を建てる会」からの報告(木村)に、熱心な質疑応答がなされました。

以下その内容を簡単に報告いたします。

1、講演「反戦・平和の国際連帯ー最近の朝鮮半島の平和の動きにも触れて」

お話 伊藤悳夫さん(北海道AALA連帯委員会理事長)

2、報告「慰霊碑を建てる会」その後の状況 木村玲子(「建てる会」代表)

1の講演は、今世界中の注目を集めている朝鮮半島を巡る動きに焦点をあてながら、グローバルな視点で反戦・平和の国際連帯の動きを語りました。

(以下概略)

(1)朝鮮半島の平和の激動

今年(2018年)に入ってからの劇的な南北首脳会談(4月27日)、米朝首脳会談(6月12日)に至るまでの経緯。種を蒔いた韓国文在寅大統領の

「新ベルリン宣言」=「新韓半島平和ビジョン」(17年5月10日)に見る決意。

「危機回避のため韓国こそコックピットに座るべきだ」「春は必ず来る。春が来たときに蒔く種を用意しておこう」

それに対して、日本政府のとっている態度は、当初「圧力」一本槍で、すっかり乗り遅れた。今やっと「日朝平壌宣言」のスタートラインに戻ったが、依然として「日・米・韓の制裁」を強調し、改憲や、イージス艦導入など流れに逆行している。

2)世界は大きく動いている。トランプ政権をどう見るか

〇米国中心の世界秩序が揺らぎ、中国や新興諸国が力をつけてきている。

〇トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の特徴は、財界・富裕層優先、民族排外主義、人種差別、女性差別、親イスラエル、反イスラーム、キリスト教原理主義、中東では極端な親イスラエル、対イラン強硬策。中南米には覇権主義・干渉主義。

(3)「戦争のない平和の秩序」をどう作り上げるか

〇1960年頃からの反帝・反植民地主義の高まりの中で、アフリカ独立国27か国に。

〇1960~75年のベトナム戦争でのベトナム人民の勝利は世界の非同盟諸国、各国の反戦・平和の運動を励ました。

〇1961年頃からの非同盟諸国(大国主導の軍事同盟には加わらない)現在120か国(国連加盟国の60%)AAPSo(アジア・アフリカ人民連帯機構)の書記国メンバーのAALA。

〇地域共同体としてのASEAN(東南アジア諸国連合)、SELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)

「もう一つの世界は可能だ」とするWSF(世界社会フォーラム)

〇イラク戦争(2003年)を巡る世界の反戦運動の高まりの中で、オキュパイ運動(我々は99%だ)起こる。

〇欧米諸国の市民運動に見る3つの流れとして

①トランプ(米)、ルペン(仏)など反動的な専制政治の台頭。

②サンダース(米)、コーヒン(英)、メランション(仏)らの、富裕層の支配に反対し、国民主権の政治を目指す流れの健闘。

③”1%のグローバリズム”を標榜する既成政党が急速に弱体化し、共通しているのは格差と不平等・

貧困の一掃、環境に優しい政治、民族排外主義の闘い、非核・非軍事による平和の模索、AALA諸国の運動との模索である。

(4)東アジアを平和、協力、繁栄の共同体に

日本AALAの運動はASEAN型の地域共同体を目指し、「東アジア諸国首脳」宛の署名活動を展開している。

* * *

2の報告は、昨年の「『慰霊碑を建てる会』発足まで」の内容を踏まえて、その後の状況と問題点を提起して、皆さんと考えたいとするものでした。

(その後の状況)

①建立地を探ってきて、現在留辺蘂町内に3か所の候補地があるが、所縁のある場所として、旧森林鉄道の発着場所(ここからイトムカに運ばれた)、留辺蘂駅付近(石北線で下車)を検討したい。このあたりの留辺蘂町の管轄下にある土地はどうか?

②募金は現在約100万円余集まっているが、目標は最低200万(できれば300万)に。

③デザイン、彫刻を 二部黎さんにお願いしています。

(昨年の質問から)

①1970年代に「常紋トンネル殉難慰霊碑」(金華)や、「朝鮮人・中国人殉難慰霊碑」(置戸)が建ったとき、イトムカにもの声があったのだが、

反対されて立ち消えになった。現在も稼働している野村興産K・Kとそこに関係する人々への配慮からだが、そこをどう乗り越えるかが、今もある課題で皆さんと考えてゆきたいというものでした。

・忘却への危惧……「心の中で追悼すればよい」「わざわざ顕在化することはない」の声。しかし住民の意識は薄れる一方で、知らない人も多い。

このままでいいのか?

・不都合な真実を抹殺する動き……「もういい加減に忘れなくてはならない」「我々は何も知らなかった」……「改憲」の動きや従軍慰安婦問問題など。

・慰霊碑は事実を忘れないための記憶の場……忘却に対する記憶の闘い

②問題の解決に向けた動き……企業への提訴(西松建設、鹿島花岡、三菱マテリアルの和解)

③建てた後は「慰霊碑を守る会」として存続し、後世に繋げてゆきたい。

(例)札幌「藻岩犠牲者の碑を維持する会」……北電藻岩発電所建設工事犠牲者の碑

(質疑応答の中で)

〇慰霊碑を建てることには疑問があったが、やはり建てることは意義あることと思われる。

〇建てた後の管理の問題は大事だが、永久にというわけにはいかない。いつかは朽ちてゆくものであり、だからと言って建てない方がよいということにはならない。人間も同じである。

*終了後、彫刻をお願いしている二部黎さん達とともに、候補地(宮下町、元町)を巡りました。留辺蘂町駅よりも南の、旧森林鉄道の発着場所の辺りや、留辺蘂町が示してくれた「町」の所有地も見て回りました。このあたりの 土地の取得は難しいようですが、もう少し、検討したいと思います。

2018,10,20