ゼンショーへの質問状

2010年12月9日

株式会社ゼンショー

代表取締役会長兼社長 小川賢太郎殿

食品安全情報ネットワーク

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質 問 状

拝啓、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。活動の内容については上記ホームページをご参照ください。


私たちはBSEについては国際的に確立した以下の3点の対策を支持しています。

  1. 牛から人への感染防止のために特定危険部位を除去すること
  2. 牛から牛への感染防止のために牛を含む反芻動物由来の肉骨粉を牛に与えない飼料規制を行うこと
  3. BSE全頭検査は不要であり、BSE対策の効果を判定するための抜き取り検査で十分であること。

このような観点から、私たちは貴社広報室から2010年11月16日付で発表がありました米国産牛肉販売開始の文書(以下2010年文書)の内容を高く評価するものです。

その上で、2005年12月9日に発表された「安全な食の提供がゼンショーグループの使命」と題する文書(以下2005年文書)と今回の2010文書の関係について質問をさせていただきます。

質問1)米国産牛肉の安全性について

2005年文書では、米国産牛肉は危険であり、消費者に安心して食べてくださいといえる段階ではないと判断したこと、その理由について貴社が独自に調査した結果、「脊髄液(脊髄が正確)の吸引が完全にできておらず、交差汚染の防止が不十分で、日本の判断基準からすると現状では不完全なものでした」と記載しています。

一方、2010年文書では特定危険部位の除去について、米国のすべての食肉加工場で行っている作業のマニュアル化、作業員の教育、衛生管理システムHACCPの採用を紹介し、現在は特定危険部位の除去が十分に行われていること、そもそも飼料規制を行っているのでBSE感染牛は発生しないので、米国産牛肉の安全性は高いことを述べています。

そこで質問ですが、2005年文書に記載した状況が改善されたことを、どのようにして確認したのでしょうか?

質問2)BSE全頭検査の要求を取り下げた理由について

2005年文書で貴社は米国にBSE全頭検査の実施を強く求めています。その理由は貴社が「提供者責任」として「安全性を証明する責任」があるからと述べています。

一方、2010年文書では、米国に対する全頭検査の要求は一切行っていません。もちろん、弱齢牛を検査してもBSEを発見できないことは科学的・国際的な常識であり、日本の食品安全委員会も認めている事実です。

そこで質問ですが、貴社は「BSE全頭検査を実施しなくても牛肉の安全性は確認できる」という見解であると解釈してよろしいでしょうか?

質問3)米国のBSEの状況について

2005年文書では、米国に対してBSE全頭検査を行うことによりBSE感染牛がいないということを消費者に証明、説明して欲しいと述べています。2010年文書において貴社が米国に対する全頭検査の要求を取り下げたことは、貴社自身が「米国には感染牛がいないということを消費者に証明、説明」する提供者責任を負ったものと考えられます。

そこで質問ですが、貴社は、飼育履歴管理による飼料規制の徹底により、米国のBSEリスクは日本とほぼ同じであると判断されていると理解してよろしいでしょうか?


以上、日本を代表する外食企業である貴社が、米国産牛肉が『安全である』と認識されたことを広く日本の消費者にお伝え頂く事は、「消費者の安心」という意味で非常に重要なことであると理解しております。

2005年文書に記載された状況が現在は存在しないことを明確にしていただくことが2010年文書の信頼性を増すものと考え、上記3点についてぜひ明確なお答えをいただきますようよろしくお願いします。

なお、本質問状は食品安全情報ネットワークのホームページに掲載し、貴社からの対応の状況についても随時掲載させていただくことを申し添えます。

敬具