京都新聞への質問状

「免疫力には手作りご飯」

<概要>

京都新聞2010年7月12日号の標記記事に、次のような記述がありました。

防腐剤などの添加物を多く含む食事(中略)のせいでがん細胞などへの攻撃を助ける細胞が減り、アレルギーを助長する細胞が増える

FSINでは7月21日付で京都新聞編集局長宛に、上記記述の科学的根拠を問う公開質問状を提出しました。

<質問状>

2010年7月21日

京都新聞社 編集局長殿

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

7月12日朝刊「免疫力には手作りご飯」への公開質問状

はじめてご連絡を差し上げます。

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

貴紙7月12日朝刊に掲載された、きょうと食育講演会における北海道大学の西村孝司教授の講演を紹介された記事「免疫力には手作りご飯」について質問いたします。

【質問】

「防腐剤などの添加物を多く含む食事(中略)のせいでがん細胞などへの攻撃を助ける細胞が減り、アレルギーを助長する細胞が増える」とのことですが、その科学的根拠を記載した科学論文をお示しください。

【意見】

食品添加物は複数の物質の総称であり、その中には未加工の(天然の)食品にも含まれているものが多く、ヒトが実際に摂取している量のうち99%を占めることが報告されています。これらを含めたすべての添加物に記載のような作用があるという科学的根拠と被害の実例をお知らせください。なお、食品添加物の分類として防腐剤という用語はありません。どのような物質を指すのか、とくに例示をしたのは、記載のような作用が特に強いということなのか、科学的な根拠をお知らせください。

どのような化学物質の作用も、その量で決まります。食品添加物は、ヒトの健康に影響のない量で、食品において有用な効果を発揮するものだけが使用を許可されています。ADI(一日摂取許容量:ヒトが一生食べ続けても健康への悪影響がないと認められた一日あたりの摂取量)に基づいて使用できる食品や量(使用基準)が定められており、実際に摂取されている量も調査されています。このようなリスク評価や管理は、内閣府食品安全委員会や厚生労働省などにより科学的根拠に基づいて進められています。この記事は、そのような国の努力が無駄であるという貴紙の主張なのかも併せてお知らせください。

以上、この記事の科学的根拠と貴紙の考え方をお示しいただきたく、記事に間違いがある場合は訂正記事の掲載を要望します。

ご多忙のこととは存じますが、事の重要性に鑑みて折り返しのご回答をお待ちします。

なお、本質問状はFSINのホームページ等で公開いたします。また、貴紙のご対応についても公開したいと考えていることも予めお伝えいたします。

以上