Business Journalへの質問状

「コンビニの菓子パンは危険!栄養なく発がん性のある添加物大量投入・・・子供は食用厳禁!」

2016年4月1日

株式会社サイゾー

Business Journal編集部長 御中

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

3月10日「コンビニの菓子パンは危険!栄養なく発がん性のある添加物大量投入

・・・子供は食用厳禁!」と題した記事についての質問状

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

3月10日付でBusiness Journalに掲載されている「コンビニの菓子パンは危険!栄養なく発がん性のある添加物大量投入・・・子供は食用厳禁!」と題した記事につきいくつか質問がございます。また、面談での意見交換を希望します。お忙しいところ恐縮ですけれども、4月15日までに質問へのご回答および日程調整のためのご連絡をいただきたくお願い申し上げます。

【質問1】

本記事の表題に「発がん性のある添加物大量投入」とありますが、発がん性があり大量投入されている添加物とは具体的に何を指すのでしょうか。

【質問2】

冷凍パン生地について「このような低温では、ビタミンや酵素のような栄養素はまたたく間に死滅します」との記述があります。死というのは生命活動の終止を指す言葉ですが、なぜビタミンや酵素といった非生物に対して「死滅」という言葉を使われたのでしょうか。また、具体的にどのような現象を指した記述なのでしょうか。

【質問3】

「発酵を助けるためにL-システイン塩酸塩、臭素酸カリウム、乳酸カルシウムといった発がん性の指摘のある添加物が使われています」との記述があります。L-システイン塩酸塩、乳酸カルシウムについて発がん性を指摘している科学論文を教えてください。なお、臭素酸カリウムについては後述します。


本記事は、≪危険な食品添加物が使われている≫ことを問題視されていますが、この点について情報提供申し上げます。

食品添加物に限らずどのような物質でも、ヒトの健康への影響は「量」で決まります。食品添加物は、ヒトの健康に影響のない量で、食品において有用な効果を発揮するものだけが使用を許可されています。 具体的には、一日摂取許容量(ADI:ヒトが一生食べ続けても健康への悪影響がないと認められた一日あたりの摂取量)が求められ、使用できる食品や量(使用基準)が定められています。実際に摂取されている量も調査されており、通常の食生活で食品添加物がヒトの健康に悪影響を及ぼすとは考えられません。このようなリスク評価や管理は、内閣府食品安全委員会や厚生労働省などにより科学的根拠に基づいて進められています。

本記事中で触れられている臭素酸カリウムについては、発がん性の指摘があることは事実ですが、パン焼成時に完全に分解されると考えられ安全性上問題となる事はないとして、パンに限って最終的に分解又は除去されることを条件として使用が許可されているものです。内閣府食品安全委員会によるファクトシートが公開されておりますのでこちらもご参照ください。

https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-kbro.pdf

なお、現在国内には臭素酸カリウムを使用しているメーカーはありません。

貴サイトのような消費者に広く読まれている媒体におかれましては、正確な情報提供をしていただくこと、適切な情報源を伝えていただくことが消費者にとっての利益となります。

つきましては、意見交換の機会を設けていただき、今後FSINからご協力できることはないか相談申し上げたいと考えておりますので、よろしくご検討お願いします。


本レターは、FSINのホームページ等において公開しますので予めご了承ください。また、ネット記事を読み解き、判断する上で有用な情報として広く共有を図りたく、貴社のご対応についても公開したいと考えております。

以上