河北新報への要望書
「牛肉輸入制限/緩和して安全性保てるのか」
<経緯>
2011年11月29日
河北新報社読者センター及び論説委員会の方と電話でお話ししました。書面で質問状を出したい旨をFSINから伝えたところ、論説委員会を宛先として送るようにとのコメントをいただきました。
同年12月6日
河北新報社論説委員会宛に公開要望書を郵送しました。
2012年1月5日
河北新報社論説委員会の方と電話でお話ししました。要望書の内容は理解した旨のご回答を口頭でいただきました。
<公開要望書>
2011年12月6日
河北新報社 論説委員会 御中
食品安全情報ネットワーク(FSIN)
http://sites.google.com/site/fsinetwork/
11月25日付け社説「牛肉輸入制限/緩和して安全性保てるのか」についての公開要望書
はじめてご連絡を差し上げます。
食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。
11月25日(金)の貴紙において「牛肉輸入制限/緩和して安全性保てるのか」と題した社説が掲載されました。この社説の主旨は、米国産牛肉などの輸入制限緩和について、外圧に押されるような形でなく科学的根拠に基づいて毅然たる姿勢で協議に臨むべきであるとのものであり、FSINとしても何ら異を唱えるものではありません。
しかしながら、「日本は初の感染牛が確認された01年に国による全頭検査を開始。05年から対象を21カ月以上に緩めたが、自治体によって全頭検査が続けられ安全性が担保されてきた。」との記述については、科学的に妥当ではありません。
なぜならば、BSE対策として有効なのは、牛から牛への感染防止のために牛を含む反芻動物由来の肉骨粉を牛に与えない飼料規制を行うこと、及び牛から人への感染防止のために特定危険部位を除去することの2点であり、検査では弱齢牛など病原体の蓄積量が少ない牛ではBSEを発見できず、これらの感染牛は検査をすり抜けてしまう可能性が高いので、安全対策としての意味は極めて小さいからです(なお、私たちは、検査の意義はBSEへの安全対策の効果判定にあり、抜き取り検査で十分であると考えています)。
従いまして、当該記述は科学的根拠に基づいて判断されるべき安全性の問題につき読者をミスリードするものであり、今後の社説において「全頭検査では安全性を担保できない」旨を明確に読者に伝えて下さいますように要望します。また、本件についての貴紙の考え方をFSIN宛にお示しいただきたくご返信をお待ちしております。
なお、本質問状はFSINのホームページ等で公開いたします。また、貴紙のご対応についても公開したいと考えていることも予めお伝えいたします。
以上