NHK BSへの情報提供

「9月21日ワールドWAVEモーニングで紹介された遺伝子組み換えトウモロコシの実験に関する情報提供」

2012年10月29日

日本放送協会(NHK) BS

「ワールドWAVE モーニング」

番組制作責任者殿

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

9月21日「ワールドWAVE モーニング」で紹介された

遺伝子組み換えトウモロコシの実験に関する情報提供


はじめてご連絡を差し上げます。

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

9月21日の「ワールドWAVEモーニング」で、フランスのセラリーニ教授の研究グループが、遺伝子組み換えトウモロコシを2年間に渡ってラットに与えた実験で、腫瘍や死亡率の増加などが確認されたと発表した、と紹介されておりましたので、その後の動向を含めて情報提供させていただきます。

この研究については、貴番組も最後に言及したとおり、発表直後から多くの科学者から疑問の声が上がっております。その後、10月4日に欧州食品安全機関(EFSA)は、「試験設計、報告、解析方法、いずれも科学的研究として不適切」とした上で、試験対象となった遺伝子組み換えトウモロコシ、農薬のいずれについても、安全性評価の見直しや再検討は必要ないとの見解を発表しております。

http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/121004.htm

フランスの専門家パネルとして、バイオテクノロジー高等評議会(Higher Biotechnologies Council:HCB)とフランス食品環境労働衛生安全庁(French Food Safety Agency:ANSES)も、10月19日、「科学的根拠が不十分」 と発表しました。

http://www.academie-sciences.fr/presse/communique/avis_1012.pdf

またFSINでは、日本の毒性学の専門家として、一般財団法人残留農薬研究所毒性部長、青山博昭博士の本実験に関するコメントを公開いたしました。青山氏は、「実験動物の飼育環境、給与する飼料の成分や栄養価などの条件、実験に用いる動物の数など、いずれにも大きな不備があり、得られた結果を論理的に解釈することも、それらの結果に基づいて遺伝子組み換えトウモロコシやラウンドアップの安全性を科学的に議論することもできない」としています。

このほかにも、この論文の内容については、海外研究者から多くの疑問の声が挙がっています。国内サイトでは、社会的関心が高い科学ニュースに対して、迅速に専門家のコメントを収集し、ジャーナリストに提供する活動を行っている、一般社団法人サイエンス・メディア・センター(SMC)でも、「遺伝子組み換え作物と除草剤のラットへの影響:専門家コメント」と題して、海外の専門家のコメントを紹介しています。

http://smc-japan.org/?p=2886

FSINでは青山氏のコメントの詳細をはじめ、これら国内サイトの情報もまとめて、HPで紹介しておりますので、以下ご参照ください。

https://sites.google.com/site/fsinetwork/jouhou/gm_maize

食の安全性等に疑問を呈する実験論文の発表では、発表内容が報道されても、その後の科学的検証の結果は報道されず、情報の受け手に危ないというイメージだけが伝わる、という問題が以前からあります。ぜひ、こうした情報にも関心を持っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

今回お伝えした情報はFSINのホームページ等でも公開いたしますので予めご了承ください。

以上