日豪プレスへの訂正要望

「オーストラリアでナチュラル・ライフ」

2016 年12月10日

日豪プレス

発行人 Ike Ikeguchi 様

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

12月2日「オーストラリアでナチュラル・ライフ」と題した記事についての訂正要望

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

12月2日付で貴社ウエブサイトに掲載されている「オーストラリアでナチュラル・ライフ」と題した記事につきいくつか意見と訂正要望がございます。お忙しいところ恐縮ですけれども、12月23日までに今後のご対応につきご回答をいただけますでしょうか。よろしくご検討お願いします。

以下、添加物の用語は食品に使われる添加物を指すものとしてお読みください。

【意見】

当該記事では、「添加物はもちろん政府承認済みの成分だが、それは同時に摂取限度量が設定された成分でもあるということ。微量では問題がなくても長年の摂取で体内に蓄積され悪影響を与えることがあるという考えも近年では一般的だ。中には人体の代謝機能では排出できないものもあり、(後略)」と記載されています。

摂取限度量が設定されているのは、どのくらいの量までの摂取ならば身体に何の影響も与えないのか科学的な検討がなされているからです。

食品には様々な成分が含まれていますが、全ての成分が明らかにはなっていません。さらに、明らかになっている成分についても、それら全てが安全性を評価されているわけではありません。むしろ、添加物よりもリスクの高い食品成分もあります。摂取限度量が設定されていることやそのための試験がなされていることは、安全性が担保されていることを意味します。

しかしながら、当該記事においては「摂取限度量が設定された成分でもある」ことから、「長年の摂取で体内に蓄積され悪影響を与えることがある」ことへの流れとなっており、あたかも摂取限度量の設定は健康に悪影響を与えるからであるかのような印象を与えています。これは添加物のリスク管理について読者を誤認させかねない不適切な内容です。

また、「微量では問題がなくても長年の摂取で体内に蓄積され悪影響を与えることがある」「人体の代謝機能では排出できないものもあり」という考えは、添加物のリスク評価に関する誤認に基づくものです。添加物の指定に際しては、体内動態に関する試験が実施され、ヒト体内に蓄積されると考えられるようなものは許可されません。

このようなリスク評価や管理は、日本では内閣府食品安全委員会や厚生労働省など、国際的にはJECFA(WHO/FAO合同食品添加物専門家会議)やCODEX委員会などにより、科学的根拠に基づいて進められています。

なお、記事中では「No preservatives(防腐剤不使用)」「No artificial colours or flavours(人工着色料・香料不使用)」「No GMO(遺伝子組み換え原料不使用)」等について触れられていますが、これらがそうでないものよりも健康に良いという科学的な根拠はありません。

貴サイトのような消費者に広く読まれる媒体におかれましては、正確な情報提供をしていただくことが消費者にとっての利益となります。

つきましては、当該記事の訂正をお願いする次第です。当FSINからご協力できることがあればぜひお申し付けください。


本レターは、FSINのホームページ等において公開しますので予めご了承ください。また、ネット記事を読み解き、判断する上で有用な情報として広く共有を図りたく、貴社のご対応についても公開したいと考えております。

以上