東京新聞への情報提供

「こちら特報部 食品表示一元化へ」と題する記事について

当FSINでは、東京新聞9月24日付の「こちら特報部 食品表示一元化へ」と題する記事について、東京新聞編集局長宛に情報提供を行いましたので、ここに公開します。

なお、10月5日付で同様の記事を掲載した高知新聞にも同様の情報提供を行っております。

2012年11月16日

東京新聞 編集局長殿

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

9月24日付「こちら特報部 食品表示一元化へ」と題する記事について

はじめてご連絡を差し上げます。

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

貴紙9月24日、「こちら特報部」というコーナーで「食品表示一元化へ 遺伝子組み換えなど不十分 消費者より企業優先 野放し添加物大国」等のタイトルで掲載された記事について、個人のインタビューをもとにした記事ではありますが、読者に誤認を与える内容ですので、お知らせいたします。

まず、記事の大前提として、遺伝子組み換え食品表示が、食品の安全に関する情報として紹介されておりますが、遺伝子組み換え食品は、表示が義務付けられているかどうかに関わらず、食品衛生法に基づき、安全性が確認され、安全性が確認されたものだけが輸入および市場への流通を認められております。表示は安全性が確認された遺伝子組み換え作物が流通する際に、消費者の選択のために設けられた制度で、表示が安全を保証するものではありません。基本的には食品添加物も同様です。

記事中、「表示義務があるが、抜け道のような例外規定もある。(中略)タンパク質が分解されるなどして元のDNAが残らない。このため、遺伝子組み換え大豆などを使っても問題ないとされ、『遺伝子組み換え』と表示しなくてもよい」との記述がありますが、組み換えられたDNAやそれによって生じたタンパク質が、加工工程で分解されて残存しない食品(食用油やしょうゆなど)は、義務表示対象外であるのは事実ですが、使っても問題ないからではありません。DNAやタンパク質が残存しないと、表示内容が適正かどうか、後で科学的に検証できないためです。表示の適正化と実効性を考慮した措置で、安全性とは関係ありません。

また、輸入食品に関する文章に、「食品加工の際に抗生物質を消す酵素を使うことがある。違法だが、表示がなければ分からない」とあります。そのような事実があるか定かではありませんが、例えそのような事実があったとしても、表示によって違反を見分けることはできません。違反を取り締まるのは、輸入時は検疫所、国内流通品は自治体等が行う検査によってであって、消費者が表示によって見分けなければならないものではありません。このような書きぶりは、読者に誤解と根拠のない不安を与えるものだと思います。

以上今後の報道において参考にしていただければと思います。なお本状は、FSINのホームページ等でも公開いたしますので予めご了承ください。

以上