「一人よりみんなで」

「一人よりみんなで」　

　春になると思い出すことがある。

　それは、学校で初めてやった、「旅立ちを祝う会」のことだ。

　その日は「旅立ちを祝う会」のことで頭がいっぱいだった。初めてで、何があるんだろう、自分たちの発表は、うまくできるだろうか、と不安だった。体育館でいざ本番。私はむねが高鳴っていた。まず、音楽部の歌を聴いていると、いつもすてきだなあと、うっとりしてしまう。聴いていると、心が引き込まれていくようだ。何よりも歌っている先輩たちの顔がいきいきとかがやいていた。音楽部の発表を聴いていて、私も音楽部に入ってみたいと思った。

　次に私たち在校生の発表の時がやってきた。卒業生へ送る言葉を一人ずつ言っていく。ここではいつも通り言葉がつまった。次に私は合奏でギターを普一の２人とやった。少し失敗してしまった。そして、最後の最後で小中普の在校生と卒業生のみんなで「君は君でいい」を歌った。その時、私は初めてみんなと大きな声を出しておもいきり歌った。私は小学校の頃みんなといっしょに歌う時はずかしくてなかなか出せていなかった。私はそこで一人で声を出すよりみんなで声を出して歌うことはすごく気持ちがいいと思った。一人の声はさみしいけど、みんなの声はすごく明るくなれた。みんなで歌っていると、まるで朝カーテンをあけて、たい陽の光が入ってくるように、目の前がキラキラかがやいていた。声を合わせて歌うことが楽しいということを私は、そこで初めて実感した。