教育DXの推進は、生徒の学習活動の変革だけでなく、教員の働き方改革と校務の効率化にも大きく貢献するものです。文部科学省も、教育DXと教員の働き方改革を一体的に進める方針を明確に示しています 1。本校では、グループウェアやクラウド環境を最大限に活用し、校務の徹底的な効率化を図ることで、教員がより質の高い教育活動に注力できる時間を創出することを目指します 1。
具体的には、会議資料のペーパーレス化、校内通達や情報共有のデジタル化、各種申請手続きのオンライン化などを推進し、印刷や配布、集計といった物理的な作業時間を大幅に削減します。これにより、意思決定の迅速化や、より円滑なコミュニケーションが期待できます。進路指導業務においてGoogleサイトを活用して情報共有を一元化し、業務時間を大幅に短縮した事例 10 や、旭川市立緑が丘中学校におけるGoogle Workspaceを活用した多岐にわたる校務効率化の実践 21 は、本校が目指す方向性を示す好例です。
教員研修のあり方についてもDXの視点を取り入れ、その効果と効率を高めます。従来の集合型研修に加え、オンライン研修、短時間で集中的に行うマイクロラーニング形式の研修、教員が各自のペースで学べるオンデマンド研修などを積極的に導入します 3。これにより、教員は必要な知識やスキルを、時間や場所の制約を受けにくく、より柔軟に習得できるようになります。
これらの働き方改革によって生み出された時間は、教材研究の深化、生徒一人ひとりと向き合う時間の充実、新たな授業開発への挑戦など、教育活動の質を直接的に高めるための活動に充当します 6。これが、校務DXが目指す好循環です。
校務DXの成功には、学校管理職の強力なリーダーシップと、学校全体の変革へのコミットメントが不可欠です。一部の教員による個人的な努力に頼るのではなく、学校運営の仕組みそのものを変革していくという強い意志が求められます。教員が新しいツールや業務フローの導入に際して、その意義を理解し、自ら積極的に活用しようとする姿勢(「教員側がその良さに気づくこと」10)を引き出すためには、トップダウンの指示だけでなく、丁寧な説明とメリットの提示、そして試行錯誤を許容する風通しの良い組織文化が重要です。
さらに、校務DXは単なる業務効率化に留まらず、教員間の専門的な協働の質を高めることにも繋がります。クラウドベースのプラットフォーム 3 は、教材や指導案の共有、共同での授業計画作成、そしてよりダイナミックで建設的な職員会議(「対話的・協働的な職員会議・教員研修の実施等」1)を促進します。これにより、教員間の知識や経験の共有が活発化し、学校全体の指導力向上と、より強い連帯感の醸成が期待できます。本校では、DXを通じて教員間の壁を取り払い、より協調的で専門性の高い専門職共同体を構築することで、最終的には生徒の学びの質の向上に貢献することを目指します。