GIGAスクール構想の核心的理念である「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実は、本校のリーディングDXリサーチにおける最重要テーマの一つです 1。令和7年度は、これまでの実践を踏まえ、これらの学びをさらに深化・発展させるための具体的な授業デザインや学習活動を追求します。
「個別最適な学び」の実現に向けては、AI教材(例えば、本校でも一部導入実績のあるQubena 18 やその他のアダプティブラーニングシステム)の本格的な活用とその効果検証を進めます。これらのツールは、生徒一人ひとりの学習進度、理解度、興味関心に応じた課題を提示し、きめ細やかなフィードバックを提供することで、生徒が自身のペースで効果的に学習を進めることを支援します。AI教材から得られる学習ログ(スタディログ)を分析し、個々の生徒のつまずきや特性を早期に把握し、教員による的確な個別指導や支援に繋げる方法論を確立します。
一方、「協働的な学び」においては、オンラインツール(例えば、Google Workspace 20 やJamboard(⇒FigJam) 21 など)を効果的に活用したグループワーク、ディスカッション、共同編集活動を各教科で積極的に展開します。これらのツールは、時間や場所の制約を超えたコミュニケーションを可能にし、生徒が多様な意見に触れながら思考を深め、共に課題解決に取り組む力を育成します。たつの市立龍野東中学校で実践されている「複線型の活動」11 のように、生徒が自らの興味や課題に応じて多様な学習ルートや活動を選択できるような、柔軟な授業モデルの探求も進めます。
これらの「個別最適な学び」と「協働的な学び」を真に一体化させるためには、単にツールを導入するだけでなく、学習環境全体の柔軟性を高め、教員の役割を変革していく必要があります。ICTツールは、生徒の多様な学習ニーズに対応し、効果的なグループワークを可能にしますが 1、それを最大限に活かすためには、教員が知識伝達者から学習のファシリテーターへと役割を転換し、生徒の学びを支援・伴走する存在となることが不可欠です(例:「教師はノンストップで機関指導を行うことで支援が必要な児童のサポートを行い」10)。このような学習形態を支えるためには、教員向けの専門研修の充実に加え、教室の物理的なレイアウトや時間割編成の見直しも視野に入れる必要があるかもしれません 7。
さらに、「個別最適な学び」を支援するツールから得られる学習データは、「協働的な学び」の質を高めるためにも活用できます。AIチューター 19 やデジタル学習プラットフォーム 23 は、個々の生徒の進捗や理解度に関する貴重なデータを提供します。教員はこれらのデータを分析することで、協働学習のグループ編成を戦略的に行い、多様な視点や能力を持つ生徒同士が互いに学び合えるような環境を創り出すことができます。例えば、ある概念を既に習得している生徒と、まだ苦戦している生徒を意図的に組み合わせることで、ピア・ティーチングを促進し、双方の理解を深めることが期待できます。このようなデータ活用を推進するためには、生徒のプライバシーに配慮した倫理的なデータ収集・分析・活用に関する校内ガイドラインを整備し、教員のデータリテラシーを向上させる取り組みが不可欠となります。