【カスハラとは】
「カスタマーハラスメント」の略でカスタマー(顧客・取引先)から受ける嫌がらせや、過度なクレームのことを指します。
[例]
・「名前は覚えたからな!お前の店の接客、動画にとってSNSで拡散するぞ!」など、脅迫まがいの言動をする
・「お前じゃ話にならない。本部の人間呼べよ!来るまで帰らないぞ!」などと言い、店舗に居座る
・「こっちは客だぞ!」と胸ぐらをつかんだり、「ババア!」「役立たず!」など、暴言/大声を出すといった暴力的な威嚇行為を行う
などです。
これはお客様上位のハラスメントになります。
実際に経験の浅いスタッフやコールセンターなどが受けやすかったりします。
では実際に遭遇した場合はどうすべきか?
まずは「通常のクレーム」と同じ対応フローで対応します。
もちろん度を越した行為に対しては、法に則った対応を知っておくことが重要です。
ただし、最初からこれは「カスハラだ!」と決めつけて対応してはいけません。
よかれと思ってご意見してくださったお客様が、つい大きな声を出してしまったからといってカスハラと決めつけ、「警察を呼びますよ!」と対応するのはNGです。
お客様はご不便を感じた上に「クレーマー扱いされた!」となり、さらに悪化した事態を招くことになりかねません。
まずはこちらに落ち度がないよう、基本手順を踏んで対応することが大切です。クレームを必要以上に怖がらず、対応者、リーダー、SVなどと連携をとり適切な対応をする事が必要になります。
クレームがエスカレートして犯罪行為になった場合は、警察や裁判所などを介した「紛争処理」として解決することもあります。
カスハラに関連することの多い罪名の知識があると、混乱せずに対応できる「後ろ盾」にもなります。
代表的な違法行為の例を挙げていきます。
(1)脅迫罪
相手を脅して、恐怖を与える。2年以下の懲役、または30万円以下の罰金。
▼「脅迫罪」に該当しうる行為
謝罪の姿勢を示し、常識の範囲内での賠償内容を提示しているにもかかわらず、大声を出す・モノを壊すなどの威嚇行為を通じて、「それでは納得できない」と執拗に迫る。
▼具体的な発言例
「おれは客だぞ!この店はなめてんのか!(机を叩く、壁を蹴る)」
「担当者の名前は把握したからな。〇〇組の者には、もう話をつけておいたから」
(2)恐喝罪
脅迫などで相手を怖がらせ、金品を脅し取る。10年以下の懲役。
※「脅迫罪」との違いは、「金品の要求があるかないか」。
▼「恐喝罪」に該当しうる行為
「ネット等に悪評を流す」「お前の上司に言う」などの揺さぶりをかけたうえで、過剰な見返りや金品の要求をする。
▼具体的な発言例
「まさか謝罪だけで済むと思ってないよね? 慰謝料、百万は払ってもらうよ」
「今回のことは公にしたくないよね?『それなりの誠意』を見せるのが普通ですよ?」
(3)強要罪
脅迫や暴力を用いて、相手に義務のないことをさせる。3年以下の懲役。
▼「強要罪」に該当しうる行為
謝罪の意を示すだけで満足せず、「土下座」や「謝罪文の提出」、「関係者の辞職」など、義務を越えた行為を強いたり、実現できないほどの償いを求めたりする。
▼具体的な発言例
「ほら、今すぐここで土下座しろよ!」
「今すぐ、ここで謝罪文を書けよ。できあがったら、他の客にも聞こえるように読め」
(4)威力業務妨害罪
威力を用いて業務を妨害する。3年以下の懲役、または50万円以下の罰金。
▼「威力業務妨害罪」に該当しうる行為
大声を上げる・机を叩く・蹴るなどの行為で、その場にいる人たちを怖がらせたり、迷惑をかけたりして、要求を無理にでも通そうとする。
▼具体的な発言例
「(机を暴力的に叩きながら)オイ、聞いてんのか? どうするんだよ!」
「(その場にいる人たちに大声で)お客さまに向かってこんなことを言うんですよ~!」
(5)不退去罪
正当な理由なく、他人の敷地内に居座る。3年以下の懲役、又は10万円以下の罰金。
▼「不退去罪」に該当しうる行為
嫌がらせやプレッシャーをかけることを目的として「要求を受け入れるまで帰らない」と言い張り、オフィスや店舗に居座る。
▼よくあるクレーム発言の例
「俺は客だぞ?客に向かって『帰れ』とは何事だよ!」
「本部の責任者が来るまでここで待たせてもらうよ。閉店時間?そんなの知るかよ!」
「返金してくれるまで返らないよ?」
などが挙げられます。
最近では消費者金融センターに連絡するからな!!という方も多いですよね。
もちろんこちらに非があって意見をいただくことが多いので決めつけは良くありません。
対応する場合は
・必ずひとりで対応しない。
→焦って冷静な判断もできなくなります。
必ず上長に相談しましょう。
・解決を早めようとしない
早急な対応は必要ですが、安易に相手の要求をのむと何度も同じ要求を繰り返すため、冷静に判断しましょう。
・書類の作成・署名・捺印は絶対にしない
どんな状況に立たされてもこの3つだけは断固拒否すること(謝罪文を書けと言われても、「上司の判断が必要です」といって自分で安易に作成しない
・警察と連携を取る
場合によっては警察や消費者金融センターに対応してもらった方がいい場合もあります。
その方が仲介を受け持ってくれるので、対応がスムーズにすすむこともあります。
「自分たちで対応しなければ」と抱え込まないこと(「いつ・どこで・どのような」問題が発生したのか整理し、器物破損などは証拠を持っていくか写真を撮って提出する)
最近は時代の変化でネットでの悪口や電話によるクレームも多くみかけます。
クレームとカスハラの違いや対処法を知ってることで今後は冷静に対処できるようにもなります。
しっかりと知識をみにつけ冷静に対処していきましょう。
対処法
まずは通常のクレームフローで対応しましょう。
こちらに落ち度がないように基本手順で対応する事がまずは大切です。
クレームを怖がらず
まずは対応者からリーダーに報告し、リーダーはSVと相談し、適切な対応をしましょう。
それでも無理難題を言ってくるクレームでカスハラに該当する場合は早急に上司に電話してください。
1人で対応せず組織として一緒に対応する事が必要です。
その場で無理難題を言ってくる場合はしっかりとお断りしましょう。
記録としても必要になる事があるので、なるべく防犯カメラのある場所で対応しましょう。
相手が録音や撮影する場合はこちらも
「ご意見を間違って認識することがないよう、録音させていただけますか?」
と言って録音しましょう。
正直最初は
「お怒りではあったが当然のご要望だった」
「最初は穏やかだったのに途中から豹変した」
など、その場での判断が難しいのがカスハラです。
なので組織として情報共有したり、無理な要求を繰り返すお客様に対してきっぱりと断る対処フレーズを練習しておきましょう。
例として載せておきます。
「カスハラ」対処フレーズ集
<迷惑行為を繰り返す場合>
「これ以上そのようなことをされるなら、警察を呼びます」
「そういった行為は、強要罪にあたると理解しています」
「私どもとしては、断じて応じることはいたしません」
<金品の要求をほのめかすような場合>
「当社のしかるべき部門が対応します」
「上司に確認して後日あらためて回答させていただきます」
「お客さまのおっしゃる『誠意』というのは、具体的に何を指しているのでしょうか?」
※相手に金品の要求を具体的に発言させると法的手段での対処がしやすくなる。金額交渉は絶対にこちらから提案しない。
更新日 2024/6/8