E-08後に探索可能となる場所。当該イベントを省略している場合は、最初から探索可能である。
別荘館内の東側2階にある個室のひとつ。他の個室より広く、かつてはスイートルームだったであろうことがうかがえる。
ここを調査する探索者は、<目星>でロールを行う。もしくは、書棚や机を調べる場合には<図書館>、室内の絵画などを調べる場合は<芸術:絵画>でロールを行うこともできる。歴史の知識がある探索者なら、<知識>や<歴史>でも調査可能だろう。
<目星>のロールに失敗した場合でも、この部屋が現在は歴史の展示室のように使われていることがわかる。他の部屋よりも書棚や骨董品が数多く置かれており、どれも歴史的価値や純粋な値打ちがありそうなものばかりである。
<目星>に成功した場合、探索者は机の上に置かれた小さい鍵に目が留まる。それを拾い上げて鍵が使えそうなところを探してみると、机の下の小さい収納に鍵穴がついているのを発見する。鍵を差して回すと予想どおり収納が引き出せるようになり、中には分厚いファイルが収められている。
ファイルには何枚もの古びた紙が丁寧に仕舞われているのだが、その紙にはどれも筆跡の違う文章が書かれており、どうやら全て手紙らしいということがわかる。ある程度ファイルのページをめくっていったところで、1枚の手紙に視線がとまる。他の手紙がどれも家族や友人に宛てたらしい長い文章であるなかで、この手紙にはほんの数行の文しか書かれておらず、また記名もされていない。
〈理解しています。いま私が生きていると知れば、あなたは私が何を言おうと、『勇敢に戦ったきみは英雄だ、失望などしない、会いたい』と、本心からそう言ってくれるであろうことを。けれど、それは不可能なのです。あなたがいまの私に会って失望しないなどということも、いまの私が英雄となることもあり得ない。あなたや私の知る英雄に、顔のないものはいないのです。だから、私を英雄と思ってくれるなら、どうかあなたが思い出せる私の姿をそのままにとどめて、それを英雄と呼んでください。それがいまの私の唯一の願いです。どうかお元気で、友よ〉
E-08のイベントを入れていた場合には、この手紙を書いた人物に見当がつくだろう。
<図書館>のロールに失敗した場合でも、書棚のなかから気になる本を発見することはできる。その本の表題は『The Elms Hotel』——どうやら自費出版のようだが、出版年には1920年と書かれており、廃業から2年後に出版されたものであることがわかる。ホテルの建物や歴史に関する解説、歴代経営者・支配人などについて詳細につづられた本であることがわかる(※もしB-02で情報を得ていない場合、ここで入手することも可能とする)。
<図書館>に成功していた場合、本のページをめくっているときにふと、ある文章に目が留まる。
〈……そして創業2周年を記念したパーティーでは、ジョージ氏(※初代エルムス・ホテル経営者、ロバートの祖父にあたる)の知人が招待され、その当時の各界有力者が招待された……そのなかには、マサチューセッツ州の有力実業家であり政治家でもあった■■氏も含まれていた。彼はのちにエルムス・ホテルを "マサチューセッツの礎となる最高級の宿泊施設" と称え、あるときは長期間貸し切りで宿泊することもあったという。遠方の宿泊客からだけでなく、地元の有力者にも愛されていた……〉
至って普通に見える文面なのだが、何故か探索者はこの文章が印象に残る。
<芸術:絵画>のロールに失敗した場合でも、技能値が高い探索者であれば、この部屋に飾られているいくつかの絵画は殆ど名前がわかる。なかには、メアリー・カサットなどの有名な画家の絵画も見られる。
成功した場合、そうした絵画のなかにひとつだけ、見覚えのない作品があった。暗い寝室のような背景に、巻き毛で白い服の美しい貴婦人が月光を受けて佇んでいる——ただそれだけではなく、暗闇に紛れるように何か、明らかに人間にも植物にも見えない何かの影が描かれている。作品名はないが、それがシェイクスピアの『ハムレット』を題材とした、象徴主義の特徴を持つ絵画であることは推測できる。象徴主義の絵画においてこうした "人智を越えた何か" をそのまま描くことは特段珍しくないが、何故か強く印象に残る。
画家の名前が書いてあるかどうかを確かめてみると、「ウィルソン・ジェンキンス」であることがわかる。絵画への造詣が深い探索者でも、その名前は見聞きした覚えがない。
この情報はプレイヤーが気づけば渡していいが、「ウィルソン・ジェンキンス」は<図書館>ロールで発見できる『The Elms Hotel』の歴代支配人ページに名前がある。1890年代から廃業の数年前まで務めていたらしく、その簡単な紹介には「画家としても素晴らしい才を発揮した」との記述がある。
<知識>-40%もしくは<図書館>のロールに成功した場合、エルムス・ホテルが廃業することに決まった6年前の記事を探す。エルムス・ホテルはアーカムでも有名なホテルであり、幸いにも閉館の報道はそれなりに大きな記事で扱われていたため、すぐに見つけることができた。
読むと、基本的には経営不振が理由として書かれているが、ある記事には「廃業となる少し前にホテル内で起きた事故の影響もあり、経営不振が決定的になったのではないか」といった内容の記述も見られた。その事故については詳しい情報はなく、他の新聞などで調べようにも事故に関する手がかりがないため、これ以上の情報は得られそうにない。
W203号室で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、このシーンは終了となる。