エルムス・ホテルについて調査することにした探索者は、アーカム内、もしくはその近郊の図書館に向かうことになるだろう。
アーカムの街は、今日も変わらず盛況である。いまふうの装いで着飾った美しい若者たちや、行き交う車と路面電車によって道路が埋められ、その全てが黄金期に相応しいだけの喧騒を繰り出している。
探索者はそんな風景を横目に歩き、マーシュ・ストリートの630番地にあるアーカム公共図書館に到着する。アーカムに在住していれば少なくとも一度は利用したことがあるであろう、市内で2番目に蔵書の多い図書館である。
調査のためダイスロールを行うことになるが、探索者が何について調べたいかをある程度詳しく指定できるようであれば、それに応じて補正を与えても構わない。
エルムス・ホテルの歴史について調査する場合、探索者は<図書館>もしくは<歴史>のどちらかでロールを行う。どちらでも出る情報は同じである。
失敗した場合、エルムス・ホテルに関する記述がある書籍をなかなか見つけることができない。ただ、時間をかけて探せば、アーカムの歴史について記述されている本のなかに、「Elms Hotel」の切り文字看板が掲げられた建物の写真を見つけることができる。その写真に添えられた説明には、「アーカム近郊のホテル、1914年撮影」と書かれている。
成功した場合、アーカムの歴史関連の書籍を何冊か読んでみると、そのなかでエルムス・ホテルに言及されているものがいくつか見つかる。
それらの書籍によると、エルムス・ホテルの創業は1856年で、タイナー家現当主ジョン・ヴィンセント・タイナーの父にあたるジョージ・エヴァンス・タイナーの代に設立された、ということがわかる。創業当時はアーカム近郊で唯一の格式高いホテルであり、アーカムの視察目的で訪れる政府関係者や地元の有力者が主な利用客だった。こうした情報から、ロバートの話していたとおり、南北戦争の英雄やマサチューセッツ州の政府関係者と縁が深いことは推察できる。
より詳しく読んでみると、エルムス・ホテルは創業から1880年代まで、中央の庭を挟んで東側に本館があったということもわかる。1887年に東西の建物が改修・統合されるまで存在していた西館は、南北戦争の時代には一部を臨時の療養施設として提供していたらしい。傷病によって前線を退いた、マサチューセッツ出身の退役兵を主に受け入れていた、と書かれている。
エルムス・ホテルが6年前に廃業になった理由について調べる場合、<オカルト>あるいは<知識>-40%か<図書館>のどちらかでロールを行う。ゴシップ好きの探索者であれば、<知識>の補正値は軽減しても構わない。出る情報は<オカルト>だけ他と異なる。どの技能でも、失敗した場合は情報が出ない。
<オカルト>のロールに成功した場合は、エルムス・ホテルが廃業した6年前、当時のゴシップ誌に何かホテルに関する情報が書かれていたことを思い出す。図書館でそのゴシップ誌を見つけると、ある小記事の見出しに目がとまる——「エルムス・ホテルに潜む影」。本文を読んでみると、その記事は概ね次のような内容であることがわかる。
「エルムス・ホテルの宿泊客から『謎の人影を見た』という目撃証言が複数寄せられている」「不審者かと思い、支配人に報告し調査を行ってもらったが、異常は見つからず人影の正体らしい人物も発見されない」……内容自体が派手なものではないためか、その記事は雑誌の端に小さく扱われているだけで、これ以上詳しい情報は出てきそうにない。
<知識>-40%もしくは<図書館>のロールに成功した場合、エルムス・ホテルが廃業することに決まった6年前の記事を探す。エルムス・ホテルはアーカムでも有名なホテルであり、幸いにも閉館の報道はそれなりに大きな記事で扱われていたため、すぐに見つけることができた。
読むと、基本的には経営不振が理由として書かれているが、ある記事には「廃業となる少し前にホテル内で起きた事故の影響もあり、経営不振が決定的になったのではないか」といった内容の記述も見られた。その事故については詳しい情報はなく、他の新聞などで調べようにも事故に関する手がかりがないため、これ以上の情報は得られそうにない。
図書館で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、次のシーンはA-02に移行。