別荘館内の東側1階にある個室のひとつ。
まず、探索者はこの部屋に入った時点で<アイデア>でロールを行う。失敗した場合でも、ここが他の部屋とは何かが異なるような気はするだろう。
成功した場合、室内全体を見回して覚える違和感がある。初めはそれがどこから生じているものなのかわからないが、仔細に部屋の状態を観察していくと、やがてその正体は鮮明になる――この室内には、至るところに「最近まで誰かが使っていたような形跡」が残されているのである。ロバートの話では、この時期に別荘を使っている人物はいないということだった。ベッドのシーツにシワが寄り、タッセル(※カーテンをまとめる短い帯)が外されて窓に半分ほどカーテンがかけられている……そうした他の部屋には見られない人の生活の痕跡に、探索者は少なからず薄気味悪さを覚えるだろう。
さらにここを調査する探索者は、<目星>でロールを行う。失敗した場合、情報はない。
成功した場合、室内に備え付けられている木製デスクの上に、1冊の本らしいものが置かれていることに気づく。ハードカバーの表紙で、表題がないところを見ると日記であるようにも考えられる。
内容を読むかどうかは探索者の判断に任せるが、もし読む場合は<図書館>でロールを行い、失敗で1D10+4時間、成功で1D6+2時間かけて読むことになる。当然ながら一度で全て読み切らなければならないわけではないが、何回かに分けて読む場合でも、最初のダイスロールの成否によって決まった所要時間は短縮されず、必ず経過するものとする。ただし、得られる情報は同一である。
この本を読むと、概ね以下のような内容であることがわかる。
〈私は鍵を使って、確かに懐かしきあの邸(やしき)へと戻ってきたのだ。……しかし、ここはどこだろう?また見覚えのない場所かと思えば、外には慣れ親しんだ森が見える。……そうしてしばらくここで身体を休めているうちに、段々と思い出し始めてきた。ここはかつて、1度だけ私が宿泊したことのある、麓のホテルだということを。……あるいはこの世界に、私の邸が正しく存在しなかったということもあり得たが、しかしいまは確認のしようがない。……じき、この場所を出られたときには確かめることも可能だろうが、私の手元にはまだ鍵がある。この事実をどのように解釈すべきだろうか?……〉
探索者がひととおり記録を読んでも、誰かが散発的に浮かぶとりとめのない思考を整理するために書いたものなのだろう、要領を得ない文章が続いていることだけがわかる。そのなかで、特に気にかかる文章があった。
〈ここは穏やかだ……しかし同時に、どうも気にかかることがある。私は本当にここに意識を繋げたのか?あるいはこの疑問は、このように表現したほうが適切だろう—— "この私は実際に存在しているのか" ?……もしこれが思い過ごしでなければ、この穏やかさはそれゆえに感じるある種の幻覚なのかもしれない〉
そして本の最後のページをめくったとき、表紙の裏側に小さく記名があることに気づく—— "ランドルフ・カーター" 、とそこには記してある。
この名前を知っているかどうか、<知識>などでロールを行うこともできる。知っているとすれば、第一次大戦の英雄として、あるいはアーカムの資産家としての姿だろう。
E104号室で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、このシーンは終了となる。