別荘館内の東側1階にある個室のひとつ。
この部屋を調べる探索者は、<聞き耳>でロールを行う。失敗した場合でも、部屋の扉付近に近づいたときに、中から声が聞こえることには気づくだろう。
成功した場合、その声は幼い少年のような高い声であることがわかる。単調で抑揚がないところから、本を読み上げているらしいことは推察できる。
「……そしてリンカーン大統領は、スコット将軍の構想にしたがって、新たな戦略を立てることにしました……これが "アナコンダ計画" と呼ばれる、南北戦争における北軍の方針を決定づけた戦略でした……」
探索者が扉を開け、中を確認するかどうかは自由である。
室内には、金髪の少年が座っているのが見える。探索者が静かに扉を開けた場合はしばらく気づかずに音読を続けているだろうが、普通に扉を開いたときには、ぱっと振り返って本を閉じ、寝台から跳ねるように降りる。
「——あっ、こんにちは!お客さまですか?ようこそ、エルムス・ホテルへ!」
無邪気な様子ではあるが、上品な振る舞いで挨拶をしてくる。いかにも利発そうで、爽やかな少年である。
「人間」の記憶の再現に初遭遇した探索者のみ、<正気度>でロールを行う。成功で0、失敗で1の正気度を喪失する。
ここで、ロバートと既知関係がある探索者は、<アイデア>ロールを行う。失敗した場合でも既視感はあるだろう。成功した場合は、彼の顔立ちや髪色などから、幼い頃のロバートであることを確信する。
「ぼくはロバート・タイナーといいます。お客さまのお名前は?」
「なにかお困りなら、ぼくが当館をご案内しましょうか?」
探索者がどうするかは自由である。
もし少年ロバートの提案を受ける場合、彼は適当に館内を案内しようとする。行先は、探索者からの指定がなければ西側2階である。質問には受け答えをするが、彼は「ここがエルムス・ホテルだった頃の記憶」しか持っておらず、探索者のことは客人だと思って接する。そのため、探索者が聞きたいようなことは、聞いたところで殆ど首を傾げてわからないと答えるだけだろう。また、探索者を案内している途中でロバートは消える。
ロバートの提案を受けない、もしくは案内の前後にE103号室を調べるのであれば、部屋に対して<目星>でロールを行う。失敗した場合、情報はない。
成功した場合、部屋のデスクや飾り棚に置かれた書物に目が留まる。どの部屋にも同様に内装の一部らしい書物は置いてあるのだが、それらが聖書や古典の小説、詩集といったジャンルであるのに対して、ここに置かれたものは南北戦争関連の書籍が多いことに気づく。その中には、子供向けと思しき本もあり、リンカーンの業績を称える内容であることがわかる。そうした子供向けの本には全て、本の表紙の裏など目立たない場所に、日付とともに「孫たちへ」というサインが小さく入れてある。
しかし、部屋自体はいたって普通で、探索者が寝泊りに使うこともできそうである。
E103号室で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、このシーンは終了となる。