ロバートから渡されたメモを見ながら、探索者はそこに記された住所に向かう。目的地が山の麓にあるためだろう、街から離れていくにつれ、あたりが薄い霧に包まれ、ごく細かな小雨が降っている景色へと徐々に移り変わっていく。
そうしてアーカムから南西に向かって数十分ほど下っていった頃、進行方向の先に目的地の建物が姿を現した。その建物は、白と深い緑を基調とした格式高い新古典主義様式の建造物であり、薄霧のなかに佇む姿がいかにも荘厳な貫禄を感じさせる。ざっと外観を見ただけでも1500平米以上はあるであろう、一家が使うだけの別荘にしては大きすぎる建物を見ると、確かにこれがかつてホテルであったという話にも頷けるものがある。
探索者は渡された鍵で門を開け、敷地内へと進んでいく。
石敷の道に沿って前庭を通り、玄関から別荘の建物のなかに入る。外観の荘厳さを見てなお期待を裏切らない、美しく品のある内装が静かに探索者を迎え入れている。建物内に人の気配はないが、どこを見回しても埃ひとつない様子から、管理が行き届いているのは一目瞭然である。
***
そして、B-04で<精神分析>の成功情報を獲得している場合のみ、探索者は建物のなかへ踏み入った瞬間にある記憶が蘇る。
それは、いままで失っていた "喪失" に関する全ての記憶である。相変わらず自分が気絶した数日前のことは靄がかかったように思い出せないが、それ以外に感じていた記憶の欠落、特に重要な "喪失" に関する記憶についてはこの時点で完全に取り戻す。
補足しておくと、<精神分析>に成功していない場合でも、対象の探索者は必ずこのタイミングで "喪失" に関する記憶を思い出している。ただ、<精神分析>に成功していないとそもそも "喪失" に関する記憶を失っていたこと自体に気づいていないので、取り戻したことにも気づかないだろう。勿論、ゲームマスターの裁量で「一瞬 "喪失" に関する記憶が頭をよぎった」とか、そのような描写を入れるのは自由である。
次のシーンはA-04に移行。