別荘館内の東側2階にある個室のひとつ。他の個室より広く、かつてはスイートルームだったであろうことがうかがえる。
現在でもよく利用されているのか、他の部屋よりもより一層装飾品が多く、そのどれもが丁寧に整頓されている。窓に目を遣ると、広い田園と濃い霧の森が鬱々とした芸術のような光景をつくりだしており、まるでそれ自体がひとつの絵画であるかのように見える。
この部屋を調べる探索者は、<アイデア>か<目星>でロールを行う。失敗の場合、情報はない。
成功した場合、探索者はこの部屋の端に置かれている豪華な天蓋付きの寝台に目が留まる。カーテンに遮られてぱっと目につかなかったが、その寝台の上に何かが置いてあるのが見えた。近づいて拾い上げ、それが何かを確かめるなら、鍵つきのノートであるらしいことがわかる。
鍵がかかっており、内容を確かめることはできないが、<鍵開け>を試みるか、もしくは鍵を見つけられれば開けることもできるだろう。
もし、ここで探索者からこの部屋を詳細に調べると宣言があった場合、さらに<追跡>、<目星>-25等の技能でロールすることが可能である。失敗した場合、情報はない。
成功した場合、この室内をよく調べまわってみると、本棚に収められた数多くの本のうち一冊だけ、天板に接地していないことに気づく。それを引き抜くと、本の下に鍵が挟まれていた。本自体も注視して見るなら、何度も出し入れされているのか、他の本よりやや状態が悪くなっている。
発見した鍵を使って本を開くと、それは誰かの日記であることがわかる。散発的な記述が続いているため、気がかりな内容を拾い上げるには、必要数の<図書館>ロールに成功する必要がある。また、情報を拾うのに時間がかかるため、最終的にこの内容を把握するまでにかかった時間を1D3+1時間で決定する。
〈1910年3月……こっちに来たときに書けるように、ここにも日記を置かせてもらうことにした!せっかくだから、こっちの日記にはここで起きたことを書いていくことにしようと思う。父さんが仕事の邪魔になるところには置いちゃダメだって言うから、ぼくしか知らないところに鍵を隠すことにした……〉
〈1912年7月……今日は姉さんが一緒に遊んでくれた!姉さんは父さんの仕事のことばかり話すけど、なんだかとても楽しそうな顔をしているからぼくも笑っちゃった。……そういえば姉さんと遊んでいるときに、ぼくと同じくらいの背丈の子が東の202に入っていったのが見えたけど、確かめたらやっぱり誰もいなかった。でも、父さんに言ってもまた信じてもらえないだろうな。姉さんはぼくが嘘つきじゃないことは信じてくれるけど、本当に人がいたとは思ってくれていないみたい。昔なんて、一緒に遊んだこともあるのにな……〉
〈1916年5月……ウィルソンさんの訃報が届いた。しばらく前から病気だとは聞いていたけど、信じられない。僕が子供のころからこのホテルを守ってくれた恩人なのに、もう話せないなんて。まだ玄関を入ると彼が迎えてくれる気がする。……少し前から彼の代わりで入ってくれたジョセフさんは、なんだか少し不思議な人だ。身体の動かし方がぎこちないときがあるし、過去に何かあったのかな。彼が不便にならないようにできたらいいのだけど……〉
〈1916年6月……何か事件が起きたらしいと聞いて父さんとここに来たら、裏の廃棄所に人間の脳が捨てられていたらしい。殺人事件との関連を警察が調べてくれているらしいけど、少なくともお客さまや従業員たちに被害はなかったみたいだ。……だけど、何故そんなものがここにあったんだろう?殺人事件と関連があるとして、一体、誰が何のためにここに捨てたんだろう?〉
〈1916年8月……結局例の事件は、死体がないということで捜査も終わった、と父さんが言っていた。不気味ではあるけど、あれから同じことは起きていないから、考えないようにするしかないのかもしれない。……最近父さんは、エルムス・ホテルを廃業しようか迷っている。僕が引き留めていなければ、もうそうなっていたかもしれない。けれど、ここはおじいさまの大事なホテルだから、なんとかして残したいんだ……〉
以上が日記から拾う気がかりな情報である。ここまで読んだ探索者なら、もうこの日記を書いた人物が誰かは見当がついているだろう。
E203号室で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、このシーンは終了となる。