別荘館内の西側1階にある個室のひとつ。
現在は書庫として使われているらしく、他の部屋にあるような寝台などがない代わりに本棚が並べられている。
この本棚を調べる探索者は<図書館>、部屋全体を調べたい場合は<目星>などでロールを行う。いずれも、成功した場合のみ情報が出る。
<図書館>でロールした場合、ここにある蔵書は半分以上が歴史・経済といった分野のものであることがわかる。しかし、比較的最近の本などに紛れて、絶版になっている歴史学の学術書や詩集といった古い本も収められている。そうした本の中から、ふと気になったものを取ろうと引き出したとき、本と本の間に何か紙切れのようなものが挟まっていたらしく、それも一緒に引き出される。その紙には、次のような文が書かれている。
〈ここはどこなんだ?本当にあの "エルムス・ホテル" なのか?私はどうしてここにいるんだ?どうして出られないんだ?——どうして、覚えていないんだ……〉
<目星>でロールした場合、特に気にかかるものは見つからない。本棚が並んでいて死角が多いということもあるのかもしれないが、いずれにせよ特に何か見つかりそうにないと思い、探索者はデスクのそばにある椅子に腰かけた。
そして、その視点の低さになって初めて気づくことだが、このデスクは天板の下に収納がついており、それに小さな鍵穴がついている。どこかに鍵があれば、中を確認することができるだろう。
C-18で鍵を入手し、再度調査して得られる情報。
鍵を使って収納を引き出すと、中にはピンで綴じられた書類が入っている。書類には簡単な表紙のようなものがついているのだが、そこには「エルムス・ホテル内で発生した事故に関する報告書——1918年」とある。
書類を読んだ探索者がざっくりと把握できるのは次のような内容である。
〈ジョセフ・ジェンキンスは、かつてのエルムス・ホテルの第4代支配人で、エルムス・ホテルが廃業する直前の1920年に、館内で起きた事故によって死亡している。事故当時の状況は、W203号室の清掃中に家具を運搬していたものとされ、階段に落ちていたワインボトルを誤って踏んで転倒。頭を打って即死した。つまりこれは完全なる事故であり、事件性はない……〉
ここからさらに情報を得たい場合は、探索者から「もっと詳しく調べたい」などの行動宣言があれば、<図書館>などの適当な技能でロールを行い、この調書をより詳しく読むことも可能である。
その場合、ロールに成功すれば次の情報が出る。
〈解剖の結果、遺体には当該事故によるものと思われる負傷以外は見られず、体内からも不審な物質は検出されなかった。ただ一点、遺体の頭部からは脳が発見されず、それを摘出したと思しき手術痕等も見られなかったことを除けば異常性はない……(中略)……この事実については、エルムス・ホテルの責任者ジョン・ヴィンセント・タイナー氏より、顧客の信用に関わるという経営上の都合から、公にしないよう願い出があったため、一部関係者以外への口外は原則禁止とする……〉
W106号室で得られる情報は以上。
探索者から他に行動の要望がなければ、このシーンは終了となる。