投稿日: Mar 18, 2017 1:14:11 AM
オープンスパイラルモデルによる学び支援システム構築
~新しい教育システムのデザイン~
Education System Design on Open Spiral Model for Learning Support
まえがき から
研究と教育は学会の背負う基本的ミッション。健全なコミュニケーション社会の形成、新しい教育システムのデザインについて一緒に考えようと働きかけることが本稿の目的。会社や学校への貢献、研究、論文以外の社会に目を向けることへのお誘いでもある。光ファイバと半導体、メモリは、情報処理のイノベーションをもたらし、SNS、人工知能は空間と時間を超えて人間まで一変させようとしている。しかし「神ってる」の日本に対し、英国の流行語大賞「ポスト真実」を見逃すわけにはいかない。情報化社会は民主主義を危機に陥れているとの警告を考え直さねばならない。
これからの時代を、どのように生きればよいのか?どんな資質・能力が必要となるのか?そのためには若者にどんな支援をすべきか?戦後70年を経た教育システムの軌道修正が求められている。平成28年12月21日、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会は2年にわたる審議をまとめて平成32年以降の教育課程、学校の在り方について答申を出した(4)。
300ページを超える答申本文を読んで理解することは容易ではない。指導要領を読む先生は少数とも。新たな教育理念を伝え、啓発・実践・実現に導くには?死の谷の克服モデルを思い出す!そんな中、私のできることとして、昨年12月3日、文部科学省の後援も得て、研究イノベーション学会主催で第4回「学びのイノベーション」フォーラムを企画、都内で開催した(5)。理念取りまとめに尽力された中央教育審議会の委員と、授業改善を実践されている高校の先生との対話の場とした。フェイスブックを活用してこのフォーラムの意図を説明、先生中心に一般市民を含めて80名を超える参加者が、午前中のワークショップから夕方の懇親会まで、終日様々な形でアクティブ・ラーニングを体験した。それは1月28日の日本創造学会のワークショップに引き継がれ、3月23日の電子情報通信学会の総合大会のシンポジウムに繋がる。
気づきや学びの基本は、伝わり感じることにある。送り手の一方的な話は伝わらず、受け手との共通認識が必要なことは、放送の局部発振器や、通信の符号・復号器から理解できる。大学の先生の易しい出前授業は生徒の理解を保証するとは限らず、事前の教科書の内容把握が必要である。
そんな基本を胸に、デザインについて基本認識を確認、教育分野に越境して、学会の新たな役割を説き、教育と言う社会システムのデザインを一緒に考えようと提案するものである。