「詰め込み」、「ゆとり」と教育の方針は大きく揺れてきました。グローバル人材育成、コミュニケーション能力育成が叫ばれていますが、そもそも「教育とは何か?」の基本に立ち戻って考えることが大切ではないでしょうか?みなさんも教育の仕組みの軌道修正が必要なことは感じるところ。トップダウンでの改革に頼らないで、現場の先生を中心としたボトムアップでイノベーションを図りませんか。
反転授業やアクティブラーニングなどの生徒の主体的参加を促す授業工夫する先生のお話しを聞くことから始めませんか?環境となった情報の中で、デジタルネイティブが意欲を持って遊び、学び、働くなかで生きる道を見出すことを支援しませんか?生徒の学び意欲の構造を理解して、先生を支援するシステムを模索することが本研究会の目的です。
これまでの種々の対話から、学びの意欲を高めるための方策を考えて以下の図を作成してみました。後戻りでなく社会の変化の中での実現を考えると、デジタルネイティブを前提に情報社会の変化の中での方策を考え、子どもに大きな影響力をもつ家庭の母親、塾や予備校を巻き込むことを考えてみました。
基本方針について - May 25, 2013 3:8:52 AM
イノベーションフロンティア研究懇談会への期待 - May 25, 2013 2:29:4 AM
posted May 25, 2013, 11:29 AM by Ogai Mikio [ updated May 26, 2013, 12:31 AM ]
<提案までの経緯>
10月末の研究技術計画学会には6年ぶりに参加、「“つうしん”ロードマップの共創」のタイトルで報告もしました。その折、内平さん(JAISTで同じ亀岡研究室)からのお誘いで「イノベーションフロンティア」のシンポジウムに参加、幹事の久野先生の熱心な呼び掛けに応じて、委員長の小林さんのお顔も見かけして身近にも感じ、研究会設立に関心あるメンバーのメールリストに加えていただきました。
企業に37年勤務、光ファイバや光増幅器の実用化に携わり、米国市場開拓や米国光ファイバ事業の買収にも拘わりました。こうした経験を若い世代に伝え、創造力ある人材を育てたいとの気持ちに加えて、亀岡先生がロードマップの講義の最後で大学時代の恩師猪瀬博先生が共創を説かれていたことを紹介されたことが、JAISTで知識科学をMOT社会人コースの中で学ぶ起点となりました。この5年間の仙台での生活は、MOTでのイノベーションの議論とは大きくかけ離れたものにしたようです。企業から大学に転じ、未来を担う高校生の電気・情報系の学問技術への関心喚起を特別の任務とし、東日本中心に150以上の高校を飛び回り、激務に追われる先生を「生徒の意欲を高める」ことで支援したいとの思いから、人中心にものごとを考えるようになりました。そんな折の大震災でした。生き延びるためには、一人一人が判断し行動する力の重要さを教えてくれました。想定や前提に基づいた科学技術、社会システムなど人の作るものに完全はないことを学びました。「人と人のつながり」が行政の限界を乗り越える力となることも。
「教育システムのイノベーション」を!
イノベーションには技術が不可欠ですが、その開発を担うものも恩恵を受けるのも人です。しかし多くのMOTの議論が、人への技術の押し売りになっているのではと危惧しています。人の理解、人の意欲を出すことから、生徒に学びの意欲を向上させる仕組みつくりからイノベーションを考える。これが私の問題提起です。人の意識を変えることが容易でないことは申し上げるまでもありせん。大震災を体験した現在はその限られた機会です。
大震災を基点とした教育のイノベーションを推進する手順を皆様とご一緒に議論させていただくことが私の願いです。これまで、電子情報通信学会の一研究会において、細やかな活動を推進して参りましたが、来年中ごろまでに他の学会や分野の専門家と一緒に、被災地の関係者を東京に招いてシンポジウムを開催することを出発点として考えています。
しかしこれだけでは総論賛成で具体論に発展しないでしょう。コミュニケーションが成り立たないからです。これまでのMOTや学会の言葉でお話しをする必要があるのです。この準備ができなくて提案には至りませんが、期待との形であれば何でも言え、何かを伝えられるだろうとの思いで以下を書いてみました。
私の抱くイメージは、実証主義をベースにピュアレビューで真理を決める学会の役割をイノベーションによって課題解決型に改めることであり、グローバル経済、市場原理を中心とした技術と市場中心のパラダイムを人中心に変えることです。この基本となるのは、人の能力と可能性を引き出す教育システムのイノベーションです。生活が豊かになり多様になった社会の中で、学校や教員を取り巻く仕組みも仕事の内容も変化することなく取り残されています。この改革を人の意欲を中心とした仕組みに創り変えることが不可欠と思います。皆様と一緒に意見を行いながら、課題解決に寄与することができれば幸いです。 (2012年11月14日 小粥 幹夫)