いきなり脱線しますが...

投稿日: 2013/06/30 16:42:42

いろいろなところに書いてありますので,繰り返しになりますが,僕は,真核型タンパク質合成の試験管内再構成ができればいいと思って研究を進めています.

このテーマを設定するきっかけになったのは,2005年12月の,第1回「細胞を創る」会です.

細胞を,それを構成している部品から組み立てる方向の研究が,世界中で始まっていたのです.そのために,再構成タンパク質合成系が要るのです.

実際には,真核細胞を部品分子から組み立てるのには,まだ何十年もかかると思います(百年以上かかると思います).原核細胞なら,できたように見えるようになるのは,かなり近い将来かもしれませんが,それが本当にできたことを示すのには相当な時間がかかると思います.

水溶液中の生体分子でも扱えるような,ナノスケールの3Dプリンタみたいなものができれば早くなるかもしれないですが...

ところで,話が変わりますが,人類の歴史を振り返ると,18世紀の産業革命が一つの大きな転換点だったことはまちがいありません.化石燃料からのエネルギーの取得が可能になり,肉体労働の一部を機械に負わせることができるようになったので,生産効率が飛躍的に増大して,その恩恵を受けた人たちの生活が豊かになったわけですが,それが,徐々に世界中に拡がったことになるのでしょう.

そのために,人口が増えてしまったわけですが,今度は,人類が栄養として使える窒素が足りなくなりました.この問題は,20世紀になって,窒素からアンモニアを合成するハーバー-ボッシュ法が実用化されたことで解消されました.現在でも窒素不足は起きていません.一方で,二酸化炭素の大量排出による温暖化の問題が20世紀末ころから問題になっています(アンモニアや酸化窒素の増加による環境汚染も問題なのかもしれないですが,どうなっているのか,あまり有名でないので知りません).

僕は,個人的には,次に人類の歴史を変えるのは,人が設計するように機械を設計して実際に作ることができる機械(ロボット)ではないかと思います.そんなに遠くない将来にできるんじゃないかと思います.ただし,エネルギー資源の劣化・枯渇と競争です.人が普通にできる肉体労働をすべてこなすことができ,しかも,自分自身を再生産できるし,用途に応じて機械を設計,生産できるようなロボットです.

自己増殖できる細胞を分子から組み立てることと,どちらが先にできるでしょうか.

僕は,ロボットのほうが先にできると思っています.そう思うのは,ロボット工学を,あるいは,機械工学を知らないからかもしれません.ですが,ロボット工学のほうが,経済的な価値が高いはずです.

ただし,何を以って出来たと言うかについては曖昧にしておきます.