6. シャペロンでなくてもいいよね...

投稿日: 2016/07/16 14:31:29

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まあ,そういうわけで,真核型シャペロンを大腸菌に突っ込んでみよう,とおもったのですが...

表題の通り,シャペロンでなくてもいいじゃないか,とも思えます.真核細胞にしかないタンパク質を大腸菌に作らせることで,大腸菌を試験管にして,いろいろな真核型タンパク質の相互作用を見ることができたらいいじゃないか...

でも,正しくフォールディングしないとどうにもならないですよね.

考えてみると,酵母のtwo-hybrid systemというのがあって,1990年代からタンパク質-タンパク質相互作用を解析するために使われています.two-hybridというのは,hybridが2つということです.2つ合わさると特定のプロモーターからの転写が活性化する転写因子のそれぞれを,相互作用を解析する対象の2つのタンパク質のそれぞれとhybrid(融合タンパク質)にした,マルチドメインタンパク質を発現させる方法です.相互作用があれば,2つの転写因子が近づくので,転写が活性化して酵母のコロニーに色が付く,というわけです.

愛媛大学の学生なら,Alpha-Screenと同じようなものだと思ってもらえればわかりやすいかもしれませんが...さすがに3回生ではまだ知らないですね.

当然ながら,酵母を使うのは,もちろん,酵母のほうが便利な面もありますが,大腸菌でできないからです.あるいは,大腸菌ではあまり意味のある結果が得られないからです.大腸菌でそういう方法を考案して試した人もいたかもしれないのですが,最終的に実用化されたのは酵母の系なのです.

これって,結局,大腸菌では融合タンパク質が必ずしも正しくフォールディングしないからじゃないかと思うわけです.

だから,やっぱり,フォールディングさせるシステムが最初に必要で,それがうまくいったら他のものも導入できたらいいかもしれないのです.