7. 真核型でなくてもいいよね...

投稿日: 2016/07/16 14:28:43

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それで,コムギのCCTの8つのサブユニットのcDNAをNBRPからいただいて,発現ベクターに入れて発現させてみたのですが...

まあ,大概予想はできたのですが,tRNAを補充した菌でしか発現しませんでした.8つ同時に発現させるとなると,やっぱりきついなあ,というのが正直なところです.

そんなこんなしているうちに,遺伝子合成がとても安くなったので,現状では,全部のサブユニットのcDNAをデザインして大腸菌にコドン使用頻度を合わせたものを使っています.まだ途中ですが,それらを発現させてみています.

一方で,胚芽からCCTを採ってきて,大腸菌無細胞タンパク質合成系に加えるのでもいいかもしれない,と思っています.そのほうが後々簡単かも,とも思います.

さらには,8つも同時に大腸菌に遺伝子を入れて全部発現させるのは大変なので,もっと簡単なことを考えたほうがよいとも考えています.そのためには,古細菌のthermosomeを発現させるのでもいいかもしれないと思います.もともと,真核細胞のタンパク質合成系は古細菌由来だと思われますので,より単純な古細菌のシステムを大腸菌に組み込んでみるのもありだろうと思います.

このあたりの実験はまだ始まったばかりです.

要するに,大腸菌のタンパク質合成系に,由来の異なる因子を足してみよう,というのが,この研究テーマでやってみたいことです.うまくいったら,例えば,「合成進化生物学(synthetic evolutionary biology)」といったような名前を付けてみてもいいんじゃないか,と思っています.

「進化合成生物学」というか,evolutionary synthetic biologyというものはすでにありますが,これは違うものです.