ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品
病院で受診する際などで、ジェネリック医薬品のご案内を目にする機会が増えているのではないでしょうか。
「とにかく安いから」という理由で選んでおられる方、「なんとなく不安だから」という理由で避けておられる方など、ジェネリック医薬品に対してお持ちの印象はさまざまだと思います。
そこで、ジェネリック医薬品について少し深掘りしてご紹介いたします。
お薬は、「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つに分けられます。
医療用医薬品は、医師の診断によって処方されるお薬のことで、患者さんが自由に購入することはできません。
一般用医薬品は、いわゆる市販薬のことです。処方箋なしで、ドラッグストア・薬局などで購入できます。
さらに、医療用医薬品は、「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」に分類されています。
新薬は、10年程度の歳月と、数百億円以上の費用をかけて開発されます。そのため、開発した製薬会社に対しては、特許の出願により、一定期間、開発した新薬を独占的に製造・販売する権利が与えられます。
しかし、特許期間が過ぎると、その権利は国民の共有財産となり、他の製薬会社から同じ有効成分を使ったお薬が製造・販売できるようになります。それが、一般的にジェネリック医薬品と呼ばれています。
ジェネリック医薬品は、新薬と同一の有効成分を含み、効き目や安全性が同等であると厚生労働省が承認したお薬です。
新薬に比べると開発費や開発期間が少ないことから、新薬より低価格で購入できるのが特徴です(3割から5割程度安くなることが多いです)。
また、メーカーによって、服用しやすいお薬へ製造工夫が図られていることもあります。
ひとことで「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものにも、2つのタイプがあることはご存じでしょうか。
1.オーソライズド・ジェネリック
先発医薬品メーカーから権利の許諾を受けて、先発品と同じ原薬、添加物、製造法等で製造された後発医薬品のことです。
オーソライズド・ジェネリック医薬品は新薬とほぼ同一のものが安定的に生産・供給され、効果も同一、かつ価格は低く抑えられています。しかし、残念ながらすべてのジェネリック医薬品にオーソライズド・ジェネリックがあるわけではありません。
2.一般的なジェネリック医薬品
先発医薬品と有効成分・効能効果が同一ですが、その他は異なる場合があります。
多くの場合、錠剤のコーティングやカプセルの成分が新薬と異なるため、有効成分の溶出パターンが新薬と異なる可能性があり、降圧剤や糖尿病治療薬の場合には、血圧や血糖の数値に違いが生じる可能性があります。一方で、成分の溶出があまり問題とならない場合(例:胃腸薬・咳止めなど)は、効果に大きな差違はないと考えられます。
ただし、効果とは別に、ジェネリック医薬品ではコストダウンの影響でコーティングが薄く、薬効成分の匂いがきつく感じられたり、添加物に対してアレルギーが出る場合もあります。
このように、「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものにも違いがあるということは、お薬選びの観点から知っておきたいポイントとなります。
高血圧・糖尿病などの生活習慣病治療薬や心臓病、脳神経疾患の薬剤は、病状が不安定となるリスクがあるため、できる限りオーソライズド・ジェネリック医薬品を選びましょう。上記以外の治療薬では、通常のジェネリック医薬品を選択しても大きな支障は無いでしょう。
このように、病気の種類や、他の服薬状況、健康状態などによって、適切なお薬も変わってきますので、ジェネリック医薬品についての基礎知識を持ちつつ、主治医や薬剤師とよく相談しながら適切に取り入れて、お財布にも体にも優しいヘルスケアを目指してみてはいかがでしょうか。