都市の多自然川づくり
1. 問い
・都市河川で多自然川づくりは可能なのだろうか?
・都市河川と郊外、農村河川の違いは?
2.都市河川の課題
1) 流出現象の変化
都市化によりピーク流量は2-3倍、雨が降ってから洪水が到達するまでの時間は10分程度まで短くなる。洪水流量のこのような増大に河川改修で対応するのは大変である。都市化の過程では、河川改修は都市化の進展に追いついていくことができず、しばしば氾濫を引き起こす。洪水到達時間の短縮は、雨が降ると川の水がすぐに上昇することを示しており、安全に川で遊ぶことを妨げている。
このような流出現象の変化は都市が建物やアスファルトに覆われ貯留、浸透などの機能を失うからである。
2)土地利用の高度化
河川沿いまで家が迫っていることが多く、上記の流量増に対応するために河川の拡幅は容易ではなく、コンクリートで川を固め流れを早くし、川を掘って断面を確保する対策がとられてしまう。
その結果、人は川から遠ざけられ、洪水の到達時間はますます速くなる。
*注 洪水の到達時間が短くなると短時間の高強度の雨でも洪水が起こりやすくなる。これは結果的に洪水の頻度を増加させることにつながる。
3)周辺と一体化しない河川
都市河川に沿って公園がある場合があるが、多くの場合河川と公園は別々の考え方で整備されており、一体化さえていることはまれである。河川と公園の一体化整備は、環境を良くする場合に極めて有効な手法であるが、なかなか行われない。それは、管理者が異なるためであり、また都市計画と河川計画がばらばらに行われているためである。
図ー1
図ー2 都市化により同じ雨が降っても洪水の量は大きくなる.
この図によると、市街化率が13%→64%で流量のピークは約450㎥/s→1450㎥/sと3倍以上になっている。洪水が到達するまでの時間も大幅に短くなっている。
http://www.bosai.go.jp/library/bousai/naisui/f3.htm
図ー3 神戸の都賀川の例 わずか12分で水位は1.34mも上がっている
http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/anzen/index4.htm
2.都市河川の多自然川づくりの方法
・空間を確保する
・空間を有効利用する
・流量をコントロールする
・最初からできないと思わない
・柔軟に考える
・仲間を集める 協働
・游歩謀賛(ゆうほ:フィールドを歩くこと、遠藤先生の発語、桑子先生の言うフィールドワークショップ、はかる:作戦を立てる、たたえる、お互いにたたえる)以上のようなたくらみを行い多自然川づくりを進めよう。
3. 空間を確保する
都市河川の多自然川づくりにおいて、最大のポイントは川沿いに空間を確保することである。都会には空間がないと思っている人もいると思うが、都市には公園があり結構川沿いにも公園はある、物である。グーグルマップなので探してみると面白いと思う。
図ー4、図ー5 に京都と東京の都市河川の例を示したが、
図-4 京都の都市河川 図ー5 東京の河川