淀姫神社と白玉饅頭

昨年の夏、長野県の松本市の魚類学会に参加した。魚類学者の一人から「島谷さん、あの有名な玉島川のある佐賀に今お住まいですよね」と話しかけられた。魚の世界では、玉島川は、鮎の字の由来の河川としてチョッと有名であるらしい。佐賀県内には神功皇后(オキナガタラシ姫)の伝説が各地に残っている。オキナガタラシ姫が新羅に遠征する時に、玉島川で釣りによって運気を占った。その魚がアユだったので魚偏に占と書いて鮎をアユにあてたという。ちなみに、中国では鮎はナマズのことである。

オキナガタラシ姫の妹が淀姫で、嘉瀬川が平野にでる大和町の川上神社の主祭神である。地域の人はこの神社を淀姫神社ともっぱら言っているようである。淀姫は姉のオキナガタラシ姫を慕って、佐賀に来た途中に嘉瀬川の洪水を鎮めたといわれている。淀姫は名前のとおり水を淀ませる(遅くする)という意味の川の神様である。淀姫はそこで、可愛い玉のような男の子を産み、村人は白い饅頭を作り祝った。白玉饅頭は、このような由来を持つが、うるち米で作られた非常に古いタイプのお菓子だそうである。川上神社の両岸の住民は淀姫の家来であるナマズを食べない風習がある。川上神社は県内外に広く分布しているが武雄の朝日の川上神社も由緒が古く、伝説の内容は少し異なっているがこの地域の人もナマズを食べないそうである。