鹿島の鮒市(ふないち)

1月18日、鹿島市浜町でフナ市が開催された。フナ市は全国的にも珍しい市で、例年、1月20日の二十日恵比寿の前日の19日に行われるが、今年は観光客の増加を狙って、18日、日曜日に行われた。

朝4時に佐賀のホテルを出て、鹿島に着いたのが5時少し前である。前日の雪夜とは打って変わり、この日は快晴で空は澄み、冴え冴えとした本当に寒い朝である。空にはくっきりと三日月が浮かんでいる。5時から市は始まるということであるが、5時少し前からフナを買いに来る人がいる。フナを売る店、有明海のカキなどの海産物を売る店、フナの昆布まきを売る店、昆布を売る店など、いろいろな露天が並んでいる。フナは長さ3m、幅1.5m程度もある、大きなバットの中に信じられない数が生きたまま入れられ、売られている。フナの大きさ別に、別々のバットに分けてある。大きなフナは、50cm程度もある。ゲンゴロウブナがほとんどであるが、マブナも売っている。その他、ウナギ、ナマズ、スッポンや1mもあるようなコイなども置いてある。

鹿島市のフナ市は300年以上の伝統を持つ市で、二十日恵比寿のご馳走のフナの昆布巻きの材料を売る市である。フナの昆布巻きは、フナンコグイと呼ばれるが、鮒の煮こごりがなまった言葉だそうだ。二十日恵比寿には、鯛を振舞うのが慣わしであったが鯛が高価なため、鯛によく似たフナが用いられるようになったと言われている。鮒は久留米などから持ってきているそうで、鹿島市だけではなく周辺からもフナを買いに人が集まる。

6時を過ぎ7時になると人も増え賑やかになる。地元の人たちが、昆布巻きや、飴湯などを振る舞ってくれる。私もいただいた。フナは骨まで柔らかく、温かい飴湯が体にしみ、本当においしかった。フナは、どんどん売れて行き、大きなフナは7時ごろには、ほとんどなくなっている。一人で2kg、3kgと買っていく人もいる。私も30cm程度のフナを買い、佐賀で仲間とこっそり、こわごわ刺身にして食べた。本当に楽しい一日であった。

注:鮒の刺身は、においもせず、甘みと旨みがあって、とても美味いのですが、寄生虫が心配なので多くは食べられませんでした。

鹿島のフナ市

ふなんこぐいを作っているところ

鮒市の様子

佐賀には沢山の恵比寿さんが見られる。漁業の神様であり福神である