レストア作業(ドライブ編)

本体のレストアが終了したので、各ドライブを含めた運用面の機能について考えます。現代においてNxにできることとできないこととを明確に切り分け、冗長の無いハードウェアの構築をしたいと思います。

まず、DOSオンリーの環境構築をしたいという前提がありますので、Windowsを手放す事でいよいよネットワーク接続が非現実的になります。どのみちNxでネットワーク接続するメリットはありません。ひとまずメインPCとファイルをやり取りするための簡便的なパイプラインを確保できれば十分でしょう。手持ちのDOS用メディアへのアクセスについては、3.5インチFDドライブとCD-ROMドライブがあれば可能です。また、せっかくのノート型PCの利点を損なうような増設機器のぶら下げ拡張は望ましくありません。

これらの要件を満たしつつ、可能な範囲で新しい規格のハードウェアをセットアップし、私の所有する最後のPC-98として長く君臨し続けてほしいものです。

とはいうものの、心配の種は尽きません。パーツひとつ取ってみても、もはや市場は品薄で高価であり、費用対効果はモチベーションを削がれていくような悪さです。また、根本的に本体を含むすべてのハードウェアが古いため、いつ故障するやもしれぬ危惧を払拭する事はできません。このあたりの事情がPC-98を維持するのか否かの判断を迫られ続ける要因となるでしょう。

CD-ROMドライブを調達
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このPC、背面にPC-9821Nx/C7とラベリングされていました。Nxには2種類のベイがあります。「C7」のモデルはCD-ROMドライブベイの方にCD-ROMドライブを搭載しているモデルのはずですが、おかしなことにバッテリパックが搭載されていました。98NOTEベイにはFDドライブが搭載されていました。

事情はよく分かりませんが、入手元の父の職場で同じ機種同士でドライブやバッテリパックを持ちまわして使っているうちに構成がちぐはぐになってしまったのでしょうか。ちなみにバッテリパックはさすがにへたり切っていました。

CD-ROMドライブ搭載モデルなのにCD-ROMドライブが無いのはさすがに恰好がつかないし、手持ちのメディアにもアクセスできません。そう思いヤフオクでPC-9821NA-C01という2倍速のCD-ROMドライブのジャンク品を入手しました。
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到着した商品ですが、まず、CD-ROMドライブのトレイが完全に収まり切らない状態でした。ジャンク品ですから文句は言えません。

仕方がないのでベゼルの部分を手で押し込みながら、手始めに音楽CDを再生してみたところ、音楽が飛び飛びになって再生されます。レンズやレーザー、ディスク回転用モータやシーク用モータ自体には異常がなさそうだったのでなんとかなるかもと思い、分解整備することにしました。
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ベゼルが閉まらないのはロック機構の不具合だったので調整・修理しました。

音飛びについては、ピックアップレンズの近くのネジのような部品を少しだけ回してレーザーの出力を調整しました。

修理完了です。

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正真正銘のジャンク個体でしたが使用できるようになりました。むしろ直せるレベルの故障だったのは運が良かったと思います。こうした個人売買でのPC-98パーツは何しろモノが古いので、ジャンクであろうとなかろうと十中八九は異常があると思っておいた方が間違いありません。

ラベルにシミができていたので、これもラベルをPCで制作しました。擦り傷も結構あったのでベゼルは成形・塗装を施しました。

ちなみにこのCD-ROMドライブも修理したのは7~8年前の話ですが、今のところ故障せずに頑張ってくれています。

シリコンディスク化
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NxはI-O DATAのHDドライブ(中身はFUJITSU製の1GB)に換装された状態でした。中古HDドライブは、いつトラブルが起きてもおかしくないので交換を検討していました。Nxの固定ディスクの容量は約4.5GBが上限です。今、この容量以下のものを探すとなると現実的にいつ故障するか分からないような個体を選択せざるを得ません。

webで検索すると、変換名人なるパーツでコンパクトフラッシュカード(以下、CF)をHDドライブ替わりに利用できることを知り、秋葉原に繰り出して購入しました。これも7~8年前の話です。スロットにCFを差し込むとIDEインターフェイスのストレージとして使用することができます。4GBのCFを装着しました。

現在、1GBのI-O DATAのHDドライブはやはり故障して読み書きできない状態になっています。

ちなみに変換名人は、2016年現在も実店舗やネットショッピングで手に入るようです。
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I-O DATAのHDドライブのケースを付けてスロットに装着します。

さすがにアクセススピードははっきりと速くなりました。無音になるかと思ったらどうやらノイズを拾っているようでCFにアクセスする時に、皮肉にもHDドライブにアクセスしているような音がスピーカから聞こえます。このような音はマザーボードを洗浄したり古くなった電解コンデンサを交換すると直ることがあるらしいですが、残念ながら改善されませんでした。

とりあえず無難に2パーテーションに分割してあり、両ドライブ共、容量はFAT16の上限の2GBです。Windows95とMS-DOS6.2+Windows3.1という構成でした。
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このレストアを機にOSの構成を見直すつもりなのですが、今回はDOSマシンとしての再生がテーマなのでWindows95をインストールしません。この手のPCにWindowsをインストールしようとするから話がこじれてくるという事実に遅まきながら気が付いた次第です。もうWindowsはWindowsマシンにお任せすればいいのです。

ですが、まあお遊びとして、あくまでDOSアプリとして、Windows3.1をクリーンインストールしてみようと思うのですが、若干問題があります。

このWindows3.1のパッケージ版には内蔵グラフィックデバイスのTrident Cyber9320用のドライバは含まれていません。つまりWindows3.1をクリーンインストールするとTrident Cyber9320を使用できず、PC-98標準のグラフィックデバイスで運用することになります。幸いNxを手に入れたときのプリインストール状態のハードディスクの中身は、まるまるバックアップを取ってあるので、いろいろごにょごにょできないかと画策中です。

メインPCとのファイルのやり取り
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Nxの運用的な課題として、メインPCとのファイルの移動についても考えなくてはなりません。メインPCのWindows10機にごっそりとバックアップを移したり戻したり、またはダウンロードしたDOSのプログラムなどの移動をスムーズにできれば、Nxの運用や環境構築が随分と容易になります。

Nxには拡張用インターフェイスとしてPCカードスロットが搭載されています。幸運なことにNxを入手したときに、画像のようなPCカード(MEMORY CARD ADAPTERと表記されています)も付属されていました。手持ちのminiSD(miniSD-SDアダプタ使用)で試したところ、ドライバを組み込むとDOS上でATAフラッシュカードと認識されて無事にファイルの読み書きをできました。

これでNxのDOSとメインPCのWindows10でファイルのやり取りをできます。このPCカードにはどこにも型番の記載がありませんでしたので何とも言えませんが、おそらく現在は入手困難なものであることは間違いないと思います。

ただ、私としても少しは情報提供できればと思いますので、あえて2016年現在でも比較的値段がお手頃で入手性の高いパーツを集めて挑戦してみました。
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CF-PCカードの変換アダプタを用いて、これをATAフラッシュカードとして認識させる方法を試します。検証結果についての保証はできませんのでご了承ください。

どれもこれもDOS対応などとは謳っていません。なにぶん古いPCとOSですからメーカに問い合わせたところで首をかしげられてしまうでしょうし、動作するか否かは博打です。ちなみに、各SDカードだけは私の手持ちの古いものです。
  1. BUFFALO BSCRCFA(CF-PCカードアダプタ)
  2. Transcend TS0MCF2PC(CF-PCカードアダプタ)
  3. BUFFALO RCF-X 256MB コンパクトフラッシュ
  4. サンワサプライ ADR-SDCF2Z(SD-CFアダプタ)
  5. DeLOCK 型式不明(SD-CFアダプタ)
  6. Panasonic miniSD 128MB(miniSD-SD変換アダプタ付き)
  7. Panasonic miniSD 256MB(miniSD-SD変換アダプタ付き)
  8. I-O DATA microSD 2GB(microSD-SD変換アダプタ付き)
ちなみにこの中で、4は厚みがあり2に物理的に刺さりません。低容量のメディアばかり揃えた理由は512MBを超えると、DOS用のATAフラッシュカードフォーマッタで初期化したときに実効容量が少なくなる不具合があるとの事だったからです。数十、数百メガバイトの時代の古いソフトウェアなので無理もありません。試しに、8の手持ちの2GBのmicroSDをDOS上でフォーマットしてみましたが、やはり400MB足らずの容量になってしまいました。使用できないわけではなさそうですが、このあたりの事情はPC-98について詳しく取り扱っているサイトやブログに記載がありましたので、知りたい方は「pc-98 pcmcia」等で検索してみてください。低容量のSDカードは現在、パフォーマンス的な観点から入手性は著しく悪いです(高価な新品、もしくは信頼性に劣る中古品)。

さて、DOS上で実際に試してみた結果ですが、4や5を使用してのSDを使った方法は全滅でした。フォーマットまでは可能で、その後も一見するとファイルをコピーできたように見えるものの一部のファイル内容が破損してしまっていて使い物になりません。DIRコマンドでの表示がおかしかったり、カレントをドライブに移しただけでハングアップすることもありました。
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この中でDOS上で使えた組み合わせは結局、1と3、2と3のCFを使用した組み合わせだけでした。どうやら4や5のようなSD-CFアダプタがネックとなり上手くいかないようです。

ただ、ひとまずDOS上でCFに読み書きさえできれば、USBに接続できるマルチメディアカードリーダ的なものは市場に出回っているので、Windows10機とのファイル交換は可能です。保証はできませんが、今のところこれらの組み合わせならばネットショッピングで容易に手に入りますのでご参考になさって下さい。
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一番の鬼門はハードウェアよりも、むしろDOS用のドライバだと思います。ATAフラッシュカードのドライバを含むDOS用ソフトウェアは、購入時に添付されているサポートソフトやプリインストールのハードディスクの中などにしか入っていないようです。現在、これらのドライバを入手するのは難しそうです。こればかりは何とかして入手するしかありません・・。

私のNxは、入手時にプリインストールの状態が保たれていたので、ルート直下の「PCCARD」というディレクトリにドライバやら設定ファイルやらが入っていました。

webサイトを参考にCONFIG.SYSを書き換えると、PCカードをドライブとして認識しました。PFDISK.EXEで初期状態に設定し、HDCARDF.EXEでフォーマットします。
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早速、Windows10機とNxでファイル移動のテストを2通り実施してみました。
  • Windows10機から4つの動画ファイル(100MB、90MB、20MB、10MB程度)をNxの固定ディスクへCFで移動→一度CFをフォーマット→Nxから同4ファイルをWindows10機へCFで移動し、4ファイルとも動画再生成功
  • NxからDOSディレクトリ(ファイル数171)をWindows10機へCFで移動→一度CFをフォーマット→Windows10機から同171ファイルをNxへCFで移動し、いくつかのプログラム起動成功
という結果でした。CFのフォーマットはDOS上で行っています。ファイルの破損もないようなので、こちらでもDOSとWindows10のやり取りをできるようになりました。しかし、DOS上での100MBを超えるファイルのコピー(COPYコマンド)は、完全にシリコンディスク化したこの環境でも恐ろしく時間を要します。コピー中にハングアップしたかと思うほどです。

もしも、DOS用のドライバをどうしても用意できない場合は、Windows95にドライバが含まれていましたので、Windows95をインストールできるなら試してみる価値はあると思います。珍しくINFディレクトリの中から見つけてきて、さっさとドライブとして認識していました。これこそ夢にまで見たWindows95のプラグアンドプレイです。ちなみにWindows95のバージョンは4.00.950B(OSR2.1)でした。

十分検証したわけではないので保証はできませんが、Windows95上では上記のCF-SDアダプタ(4や5)でSDを使用した構成でもファイルの移動に成功しているので、あえてWindows95を残すという選択もOKだと思います。

FDドライブ不調
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実はSDカードでのファイル交換環境を構築中、ATAフラッシュカード認識用の起動ディスクを作ろうとしたところでFDドライブが故障していたことに気が付きました。読み込みについてはどこまでの範囲まで可能かは分かりませんが一応できていました。しかし、書き込みはことごとく失敗してしまうようです。

FORMAT.EXEでFDのフォーマットを試みたのですが、最初のセクタでつまずいてしまいます。もちろんそのFDは読み込みすらできなくなります。困りました。現在のPCと違い、PC-98のDOS環境においてはFDドライブは必須です。

ですが、消耗品のFDドライブが20年以上ノーメンテナンスでいられる方が稀でしょう。FDドライブを直した経験などありませんが、CD-ROMドライブ同様に分解することにしました。

しかしながら、FDドライブの修理にはヘッド調整用の測定器を用いるなど、特別な修理道具が必要になる場合があり、私には直せる自信などありません。
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ケースを外してみたものの、やはりどこから手を付けていいのか分かりません。分解してこじらせると私には元に戻せなくなる気がしました。そして、この直感が正しかったことを後々知ることに・・。

とりあえず、ヘッドには綿棒を使ってアクセスできそうなので無水エタノールを染み込ませて軽ーく軽ーく撫でておきました。

ディスクの回転軸に注油するのが有効だと言う情報もあったので回転部に注意深く注油します。
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祈るような気持ちで98NOTEベイにFDドライブを装着し、再びFDの初期化を試みるも症状は改善しません。読み込みOK、書き込みNGです。これでまた1枚、貴重なFDをダメにしてしまいました。やはりあきらめて修理に出すことを考えました。

webで検索するとFDドライブの修理を引き受けてくれるという業者のサイトを見つけたので、さっそく修理依頼のメールをそのサイト上から送ってみました。ですが、数日たっても返事が来ません。困った私はこの時よせばいいのに、もう一度だけ自分で何とかしてみようと考えてしまいました。
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電解コンデンサの交換ぐらいなら何とかなるかもと思い分解を進めてみると、思いのほか簡単に基板上のコンデンサが見えてきました。

これに気を良くして次々とバラして行きます。・・が、ここでついに、というよりやはりトラブル発生・・。ヘッドにつながるフラットケーブルをコネクタから抜く際に、勢い余って切断してしまうという大失態を犯してしまいました。

ほんの一年程前にも姪っ子の3DSの電源コネクタのぐらつきを修理するために分解した際、LボタンだかRボタンだかのフラットケーブルを破損させてしまった事を思い出し、自分の進歩のなさに嫌気がさしてきました。
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3DSのケーブルの時は補修部品が単体で手に入ったので事なきを得ましたが、今回ばかりは部品も手に入らないでしょうからフラットケーブルのハンダ付けによる修復作業を試みました。嫌な汗をかきながら、かぼそいパターンの結線をなんとか終えたものの、ヘッドの移動でフラットケーブルがグシャグシャとよじれてしまいます。これでは到底使用には耐えられないので泣く泣く修復をあきらめて結局FDドライブを買うことにしました。

ちなみに交換するつもりだった電解コンデンサは画像の右側にある2つの白い箱状のものです。レストア作業(内装編)で交換したものと同タイプです。フラットケーブルを抜かずとも気を付ければ交換できた場所だったので余計に情けなくなりました。

それにしても私は人生であと何度、フラットケーブルを切ってしまうのでしょうか・・。何よりもPC市場の枯渇資源とも言えるPC-98のパーツを壊してしまう後味の悪さと言ったらありません。

ちなみに、先述の業者からは結局返事は来ませんでした。サイトだけ残っている幽霊店舗のような状態だったのかもしれません。
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ネット通販で注文した翌日に早くもFDドライブが到着しました。コンデンサ交換済み、回転部注油済みとのことです。ここにきて14,000円出費の大打撃です。

少なくなってきたとはいえ、現在でもPC-98関連の中古品販売や修理を請け負っているお店があることに救われました。大昔の中古PCパーツをオーバーホールし、1ヶ月とはいえ保証付きというのはPC-98関連のマーケットに根強い需要があることを思い知らされます。

現実的にはこういった出費もPC-98維持の引き際と見定めるラインとなるのでしょうが、趣味としての所有となるとつい財布のひもが緩んでしまいます。