現物合わせでパッドを移植

制作工程はすべてトライアンドエラーの現物合わせです。あらかじめ設計図やら回路図を用意できればいいのですが、制作の途中で思わぬ不具合に出くわして仕様や寸法の変更が必要になった時に柔軟に対応するためです。・・という言い訳はともかく、要するに現物合わせなどというものは知識と技術のレベルが低くて動作を保証できる精密な完成図を作れないことの言い訳に過ぎません。

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筐体のパッド部分

筐体には2mm厚のアクリル板を使用しました。アクリル板は強い衝撃で割れてしまうことがありますが、加工が容易なのが魅力です。まずは筐体の天面側のアクリル板をおおよその大きさに切り出します。次にゲームパッドの一部も切り出して、アクリル板のこれまたおおよそ見た目のバランスがよさそうなところに穴開けし、接着します。

この段階では筐体のカラーリングを黒にしたかったので、アクリル板も黒色のものにしてしまいました(完成品は白色)。大失態です。

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次にSTARTとSELECTとANALOGの各ボタンの穴は、一度直接アクリル板に穴を開けたのですが、なにぶん小さな穴なので今ひとつきれいに成形できず、結局ゲームパッドをもう一つ分解して画像のようにはめ込むことにしました。

2つの穴はスピーカ用にゲームパッド部分完成後にあとから開けたものです。このように製作段階の画像が前後してしまうことがあります。ご了承ください。

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フィルム基板を延長

ゲームパッドからフィルム基板を丁寧に取り外します。このフィルム基板は導通性の膜のような物質の配線(以下、導膜線)がプリントされており、その上から緑色のラバー質のコーティングを施したような構造になっています。筐体の都合上、○△□×ボタンと十字キー、それとLRの位置が離れますのでフィルム基板を延伸する加工が必要になります。まずはフィルム基板の中央付近ととLRの下あたりのコーティングを剥がして導膜線をむき出しにします。

じつは、この延伸加工にひどく難儀して、たくさんのパッドを無駄にしてしまいました。その道程をここで紹介していると長くなってしまうので、そのありさまは番外編(ゲームパッド)でじっくりと紹介したいと思います。

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PS2U筐体に固定するための土台となるアクリル板を切り出し、その上にゲームパッドから切り出したプラスチック製のフレームを、成形してから設置します。その上に中央でカットしたフィルム基板を乗せ、注意深く位置を合わせます。

今度は生基板を形状に合わせてカットします。

ちなみに、このフィルム基板はハンダごてを当てた瞬間にその部分が導膜線ごと溶けてしまうためハンダ付けはできないと思います。

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低コストなマッキー(マジックペン)を使ったエッチングをします。

「マッキー エッチング」でググればやり方が出てきます。

生基板に配線を残したい部分にマッキーを塗り、エッチング液に浸します(マッキーで塗ったた部分の銅は溶け出しません)。

画像のようにいらない銅が溶け出す様子を見ながらエッチングを行います。

エッチングが終了したらテスターを使って断線やショートがないか確認します。とにかく配線のピッチが狭く密集している部分があるので何度か失敗することを覚悟していましたが、幸いエッチングは一回で成功しました。


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キズミで見ながら配線の合わせ目を注意深く微調整し、最終的な位置決めをします。特に上の方のピッチが狭いところは隣同士がショートしないようにします。

あらかじめアクリル板の土台にネジ穴を設置します。エッチングした基板にもネジ穴貫通用のスルーホールを開けます。

フィルム基板のコーティングをはがして導膜線がむき出しになっている部分にまんべんなく5-56と塗布します。これをしないと早ければ数日のうちに導膜線が酸化して断線してしまうからです。また、フィルム基板と自作基板との接点安定化効果も期待できます。

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厚手のアルミ板にネジのスルーホールを開けたものを用意し、フィルム基板と自作基板を土台とアルミ板で挟み込むようにネジを締めます。接点同士を押さえつけるわけです。均等のトルクを意識して締めます。

LRの部分も同じように施工しました。これでフィルム基板を延長できました。

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アナログスティックの基板

アナログスティックは別途基板を用意します。これも現物合わせで位置を決めます。ANALOGボタンのLEDもここに付けました。

部品を調達で触れましたが、ジャンクのパッドのアナログスティック部分は不具合が多いです。いくつかのパッドの中から状態の良いものを選定しました。

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基板を固定して完成

ボタンの基板、アナログスティックの基板の高さがそれぞれ適切になるようにフロントパネルにネジ穴を設置しました。

画像上部のふたこぶ型の基板はゲームパッドの制御基板です。

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組み上げたらアナログスティックの動きとボタンの押し込み具合をチェックします。

これでL1L2ボタンとR1R2ボタンを除くゲームパッド部分の完成です。