ごはん中の方は見ないでください
たばこのヤニと手垢と得体の知れない汚れに包まれ、くたくたになったNxの姿。うーん、これは酷い・・。
数年間放置された状態から無事に動作するのか内心びくびくしながら電源を入れてみると、DOSもWindows3.1も危なげなく動作してくれました。放置されていた場所が、空気が滞ることなく流れ、エアコンによって湿度もある程度コントロールされているリビングだったのが幸いしたのかもしれません。
さて、このNxのハードウェアスペックは、数ヶ月後に発売を控えていたWindows95へのアップグレードを見据えられたものだとも言えますが、実際にWindows95を運用するとなると性能に物足りなさを禁じえません。
しかしながら、DOS環境においては必要十分な性能のintelDX4(100MHz)を搭載しています。古いDOSプログラムの中にはPentiumでは動作しないものもあるそうなのでいい塩梅ではないかと思います。液晶モニタ解像度は640*480なので後発の98NOTEの高解像度機のようにDOSの映像が小さく(アンダースキャンのように4方向に黒帯)なりません。さらに、サウンドは俗に言うCanBe音源なのでFM音源はPC-9801-86相当です。内蔵スピーカの音質は少々アレですが、ゲームのサウンドもステレオで鳴ります。
サイズは昨今のエントリー向けノートPCと比べると厚みがあるので重くて大きいですが、デスクトップ型やタワー型のPC-98よりもはるかにコンパクトです。2つある拡張ベイに3.5インチFDドライブとCD-ROMドライブを装着すれば、私の所有するDOS資産のメディアすべてにアクセスする事ができます。2つの拡張ベイが埋まるのでバッテリパックを装着できなくなりますが、もはやDOSマシンをどこかへ持ち歩く用事もありません。携帯性よりも収納性がありがたいわけです。
なるほど、あの頃は乏しい拡張性について揶揄されていた98CanBeや98NOTEなどの一体型PC-98が、今になって一部のユーザにDOSマシンとして注目される時代が来ることになるとは当時どれだけの人が予想できたでしょうか。たしかに、この古き時代の規格のモニタやらキーボードやらを別途確保するのは一筋縄ではいかないでしょう。
Nx。個人的にはDOSマシンとしての機能性と収納性を兼ね備えた最良の一台だと思います。ただしノートPCの常で、部品を含めた耐久性に起因する保守性の悪さといった心配事は使用していく限りつきまといます。