番外編(天面パネル)

Nxの天面パネルには「98NOTE」のロゴ(以下、98ロゴ)がプリントされているため、この部分をマスキングで保護しなければ塗装できません。これがなかなか難しく、前回の塗装においてはロゴ全体をざっくりとマスキングして周囲だけを塗装したため、若干の色の違いによる境ができていました。今回はもっと上手にマスクできないものかと試行錯誤しました。

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他のパーツ同様に塗装してみる

このロゴは単なる文字ではなく、数十本の細い横線で構成されています。その線だけを器用にマスキングするのは不可能に近いので、画像のように文字ごとマスキングしてしまいます。

塗装を終え、マスキングを剥がすとなかなか上手く塗れていました。ただ、この98ロゴは素地なので、長年の使用によるちょっとした擦れや小傷があります。これを修復するために画像のようにラインの両端をマスキングして筆塗りを試みました。

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ですが、やはり修正箇所が浮いてしまい少し目につきます。やり直そうと綿棒に無水エタノールを染み込ませて拭いてみると、拭いた周囲が妙にテカってしまい余計に目立つようになってしまいました。無水エタノールはラッカー塗装を犯してしまうので当然です。このあたりからが地獄の始まりでした。

ひとまずやり直すことに・・。

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やり直し

ロゴ部分をマスキングして全体をサンドペーパーで研磨し、塗装を剥がします。

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98ロゴをサンドペーパーで傷つけてしまうと元も子もないので、98ロゴの周囲は無水エタノールで塗装を剥がすことにしました。

徐々に塗装が落ちてきます。・・おや?何だか98ロゴも何だか薄くなってきたような・・。

はい。オリジナルの98ロゴを無水エタノールで犯してしまったようです。溶剤としては弱いとは言え大失態です。面倒なことになりました。これでは新品感もへったくれもありません。

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もう98ロゴはあとから何とかすることを決断をしました。死にかけのオリジナルの98ロゴは思い切って研磨してしまい、小難しいことを考えずに全塗装することに。

その前にスキャナで98ロゴを忘れずに取り込んでおきました。

全塗装ですからサーフェーサーで堂々と下地を作ることができます。広い面積を塗る場合、サーフェーサーで下地を整えたられるメリットは大きいです。

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結果的に今までで一番上手く色を塗れました。

問題は98ロゴをどのように再現するかです。水転写ラベルなどを用いて自作できれば最高ですが、あいにく白インクを扱える機材もありません。web上に機材のない場合の自作方法なども紹介されていましたが、精度の点で不安があるような印象でした。業者に作成してもらうにもなかなかコストがかかりそうです。

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とりあえず、自分で何とかしてみることに・・。

先ほど取り込んだ98ロゴをペイントツールできれいに加工し直してフィルムラベルに印刷します。印刷した98ロゴを切り取って、文字部分を丁寧に切り抜きます。

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ここからは苦手な細かい作業の連続です。

下地のラインを残すため、マスキングテープを糸のように細切りにして画像(上側)のようにマスキングしてみました。一直線にラインを引きたいのでマスキングテープを軽く引っ張るのですが、あまりにも細いため少しのテンションでふっつりと切れてしまいます。不器用な私には地獄のような作業の連続です。

塗った結果が画像(下側)の通りで、マスキングの重なり部分から白い塗装が漏れてしまっています。ピンと張らなければならないので、どうしても隙間ができます。隙間ができないように折り込むと、今度はラインの精度が落ちます。

何とかこの状態から補修できないものかと、カッターの腹で軽く擦ってみたり、綿棒に無水エタノールを染み込ませて撫でてみたりするものの、画像のように状況は悪化するばかりでした。

98ロゴ部分だけを削除して部分塗装すると塗りムラになってしまうので、やり直すには全剥離コースです。

仕方がありませんが、納得できないのですべての塗装を剥がしてやり直します。

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続・やり直し

マスキングテープをやめて、今度はフィルムラベルで挑戦です。フィルムラベルは引っ張りに強いのでかなり扱いやすかったです。ただやはり引っ張る都合上、どうしても重なり部分に隙間はできてしまいます。今度はあらかじめ、透明のつや消し塗装を厚塗りすることでこの隙間をシールドし、その上から文字の色を塗装する方法を思いついたので実行してみました。

結果は画像(下側)のようになってしまいました。透明塗装のシールド自体がその上から吹き付けた白い塗装に犯されて滲んでいます。また、塗膜が厚ぼったく、マスキングと塗膜の接触部分が浮いてしまっています。マスキングの精度が低いせいもあるでしょうが、とにかく酷い出来です。

納得できないのですべての塗装を剥がしてやり直します。

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続続・やり直し

絶望感とともに増えていく塗料の空き瓶・・。一時的とは言え、近所の電気屋やプラモデル屋のこのグレーの塗料は私が買いつくしてしまいました。

今度は方法を変え、あらかじめ白文字を塗装した上に下地の色のラインを入れる事にしました。白いラインの方が太いため、グレーをマスキングするよりも若干ですが楽です。

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マスキングゾルを使い、下地の色のラインがはみ出さないようにしました。ただ、このマスキングゾルはこのような用途にも適していない気がします。液体ですからきれいに区画分けするようなマスキングにはとことん向きません。

ただ、塗装がはみ出るような隙間がないので、ある範疇の仕上がりは思ったより悪くありません。

あとは精度の問題のような気がしてきました。

とは言え、やはり納得できないのですべての塗装を剥がしてやり直します。

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続続続・やり直し

精度の出にくいマスキングゾルをやめて、今度は再びマスキングテープで挑戦しました。重なり部分ではやはり塗装がはみ出るはずですが、下地のグレーと上手く溶け込んでくれることを期待しての作業です。ラインの精度は徹底的に追い込みました。

ラインのマスキングのわずかな隙間にも塗料が入り込むことは許されない細かさです。吹き付けた瞬間から乾燥が始まるように、薄め液を少なめに設定して濃い塗料を少しずつ近距離で吹き付けます。

これでようやく納得できるレベルの仕上がりに。この工程だけで数週間を要してしまいました。ろくな腕も道具も無いわりに上ばかり見ていると苦労する典型です。

もう二度とやりたくありません。