第31回地域院生研究フォーラム
「修士論文構想報告会」
日時:2018年7月29日(日)14:00~16:50
場所:18号館2階院生作業室
1. 氏原賢人(地域文化研究専攻フランス科修士課程)
『「生きられた時間の総体」を目指すふたつの思想 ――ベルクソン的自由とプルーストの無意志的想起について――』
本報告ではベルクソンとプルーストの思想の本質的な近縁性を明らかにすることを目指す。その際に我々が分析の対象とするのは、『時間と自由』第三章の自由論と『失われた時を求めて』の「無意志的想起」である。比較に際して我々は、現代哲学者であるドゥルーズの考察を参照し、これをさらに掘り下げるという方法を採る。
2. 江原聡子(地域文化研究専攻地中海科修士課程)
『中世イスラーム期における都市ハランの宗教:イブン・アン=ナディームの『目録の書』を中心に』
北シリアの都市ハランḤarrānは、紀元前3千年紀末から紀元13世紀まで3千年に及ぶ歴史を持つ。中世イスラームの時代、ハランは「異教都市」として有名であった。10世紀のバグダードの書誌学者イブン・アン=ナディームの『目録の書』やビールーニーの『古代諸民族年代記』には、ハランの「異教」の神々や祭儀について記されており、それらの記事を基に中世のハランの宗教について分析する。
3. 峯沙智也(地域文化研究専攻ドイツ科修士課程)
『第一次関税同盟危機(1848-1853)におけるドイツ関税同盟官僚の自由裁量権』
ドイツ帝国成立過程においてドイツ関税同盟は、経済的な統合を推進した組織として評価されることが一般である。しかしながら、先行研究ではドイツ関税同盟による政治的統合は注目されることは少ない。本報告では、関税同盟官僚が有した自由裁量権に着目し、ドイツ関税同盟の諸領邦間の利害調節機能について検討したい。
司会者:林優来(地域文化研究専攻地中海科博士課程)